インクをアートでうまく使うための6つのポイント
ドローイングインクはその機能の割に正当な評価を受けていないものの1つだ。著名なインクアーティストが教えてくれた、その特性を活かす使い方のヒントをご紹介しよう。
1.スタイルによってインクを使い分ける
まずは目的に合ったインクを選ぶことから始めよう。もちがよく耐水性のある墨は定番で、ラインアート向き。水溶性インクはウォッシュ(薄く溶いた絵の具を、刷毛や大きめの筆で一定方向に線を引くように紙を塗りつぶしていく技法)などに用いる。
2.ざら紙でトライ
粗いテクスチャーの水彩用紙は、ウェットな筆を使って余分なインクを吸わせながら使い、失敗した時も、綺麗な水を使うとインクを落としやすいので修正をするのに便利。もしうまく修正出来ない場合は白い絵の具を使う。
3.違うペン先を試してみる
絵を描くためのペン先は実に多様で、それぞれに持ち味が異なる。サイズと形は先に付くインクの量、線の見た目、ペン先をインクに浸す回数を左右する。目安としては、短い線をたくさん描く場合にはリードペンを、ワイドで滑らかなラインにはラウンドティップを使うのがセオリー。もし製作を始めたばかりのビギナーなら、細く尖ったセーブルブラシをペン先の代わりに使ってもよいだろう。
4.自発的に練習する
ペンやインクで描かれたものは炭や鉛筆同様、消すことは難しい。だから、間違いに備えることが必要だ。間違いを恐れずに描いたものには、慎重に描かれたものにはないような自発性や情熱、荒削りな雰囲気が備わるものだ。
5.湿った紙に描いてみる
水彩画のように、インクは乾いた面に描くのと湿った面に描くのとで異なった効果を示す。水分の多い紙の上で描くことで、描いた箇所のラインを制御することはほとんどできなくなるが、実験的な面白みが出てくる。この手法を使いたいなら、にじみにくいサイズ剤を使った紙を選ぶことだ。紙の吸収性があまりに良いと、インクは滲みすぎてしまう。
6.伝統的な手法を知る
固有のスタイルを真似る必要はないが、描き方の参考として、日本や中国古来の伝統的な技法から学ぶのはためになる。学校で習ってきたような、紙に対して斜めの角度でブラシを傾ける筆の持ち方は、実は西洋式の手法。アジアの多くのアーテイスト達は紙に対して垂直に筆を持つ。こうすることで、より多くの方向に線を描くことができるのだ。