総合健康診断サービス「メディポート」健康コラム:白い食品は身体に悪い?

2022/08/24

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白い食品は身体に良くないという話をどこかで聞いたことはありませんか? 多くの人が何の疑問も持たずに漠然と信じ込んでいるようですが、それほどの意味があるのかと私自身強い疑いの目で見ています。どこぞの大学の先生が話していることやテレビの健康番組で伝えられていることなどは大きな影響力があります。最近はネットでもこのような情報が盛んに発信されており、私が抱える疑問がますます大きくなってきました。

白米と玄米
玄米はコメからもみ殻を取り除いただけのもので、ヌカや胚芽部分が残されたものです。この部分に含まれる栄養素が評価されているほか、玄米は血糖値の上昇が緩やかである点も、白米よりも身体に良いとされている要因です。確かに栄養分析の結果を見ると、玄米には白米にはない栄養素が含まれており、いかにも身体に良さそうではあります。しかし、一方で消化が悪い玄米は(だから血糖値が上昇しにくい)、良く噛まないとそのまま排泄されてしまう可能性が大きくなります。いくら栄養成分が豊富であっても、その吸収率が悪いというのは大きな欠点です。

白砂糖と黒糖
黒糖は主にサトウキビの搾り汁を煮詰めたもので、植物に由来する成分をそのまま残しています。したがってミネラルなどを豊富に含みますが、料理の味への影響が大きいので白砂糖との使い分けが必要です。白砂糖は身体に悪いと思い込んでいる人もいますが、黒糖を生成したものが白砂糖であり、白砂糖が身体に悪いのであれば、それを包括している黒砂糖も身体に良くないものと考えるのが妥当でしょう。そもそも現代人は甘いものを食べ過ぎているのです。白砂糖は良くないと言われますが、現代人は糖分の過剰摂取状態にあることが問題です。

精製塩と粗塩
最近は悪者扱いされることが多い塩ですが、塩分はヒトに限らず多くの動物にとって必要不可欠な物質です。自然界では塩場と呼ばれる塩分濃度の高い石や土を舐めに行く動物もいます。サルはお互いの皮膚をつまんで、その指先に付く塩を舐めて塩分補給しています。しかしヒトは味付けに塩を利用するだけでなく、食品保存に使うことを覚えて積極的に利用するようになりました。ヒトの知恵でもありますが、その摂取量が格段に多くなってしまいました。

塩の原料は海水と岩塩です。海水の水分を飛ばしてできあがるのが粗塩で、にがりやミネラルが豊富に含まれており味もマイルドです。岩塩も元はと言えば海水なのでその成分は似ています。精製塩は粗塩を生成して純粋な「塩化ナトリウム」だけにしたものであり、化学薬品としても使えるほどの純度です。そのため様々なミネラルを含む粗塩の方が身体に良いとされていますが、現代人はその摂取量が多すぎるのです。この点は砂糖と同じですね。

白パンと全粒粉パン
パンは基本的に小麦をこねて、酵母菌で発酵させたものを焼いて作ります。基本的な原料となる小麦を精麦して、外皮や胚芽などを取り除いたものを製粉する場合と、そのすべてを粉にしてしまう場合(全粒粉)に分かれます。全粒粉には皮や胚芽が含まれるので色は黒っぽくなりますが、それらの栄養成分を合わせて取り込むことができるメリットがあります。その一方で、ふわっとした日本人好みの食感は失われてしまい、ボソッとした全粒粉パンは日本人に嫌われる傾向が強いようです。パンに限っては白く柔らかなものが好まれるというのが最近の日本人の嗜好です。ただし糖質を避けるという風潮から、パンそのものを避けてしまう人も少なくありません。

 

さて、健康志向が強くなってきた現代人の食に対する意識ですが、「飽食の時代のわがまま」に過ぎない考え方が大勢を占めているように思えてなりません。健康を維持するのであれば直ちに過食を止めて、腹7分くらいに収めておく方が良いでしょう。腹いっぱい食べたいというのであれば日に3食は食べ過ぎです。白い食品は身体に良くないと信じて、玄米や黒糖そして粗塩にこだわったりしている人もいるようですが、健康維持という観点からは何の影響もないと思います。もちろんミネラル分が多いほうがマシかもしれませんが、健康に対する貢献度は微々たるものでしょうね。

健康のためというのであれば、個人的には何を食べるかというよりも、いかに食べないかを模索したほうが良いと思います。特に肥満傾向にあってそれが原因で健康診断の結果に問題がある人の場合は、減食することが最大の健康法になります。また健康状態に問題がない人であれば、食事内容に神経質になるより、日常生活の中でいかに身体を動かすかを考えた方が健康上のメリットになることでしょう。白い食品、黒い食品に健康状態を左右するような働きは無いと断言できます。そのような選択が可能なのは、飽食であり、贅沢な食生活であるからにほかなりません。

白い食品は、加工度が大きいので余計なエネルギーを使って生産しなければいけない場合が多いようです。低加工度の食品が好まれるようになってきた昨今の嗜好変化は好ましい傾向だと思います。身体に良い悪いという感覚的かつ単純な選択をするより、より自然なものを摂取するという選択の方が、「生物学的に」より好ましいと言えるのではないでしょうか。平均寿命が著しく伸びている現代であるからこそ、食生活のことを自分自身で少し考えてみる必要がありそうです。


堀様1藤田医科大学卒業。臨床検査技師。
日本医科大学付属病院勤務の後、青年海外協力隊に参加し、南太平洋ソロモン諸島ガダルカナル島に2年間派遣される。世界保健機関WHOのプログラムの下でマラリア対策プロジェクトに従事。帰国後に就職した巡回健診事業を行う会社にて香港に赴任。健康に対する自身の理念を実現するため、1999年3月メディポートを設立し現在に至る。


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