旧正月(春節)特集2・獅子舞ダンサーズ

2015/01/20

旧正月に欠かせない獅子舞!ダンサーズに直撃インタビュー

日本とは一味違った中国・香港の獅子舞。太鼓やドラのリズムに合わせて舞う赤や黄色のド派手な獅子の姿を1度は目にしたことがあるだろう。
騒音と共にどこからともなく現われて迫力の獅子踊りを見せてくれたと思ったら、いつの間にか消えている踊り手たち。一体彼らは何者なのだろう。
今回はそんな、旧正月には欠かせない獅子舞ダンサーを直撃した。

獅子舞

ステップ、目の動き、動作などで、喜びや怒り、悲しみ、楽しさなどの感情を表現しています。

■そもそも中国・香港の獅子舞ってどんなもの?

7世紀初頭には中国から日本へも伝来し、赤い頭に渦巻き模様の緑の胴体が一般的なスタイルとなった獅子舞。沖縄のシーサーは獅子であるという説もあるし、シンガポールの有名な守護獣マーライオンも正に獅子。今では獅子は世界各地で守り神とされているようだ。

獅子舞の起源については諸説あるが、広東地方で最もポピュラーなものは「年獸」と呼ばれるライオンに似た怪獣を追い払うためという説。農作物を荒らしたり人を襲ったり悪さばかりしていた年獸の弱点が大きな音と赤色だと知った村人が、大音響をあげながら紙で作った赤い獅子の被り物で踊ったところ、年獸は恐れをなして逃げていったという。そこから豊作祈願と新年を祝う舞としてこの獅子舞が定着したと伝えられている。

黒と赤の獅子舞

旧正月の獅子舞は、大きなイベント以外にもマンションのホールで舞ったりオフィスビルでは各事務所を回ったりと、縁起ものだけにこの時期は引っ張りだこ。今年も幸せに過ごせるように、「頭をパクリ」してもらってはいかが?

 

獅子舞団にインタビュー

梁漢光健身學院

獅子舞を踊っているのは、ほとんどがカンフー教室の門下生。そんな獅子舞ダンサーが所属する団体の中でも、70年の歴史を持つカンフー教室「梁漢光健身學院(略称:梁館)」でお話を伺った。

●どうしてカンフー教室が獅子舞を始めるようになったんですか?

かつては香港にもたくさんのカンフー教室や中国式ジムがあったんですよ。梁館は約70年前に創立しましたが、その頃から獅子舞を踊っています。お祝い事に獅子舞の踊り手として呼ばれるとき、足を開いて中腰になる馬立ちのポーズなどを師匠と門下生が披露したりしてカンフーの演技を見てもらうことで、教室の宣伝をするのにも絶好の機会となるんです。また別の道場の人たちに我々の腕前を見せることもでき、そこがカンフーを学ぶ者同士、アイディアや意見を交わす場になったりもします。

●皆さん子供の頃から踊っているんですか?また女性の踊り手もいるんですか?

第2次成長期が始まる前のほうが柔軟性があるため、一般的には8~9歳頃から踊り手としての練習を始めるのがいいとされています。幼いうちから始めると、より早く技術を習得できますしね。女の子でもそれは同じですよ。梁館では全体の2~3割にあたる10人以上の女子の門下生がいます。もちろん男子のほうが重い獅子頭を操作する体力があるので踊り手に向いているのは間違いないです。ではなぜ女子もこんなにいるのかというと、獅子舞のパフォーマンスには影のサポート役も重要だからです。

獅子舞のパフォーマンス

●どれくらい練習するんですか?

練習はチョンシャーワン(長沙湾)にある教室の古いビルの屋上で行っていますが、観衆の前で披露できるようになるまでは何年も練習を重ねます。熟練の門下生であっても毎年旧正月前には少なくとも週に1度は練習に集まります。練習はみっちり5時間。始める際には、まず礼拝し線香を焚くのが慣わしです。最初の3時間はそれぞれ別パートを練習するのですが、全てのメンバーはお互いの立ち居地や踊りを把握する必要があり、他の人の演技を横目で見ながら自分の練習に励みます。特に新しい入門者は、熟練者の動きをよく見て覚えなければいけないので大変です。

その後、師匠の前でチーム全体の演舞をメンバーを変えながら何度も繰り返します。師匠は各ポジションに最適な門下生を配置しベストメンバーを決めるんです。ただしこれは仮のメインメンバーなのでまた入れ替わる可能性が十分にあるため、選ばれた人も選ばれなかった人も全ての門下生が常に技術の向上に励みます。

●普段はどのようなトレーニングを行っているんですか?

毎週末、ストレッチ、キック、腕立て伏せから始まり、最低でも2時間半のカンフートレーニングをしていますが、時には10時間以上練習することもあります。実際は中国スタイルのトレーニングジムといったところで、パーツごとにあらゆる体の部位を鍛えることができるので、中国式ボクシングの格闘家、こん棒や剣などを使う武道家、体操選手、太鼓やドラの演奏インストラクターなどが通っています。

獅子舞はトレーニングの賜物

●獅子は踊りながら目を動かしたり寝転がったりしていますが、それぞれの動きに意味はあるんですか?

