「ネット環境ダウン時の備え」兆星電脳有限公司(広東省佛山市)
IT サービスの仕事で広東省内を忙しく走り回っている著者です。今回は少し趣旨を変え、社内のIT 環境が何らかの不具合で利用不可になった場合についてお話しします。というのも、先日アフリカのサハラ砂漠で操業している会社を訪問する機会があり、そこでは携帯電話はおろか電話線もネット環境も皆無という状態でしたが人々は仕事をしていましたのでそれを参考にしたいと思います。通信手段が無い状況下で、現地の会社では担当の一人が毎日ほぼ決まった時間にネット環境のある最寄りの街まで出て行き、そこで限られた時間内に一日分の必要なあらゆる連絡や報告、メールの受送信を行っていました。1人2人の小さな会社ではありません、数十億円規模のビジネスをしている立派な会社です。業務時間の大半は電話連絡もできない状況で仕事をしている彼らも、本社や顧客とのやり取りには当然何等かの通信手段が必須です。必要最小限のネット利用で日々の仕事をこなしている彼らのそんなやりとりを見て感心してしまいました。
華南地域の日系企業ではどこでも常時インターネットに繋がる状況ですし、メールやSNSでのタイムリーな社内コミュニケーションは当たり前な時代ですが、果たしてそこまで必要なのかと今回の旅の中で考えるに至りました。朝から晩までコンピューターの前で仕事をしている現代人ですが、結局多くの時間は実際の仕事とは関係ないことに使われているのではと推測されます。本来、決められた仕事を決められた通りに行っている限りは特に常時連絡をとれる体制自体必要ないものなのかもしれません。当たり前に使えるIT環境を提供するサービスの仕事を初めて13年になりますが、このように考えたのは久しぶりです。メールの受送信などは仕事前か仕事後の30分でもあれば全く事足りるのかもしれません。
今回のサハラ砂漠での滞在中、筆者自身はとても不便に思いました。WeChatのメッセージで普段やり取りしていることが一日中できないわけですし、メールも一日に30分しかできません。当然初期の頃は仕事に支障をきたします。ただ、数日経つと中国にいる同僚も皆現状に慣れ、一日一回の連絡&報告でも問題ない体制に自然と変化が見られました。結局、会社全体の仕事にはほとんど問題は発生せず、メールやSNSも一日30分使えるだけでほぼ全ての仕事が進むようになりました。これは新しい発見でしたので今回の記事で是非書こうと思った次第です。
華南地区の企業に当てはめた話をすると、社内のIT環境は不具合等で一時的にダウンしてしまうことは起こりえます。そのような際に、つまりネット環境が利用不可になった時にどのように滞りなく社内の通信を行うかは日頃から考えておいた方が良いと思います。一日中メールが使えない状況が発生すると、「これでは仕事にならない」と苦情を受けることがありますが、メールが使えなくても代替手段で仕事を継続できる体制を準備しておくことは必要という意味です。ネットが止まってから対策を考えていては遅いので、今からそのような事態に陥った時に迅速に代替手段に切り替えるための方法を検討してみてはいかがでしょうか。メールなどは電話やその他手段で簡単に伝えることができるかもしれませんが、日々の業務データのやり取りや他拠点間とのデータ共有に関してはネット環境への依存度が高く代替策はない、という会社もあるはずです。もし社内だけネットが止まった状態であれば、極論ですが総経理の自宅と他拠点間に安全な回線を準備しておくだけでも緊急時には役に立ちます。ネット環境が無いことを前提に考えると、もっとITを効率的に使う方法が見えてくるのではないでしょうか。
赤座 卓也(あかざ たくや)
兆星電脳有限公司
TERASTARS Computer Ltd.
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