香港サッカー アイルランドの国内リーグ観戦

2015/11/23

ボヘミアンフットボールクラブサッカーの本場欧州の主要リーグの多くが、毎年8月に開幕する。我々の住まう香港は真夏の盛りだが、テレビ中継に映り込む人々の姿は、既に初秋の佇まいとなっている。
香港プレミアリーグも9月の初旬には開幕して、開幕後約1ヶ月間の移籍期間におけるチームの動向が収まると同時に、筆者の周辺も徐々に落ち着きを取り戻して行く。
もうこうなると、居ても立っても居られなくなる。1年の中華の垢落としと称して、10日前後のお暇を頂戴するのだ。今秋は、以前から訪れてみたかったアイルランドに行ってみる事にした。
アイルランドという国を強く意識したのは、2009年の初頭に、スコットランドの商都グラスゴーを訪れた時だった。
当時、セルティックに所属していた中村俊輔の勇姿を拝みに行ったのだが、カトリックのチームであるセルティックの試合には、多くのアイルランド移民が応援に駆けつけていた。
スタジアムで触れ合ったサポーター、そして街のアイリッシュパブや、カトリック教会で言葉を交わした彼らアイルランド移民は、とにかくフレンドリーで人懐っこく、旅する東洋人を暖かく迎えてくれたのだ。
ならば、彼らの祖国には素敵すぎる人々が生活するに違いないと、ロンドンのヒースロー空港を経由して、首都ダブリン空港に降り立ったのは、すっかり秋の深まった10月初旬だった。
筆者はあまり街の観光施設には赴かない。現地の安宿に泊まり、スタジアムと大聖堂、そしてサッカーファンの集うパブやレストランで飲食できれば良い。
ダブリンでは、サッカーやラグビーの国際試合を行なうアビバスタジアムの見学ツアーに申し込んでいたが、実はそのツアー前日の夜に、欧州選手権の予選試合、アイルランド代表とドイツ代表の好カードが組まれていたのだ。
サッカー競技場渡航1週間前に気づいた時には既にチケットは完売。会場入りを頼める知り合いもおらず、せっかくダブリンの街を訪れているというのに、もったいない事をしてしまった。仕方がないので街のパブで催されたパブリックビューイングで観戦。アイルランド代表がドイツ代表を破り、パブも大いに盛り上がった。
実際にスタジアムで観戦できたのは、アイルランドの国内リーグ戦で、首都ダブリンのダービー戦のひとつ、ボヘミアンFCとセントパトリックスの一戦。ダブリンにはもうひとつシャムロック・ローヴァーズという名門チームもある。ボヘミアンFCの本拠地ダリーマウントパークを訪れた。
アイルランドの国内リーグは、欧州の主要リーグとは少し異なり、毎年春に開幕して秋に閉幕する春秋制で開催されている。リーグ自体も完全なプロリーグではなく、プロ選手に混じる形で、他の職業を持つセミプロ選手もプレーしている。
近年のアイルランド代表チームに、国内リーグの選手が招集される事もほとんどない。代表に招集される大多数の選手が、イングランドやスコットランドで出生したアイルランドにルーツを持つ選手、または育成年代の時期に国外チームの下部組織に青田買いされた選手だ。
観戦したダービー戦は、ライバル意識の高まりもあり、満員のメインスタンドは熱狂に包まれ、ボヘミアンFCが勝利した。セミプロリーグだと括って観戦したが、試合のレベルは非常に高く、球際の激しさなど見応えのある内容だった。
今回のアイルランドは、首都ダブリンと近郊の町ブレイだけの滞在となったが、また機会を作って地方の街にも訪れてみたい。人々、治安、滞在コスト、エールビール、ラグビーとサッカー。多くのリピーターがいると言われている理由がよく分かった。
≪つづく≫
文/池田宣雄(香港サッカー協会会員)

AFC BAUHINIA HONG KONG

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