スナフキン正の広州 冬の学生生活奮闘記

2016/12/23

冬

僕は広州の大学で留学しており、大学の寮に住んでいる。寮はとても古く、ベットと机が備え付けられている質素な部屋だ。ルームメイトはフィリピン人で、彼は中国の水質を研究している、将来の科学者だ。そんな彼とは、水道の請求を割り勘で支払う時に唯一言葉をかわす。月に一回、彼が「今月は120元だからお前は60元払ってくれ」と言い、僕は「うん」と返事をする。これが僕の寮生活だ。

ところで、広州の冬の最低気温は日本の東京より5度以上高いのに、寒く感じるのはなぜだろう? 一つ目の理由は、基本的に部屋の中に暖房付きのエアコンがないことだ。エアコンのリモコンを見てみると、冷風と送風しかない。したがって、暖房で部屋を温めることができない。二つ目は、部屋の構造の問題だ。壁は薄く熱があまりこもらず、ひんやりとする。これは、暑い夏の生活を快適にするために作られているそうだ。さらに、扉の下には大きな隙間があり、風がビュンビュンと入ってくる。

防寒対策などをしていない私は、寮でいつも体を震わせながら、過ごす他ない。では、広州の学生はどうやってこの寒さに立ち向かっているのだろうか。実は、部屋でもダウンを着ているらしい。広州の学生の考えでは、部屋の中も外も同じような認識らしい。そういえば、ルームメイトが冬に急に太りだしたと思ったら、部屋で相当な重ね着をしてモコモコした装いをしていたからだった。

冬

学内では、留学生は、たいていコートを持っておらず、みんなぶかぶかした格好をしている。そして、中国の学生は、明らかに真冬のコートを着ていて、果たしてそんなに寒いだろうかと疑問に思う。なんだかおかしいぞと考えながら、いやいや、温度調節ができないエアコンしか整備されていない学生寮に住んでいるのであれば、寒暖差の激しい広州の天気において、厚手のコートを着ることは、たしかに理にかなっているかもしれない。

私は、もう何度かこの冬風邪をひいた。「寒さに負けて、風邪をひいてしまった」と嘆くのは言い訳かもしれない。「人事を尽くして天命を待つ」という言葉に習うのであれば、人間のできる限りの防寒対策をして、後はどんな自然の猛威がやって来ても、それに備える。そうであれば、ちょっと大げさなくらい厚手のコートを買って万全を期すべきかもしれない。そう言えば、自分の価値観だけで判断したり、行動していたために何度も同じ過ちを繰り返す羽目になっていたのではないか? 失敗したら、他人のせいにする繰り返しだったような気がする。不格好とか違和感とか関係ない、結果を求めるために、学業も人生も最善の準備をして、その荒波に耐えていきたい。

スナフキン正

スナフキン正
広州の大学で留学中。工商管理を専攻している修士の学生。日本では、高校の教員として三年間働く。海外で働くこと実現するため、中国の大学院留学を決意。仙台出身。好きな言葉は「逆境を制するものはゲームを制する」

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