かしこく始めよう!香港資産運用特集

2023/07/05

香港・資産運用の基礎知識

香港に来て生活にも慣れたら、ぜひお金のことに目を向けてほしい。なぜなら香港は世界の中でもトップクラスの金融都市であり、国際的な金融商品を購入できる場所だからだ。「在住期間が短いから」「手続きが煩雑そうだから」などの理由で他人事と決めつけずに、まずは香港での資産運用における知識を学ぼう。今回は財テク知識ゼロの編集部員が、運用のプロフェッショナルたちに話を伺い、ビギナーでもわかりやすく解説する。

 

教えて! ファイナンシャルプランナーKelvinさん!
「在住者だからこそ購入できる特権を生かして」Kevin

Kelvin Leeさん
日本に3年間留学した経験を生かし、保険業界で23年間勤務するベテラン。LOMA生命保険内務経営協会と世界が認めるプロフェッショナルFPの証であるCFP(Certified Financial Planner)の財務プランナーの資格を持つ。保険、投資、退職プランなどの幅広い分野を網羅した、クライアントの財務アレンジメントの開発またはアドバイスを提供している。

香港て何がすごいの? 国際金融センターとしての位置付け
●交通・物流インフラの中心
●自由な金融政策
●低率な税制
●世界経済に連動した豊富な国際商品

東アジアの中心に位置し、中国に隣接する香港は、交通や物流のインフラが整備されているため、人材、物資、資本、そして情報の集まる世界都市です。香港が国際金融センターに成長した要因には、他にも自由で開放的な金融政策、高度に国際化された銀行システム、低率な税制、整備された金融インフラ・法体系、安定的な政治・社会環境等が挙げられます。外国の投資家にとっても、香港は非常に魅力的な場所であると言えます。
また、香港ドルは米ドルペッグ制(固定相場制)を採用しているため、米ドル相場と連動します。ここ数年の戦争などによるインフレの影響で、全体的に金利が上がっているのが現状ですね。

香港における資産運用のメリットとは
具体的な特徴として、税率が低いことが一大メリットです。香港はシンプルでクリアな税制を追求しており、世界でも有数の低税率地域の一つ。すべての金融所得は日本と異なり非課税となっており、その他の税率もゼロもしくは低額に抑えられています。
また、金融のプロの手を借りやすい土地でもあります。資産運用においてリスクを最小化し、リターンを最大化するためにはファイナンシャルプランナー(以下、FP)が必要です。FPは、運用計画の策定に始まり、中小企業や機関の個人、家族、金融機関に対する包括的な財務相談サービスを提供することができるのですが、香港での相談料は基本的に無料となっています。なぜかというと、投資商品を購入したときに受け取る手数料が報酬となるためです。米国では相談料が必要となるのですが、香港は、FPへの相談料は無料です。

高い金利商品を抑えるべし
さて、超低金利時代を長期に渡って過ごしてきた日本人の感覚からすると、「銀行預金=ほぼ無利息」と諦めている人も多いでしょう。しかし、香港には豊富な数の保険商品があります。そしてプランによって投資利回り率も変わるので、ご自身のお好みでプランを選択することができますよ。

例)香港の一般的な保険商品
平均的に年利 4~6%
元金の2倍以上(10~20年後)の積立が可能

上記のように、低いリスクでも堅実に福利を得ることができます。日本に住む日本人は、香港では銀行ファンドの商品のみしか購入できず、保険会社のファンドやその他の商品を購入することは不可能です。しかし、香港在住の日本人は保険会社のファンドや投資商品を購入することができます。香港在住のこの期間を利用して、お得な金融商品に対する理解を深めることこそ得策と言えるでしょう。

日本円だけでは危険!通貨分散すべし
円安が叫ばれて久しい昨今、香港在住者からすると円換算して物価の高さに日々嘆いている方も多いのではないでしょうか。資産運用の基本は「リスク分散」です。日本円だけに関わらず、コロナや戦争危機など、世界経済が変動しやすい中で、私たちにできることは「通貨分散」です。為替相場の変動や暴落にいつでも対応できるように、米ドルやポンドなどいくつかの通貨を同時に持つことをおすすめしています。

例) 複数外貨建て生命保険商品
一つの保険商品で、米ドル、人民元、ユーロ、ポンド、豪ドル、カナダドルの6種類までの通貨分散貯蓄が可能。
いつでも自由に別の通貨に分割や変更ができる。
銀行の商品とは違い、高金利なのでおすすめ。
万が一、契約者が死亡しても死亡保険金が比較的簡素な手続きで遺族に渡る。

