サステナブル・ポートフォリオを倍増!24.9億米ドルに「UBS」

2018/09/12

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多国籍金融サービスプロバイダーのUBSは、社会的インパクトと経済的リターンを念頭においた今年1月からのポートフォリオについて、サステナブル・クロスアセット投資を24.9億米ドルに倍増させた。

同社のアジアパシフィック・サステナブル・投資ディレクターであるマリオ・ノープフェル氏は、メディア会合において「サステナブル投資は過去10年で著しく成長しており、弊社ではグローバルで約23兆香港ドルを配分している」と語った。

ヨーロッパで発祥したUBSは、3ヶ月後に世界で初めて、100%のサステナブル・クロスアセットポートフォリオをアジア太平洋地域に拡張した。スイス拠点の同社は、ポートフォリオの投資決定を行う際はESG(環境、社会、ガバナンス)及びSDG(s国連採択の持続可能な開発目標)の影響を考慮している。

ESGに注視する事は、有害事象遭遇の可能性を下げ企業のリスク管理に繋がる。ESGの環境方針・管理にはエナジーフットプリント、水の供給、持続可能な輸送、廃棄物管理、気候変動戦略が、社会的措置には消費者権利、サプライチェーン管理、健康と安全、製品安全性、労働関係、地域社会との関係、ステークホルダーとの関係や人権が、ガバナンスには取締役会構成と多様性、役員報酬、株主権利、会計、事業倫理、利益相反等の要因が含まれる。

SDGsは、最も緊急な課題解決の為のロードマップを提供しており、その達成には年間5~7兆ドルの投資ギャップが見積もられている。「世界人口急増に伴う食料、水、エネルギーの需要増加により資源不足が懸念されている。企業はこの問題を緩和し、より多くの資源を供給し、多くの人を支援出来る」と、同社のウェルス・マネジメントチーフ投資責任者アドリアン・ズエチャー氏は語る。

同社のクロスアセット・ポートフォリオは、ESGエクイティファンドと、環境、社会、ガバナンスの重要課題を扱う企業株式に寄与する。18%がESGリーダー社債、15%がESGテーマ株、15%が改善ESG株(例:コーポレート・ガバナンス改善)、14%がESGエンゲージメント株、13%が世銀債、10%がグリーン・ボンド*1、10%がESGリーダー株、5%が流動資産で構成される。

ポートフォリオは、収益型とバランス型、成長型の3つで構築され、それぞれ5%流動資産がある。収益型は債券が57%、株式が38%、バランス型は債券が41%、株式が54%、成長型は債券が22%、株式が73%となっている。

UBSは、世銀債およびESGエンゲージメント・エクイティ・ファンドとのパートナーシップを構築した。世銀債は発展途上国向けの社会的・経済的資金提供を行っている。環境プロジェクト実施に向け、企業や地方自治体、開発銀行がグリーン・ボンドを発行している。債務格付けはAAAであり、世界銀行には各国政府の支援がある。またESGエンゲージメント・エクイティ・ファンドは、ESG事案の改善推進の為、企業幹部と連携を深めている。具体的リスクの削減と、社会的成果創出により企業の長期的な財務改善を目指す。

UBSグレーターチャイナ資産管理部門長のエイミー・ロー氏は、「APACの為の当会計年度初めから今日までの数字は2億ドル近く、これは100以上の顧客から来るもの」と述べた。

同社は現在、食品、医療、化学分野等の顧客向けサステナブル投資にも関心を示している。それは環境の重要性と次世代ケアの必要性からであり、「ファミリーオフィスの投資戦略を担う若い世代、女性やミレニアル世代は、このトピックに高い関心がある」と彼女は付け加えた。

*1 グリーンボンド:市場から温暖化対策や環境プロジ ェクト等の資金を調達する為に発行される債券

(テキスト、写真:Hilary Kwan 翻訳:Shoko Masuda)

 

 


UBS
ウェブ:www.ubs.com

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