こんなに複雑…… 広東「ことば」事情

2019/06/28

ate1 ate2

広い中国では実に多様な言語が使われている。モンゴル語やチベット語、ウイグル語など、明らかに異なる言語もあれば、同じ漢字を使う「中国語」というカテゴリーの中でもかなりの多様性がある。

広東語は、その中国語の主要言語グループの一つ。粵語(yue-yu)とも呼ばれ、広東省の人は白話(bai-hua)という。広東省、香港と澳門などで広く使われており、海外に住む華僑も広東語を母語としている人が多い。特徴は、中国の古代言語を最も残していること、タイ語やチワン語と関連が深いなどが挙げられる。また、9つの声調があり音節も多いため、普通話に比べ習得が難しいともいわれる。

広東省では、標準的な広東語のほかにもたくさんのことばが話されている。複雑すぎてすべての詳細を紹介することはできないが、手短に……まず、広東三大言語は、広東語、客家語、閩語。この三大言語のほかに、少数民族によって話される、瑶語、壮語、粵北土語などがある。三大言語は、さらに細かく各地方の方言に分かれる。広東語系では、台山話や陽江話など、閩語系には潮汕話や雷州話などがある。客家語系にも方言がある。つまり、町や村ごとに言語系や方言が異なると考えいただければよい。広州などの都市部に住む人たちは、たいてい地元の言葉のほかに広東語や普通話が話せるので、地元以外の人とのコミュニケーションには、それら”共通語“が使われる。ただし、お年寄りや地元からあまり離れたことがない人の場合、地元の言葉しか話せない場合も少なくない。

それぞれの方言が話せれば、もっと深いコミュニケーションができるはずだが、残念ながら限界がある。現在では、普通話がかなり通じるので、まずはこれ必須。さらに、もう一つ挑戦する余裕があれば、それぞれの状況や好みに合わせて選ぼう。広東省・香港にお住まいであれば、やはり使用の頻度が多く教材も充実している広東語がよい。そのほかのことばは、教材なども少なく、用途も限られるためハードルが高い。

いずれにせよ、こうした言語背景を知っておくと、さまざまな中国人とのコミュニケーションに役に立つ。新しい友だちに、出身や母語について尋ねてみる思わぬところで話が弾むかもしれない。

ate3

Pocket
LINEで送る