Mobile Softeeの アイスクリームワゴン

2016/08/16

アイスクリームワゴン

一度聞けば頭から離れない「美しく青きドナウ」のメロディを響かせながら、香港中でアイスクリームを売っているMobile Softeeのアイスクリームワゴン。多くの人を呼び集めるのはそのキャッチ― なメロディだけでない。白い車体に濃いめの赤と青で描かれたしずくの模様、青い屋根には「Mobile Softee」という文字が英語で書かれ、車体の両サイドには「毎日新鮮なアイスクリームをあなたのために作っています」という中国語で書かれたスローガンが。そのド派手な見た目のワゴンは遠くからでもすぐにMobile Softeeのワゴンだとわかるくらいに目を惹くデザインだ。安くて美味しいストリートフードやスイーツが有名な香港だが、近年は古い街やエリア自体の再開発や、衛生面での規制の強化でそんなローカルな店構えの店も姿を消しつつある。そんな中、昔と変わらず香港市民に人気なのがMobile Softeeだ。

アイスクリームワゴンアイスクリームワゴン

実はこのアイスクリームブランドは1956年の創業当時から「Mister Softee」の名で親しまれて来たもの。1970年代後半にイギリスから例のアイスクリームワゴン車が輸入されると、そのワゴンスタイルのアイスクリーム販売はたちまちのうちに香港で人気を博した。しかし1978年、香港政府が行商ライセンスの発行を取りやめたため、当時香港内で14台走っていたMister Softeeのアイスクリームワゴンはそれ以上数が増やされることはなくなった。またワゴンを新しいものに変えることも禁止されたため、現在香港で見られるMister Softeeのアイスクリームワゴンは1970年代から今までずっと、香港の変わりゆく街並みを走り続けているということになる。ある意味ユニークなその法律のおかげで、私たちは次第に消えつつある香港の古き良さをそのワゴンから感じ取ることができるのかもしれない。2010年にオーナーが替わり「Mobile Softee」と改名したが、そのスタイルと味は変わらず昔のままだ。

売られているのはバニラ味のソフトクリームにナッツドラムスティック、カップアイスクアイスクリームリームとジャンボオレンジの4 つだけ。にも関わらず、Mobile Softeeが現れるとその周りには人だかりができる。何がそんなに香港の人々を魅了するのかと言われれば、それは実際にMobile Softeeのアイスクリームを食べてみないとわからない。はたまた香港で生まれ育った人しか知らない、子供のころに味わった懐かしの味というものがあるのかもしれない。ともかく香港に来てMobile Softeeのアイスクリームを食べずに帰るのはあり得ない、と言われる所以を知るためにも一度食べてみて欲しい。イチオシはやっぱりバニラソフトクリーム。「とってもクリーミーで夢に溢れたソフトクリーム、Mister Softeeでゲットしよう」と歌われている通り、そのクリーミーさは病みつきになるほどたまらない。一度食べれば蒸し暑い夏だけでなく、年中季節を問わず食べたくなってしまうだろう。バニラだけでなく他の味も食べてみたい、という人は春節まで待ってみるといい。甘酸っぱいイチゴの味に加えて、幸運を表す赤色のストロベリーソフトクリームは、新年の始まりを祝うのにふさわしいものと言える。

そんなMobile Softeeのアイスクリームワゴンはいったいどこにいるのだろうか。よく見かけられるのは人の多い週末の観光スポット。食べたくなったときは尖沙咀(チムサーチョイ)や旺角(モンコック)、中環( セントラル)や廟街( テンプルストリート)をブラブラしてみよう。きっとあのキャッチ―なメロディとともに派手なワゴンが目に飛び込んでくるはずだ。最近は湾仔(ワンチャイ)の金紫荊廣場や尖沙咀( チムサーチョイ)のスターフェリー乗り場でもよく見かけらる。気になる値段もかなり安く、ソフトクリームとナッツドラムスティックはHKD9、アイスクリームカップとジャンボオレンジはそれぞれHKD8だ。30年前には同じソフトクリームがHKD0.5で売られていたというから驚きだ。購入にはオクトパスカードも使えるので、小銭を持ち合わせていない時でも安心。香港にいるならMobile Softeeの出現スポットを調べて、香港人が愛するアイスクリームを探してみては?

アイスクリームワゴン


全面車体広告仕様のアイスクリームワゴンも!

アイスクリームワゴン アイスクリームワゴン

昔から派手なことで有名なMobile Softeeのアイスクリームワゴンだが、最近はもっとカラフルになっているらしい。その理由は、Mobile Softeeが行っている広告サービスにある。現在Mobile Softeeでは車体のカラーリングやコーンに巻く紙を広告として企業に提供していてのだ。繁華街で企業のテーマカラーやキャンペーン広告を身にまとったアイスクリームワゴンは大きな広告効果を生むということだろう。


PPWのローカル・スタッフにきいてみたアイスクリームワゴン
●あまり食べたことがありません。ママが「衛生的ではない」と、買ってくれなかったので。去年、友達と尖沙咀で食べましたが、特に想い入れもありませんね。(20代女性)

●私にとっては、美味しいとか美味しくないとかではなく、独特の「懐かしい味」ですね。他のどのソフトクリームにもない味です。強いて言えばバーガーキングのソフトが近い味かな…。(20代女性)

●初めて食べたのは幼稚園の時だったと思いますが、以来ずっと他にはない滑らかさが大好きです。あのオルゴールの音楽が聞こえてくると「近くにアイスクリームワゴンがいる!」とキョロキョロしてしまいます(笑)。(20代女性)

●食べたことがありません。余裕のある家ではありませんでしたし、近所で見かけることもなかったので。大人になってからも食べたいと思ったことはありませんね。(20代男性)

●子供の頃はよく親にせがんだものです。「あの音楽は売り切れの合図だよ」と母に騙されたことを思い出します(笑)。(20代女性)

 

 

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