運用の前に目的を設定しよう
自身の老後資金、子孫への相続など、資産運用の目的はさまざまです。近年の流行として、香港や大陸の富裕層は投資信託を購入する傾向にあります。一般的な保険商品では契約満了金や死亡保険金が一括で受取人名義の子どもに流れてしまうため、分割払いはできません。一方で、契約者死亡後に信託に加入すれば、受取人の進学、結婚、不動産購入などといったライフイベントごとに支払われる便利な商品もあります。

富裕層でない人はどうすれば?
●収入と支出のバランスを把握
●目標金額を設定しコツコツと積立から
●動かないお金があれば貯蓄型の保険商品を検討すべし

運用に回すほど、資金がない人でも大丈夫。まずは一ヶ月の収入と支出のバランスを把握することから始めましょう。目標金額を設定し、積立を行なった上で、それを頭金としてローリスクの貯蓄型保険から始めてみるのもおすすめです。
確かなポートフォリオ作成とかしこい資産運用のためには、プロと二人三脚で検討することをお勧めします。ぜひ気軽にお問合せください。

Kelvin Lee
住所:The Gateway, Harbour City, 21 Canton Rd., TST
番号:(852)9199-9777 (日本語 / WhatsApp可)
メール:kelvin@zaimutailor.com

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年金制度MPFと医療保険

マニュライフカナダ系大手保険会社マニュライフの保険アドバイザー平原氏が、香港の年金制度「MPF」と、日本とは異なる「医療保険」について解説。そのほか、おすすめ保険商品もご紹介!

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証券会社の役割と「増やせる」保険

1日本とは異なる香港の資産形成。特に保険はその目的がまるで違うという。そこで今回は、創業54年の大手総合証券会社、エバーブライト証券インターナショナル香港(以下EBSIウェルス)ジャパンデスクの大村良幸さんに、現在の証券会社の位置づけや香港で保険に加入するメリットなどを伺った。

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みんなの資産運用アンケート

アンケート世界有数の金融都市・香港では、みなどのように資産を運用しているのだろうか。お金に関する過去の失敗談やこれはやって良かったという成功談を交え、内容や内訳、その商品を選んだ理由などについて、実際に香港で資産運用をしている人へアンケート調査を行った。

香港で資産運用中の香港人、駐在日本人に実施した今回のアンケート。さすがお金の動くこの街で育った香港人は、若くして投資信託や株式の経験を持つ人が多く、そのぶん失敗をすることも…。一方、駐在員は日本とは違う保険商品に大きな魅力を感じているようだ。

アンケート内容
Q1 毎月の収入に対する資産運用の割合
Q2 資産運用の内容とその内訳
Q3 その商品を選んだ理由
Q4 過去の失敗投資
Q5 やって良かった!という運用商品
Q6 (日本人の方のみ)香港で始めた資産運用

 

オッキーさん
30代 / 男性 / 日本人 / 妻・子(6歳・4歳)
Mr.OkkiQ1 20%
Q2 保険100% ※金融関係職でほかの商品を購入できないため
アンケート1 Q3 学資保険(変額):簡単な6つの運用(日本株、アメリカ株、グローバル株、同様に国債も3種類)から選択可能のため環境によって運用スタイルを変えられるメリットがある。また世帯主の死亡保証もついているから。
Q4 ビットコイン絡みの高利回り案件の投資で失敗した。
Q5 香港の保険。利回りも高く、死亡保証もついているため老後の貯蓄に最適。
Q6 生命保険。5年払込で10年移行に解約金が投資金額を上回る設計になっている。さらに数世代まで継続して保有することも可能で長期でもてば大きく金額が上昇する。

 

Hさん
30代 / 男性 / 日本人 / 妻・子(7歳・4歳)
HQ1 20%
Q2 現金預金60%、保険35%、投資信託5%アンケート2 Q3 投資信託はBRICSへの成長を期待して。保険は返戻率の高さ、投資先(地域・アセット)と運用会社の分散のため。
Q4 BRICSがもっと成長すると思ったが、想定より全然成長しなかったこと。信託手数料を検討せず、手数料が高い商品に申し込んでしまったこと。
Q5 赴任後早めに海外の貯蓄保険に申し込みをしたこと。
Q6 海外貯蓄型保険

 

Rainbowさん
40代 / 女性 / 香港人 / 夫・子(9歳・5歳)Rainbow Q1 50%
Q2 現金預金80%、投資信託20%アンケート3Q3 投資信託は低リスクかつ長期で運用できるから。MPFは必須だと思います。
Q4 購入した投資信託とMPFが減っていっていること。
Q5 特にありません。

