三菱電機(香港)50周年記念特集【第3回】

2016/12/13

三菱電機(香港)社会インフラ事業部は「技術力」「現場力」「人間力」三本柱で香港・マカオ・中国の発展に貢献していく

2016年11月、三菱電機(香港)は設立50周年記念式典を開催した。同社会インフラ事業部は設立以来、圧倒的な技術力で、電力、公共、交通分野で業界を絶えずリードし、香港、マカオ、中国インフラを支える最先端の技術を提供してきた。2016年を締めくくる連載第3回目は、三菱電機(香港)社会インフラ事業部総経理の鳥海寿郎氏に、三菱電機(香港)社会インフラ事業部が成長を続ける事業展開の秘訣と今後の抱負についてお話を伺った。

鳥海寿郎氏鳥海寿郎(とりうみとしお)氏
三菱電機(香港)社会インフラ事業部総経理。中国・西安の製造・販売工場に4年赴任し、中国全土の電力会社向け配電機器の拡販活動に従事。兵庫県神戸市出身。香港兵庫県人会の会員でもあり、各業界の人達とのネットワーク構築にも積極的で、三菱電機(香港)のショールームへも招待している。

ドップラーライダ Doppler Lidar
香港国際空港に続き「北京新国際空港」にも導入決定!

2019年開港予定の北京新国際空港にドップラーライダの導入が決定
三菱電機(香港)社会インフラ事業部のプロジェクトのひとつに、ドップラーライダがあります。ドップラーライダというのは、空気中のチリ・ホコリに人体に無害なレーザ光を当てて、チリやホコリの動きから風の流れ・向き・強さを計算して検知するシステムです。主に飛行機が安全に離発着するために必要不可欠なシステム(※1)で、製品は兵庫県尼崎市にある三菱電機(株)通信機製作所(以下通信機製作所)で組立、試験をしており、“メイドインジャパン”であることも香港市場で高評価を得ました。

三菱

2016年4月に実施したドップラーライダの技術交流会の際、华北空中交 通管理局のお客様と撮影。

先日、ドップラーライダを北京新国際空港に導入することが正式決定しました。導入が決まった背景には、香港国際空港に納められていた米国製品が、今年4月に三菱電機の製品にリプレースされたことがきっかけとなりました。入札の結果、測定精度/測定範囲などの技術評価、機器の価格競争力及び据付けから試験、引き渡しまでターンキー工事で対応することが評価されました。华北空中交通管理局のお客様から、香港国際空港で導入したものと同等以上のものを北京新空港に採用したいという話をいただきました。従来ならば、国内入札にて機器調達する中国が、三菱電機の技術力を評価し、国際入札にて調達することになりました。入札前に技術交流会を実施し、お客様の要求を満たしていることをご理解いただいた上で、入札に参加しました。開札の結果、仕様も価格も三菱電機の製品に満足いただき、一社単独の契約交渉となり、今年11月28日付で契約調印が完了しました。

今後、中国国内で予定される新たな空港建設や設備更新に合わせ訴求する
北京新空港新設の背景には、現在の北京首都空港の年間利用客が8000万人を超えていたためでした。新空港には年間一億人の利用客が見込まれ、最新技術や設備を導入する予定となっており、一つのショールームとなります。北京から中国の主要都市、例えば広東省の広州・深圳、四川省の成都など、年間利用客が約6000万人を超える空港(右図表を参照)になると、滑走路の拡張工事も計画されます。今後3~4年以内に新空港が18カ所、滑走路の拡張工事が25カ所行われる見込みです。その際に、飛行機の安全航行に必要なドップラーライダを普及できるように展開していきます。そのためには、「技術力」は当然ながら、これからはお客様と現場が一体となった「現場力」も必要となってきます。例えば、サイトトレーニングや通信機製作所での工場トレーニング、そして最終的には製品を納めた後のアフターサービスです。私どもはきめ細やかなメンテナンス提案やテクニカルアドバイザーを派遣して一年でも長くご使用いただけるようなサービスを提供していく「人間力」でお客様に貢献していきます。また、再生エネルギーである洋上風力発電向けの小型ライダの技術提案も進めていきます。現在、中国での洋上風力発電容量は5GWですが、2020年には6倍の30GWもの電力需要が見込まれます。それに合う小型ライダを中国大陸向けに発信して需要拡大を図りたいと考えています。そのような形で来年度からいよいよ本格的に中国全土への普及に向けた活動をスタートさせる年だと意気込んでいます。

三菱

ドップラーライダとは
ドップラーライダはレーザ光を発射して、大気中のエアロゾル(塵、微粒子)からの反射光を受信し、その移動速度を風速として計測するシステム。従来の風速計では不可能であった上空の風速分布を遠隔で計測が可能。

利用可能分野(主な一例)
航空安全
三菱
※1:後方乱気流、晴天乱気流といった見えない風の脅威を検出し、空の安全監視に貢献する。

風力発電
三菱
広範囲の風況データを正確にリアルタイム計測し、ウィンドファーム全体の発電効率向上に寄与する。

製品ラインナップ(一例)
●小型ライダ
三菱
「ウィンドライダ」
全天候下で詳細かつ正確な風速観測データを取得することができる。

●大型ライダ
三菱
「大型コヒーレントドップラーライダ装置」
アイセーフパルスレーザにより、上空の風向風速をリアルタイムに計測することができる。

 

ダイヤモンドビジョン DIAMOND VISION
「香港ジョッキークラブ Happy Valley競馬場」更新工事完工!