もちろんストーリーがあり、各動作には意味があるんですよ。獅子のステップ、目の動き、動作などによって、喜びや怒り、悲しみ、楽しさといった感情を表現しています。例えば、喜びを表すときは軽やかなステップと共に頭を活発に動かします。逆に鋭い視線を投げかけながら激しくステップを踏むのは、獅子が怒っているときです。また獅子の感情を表すのに演奏も重要な役割を果たします。2~7拍子の音楽で、速度や音の大きさに変化をつけることによってそのシーンの雰囲気を盛り上げます。

●個人や会社で獅子舞パフォーマンスをお願いすることは出来るんですか?

個人でも呼ばれれば行きます。通常は数千香港ドルですが、中国語で「生」と同じ発音の3、万事如意を表す6、無限大に似た8の数字の付く日となるピーク時はHKD8,800以上になります。

●最後に、獅子舞でいちばん重要なことを教えてください。

獅子の頭を動かす人、胴体部で踊る人、ドラや太鼓を叩く演奏部隊、最近はあまり見かけないですが獅子を先導する大頭佛と呼ばれる仏様の頭の被り物をした人、全てのメンバーの連携が最も重要で難しいですね。

団長の梁偉標(リョン・ワイビル)さん

お話を伺った団長の梁偉標(リョン・ワイビル)さん。53歳となった今も門下生と共に日々トレーニングを重ね、体を鍛えている。最近、ヤウマーテイ(油麻地)に道場を移転させたが、獅子舞の稽古は以前道場があった古いビルの屋上で行っているそう。

劉湛第一支部 梁漢光健身學院(授男:梁偉標)
住所:FB, 3F., 421 Shanghai St., Yau Ma Tei

 

九龍、香港島の旧正月獅子舞はここで観られる!

その他、香港各所で観られる。詳しいスケジュールなどはウェブサイト等で調べてみよう。

旧正月獅子舞

ペニンシュラホテル
誰もが知っている香港の老舗ホテルでは、毎年ホテルのロビーで盛大に行われる。旧正月をのんびりホテル内で獅子舞を見ながら過ごす人も多いという。
●開催日:毎年異なる。
●ウェブ:http://hongkong.peninsula.com/en/default

ハーバーシティ
入り口の大階段前にインパクトのある飾り付けをし、毎年多くの人で賑わう。香港のハーバーフロントを眺めながら獅子舞を見ることができるだろう。
●開催日:毎年異なる。
●ウェブ:http://harbourcity.com.hk/en/

アイランド シャングリ・ラ香港
MTR金鐘駅そばに位置し香港を本拠地とする5つ星のシャングリラホテルでは、豪華なシャンデリアをバックに獅子舞をみることができる。
●開催日:毎年異なる。
●ウェブ:http://www.shangri-la.com/jp/hongkong/islandshangrila/

タイムズスクエア
コーズウェイベイにある「タイムズスクエア」では、毎年旧正月の華やかな飾りつけが注目される。その中でも「Lane Crawford」前では、獅子舞がダイナミックに踊りまわるという。
●開催日:毎年異なる。
●ウェブ:http://www.timessquare.com.hk/eng/

 

【やっぱり見逃せない!旧正月定番イベント】

盛大な春節の花火、あなたはどこで見る?!

春節の花火

旧正月2日目にビクトリアハーバーを華々しく飾る花火は、春節イベントのハイライトでもある。約20分ほど夜空を彩る。見る場所は人それぞれだが、九龍側はチムサーチョイ(尖沙咀)からホンハム(紅磡)にかけてのハーバーフロントが人気で、特にインターコンチネンタルホテル付近がよく見えるという。香港島側はワンチャイ(湾仔)のウォーターフロントに人が集まり、毎年多くの人がこの花火を楽しみにしている。そのほか自宅または船上から見るという人も少なくない。

日付:2月20日(予定)
時間:20:00
場所:ビクトリアハーバー

各旅行会社では「旧正月花火クルーズ」を開催!

 

毎年恒例のナイトパレードは見逃せない!

毎年恒例のナイトパレード

旧正月初日、香港最大級のナイトパレードがチムサーチョイ(尖沙咀)の夜を彩る。国内外の団体およそ20のグループがネイザンロードを練り歩く。ディズニーランドやオーシャンパークの山車も子供たちに人気だ。スターフェリーターミナルの横、ハーバーフロントエリアを起点として、チムサーチョイの街を1周まわる。ハーバーフロントには有料の観覧席(事前購入)も設けられるという。まさに新春を祝う最大のストリートパーティーだ。

ナイトパレード
日付:2月19日
時間:20:00~21:45
場所:チムサーチョイ(尖沙咀)
お問い合わせ
メール:info@discoverhongkong.com
ウェブ:http://www.DiscoverHongKong.com/ChineseNewYear
※詳細は2月上旬に発表予定

 

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