旧正月(春節)特集3・広東の旧正月

2015/01/20

新しい年をカラフルに迎える広州の伝統行事

広東の旧正月

広州の伝統行事

「花市」

広州では、旧正月「春節」を迎えるに辺り、街のあちらこちらに「花市」が立つ。「2015広州迎春花市節慶活動」は2015年2月12日から18日にかけて行われる予定で、合計13ヶ所で予定されている。

花市

◉真冬に花?春節は「年」ともいわれることから、この時期の花は「年花」と呼ばれている。春節が近づくと、街のあちこちでこの年花が飾られる。日本では正月を迎えるのに門松やしめ飾りや鏡餅が欠かせないのと同じように、広州では春節を迎えるには年花が欠かせない。真冬のこの時期、きれいな生花が手に入る地域はそう多くない。南方以外の地方では花どころか緑さえなくなる。しかし、広州は温暖な気候に恵まれ、この時期でもいろいろな種類の花を楽しませてくれる。花を愛でる広州市民は、春節の前になると街全体を花の城に変貌させて、年の最後を華やかに締めくくる。ここまで花にこだわる春節の風習はほかの街には見られない。

◉人気の花は?花市でよく見かける伝統的な年花は桃。広東語で「桃」は「図」は同じ発音で、大きな抱負が実現する「大展鴻図」とかけている。桃の中国における花言葉は「愛の虜」で、桃花運―異性運とを表す。ほかに、たいへん縁起が良いとされているキンカン(金桔)、「大吉大利」という花言葉をもつダリア(大麗花)、「歩歩高」つまり地位や収入がますます良くなるグラジオラス(剣蘭)とネコヤナギ(銀柳)、純潔を意味するスイセン(水仙花)などが人気だ。また、商の街とあって、商売の縁起をかつぐ花も好まれる。例えばツノナスは中国語で「黄金果」、ウツボカズラは「猪籠草」(たくさんのお金が入るという意味の広東語「猪籠入水」)と呼ばれることから人気が高い。サボテンは「仙人掌」で厄払いの意味がある。

たくさんの花が並ぶ

◉花市の歴史は?花市の起源は明朝時代にまでさかのぼるという。現在のように旧正月前に花市が立つようになったのは18世紀後半からのようだ。1956年には、この伝統行事を更に発展させ、現在の人民南路を中心に「迎春花市」が催されるようになった。現在では広州市の13ヶ所の中で開催されるが、最も大規模なのは広州の目抜き通り北京路と西湖路の交わる界隈といわれる。

色々な種類の花が並ぶ

◉楽しみ方は?にぎやかになるのは旧暦12月28日、29日と除夕(2月16日~18日)。多くの人が花市に出向き、好みの花を買ったり、市に並べられた花を鑑賞したりする。広東語で「行花街」(ハンファーガイ)といわれるこの習慣は、多くの地元の人々が1年で1番楽しみにしている行事だ。広州人なら、家族や友達と一緒に「行花街」しないと、何か物足りない春節になってしまう。除夕の夜が最もにぎやかになるので、人混みが苦手ならその時間は避けて出かけてみよう。ぶらぶらしながら、花売り人の呼び声に囲まれ、人々の笑顔と数えきれないほどカラフルな花を見ると何だかいいことがありそうな気がする。広州での春節なら南方ならではのこのイベントをお見逃しなく!

PPW編集部中国人スタッフ張さんが紹介する「我が家の春節の過ごし方」

PPW編集部中国人スタッフ張さん

広東技術師範学院外国語学院・日本語学科3年生の張景珍さん。現在、PPW広州オフィスで編集アルバイトスタッフとして日々取材や原稿書きの作業に追われている。そんな彼女が「張家の春節」の過ごし方を紹介!

お正月と聞いて私の頭の中ですぐに思い出されるのは、日本のおせち料理のようなお正月料理ではなく、家族です。私の出身地は広東省の湛江市(タンコウ市)ですが、実家は深センの宝安区にあります。

広州市から故郷までは片道6時間ほどですが、大晦日の2週間前からは「春運」(中国で旧正月に交通量が非常に多くなる現象)のため、片道10時間もかかってしまいます。それでも、家族みんなで年越しをするのは我が家にとって大切な行事の1つですので私は毎年この時期には何としてでも帰省します。中国の場合、大晦日(今年は2月18日)と春節の初日は父の家で、初二(新年の第2日目)は母の家で春節を過ごすのが一般的です。