 

ピアンさん
30代 / 女性 / 香港人 / 単身Pian Q1 30%
Q2 現金預金70%、株式30%アンケート4Q3 友人の紹介や株の将来性をみて。
Q4 株を勘で買ってしまったため、HKD30万ほど大損した。
Q5 欲張らず、ほどよく儲かったところで手放した株。

 

キングさん
30代 / 男性 / 香港人 / 単身Mr.KingQ1 35%
Q2 現金預金10%、投資信託45%、保険45%アンケート5Q3 今の世界は不安定のため資産運用していますが、株のほうがリスクが高いので投資信託と保険を中心にしています。
Q4 数万元程度ですが、株で損失が出ました。
Q5 良かったものはあまりないです…。

 

 

海外在住中でもOK⁉︎ 日本の「iDeCo」&「NISA」

ideco海外在住中でも日本の資産運用は始められるのだろうか。自分で加入し自分で運用するもうひとつの年金「iDeCo」と、2024年に生まれ変わることで、海外在住者への対応も大きく変わることが期待されている「NISA」について解説。

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香港&日本の不動産投資

日本不動産右肩上がりの香港不動産市場の動向を、この道26年、自身も長年不動産投資を行なってきた東和不動産のSarah氏が解説。また中国人・香港人が注目する日本の不動産投資について、双方のマーケットに精通する、稲川デベロップメントのSally氏が語ってくれた。

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経済に影響されにくい?アート投資の魅力とは
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実業家の前澤友作氏が2016年に約5,730万ドル(約62億円)で購入したジャンミシェル・バスキアの絵画が、2022年5月に約8,500万ドル(約109億円)で高額落札されたことが話題となった。前澤氏は、このバスキアの絵画を6年間所有しただけで、約2,770万ドル(約47億円)を生み出したことになる。このようにアートは今や鑑賞目的だけでなく、資産投資として注目され始めている。今回、香港でギャラリーを経営している専門家に、近年のアートシーンの動向やアート投資におけるメリット・デメリットを伺った。

香港在住歴10年 ギャラリー経営者
スクリーンショット (2429)アートバーゼルをはじめ、大きなイベントが開催される香港には、世界中から多くの作品やアーティストが集まる。そんな香港のアートシーンの中で、購入意欲の高いコレクターを相手に、ギャラリー経営に携わること10年。

 

メリット:実物資産であること・希少性があること
例えば株式投資と比べると、アートは基本、実物があるので所有している間は、鑑賞して楽しめるという点が大きな違いと言えます。車や時計など実物がある投資と同じですが、アート作品自体は世界に1点しかなく、希少性が高いことが言えます。

メリット:値崩れが起きにくい
景気の影響を受けにくく、株や債券ほど価格の大暴落というリスクも少ないことがポイントです。

デメリット:管理の手間と劣化の恐れ
アートに興味がある方ならメリットですが、投資だけの用途の場合、管理に手間がかかることや、場所をとることが挙げられます。10年後に価値が認められ価格がUPするのか、劣化して価格が下がってしまうのかは紙一重です。

 

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近年盛り上がりを見せたアート作品購入の波
アートの世界でもトレンドとマーケットは流動的なので常に変化しています。特にこの10年でポップアートやストリートアートと言われる作品に注目が集まり、さらにはアジアを中心とした若いコレクター層の増加に伴い、多く取引されました。オークションのシーンでも軒並みレコードが更新されるなど、バブル時にも似たような過熱ぶりでした。パンデミック以降もしばらくは続いていましたが、昨年よりマーケット全体的にブレーキがかかり、現在はスローな感じです。

アート作品の価格はこう決まる
基本的にはアーティストとそれを扱うギャラリーが相談して決めています。 決して自由に決められているわけではなく、アーティストのキャリアとマーケットの動向で決まります。

ギャラリーやオークションハウスに足を運び知識を増やすことが第一歩
資格があり管理されているようなものと違い、アートやアーティストも常に流動的で世界中に存在しています。また、専門の大学が世界中にあるほど学問としても非常に広く深いのが美術史です。まずはギャラリーやオークションハウスなどに足を運んで、専門家の意見を聞いたりコネクションを作るのが、作品の選び方、資産運用の第一歩となると思います。「M+」ができるなど、近年の香港はますますアートに力を入れています。投資したいと思える価値あるアート品に出会うチャンスはたくさんありますよ。IMG_2209

 

 

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