香港最大規模のアジア芸術イベント

2016/04/18

アート年々高騰しつつあるアンティーク作品の背景にあるものとは

中国・アジアの芸術やその歴史を一般向けに公開する「Asian Art Hong Kong (AAHK)」が去る3月31日から4月9日まで開催された。アンティーク作品の展示や講演など幅広い演目が目玉となった今年も、豊かなアジア文化に触れる貴重な機会として多くの参加者が集まった。
4月8日に開かれた、中国アート市場のリサーチを手掛けているArt Market Monitor of Artron(AMMA)のグロリア・グァン氏の講演会アート「FROM INVESTMENT TO CONSUMPTION」では、近年の中国市場における流行や、アンティーク作品購入の際の注意点などが披露された。同氏によると、芸術作品の価格は年々高値がつく傾向にあり、1980年代には最高でも売買額が1億ドル程度の作品が主だったが、2000年代には10億ドル規模の取引も出始め、2015年にはついに30億ドルの値がつく作品の事例も報告されたという。100億ドル以上の取引が交わされるのも時間の問題だという。
そんな世界のアート市場を牽引しているのはアメリカと中国。特に中国は2015年にアメリカに再び首位を奪われるまで5年間連続でオークションマーケットシェア最大の取引額を記録しており、歴史的名画の売買市場は世界でも類を見ないほどにまで高まっているという。国内における売買を見てみると、中華帝国時代の中国の遺物や水墨画の人気が特に高く、中国内のオークションハウスの約定率も、書簡(名人書信)が74.48%、印鑑やカリグラフィー(印鑑及圖章)が59.28%、石像(園藝石)が84.54%、アートデザイン(美術設計)が51.06%、明や清時代の石器類(古代青銅祭器)が71.43%となっている。中国の贈答文化も近年の約定率の高さの起因となっていると言われている。
講演会ではさらに、オークション作品を購入する際の注意点についても言及された。流行りに簡単に乗らないこと、購入アーティストのその後の活動も見守ること、投資目的で購入しないこと、自身の資産となることを考えて購入計画を組むことなどが主な点だ。芸術品は特に相続の際の問題となりやすい。自身の死後、コレクションは売り払うことでよいのか、親族に贈与するのか、博物館に寄付するのかは予め考慮しておくことが必要だという。
第3回となる今年も大成功の内に幕を下ろした同イベント。ホームページでは、8月まで開催中の香港の展覧会情報も掲載されているので、気になる人はぜひ覗いてみよう!

ロゴAsian Art Hong Kong 2016
ウェブ:www.asianarthk.com
メール:info@asianarthk.com
アートアート

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