新しい事を始めた人、始めた事特集 Part2

2018/06/25

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新しい事を始めた人
原 雄一郎さん

始めた事
家族史・自叙伝の 制作編集の終活サービス

 

 

PPW:まずは原さんの中国での経歴の始まりを教えてください。

ロンドンツアーも行ったバンド活動時代の写真

ロンドンツアーも行ったバンド活動時代の写真

:はい。20代前半まではバンド活動とアルバイトに明け暮れたフリーターで、20代半ばになって、これはヤバいと気付き上海に語学留学をしました。留学後は上海での就職を希望し就職活動を行いましたが、職歴がないフリーターの私は、人材仲介会社さんに登録をしても、日系企業からは面接にさえも呼んでもらえないダメ人材でした。1度だけ日系物流会社の面接に呼んで頂けた事があり、希望給与を聞かれ「8,000元(当時本当は1万元欲しかったのですが妥協して)」と答えたのですが、不採用でした。「自分は8,000元の価値もない人間なんだ。」と当時非常に落ち込んだものです。自分の社会的価値が分かったのもその時でした。フリーターという場所に甘んじていたツケを自覚したものです。そんな折、上海で日本の雑誌【東京カレンダー】をコンセプトに模したフリーペーパーに「一緒に弊誌を作りませんか?」なる求人広告が編集部後記に掲載されていて、藁をもすがる想いで応募したんです。応募メールには「自分は職歴も学歴もない人間ですが、面接をしていただける可能性はありますか?」と書いたところ、「問題ありません。」という返信が来て、張り切って面接に行くと、社長には当日の面接を忘れられる始末でしたが、遅れて来た社長からは一発合格をもらいました。そこから私の中国での経歴が始まりました。直属の上司は元自衛隊の鬼軍曹。彼ら先輩について中国全土を重たいフリーペーパーを担いで営業しました。北京の氷点下では東四環路から中関村まで自転車で往復(およそ山手線一周の距離)、蘇州からは、電燈も切れていて冷房もない鈍行列車に乗って上海に帰宅すれば夜中の2時、脆弱な造りのキャリアーが壊れてしまい雑誌300冊を抱えて東莞の長安鎮を右往左往、そんな逃げ出したい日々の連続でした。

 

PPW:それから香港に来ることになったのですね?

:2005年に同社の社運を賭けた新規事業立ち上げで香港に来ることになります。当時まだなかっ た週刊でのフリーペーパーを立ち上げる為に来ました。2007年くらいだったでしょうか、同社香港支店の総経理に就任し、その後事業を軌道に乗せて2016年後半から徐々に後輩の新総経理体制への移行を進めてきました。そして現在も後方支援および相談役を務めながらも、2018年に正式に私の方は新規事業部の立ち上げを担当する事になったのです。

 

PPW:それが今回の特集のテーマですね。新しい事とはどのような事を始められるのでしょうか?

:一言で言うと人生を終わらせる方の【終活】サービスですね。日本でも徐々に話題になってきていると思いますが、生前整理や生前葬、そう言った類の サービスだと思って頂ければ分かりやすいかと思います。

 

PPW:具体的にはどのような事をするのでしょうか?

4:はい。生前整理や生前葬などは、弁護士さんやお葬式屋さんに任せるとして、弊社はフリーペー パー事業で養った取材・編集・制作・印刷製本というノウハウを活かして、まずは家族史や自叙伝をお創りするサービスを日本国内で展開する予定です。

 

PPW:なるほど。市場はありそうですか?

:ご存知の通り、超高齢化社会を迎える日本において市場が開けていく実感はあります。ただ、この 事業を始めてから見えてきた事もあるので、日々調整を続けているのも事実です。みなさんが家族史 のサンプルをご覧になられると「すごく良いわね。」とお褒めいただけるのですが、それと同時に「まだ私には早い(まだ死を迎えるまで時間がある)。」とも思われてもいるので、営業の見地から言うとなかなか話が進まないんですよね。

 

PPW:この新規事業にかける想いなどがありましたら、お願いします。

ただ単に写真を掲載するだけではなく、徹底的な取材をし、第三者目線でその人の人生を書き上げる記事が好評のサービス

ただ単に写真を掲載するだけではなく、徹底的な取材をし、第三者目線でその人の人生を書き上げる記事が好評のサービス

:既に80代の女性お二人から家族史・自叙伝の受注を頂き、先日、仙台に伺い家族史制作の為の取材を済ませて参りました。その時にあったエピソードを 2つご紹介したいと思います。一人目の方ですが、取材開始時に「ご出身は仙台ですか?」という私の問いに対して、返ってきた言葉は「いいえ、樺太です。引き揚げの時は私が乗った船以外、私の目の前で全部魚雷で沈んでいったものさぁ。」でした。すると、取材に同席されていた親族の方が「え!?そうだったの?!」と驚いているではありませんか。これは弊社のキャッチフレーズでもある「父母・祖父母の事を、あなたの子供に語れますか?」にぴったりと納まった瞬間でした。私もそうですが、二代前などの身近な先祖の事でさえ、分からない事が多いのではないでしょうか。自分のルーツとは、父母・祖父母はどのような人間だったのだろうか。そして、自分の事を孫や曾孫は知りえる機会があるのだろうか。今、現在進行形で当たり前のように存在する自身の家族や親族は、いつまでもそのままではありません。そう感じた瞬間でした。もう一つは、もうお一方を取材している時に、その方が幼少の辛い事を回想されて、初対面の私の前で涙を流さ れたのです。私はどうする事もできず、まるで懺悔室にいる神父に自身を重ね合わせた心境でした。そして「これは聖職だ。この方の自叙伝制作に私が携われ る事は何て素晴らしい事なんだ。最高の物を創り上げよう。」と決意した瞬間でした。

 

PPW:最後に何か弊紙読者にメッセージがあれば、お願いします。

:家族史・自叙伝は、父母・祖父母へのプレゼントにも最適です。ご興味を持たれた方は是非、弊社ホームページをご覧ください。また、どんな事でもお気軽にお問合せ下さい。

PPW:ありがとうございました。

 

 


企業情報はWEBで!

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原 雄一郎さんプロフィール

1978年生まれ。20代中盤で上海に語学留学をし、現地採用としてフリーペーパー制作会社へ入社。2005年に香港へ赴任。香港・広東初の週刊フリーペーパーを創刊。2018年に家族史・自叙伝制作編集サービスのFTサービス(Family Tree Service)を創業。

 

 

 

 

 

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