「大丸興業株式会社」総経理 竹氏 利夫氏インタビュー

2014/06/05

DAIMARU KOGYO,LTD.教えて!総経理!
81年前、大阪に設立された「大丸興業株式会社」。
この不況の中、徹底した「日本の品質レベル」を維持している大阪の商人魂に迫る。

 

竹氏 利夫■まず最初に、御社の設立の背景を教えてください。
大丸興業株式会社の創業は1933年、香港支店は今からちょうど20年前の1994年3月に設立されました。20年前の世の中というと、商品の生産を中国で行い、日本国内外へ販売するルートが主流であり、最もコストが低かった時代ですね。我々も中国のポート(港)である香港に拠点を置いて、メーカーや取引先とのやり取りを始めたわけです。日本国内では、食品・化学品から包装資材、雑貨、釣竿そして電子部品まで幅広く取り扱っている我が社ですが、香港支店では、需要の多い包装資材や電子部品の部門を担当することになりました。
■現在、業界全体の状況はいかがでしょうか?
正直、どの業界も厳しいですよね。「負け組」「勝ち組」という言葉が一時期流行りましたが、もう今の経済状況ではそんな区分はないと私自身感じています。現在、中国の高度急成長に伴い、我が社も中国以外のアジア諸国で生産依頼をするケースが多くなりました。その点、元々中国以外でも、台湾やベトナム、ミャンマー、インドネシアに拠点があり、さらに上海とタイにも子会社がある我々は、このネットワークのおかげで、色々な国・地域の目的に適したメーカーや商品をいち早く把握することが出来ます。ただ、モットーとしている「安心できる商品」「安定した品質」を維持するには、手間もコストもかかりますし、課題も多いですね。

■香港での業務・オフィス運営について、日本とはどんな違いがありますか?
香港での業務は、やはり日本と法律が異なるので、その点では面倒なこともありますが、それ以外は全く問題ありません。現在、香港支店のメンバーは、現地スタッフ4名、日本人スタッフ3名、全部で7名です。現地のスタッフは驚くほど仕事熱心で観察力が鋭く、本当に優秀です。勤続10年以上のスタッフもいますし、業務は本当にスムーズに行えています。
我々は、入社後必ず日本語で教育し、日本人の心と大丸興業のルールをレクチャーします。メール・電話対応、接客全て日本語で行ってもらいます。日系企業が取引先の大半を占める我が社では、お客様と安心と信頼の関係を築くために欠かせない部分です。
■業務を円滑に行うための工夫・発見などがありますか?
そうですね。例えば、取引先の担当者が現地スタッフの場合は、こちらもなるべく現地スタッフに担当してもらうようにしています。香港に限らず、やはり現地には現地の方法・考え方というものがありますから、日本人が担当するよりもすんなり事が運ぶことが多いんです。同じ意見を伝えるにも、やはり少しニュアンスが違ったりしますからね。その辺は現地スタッフを信頼して任せています。逆に、先ほどお話したとおり、日本人には日本式の対応やルールがありますので、その時々のケースに応じて担当者を決めていきます。そして、取引先ごとに担当者を1人置く。必ず1人です。複数になると必ずいつか漏れが出てきますからね。あとは、スタッフそれぞれに大きなミッションを与えます。週1回必ず日本とのミーティング、オフィス内ミーティングを行いますから、そこで自身の目標とそれに向けての予定を立ててもらう。そうすると、皆自然と街中の色々な商品や物事に興味をもって提案してくれるようになるんです。
■海外赴任のご経験は?また、香港の生活には慣れましたか?
実は、私は今回2回目の香港赴任で、合計6年程こちらにいます。我が社としては、若い社員に海外赴任を経験させるという方針がありますので、たいていは4年程度で交代するんですが、新しい分野へシェアを拡大していくという課題のもと、再度こちら来ることとなりました。
全然日本へ帰りたいとは思わないですよ(笑)運動も適度に、お酒もたしなむ程度。こちらのローカルな生活好きですし、何の不自由もありません。マイナーなお寺やお店にチャレンジするのが好きで、現地スタッフにも呆れられる程です(笑)
■現在、力を入れている点と今後の目標を教えてください。
電子部品部門と同様、食品や雑貨の部門にもより一層力を入れています。香港に拠点をおいている利点をフルに生かして、中国華南地区全域の企業様のご期待に沿えるように、そしてもちろん、大丸興業の得意としている「日本の品質レベル」の維持、「安心・信頼のおける商品」の生産・販売をさらに拡大していく意気込みです。我々には、「どちらが上か下か」という概念はありません。依頼して頂いた方々に、より良い品をお届けし、お互いがより良い方向へ進めるということ。「義理をもって商売をする」ことが、我々のモットーです。
ずっと一緒に仕事をしてきたこのメンバーで、今までの分野はもちろん、新しい分野にも視野を広げてそれぞれの知識・能力を存分に生かし、成長していけたらと思います。

[竹氏 利夫氏 PROFILE]
1966年生まれ。
大学卒業後、他社で経験を積んだ後、現在の大丸興業株式会社に入社。入社後は、電子デバイス部門に所属し、電子部品の設計から販売に従事。1998年、香港支店へ赴任し、約半年で総経理となる。香港支店在籍は約6年。趣味は、マイナーな香港のスポットに行ってみる事。

大丸興業株 式会社

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