「日本経済新聞国際版ニュースの活用方法」渡邊大輔さんにインタビュー
『私の履歴書』を愛読
経営者の成功モデルを参考に「何をなすべきか」を模索
香港・華南地区をはじめ、海外で活躍する日系企業の方たちに不可欠な情報源となっている「日本経済新聞国際版」。
今回は、渡邊大輔有限公司の渡邉大輔さんに、ニュースを仕事や生活に活かす読み方のポイントをお聞きした。
渡邉さんは、福岡県職員を経て、香港で起業されたそうですね。これまでの仕事と、今手掛けられている仕事について教えていただけますか。
福岡県職員として水産局に勤めていた頃は、水産物の販路の開拓など如何にして地元の漁業を盛り上げていくかを考えるのが仕事でした。漁場をめぐって争う漁師のけんかの仲裁も行ったことがあります。その後、若い漁師や寿司屋の店主と「福岡お魚応援団」を立ち上げて、県産魚介類の魅力を発信する活動を始めました。県産魚介類の販路を海外へ広げるために、ニューヨークのレストランで県産魚を使ったイベントを開催したこともあります。次第に、県職員という枠組みでは収まらなくなり、半年前に香港で起業しました。
今の仕事は、皆さんに「ビジネスプロデューサー」だといわれます。ビジネスをサポートするコンサルタントとは違って、企業などが抱える課題を聞いて、一緒に最初の一歩を考え、0から1を創り出していくのが私の仕事です。私自身が商社の機能を果たして、人と人、人と企業をマッチングさせてカタチにしたり、相談にいらした方の心に火をつけて、新たなモノを創り出したり…。県職員だったので地元の産業振興に対する思い入れも深いものがあります。その知識と人脈を生かして香港と日本の架け橋になりたいと考えています。
日本経済新聞国際版は裏面から読まれているそうですね。
はい、一面にざっと目を通した後、裏面から読んでいます。特に愛読しているのが『私の履歴書』と『交遊抄』です。私は、社会課題の解決になる仕事をしていきたいと思っています。どの社会課題をテーマにするかについては、まだ模索を続けているところです。だから、常に自分が何をなすのか、といった自分づくりについて考えています。その自分づくりの参考になるのが『私の履歴書』です。そこには、何かのテーマに出会ってその道を選択し、パッションをもって、目標に向かって突き進んでいく経験談が描かれています。苦労話よりも、どんな場面でどういった選択をしたかに関心があります。成功した方の話は一番参考になるので、自分の体験や現在の考えとすり合わせながら読んでいます。『交遊抄』では、人と人の出会いが紹介されて、意外なつながりがあるのが面白いですよね。
もちろんほかの記事も読みます。公務員時代は、部署に関係するニュースを切り取ってスクラップするのが若手の仕事でした。今の仕事でも福岡の物産を香港に売り込むことが多いので、必ず福岡関連の記事は目を通します。株などの金融商品にも興味があるので、気になる企業の動向などチェックしています。
無意識のうちに得られる情報にも魅力を感じているそうですね。
自分の興味のあることは、無意識のうちに自分の中に入っているものです。
日本経済新聞国際版に目を通しているとき、読むつもりもなかったのに、無意識に蓄積されたテーマの記事が、浮かび上がってくることがあります。その記事に出会ったことで、自分の考え方が作りかえられたり、進歩したり…。それも魅力だと思います。インターネットの情報は検索ありきで、求める情報しか得ることができないですよね。
日本経済新聞は紙媒体だけでなく、福岡県にいた頃は通勤時によくiPadで読んでいました。いつでもどこでも読めるし、狭い空間でも読めるところがいいですね。
最近、気になった記事はありますか。
福岡県宗像市にある「沖ノ島」という島を、日本政府が次の世界遺産として推薦することを決めたという記事ですね。私は漁師達と一緒に地域の産業振興に注力してきましたので、嬉しかったです。あそこは魚がたくさん集まる有名な漁場で、かつ島からは数多くの国宝が出ており観光資源としても注目していました。
これからも日本経済新聞が発信する様々な情報をはじめ、福岡の最新情報や成功した経営者のビジネスモデルを紹介する記事に期待しています。
渡邊大輔有限公司
渡邉大輔さん
大学院卒業後、福岡県庁に水産職として入庁。福岡県水産海洋技術センターや水産局漁業管理課漁業調整係等の勤務を経て、2012年3月に福岡県香港事務所所長になる。半年前に香港で起業、「渡邊大輔有限公司」を立ち上げる。これまで培ってきた人脈やノウハウを生かしながら、「ビジネスプロデューサー」として、企業等の悩みの解決や、新たなビジネスの創出をサポートする。「人と人をマッチングをするためには、私自身の名前を売り、自分がブランドを確立することも重要。もし私が『木村拓哉』だったら、福岡県産牡蠣を売るイベントにもたくさんの人がきてくれるでしょう」と微笑む。
渡邊大輔有限公司
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