 

三菱

更新前のダイヤモンドビジョン サイズ:47m(横)×8m(縦)

三菱

更新後のダイヤモンドビジョン サイズ:54m(横)×6m(縦)

2016年12月、ハッピーバレー競馬場のダイヤモンドビジョンが更新され54mに!
三菱電機(香港)は、2001年にハッピーバレー競馬場に47mのダイヤモンドビジョンを納入しました。当時納入したのは、現在のモデルより古いもので、ピクセルピッチが20㎜のものでした。私が香港に赴任した2014年に、お客様から既設よりアップグレードしたピクセルピッチが10㎜、横幅を54mに拡張させたいというニーズを掘り起こしました。

中国メーカーとの2社入札となりましたが、技術/価格評価の結果、2015年5月に契約調印を行うことができました。お客様から評価していただいたのは、三菱電機の製品は非常に信頼性が高く、アフターサービスがよい点だと考えています。技術評価は、実機を用いたデモンストレーションを要求されました。屋外で各メーカーのサンプルユニットを並べてテストを行った結果、最も高い評価をいただくことができました。最後は表面価格だけではなく、技術力など総合評価により成約に至りました。

香港SOGOの広告看板が72mのダイヤモンドビジョンに変わる!?
香港SOGOにダイヤモンドビジョンの導入が決まった背景には、香港SOGOのオーナーが、ニューヨークのタイムズスクエアにあるマリオットホテルの外壁に設置されたダイヤモンドビジョンをご覧になられたことがきっかけでした。総幅延長100mを超えるダイナミックな画面に驚かれ、集客数の多い銅鑼湾(コーズウェイベイ)店の看板広告をダイヤモンドビジョンに変えたいという話をいただきました。米国と中国メーカーとの3社入札となり、ハッピーバレーの入札時と同様に3社のサンプルユニットを並べ、デモンストレーションをし、技術評価が行われました。三菱電機の製品は画像の鮮明度、ローアングルからみた画像の上部が他社に比べるとよりクリアに見えること、防水機能が備わっていること、またメンテナンス性を考慮されて導入が決定しました。三菱電機のリアルブラックの技術により、15年経っても画像の鮮明度は変わらず、アセットバリューを考えると、お客様にとっても費用対効果が十分見込める点もご理解いただくことができました。また、万一のトラブルの際にも、当社はワンショットコールで30分以内に現場に駆けつけることができることも決め手となり、その結果、香港SOGOとのロングパートナーシップを結ぶことができました。ダイヤモンドビジョンの導入後、香港SOGO周辺の人の流れも変えることができれば幸甚です。

沙田競馬場に新モデルのダイヤモンドビジョンを提案
2018年に、香港ジョッキークラブ 沙田競馬場のダイヤモンドビジョン(70m)は設置してから15年を迎えます。

来年は香港ジョッキークラブのお客様に、新モデルのピクセルピッチ10㎜への更新提案していく所存です。

三菱

11月4日に行われた三菱電機(香港)50周年記念式典にご来場されたお客様と撮影。

「香港SOGO(銅鑼湾店)」へ導入計画

三菱

三菱

2014年からニューヨークマリオットマーキーズホテルに設置されているダイヤモンドビジョン(左)。香港SOGO(銅鑼湾店)の看板広告が一面ダイヤモンドビジョンに変わる(色囲み部分)

2017年への抱負
「現場力」と「人間力」を融合させたDramatically Changeを実現する

三菱

私が香港に赴任してから2年半の間、三菱電機の「技術力」が他社より優れている点をプレゼンテーション及びデモンストレーションにてアピールしてきました。この結果、製品競争力の高さをお客様にご理解いただきました。三菱電機製品の表面価格のみならず、適切なメンテナンスにより高品質を保てること更に期待寿命が長いことから、他社製品との差別化を図ることができました。香港でダイヤモンドビジョン及びドップラーライダという戦略機種の「技術力」を認知していただいたことにより、来年度以降、三菱電機のブランド力をさらに高め、中国・マカオでの事業拡大に向け、積極的に受注前活動を展開していきます。

社会インフラ事業部は、35年間、香港の電力分野でターンキー工事施工の経験があります。営業部、技術部及び建設部の各マネージャーは、勤続20年~30年のベテランであり、三菱電機の仕事の基本動作を身につけ、組織の活性化につながっています。

より多くのビジネスチャンスを得て、三菱電機製品の「技術力」にナショナルスタッフの「現場力」及び「人間力」を融合させ、総合力を最大限に発揮させることが、私のミッションと考えています。

2018年末完工予定の香港・マカオ・珠海を結ぶ大橋、九龍西から広州東まで繋がる新幹線開通、更に2020年北京冬季オリンピック開催を見据えて、事業計画を立てています。

ダイヤモンドビジョン及びドップラーライダという製品に限らず、一人一人が三菱電機の社員として、他事業部との情報の共有化、見える化を図ることが、弊事業部のスローガン“Dramatically Change”を具現化する活動に繋がると、確信しています。

2017年、香港からマカオ、中国を変えます!


三菱電機

 

 

 

 

三菱電機(香港)有限公司
住所:20/F Cityplaza One, 1111 King’s Rd., Taikoo Shing
電話:(852)2510-0555
ウェブ:hk.mitsubishielectric.com

 

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