工場の生産管理講座第4回「トレーサビリティ改善」石水智尚

2015/10/13

トレーサビリティ改善 バーコード

生産管理の主要な目的の1つは、工場資源の有効活用です。工場資源の中でも倉庫の資材(材料・半製品・完成品)は、日々の生産に直結する資源でありながら、刻々と変化します。品番・数量・出入庫日時を正確に把握できないと、予定通りに生産できず、納期が遅れてしまいます。

資材の管理はそれだけでは十分とは言えません。材料の不良は生産後に発見される不良の主要な原因の1つです。その中でも特にこわいのは、最終製品が市場に出回ってから不良が発見された場合です。原因が特定された後、該当する不良製品がどの機種の、どの出荷に含まれるかを、短時間で正確に把握する必要があります。それができない場合、可能性のある出荷すべてを修理や補償の対象とせざるを得ず、工場の損失が拡大します。

このように資材管理の問題で生じる「負の余剰価値」を、より低い運用コストで減らすのがバーコード(RFーIDも同様)による管理の特徴です。
追跡可能なバーコードによる資材管理
例えば、入荷された材料にバーコードLOT番号を貼付し、出入庫システム上で生産指示と紐付けする事ができれば、不良材料がいつ入荷して、どの生産指示で消費されたかを詳細かつ容易に追跡できます。また、生産指示に基づく半製品・完成品へバーコードLOT番号を貼付して、出入庫システム上で管理すれば、不良材料を含む半製品・完成品がいつ入庫して、どの生産で消費され、どのお客へどれだけ出荷したかを、システムが瞬時にトレースする事ができます。

ところで、バーコードといえば資材管理の問題(在庫が合わない、追跡できない)が簡単に解決する「魔法の杖」のように思い込んでいる経営者を見かけますが、バーコード導入にはより高い「現場の管理力」が必要です。種類や入荷頻度の多い材料へ、どのようにラベルを貼るかが最大の難関と言えます。(POSレジが普及しているスーパーマーケットでは、工場出荷時にバーコード・ラベルが包装へ印刷されていますので、自分でラベルを貼る必要がありません)

まずは貴社の業務の改善(いまの運用で在庫を把握できるようにする)がバーコード導入の近道と言えます。

【筆者プロフィール】
石水智尚(いしみず・ともひさ)
85年に香港へ来て以来、海外生活30年。販社・工場のシステム開発・プロマネ・生産管理のコンサルなどに携わる。98年から2年間、セブで開発センターの立ち上げにも従事。2007年より華南で生産管理のコンサルを開始して現在に至る。Asprova販売代理店、TPiCS販売代理店と共同での運用支援。

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