大晦日の爆竹      お祝いにはご馳走

大晦日の前日は「年廿八」と呼ばれ、大掃除をして年越しに備えます。そして大晦日の夜、爆竹を鳴らしてから晩御飯・「年夜飯」を食べます。メニューは各家庭によって違いますが、鯉料理など普段よりも豪華で縁起の良い献立が食卓に並びます。これは日本と同様に、1年を振り返り、より豊かな新しい年を過ごせるようにと祈るためです。年夜飯を済ますと私が1番楽しみにしている「お年玉」が待っています。“お年玉をもらう歴”21年の私は、「紅包」(お年玉の入った袋)を触るだけで何枚のお札が入っているかがわかるまでになりました(笑)。

お年玉袋

広東省では、このお年玉は基本的には結婚するまでもらえます(受け取るか、受け取らないかは本人の自由ですが(笑)。両親や祖父母、親戚などから合わせて2000元ほどが集まりますので学生の私には無くてはならない一大行事なのです。

行大運

お財布が厚くなり、懐が暖かくなったところで大晦日は終わり、春節を迎えます。故郷の湛江市では初日に賑やかな街や公園などに行って「行大運」をして縁起を担ぎます。「観海長廊」は、この行大運をする有名な場所の1つとして、人気があります。

中国の春節は、初日から数えて15日後の「元宵節」(今年は3月5日)まで続き、この日の夜に「湯圓」(団子)を食べて長いお正月が終わるのです。

春運の高速公路の混雑

私の実家がある深センは、移民都市のため地元民は少なく、春節になると人々は帰省してしまい残る人はほんの少しだけです。その時の深センはいつもの活気あふれる街とはガラリと様子を変え、静まり返り「空城」と呼ばれます。

揮春(ファイチョン)

旧正月ならではの飾り付けと言えば、縁起の良い言葉を書いた赤い紙である。中国本土では元来「対聯」という七文字の対句を用いるが、香港では四文字の「揮春(祝い言葉)」を使う。揮春は、旧正月に家のドアや壁などに貼っておくが、この四字熟語をそのまま人と出会った際に言うとよい。「利是」を渡す人も、もらう人もこの四字熟語をぜひ使ってみよう。これであなたも香港通!代表的な四字熟語は以下の通り。

恭喜發財(ゴンヘイファッチョイ)

恭喜發財(ゴンヘイファッチョイ)
お金に恵まれた、幸せな一年を迎えますようにとの意味で、定番のお祝いの言葉。何と言っていいか迷っている際はこれでいこう。

生意興隆(サーンイーヘンロン)

生意興隆(サーンイーヘンロン)
生意は生意気ではなく商売という意味。ご商売が繁盛しますようにという願いをこめてビジネスの場面で使うとよい。

一帆風順(ヤッファンフォンシュン)

一帆風順(ヤッファンフォンシュン)
物事が何事もなく順調に進むよう、出航する際や追い風のときに帆を揚げること。日本の四字熟語「順風満帆」と似ている。どんな場合でも適用できる万能熟語。

心想事成(サムソョンシーセン)

心想事成(サムソョンシーセン)
心に想う事が成就するという意味。所願成就をもたらす。何を言っていいか迷うとき、一言で済む万能熟語。

橫財就手 (ワンチョイジャウサウ)

橫財就手 (ワンチョイジャウサウ)
金運には、地道な労働によって得られる「正財」と、ギャンブルなどに代表される変動のある「横財」とで大きく分けられている。この言葉は、たくさんの「横財」が手に入るようにとの意味。ギャンブルが大好きな方に言ってみよう。

學業進步(ホッイップジョンボウ)

學業進步(ホッイップジョンボウ)
勉強している人の学業成績がもっと良くなるように願うこと。ほとんどは学生に向けて言うため、利是をあげる際に言ってみよう。

老少平安(ロウシウペンオン)

老少平安(ロウシウペンオン)
お年寄りから子供までみんなが無事であるようにと願うこと。また、中国でよく食べられる豆腐料理も指している。家族への思いが強い人にこれを言ってあげると喜ぶ。また孫を大事にするお婆ちゃんやお爺ちゃんに。

青春常駐(チェンチュンションジュー)

青春常駐(チェンチュンションジュー)
いつまでもキレイで元気であるようにと願うこと。年配の女性に言うと利是は確保できるだろう。もちろんふざけた態度で言ったら怒られる。

步步高升(ボウボウゴウシン)

步步高升(ボウボウゴウシン)
字を見てもわかるように一歩一歩昇進していくようにという意味がある。出世できますようにと願う。

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