香港サッカー 片野寛理がサッカーセブンス大会に出場

2015/06/23

香港サッカーセブンス大会

香港レンジャーズに所属する、片野寛理の今シーズン最後の仕事は、香港サッカーセブンス大会への出場だった。

5月最後の週末、今年で16回目となる香港サッカーセブンス大会が開催された。1999年から始まった香港サッカーセブンスは、サッカーの本場欧州の名門チームと、香港を中心とするアジア・オセアニアの有力チームが招待され、ハッピーヴァレー競馬場に隣接するHKFCスタジアムで開催される、7人制のサッカー大会だ。

今年もレギュラーシーズンを終えたばかりの、以下のチームがエントリーされた(シニアとジュニアチームは省略)。

ニューカッスル・ユナイテッド、ウエストハム・ユナイテッド、アストン・ヴィラ、ストーク・シティ、レスター・シティ(以上イングランド・プレミアリーグ)、アトレティコ・マドリード(スペイン・リーガエスパニョーラ)、ウエリントン・フェニックス(オーストラリア・Aリーグ)、上海上港(中国スーパーリーグ)、傑志、香港レンジャーズ(以上香港プレミアリーグ)、香港U-20代表、香港U-18代表までの12チームがプロから。

本場欧州勢は、概ねのチームが20歳以下の若手選手で編成され、アジア勢も代表クラスの選手を省いた陣容だった為、キラ星のスター選手は拝めなかったが、筆者は欧州勢のアピール真っ最中の若手選手たちに注目した。過去にこの大会に参加した選手の中から、ガブリエル・アグボンラホー、ギャリー・ケーヒルと言ったイングランド代表に名を連ねた選手も誕生している。

これら12のプロチームに、アマチュアのHKFC、HKFCセレクト、シンガポール・クリケットクラブ、ヤウイーリーグセレクトの4チームが加わり、グループステージ(7分ハーフ)とノックアウトステージ(10分ハーフ、延長、PK)で戦った。

大会ルールは、通常のピッチサイズから少しダウンサイズした縦90m×横55mのピッチで、オフサイドだけがないサッカールールで行なわれた。オフサイドルールがないと言う意味では、フットサル競技やソサイチ大会と同じではあるが、縦に90mもあるピッチ上でオフサイドがないのは、攻撃の自由度が増して非常に刺激的だった。

香港サッカーセブンス大会2

若手選手主体の編成とは言え、欧州勢のパワーとスピードはその他を圧倒していた。試合時間が短い事もあって得点差には表れなかったが、アジア勢アマチュア勢との雲と泥の差、ピンとキリの差を痛感させられた。

筆者は香港レンジャーズからチームパスを授かったので、大会中はチーム側のスタンドで観戦させてもらった。周りの多くの若手選手たちを観察していたが、スタンドの彼らには同年代の学生のような雰囲気は全くなく、常にピッチの戦いに目を向け、コーチのコメントに耳を傾け、そしてユニフォームに袖を通すと同時に戦闘モードに切り替わっていた。

おそらく彼らは、トップチームに昇格できるか否かの当落線上の選手たちだと思う。香港に遠征してきたその全員が、トップには辿り着けないかもしれない。彼ら若手選手は、サッカーが好きだとか上手だとかの域ではなく、サッカーを生活の糧とするべく、人生を懸けてチームに所属しているのだと感じた。大会の決勝戦は、アトレティコ・マドリードが2点ビハインドからの大逆転で、ウエストハム・ユナイテッドを破り、大会初出場初優勝を飾った。得点王は写真(優勝を決めた決勝ゴール)のサミュエル・サイズというアトレティコBチームのストライカー。彼のような選手であっても、トップチームではプレーできないのだから恐れ入る。

1999年から始まった香港サッカーセブンス大会。1999年と言えば筆者が香港に移住した年でもある。今までこの大会の存在を知りながら、一度も会場を訪れなかった事を深く反省している。学びの多い本当に素晴らしい大会であった。

≪つづく≫
文/池田宣雄(香港サッカー協会 賛助会員)

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