宝石業界こぼれ話 宝石の鑑定書
つい先日、国際的なオークションで「ブルーのダイヤモンド」が、58億円で落札されたというニュースが香港のメデイアを賑わせました。このダイヤを落札した人は、香港の富豪です。将来を考え、娘さん(現在、小学生)の為に買ったそうです。
こうしたオークションで、ダイヤモンドの価値評価に大切なのは、正式な鑑定書です。ダイヤモンドの品質を分類評価する鑑定書です。国際的に信頼されている第3者の鑑定・鑑別機関としては、アメリカのGIA、スイスのグベリンが有ります。もっとも、この2機関だけではありません。イギリス、ベルギー、スイス、アメリカ、タイ、香港にも信頼できる機関は数十社あります。特に宝石を科学的に検証し、また原産地や取引市場の調査をし、大量のデータ蓄積と分析分類を行うという機関は限られていますが。
しかし、国際的に信頼のある鑑定機関に鑑定書発行依頼をすると、高額な費用が必要でさらに発行までに期間がかかりますので、気軽にはできません。58億円のダイヤには鑑定書は絶対に必要ですが、日常使いのプチ・ジュエリーに附けることは現実的に不可能です。
さて、「昨今の円安」のお陰で、日本から海外に輸出するジュエリーが、急増しています。正に「円安」様様です。しかし、日本の鑑定書は残念ながらまだ国際化していません。業者は現物の宝石を見れば自分の目で評価を下せますが、お客様に販売をする時に日本の鑑定書が役に立たないのです。日本の鑑定機関のレベルは大変高いのに、国際的な市場では通用せず、再度国際版を取り直さなければなりません。なぜでしょうか? とても初歩的な問題ですが、鑑定書の表記が日本語だけだからです。つまり、記載内容が分からないのです。せめて英語で併記してほしいですね。それ以外にも、日本国内で数年前に起こったスキャンダルも理由の一つです。歴史もあり全国展開で信頼をされていたはずの鑑定機関が、鑑定評価をお客様によってさじ加減をしていた事が発覚しました。データの改ざんです。その機関は、全国からクレームが出て、結果的に倒産しました。多くのまじめな鑑定機関には迷惑な話ですが、日本の鑑定機関に対する外国からの評価は低下しました。残念です。
また、2週間ほど前に、国際的に信頼があるGIAの鑑定書の偽物情報を入手しました。それに携わった数十社の会社や業者名まで報告されています(日系は有りませんのでご安心を)。今は、鑑定書を鑑定する事も、私どもの仕事になって来ました。どこにも悪い奴がいて、困ったものです。
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