総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム
食生活の変化
日本人ほど食生活の変化が大きく、また多くの食文化を取り入れてきた民族はほかにないのかもしれません。特に第二次世界大戦後は、学校給食にパンと牛乳が米国によって導入されたことが、日本の食生活を洋食化させる大きなきっかけとなりました。当時は米国の食糧政策として日本に対して行われたもので、学校給食で子供たちが覚えたパンや牛乳の味を20年30年後に次の世代に伝えてもらい、日本の食文化を変えて米国の食糧輸出につなげようとしたものです。その目論見は大当たりどころか、当の米国にとっても驚くほどの成果を上げたに違いありません。戦後およそ70年間の日本人の食生活の変化は、ほかのどの国が経験したものより大きかったのではないでしょうか。
古代の食生活
縄文時代までは狩猟採集を基本とする食生活でした。主食はドングリや栗といった木の実が主なものでしたが、タンパク質は野生の鳥獣や魚介類など、現代人が想像するよりも豊かだったようです。この頃に土器がつくられるようになり、煮炊きができるようになったことは、食生活に大きな変化をもたらしています。その後の弥生時代には大陸から稲作が伝わっています。日本人の主食が米になったのはこの頃からだと言われています。
次の奈良時代に入ると安定的な食生活が可能になってきたこともあって人口が急増します。飛鳥時代には宗教的な理由によって肉食が制限されることが続いていましたが、野菜の栽培が始まるなどしたため食生活はさらに豊かになってきました。平安時代になっても、特に貴族社会の食生活では厳格に肉類をさけ、白米を主食とするなど一般庶民とは一線を画されていました。これに対して庶民は玄米を食べるほか、肉食禁止の決まりから外れていたウサギやシカを食べることで動物性たんぱくや脂質の摂取ができていたのです。豪華ではないにしても、当時の栄養摂取という観点からは、庶民の方が健康的であったことは間違いないようです。
中世から近世の食生活
主に僧による大陸との交流で、今でいう東洋医学の考え方が食生活にも取り入れられるようになったのが鎌倉時代です。この頃になると食材も増えるとともに、味噌や醤油といった調味料も使われ、さらに室町時代には砂糖も入手しやすくなったことから、日本食の基礎が出来上がったようです。
また南蛮貿易が盛んになった16世紀ころにはカボチャやサツマイモ、あるいはホウレン草などといったそれまで日本では見ることがなかった野菜類も続々と入ってきました。現代の我々の食生活を支える野菜類はこんな時代に海外から入ってきたものも数多くあるのです。稲作に加えて麦の栽培も行われるようになったことで、十分なエネルギーを安定的に摂取できる環境が出来上がったものです。ただし現代のような農業技術が確立されているわけではなく、気象条件に大きく左右されていたことは確かであり、食の安定供給という面では決して安心できる状態ではありませんでした。
ところで一般的に米を精米して食べるようになったのは江戸時代からのこと。寿司やウナギのかば焼きが食べられるようになったのもこの頃です。江戸では、玄米食が基本であった時代にはなかったビタミンB1不足から、脚気の患者が増えていたようです。
明治時代以降
明治時代には洋食文化が入ってきて、外食も行われるようになってきました。食糧輸入が盛んになってきたこともあり、カレーライスやオムレツ、コロッケやとんかつも広まったほか、ビールやコーヒーなど外来の嗜好品も庶民が楽しめるものとなりました。しかし、2度にわたる戦争でその供給が途切れたことや、社会の混乱から食糧事情が極度に悪化した時期もありました。第二次大戦後に日本が米国の食料政策に組み込まれ、毎日の学校給食にパンと牛乳が出されたことは、日本人のそれまでの食生活を激変させるきっかけとなりました。
過食の時代
昭和30年代までは米の消費が多かったものの、その後はエネルギー源としての米の消費が減り続けました。代わりに動物性脂肪や糖分の摂取量が増え、肥満者が増加したことから、糖尿病患者の激増を招く結果となっています。西洋のものはもちろんのこと東南アジアや中南米などの料理が好まれるエスニックブームなるものもあり、日本人があらゆる食文化をも取り入れてきたことは、決して悪いことだったとは思えません。ただし摂取カロリーが多くなり過ぎたことは否定しようがない事実です。主食であったはずの米が嫌われ、炭水化物はまるで毒物でもあるかのように語る人も現れてくるなど、食品の良し悪しを単純にその一面だけで判断してしまうという思考もあるようです。
糖尿病患者が増え始めたのが昭和40年ころからです。摂取カロリーが過剰になっていることは間違いなく、最近では減量を志す人も増えています。日本人が食糧生産にどのように携わってきたのか、そしてその食志向がどのようなものであったのか、少しだけでも想像力を働かせつつダイエットに挑んでみてはいかがでしょうか。炭水化物は敵ではありません。
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