T.Y.A Hong Kong主催「#Connect ! 香港」

2017/03/20

デザイン制作や広告マーケティングなどを香港にて展開するクリエイティブエージェンシー「T.Y.A Hong Kong」が主催する「#Connect ! 香港」の第1回が、このほど、ケネディタウン(Kennedy Town)のアートギャラリー「Dream Like Bubbles」にて開催された。約50名が参加し、3部にわたり構成されたトークショーでは、スピーカーらと意見交換などで交流を深めた。同イベントについて編集部がレポートする。

 

#Connect ! 香港とは?

・インサイトや気づきがもらえる場です。
・体験やストーリーをシェアできます。
・ネットワーキングに最適の場です。

 

■第1部:トークショー❶
「こだわりを捨てずに香港で流行りの店を作るには」

わずか5~6年前まで、香港で本格的なカフェやラーメン店に容易に出会うことができるとは誰も想像だにしなかった。それほどいい店が少なかったからだ。今ではカフェもラーメン店も大変な激戦区になり、おしゃれ、美味しい、本格的は当たり前で、進出が相次いでいる。第1部では、競争が激しくなっていく中で多くのファンから確かな評価を得ている、カフェ「Brew Bros Coffee」のオーナー小野光氏とラーメン「左近」、「麺屋丸京」のオーナー村田顕一朗氏が登壇。両名に共通しているのは、自分の感覚、考え方を大切にしながら常にチャレンジし、マーケットを切り拓いていること。しかしながら、それぞれの方法論はユニーク。トークショーの中身を一部、紹介しよう。

#Connect ! 香港

【カフェ「Brew Bros Coffee」(上環店、西営盤店)オーナー小野 光氏】のスピーチ
“誰かひとりが素晴らしいコーヒーを淹れることができればいい”という事ではなく“お店全体でより美味しいコーヒーを提供したい”という思考から、同店では常にデータを取っているところがユニーク。

豆の量、挽き方、お湯の温度、量、時間etc. こうしたデータをマメに集めることにより、味の最適化に少しづつ近づくという信念のもと行っているのだそう。

また、どちらかといえばクールな佇まいの多い他店との差別化を図るため、同店では、“お客様に心地よさを感じてもらうことに重点を置く”ということを挙げており、そのためにスタッフとは常にわかりやすいゴールの共有と個々の目標設定を欠かさない。

今後は、コーヒーとプラスα=「何かちょっと特別なことが楽しめる」新カフェ体験ができるサービスを計画中。

これからの「Brew Bros Coffee」ファミリーの活躍から目が離せない!

Brew Bros Coffee 上環店
www.facebook.com/brewbroscoffee/?fref=ts
Brew Bros Coffee 西営盤店
www.facebook.com/brewbroshillroad/?fref=ts

【ラーメン「左近」(蘭桂坊)「麺屋丸京」(葵芳店、牛頭角店)オーナー村田 顕一朗氏】のスピーチ
一見クールにみえる村田氏だが、実にユニークな視点でのスピーチで会場を沸かせていた。同氏のスピーチから、ラーメンの味に対する考えが面白い!と思った点が2つある。1つは、どんなラーメンを出すのか、様々な選択肢がある中で、あえて香港人がこれまで敬遠してきた味作りをしていること。例えば、油をたくさん使う、レア気味のチャーシューを使うなど。ラーメン店が続々と進出し、顧客の舌もこえていく中で、意図的に逆張りを行い、ユニークな立ち位置を確立していくのが狙いだそうだ。

次に従業員に対してどこまで味の再現を求めるか、ということ。自身で調理すれば100%のものが作れるが、それぞれバックグラウンドの異なる香港人スタッフにそれを求める意味がないとの考えから、100%は求めてはいない。そのため、いくつかの味に決定的な違いをもたらさない部分については、スタッフに判断を委ねたマネジメントを行っている。根本的に味への自信があるからこそできることだが、「スタッフマネジメントも含めて考える」「完璧に固執せず、違いを受け入れた上でお店を経営する」といった点が非常に勉強になった。

