香港バレエ団(香港芭蕾舞團)日本人ダンサーにインタビュー

2015/08/31

 

香港バレエ団 日本人ダンサーインタビュー

香港バレエ団8月から2015/16シーズンが始まった香港バレエ団。国際的に高い評価を受けている香港バレエ団には現在7名の日本人ダンサーが活躍しているのをご存知だろうか。今回は3名のダンサーにバレエを始めたきっかけや香港バレエ団についてお話を訊いた。
香港バレエ団は1979年に設立され、アジアの主要名門バレエ団として国際的に高い評価を受けている。設立以降、熟練したダンサーと技術的にチャレンジングな演出と幅で構成された力強いレパートリーが魅力だ。現在アジア、ヨーロッパ、北アメリカなどの世界11カ国40名以上のダンサーが所属している。「ドン・キホーテ」「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「ジゼル」や「ロミオとジュリエット」などの古典作品から、中国の歴史や風習を題材としたオリジナル作品も精力的に公演している。

 

◆バレエを始めたきっかけ、経緯をお聞かせください。
有水:小学校4年生で始めたのですが、最初は先に始めていた妹の送り迎えをする母親に付いて行っていました。もともと体が柔らかく、バレエ教室の先生からも薦められていたのですが、女の子ばかりだったので最初は拒否していました。
森脇:幼稚園のバレエ教室で、自分と同じくらいの年頃の子たちを見てやりたいと言ったみたいです。姉もバレエをやっていましたし、幼稚園に入る前からずば抜けてリズム感が良く、絶対にバレエをやらせるべきだと言われていたらしいです。
菅原:友だちのバレエの発表会を見に行き、その素敵な衣装に憧れて母親にお願いしました。しかし、すぐに止めると思われてなかなかやらせもらえず、1年間くらい言い続け、やっと4歳の時に始めることができました。


◆プロを目指したきっかけは?

有水:バレエ教室の先生が踊る姿を見て、「大人の踊りってすごい!」と子供ながらに思ったんです。その後、テレビのバレエ公演を録画してテープが擦り切れるほど見たり、実際の公演を見に行き、コンクールにも挑戦するようになっていきました。賞も取れるようになっていくうちに「プロになりたい」という気持ちが強くなりました。全日本バレエコンクールの決勝に出れるようになったときに「プロ一本でやっていく」と決意しました。
森脇:日本の中では老舗のバレエ団の付属のバレエ学校に通っていたのですが、元々そのバレエ団に憧れ、小さい頃から子役でバレエ団の舞台に出演していました。このバレエ団に入って踊ることが夢だったので、高校卒業と同時にバレエ団に入団しました。
菅原:小学生の時からプロのダンサーに憧れ、「海外に行きたいな」と思っていました。しかし当時は週に3、4回くらいしかレッスンが無く、「若い時期を逃したら多くを学べないし、プロにはなれない」と考え、海外にチャレンジすることを決意し、18歳でバレエ学校に留学しました。そこでバレエが本当に好きなんだと再確認し、バレエを仕事にしようと決めました。

◆なぜ香港バレエ団に?
有水:高校卒業後、コンクールに出ているうちにフリーランスという形で色々な舞台に呼ばれ出演するようになりました。その状態を続ける中で「このまま続けることは自分のなりたかったダンサー像じゃない」と将来を考え始め、バレエの師匠からも将来について聞かれました。海外に出たいという想いを打ち明
け、師匠から香港バレエ団のオーディションを提案されました。
森脇:バレエ学校で子供たちを教えながらアルバイトをして、自分も踊る。そんな生活をしていました。年齢も20代後半になった時、「もっと踊りたい」という想いが溢れてきて、海外に行くことを考え始めました。細々と年に1、2ヶ所オーディションを受けている中で、香港バレエ団のオーディションの日程が合い受験をすることができました。実は30歳までに決まらなかったら、きっぱりバレエを止める決意をしていました。
菅原:アメリカ留学中にアメリカとヨーロッパを中心に、1年間に20ヶ所ほどオーディションを受けていました。過去には合格したけどビザの発給ができなく諦めた所も。2年が経とうとしていた時、学校の先生と繋りのあったバレエ関係者と香港バレエ団の方がアメリカにいらっしゃいました。オープンクラス
で会い、履歴書とビデオを送りました。アジアのバレエ団は受験していなかったので香港バレエ団のことも正直あまり把握してませんでしたが、実際にはすごくインターナショナルで、公演回数も多く、レパートリーも豊富でラッキーでしたね。

香港芭蕾舞團◆バレエダンサーの生活は?心掛けていることはありますか?
森脇:シーズンは毎年7月から6月。日曜日を除いて10時~18時で練習やリハーサルをしています。
有水:ずっと健康でいることは大変。海外で一人暮らしだと余計に感じます。常に栄養を取ることを心掛けています。
菅原:学校にいるときは食事に関して気にし過ぎて病気になってしまうくらいでしたが、今はだいぶ落ち着きました。怪我をしないようにストレッチとトレーニングは欠かしませんね。

◆体重制限などはあるのでしょうか?
菅原:特に食事制限やこの体重でないといけないというのは無いですね。食べ過ぎないようにするぐらいで、普段の生活とあまり変わらないですよ。

◆つま先立ちして爪が割れてしまったりしませんか?
森脇:こればかりは仕方ないことなので、諦めています(笑)。

※インタビュー後半では更に香港バレエ団のこと、新しい公演に対する意気込みなどを伺った。掲載は9月18日号予定。お見逃しなく!

p r o f i l e
有水俊介

 

 

 

 

 

【有水俊介さん】
10歳よりMinori Ballet Studioにて秦美法、柴田英悟に師事。2009年より日本バレエ協会公演、バレエシャンブルウエスト、井上バレエ団の公演白の湖、眠れる森の美女、くるみ割り人形などに出演。2010年、全日本バレエコンクール男性の部第2位。同年、文化庁主催、日本バレエ協会ツアー公演「くるみ割り人形」にて主演。2012年より香港バレエ団所属。

森脇友有里
【森脇友有里さん】
4歳よりバレエを始める。1992年橘バレエ学校入学。1995年AMステューデンツ21期生合格以後、牧阿佐美に師事。2005年橘バレエ学校卒業。同年、牧阿左美バレエ団入団。ドゥミソリストとして数々のレパートリーを踊る。(白鳥の湖、眠れる森の美女、くるみ割り人形、ドン・キホーテ、リーズの結婚、ノートルダムドパリ等)。2014年香港バレエ団に入団、現在に至る。

 

菅原愉依
【菅原愉依さん】
4歳よりバレエを始める。2012年ローザンヌ国際バレエコンクールのシニア部門準決勝進出。2013年ユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)クラシック・コンテンポラリーシニア部門銅メダル。2014年にアメリカのエリソン・バレエ学校のプロフェッショナル・トレーニング・プログラムを卒業。同年香港バレエ団入団。

香港芭蕾舞團 Hong Kong Ballet
住所:G/F., 60 Blue Pool Rd., Happy Valley
電話:(852)2573-7398
メール:marketing@hkballet.com
ウェブ:http://www.hkballet.com
公演スケジュールやチケットに関しての詳細はウェブサイトをご覧下さい。

香港バレエ団 次の公演予定 Choreographers’ Showcase 2015 2015年10月2~3日(20時開演)、4日(15時開演) 場所:Hong Kong Cultural Centre

Pocket
LINEで送る