中国法律コラム45「工会の設立について」広東盛唐法律事務所
〜 工会の設立について 〜
みなさんこんにちは、日本人法律家の大嶽です。今回は中国における工会の設立について解説させていただきます。
一、工会設立の必要性について
1、関連法律規定
工会に関する主な法令は次のとおりです。
1、「中華人民共和国工会法」
2、「広東省〈中華人民共和国工会法〉実施弁法」
3、「広東省工会経費徴収管理暫定弁法」
二、法的分析
(1)「工会法」と広東省の規定によりますと、企業は設立後6ヶ月以内に工会を設立しなければなりません。ただし、実務上は、上級工会が工会の設立を督促したり、工会設立準備組織の設立を助け、強く指導をしない限り、企業が能動的に工会を設立しなくても、法的リスクは存在しません。
(2)上級工会が工会の設立を督促している、準備組織の設立及び工会名簿の提出を指導しているような状況下において、企業が工会の設立を拒む場合、労働部門から取り締まられる恐れがあり、工会設立準備組織成立の日から工会設立準備金(全従業員賃金総額の2%)の納付を求められるリスクがります。
三、工会設立の流れ
工会設立の大まかな手順は下記の通りです。
1、工会設立準備チームを構築し、上級工会に設立申請を提出し、許可を取得する。
2、工会会員を募集し、工会会員代表大会を開催し、工会委員会、工会経費審査委員会、女性従業員委員会を選挙により選出する。
3、上級工会から選挙結果の許可を得る。
4、工会法人化登記を行い、「工会法人化資格証書」を取得する。
5、工会の基本口座を開設する。
四、工会を設立した後の注意事項
(1)工会設立後、会社は就業規則の修正、従業員の処分、リストラ(整理解雇)、会社側からの労働契約の解除などを行う場合、あらかじめ工会に通知をし、工会の意見を聴取する手続きを実施しなければならなくなります。さもなければ、関連制度または処分は、法的効力に瑕疵があるものとされ、労働仲裁や訴訟等の手続において会社に不利な結果が生じる恐れがあります。
(2)工会の委員会と担当者は、できるだけ会社に協力的な従業員が選出されるよう努めるべきです。なお、工会委員の労働契約の期間は自動的に延長され、任期満了まで延長されることに留意ください。
五、まとめ
1、上級工会がすでに工会の設立を督促し、かつ、工会設立の設立及び工会メンバー名簿の提出を助け、指導している状況において、企業が工会の設立を拒む場合、労働部門から取り締まられる可能性があり、工会設立準備組織成立の日から工会設立準備金(全従業員賃金総額の2%)の納付を求められるリスクがあります。
2、工会設立後、会社が就業規則の修正、従業員への処分、リストラ(整理解雇)、会社側からの労働契約の解除などの従業員の権利・利益に関する事項を処理する場合、あらかじめ工会に通知し、工会の意見を聴取する手続きを実施しなければならなくなります。
3、工会委員会のメンバーの選任について、会社になるべく協力的な組織となるように、できるだけ会社に協力してくれる、会社の立場を配慮してくれる従業員が選出されるよう努めるべきです。
以上
広東盛唐法律事務所
SHENG TANG LAW FIRM
法律顧問
大嶽徳洋 Roy Odake
行政書士
東京商工会議所認定
ビジネス法務エグゼクティブ
Tel:(86)755-8328-3652
E-mail:odake@yamatolaw.com
中国の法律事務所で10年以上の実務経験を有しています。
得意分野は、労働法・会社法・契約法です。
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九州出身、趣味は卓球です。
深圳市で日本人卓球クラブの代表を勤めております。
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