「(日本国内のバブル崩壊から)25年間にわたり不況の中で生き抜いてきた日本人は、逆境への備えも十二分」と断言された村田氏。「左近」と「丸京」という2つの異なるブランドで今後もラーメン好きを魅了していくのだろう。

顧客満足度を大切にする顧客視点でのサービスと質の向上を図る小野氏と、多勢にも簡単には屈せず孤高の道を突き進む村田氏。アプローチは違うように見えるが、それぞれこだわりのサービス道を着々と歩んでいることは変わらない。両名のユニークな人柄からたくさんの刺激に満ちた第1部となった。

SAKON左近
Facebook:@sakon.lkf
麺屋丸京 葵芳本店
Facebook:@marukyou.hk
麺屋丸京 牛頭角店
Facebook:@marukyou.ntk

 

■第2部:トークショー❷
「ブランドをローカライズ※するために私達が向き合っていること」

#Connect ! 香港

第2部は「香港大塚製薬」の中村省吾氏が登壇。同社の看板商品である「ポカリスエット」や「オロナミンC」、「賢者の食卓」といった日本発のヒット商品をどのように香港市場に浸透させてきたのか、何を維持して何をローカライズすべきなのかをスピーチ。

1980年に日本で発売された大塚製薬のポカリスエットが香港に登場して35年。認知率99%、清涼飲料(コンビニエンスストア)の中で15年連続売り上げ第一位。香港人にも深く受け入れられている商品の説明に合わせて、TVCMを7本が紹介された。認知度が高いということで満足することなく、その時々の世の中の動きや市場の反応を見て、打ち出し方を変えていく事がローカライズの使命でもあると改めて認識させられた。

また、近年マーケットに投入された2商品についての状況もシェアされ、“元気ハツラツ”でお馴染み“オロナミンC”も今年が3年目ということもあり、更なる認知度アップの為に2年目だった昨年は、人気キャラクターを起用したTVを初めとして各種媒体での露出を高める一
方、商品理解を深めてもらう為の地道な活動も積極的に行っているとの事。

ローカライズは1日にして成らず。不断の努力と市場ニーズとのすり合わせが最重要という事に気づきがある第2部となった。

大塚製薬
ウェブ:www.otsuka.hk
※ローカライズとは…ある国に向けて作られた製品やサービスを、他の国でも利用できるようにすること。

 

■第3部:若手トーク
「香港でのスクール体験。そして今、香港で働く。」

#Connect ! 香港

岩崎さん、最上さん、森澤さんの若手3名による、パネルディスカッション。同3名は家族の関係で香港で育ち、香港日本人学校やインター校に通った経験を持つ。彼らがスクールライフを送っていた10年前という時代は、最初の「iPhone」が発売され、日本の家電業界の圧倒的な優位が崩れ始めた時期。それと反比例するように香港では人々のライフスタイルの幅がどんどん広がり始めた頃だった。

3名のディスカッションで特に印象的だったのが、香港の良さについて、「今回のイベントのように多種多様な人たちと出会える機会が溢れていること、日本と異なり、自らの意志次第で形式的なステップを踏まずしてキャリア形成が可能なこと」と語っていたこと。また、3年後、5年後を見据えてどんな自分になっていたいと思うかという問いでは3人共、「視野を広げ様々なことによりオープンになり、自分を磨いていくことで香港でがんばっていきたい」という意気込みを語った。

それぞれの体験、価値観をカジュアルにシェアできる場=「#Connect ! Hong Kong」。今後もネットワーキングの場として注目が集まりそうだ。

トークショーの詳細レポートは、Facebookでhttps://www.facebook.com/events/1522701824409931/?active_tab=discussion
次回は5月頃開催予定。

 

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