流行事情「領便当」
「領」は受け取るという意味。映画・テレビ業界では出演者やスタッフにロケ弁や楽屋弁当が支給される。日本語の「弁当」という言葉は、中国南宋時代の俗語「便利な物」「好都合」を意味する「便当」が語源といわれる。日本に入ってから携帯して外出先で食べる食べ物のことを、「弁(そな)えて用に当てる」の意味から、“弁当”と呼ぶようになった。その後、この意味での「便当」(biàn dāng)が中国でも使われるようになった。弁当を意味する中国語には「盒飯」(hé fàn)という単語もあり、こちらの方がより一般的だ。「領便当」は「弁当を受け取る」という意味になるが、ネット上では「死ぬ」「消える」の意味で使われている。
これは、「喜劇之王」という映画がきっかけで流行した。売れない役者が大物俳優を夢見るが、もらえるのはちょい役ばかり。出番が終われば弁当を渡されて「はい、さようなら」となる。つまりこの場合の「弁当」は「もうお役御免だから、これ持って帰んな」という意味の“離職手当”(中国語:遣散費)のこと。登場人物が死ぬと、その人物の役者や声優もそこでおしまい、弁当を受け取って現場を離れる。そのイメージから登場人物が死ぬという意味になったようだ。「(誰々)に消された」と言う場合は「被(某某)発了便当」となる。一度消された人物が再び復活した場合は、「吐了便当」(弁当を吐いた)と表現される。ネット界では「有人的地方就有便当」(人のいるところには“弁当”がある)が「弁当法則」となっている。