アジアで働く・生活する・暮らす ~ベトナム編~

2018/08/22

ベトナム在住2年目!
第二の故郷と呼べるホーチミンで暮らす大桃伊代菜さん

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ベトナムで暮らすことになったきっかけ
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大家さんの家でホームパーティー

高校生のときにメルボルンとボストンでの研修に参加しました。これが初めての海外経験で、英語も全くできず、大変苦労しました。今思い出しても、人生で一番苦労した出来事ですが、「海外で働く」という将来の夢ができました。
その後、英米文学科へ進学。大学2年の夏休みに、友人のミシガンにある実家に遊びに行きました。その友人のお父様が異国の地で活躍されている姿を見て、「いつか海外で働きたい」という思いが具体的なキャリア目標に変わりました。
大学卒業後はパナソニックに入社し、法人営業として働いていました。それと同じタイミングで、2歳上の姉が、旦那様の仕事の都合でカンボジアのプノンペンで生活を始め、その姉を訪ねに行った際、現地の勢いに驚き、魅了され、「東南アジアで働きたい」と強く感じました。それからというもの、長期休暇の度に東南アジア各国を巡り、どの国で働くかを決めるため、宗教やGDP成長率など様々な観点から比較を行ないました。
最終的には、自分の気持ちに従い、帰国してからふと後ろ髪を引かれるような感覚になったベトナムに決めました。また、その頃、奇跡のようなタイミングで、勤務先での会議でベトナム人エンジニアと出会いました。その方にベトナムで働きたいことを伝えると、「働いたらいいじゃん!定年退職した両親が新しい家を建てて住んでいるから、よかったら、そこの空いている部屋を使って」という有難い提案がありました。すぐに家賃交渉をし、ホームステイをさせてもらうことが決まり、それから本格的にホーチミンでの仕事を探し始めました。そして、ベトナム人エンジニアと出会って約半年後の2016年11月にホーチミンへ移り住みました。

 

 

ベトナムでやっていること

現在は、ジェトロホーチミン事務所の貿易・投資コンサルタントとして働いています。その前は10ヵ月程、広告代理店で法人営業をしており、ジェトロに転職してから1年になります。これからベトナムでビジネスを始めようとしている方、既進出でお困り事のある方、ベトナムで新たなビジネスパートナ-を探している方など、毎日多くの日本人のサポートを行なっています。また、週に2回、仕事後の時間を使って、大学でベトナム語を学んでいます。クラスメイトはフランス人・台湾人・韓国人などで、1年以上楽しく勉強を続けています。

 

 

ベトナムの良い点

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とにかく人が好きです。人懐っこく、温かく、細かいことを気にしない、おおらかな人が多いです。困っている人がいれば、見て見ぬふりをせず、すぐに助けるのがベトナム人。知らない人から話しかけられることもしょっちゅうです。1人でごはんを食べているときも、タクシーに乗っているときも、年齢から始まり、ベトナム在住歴、好きな食べ物、仕事のこと、家賃がいくらかまで…誰に会ってもいつも同じことを聞かれるのでおもしろいです。「何てパーソナルなことを聞くんだ!」と思うこともありますが、ベトナム語のよい実践練習になると捉えています。
また、ベトナム人の合理的な仕事の仕方も好きです。彼らは常に最短コースでのゴール到達を考えているような気がします。どんな小さな業務でもその目的を考え、無駄なパワーは掛けずに仕事をしています。また、仕事以外の自分の時間も大切にしていて、仕事後に習い事をしている人も多いです。ベトナム人の生活を見ていると、上昇志向かつ健康で驚かされます。
常に変化し続けている、ホーチミンの街もおもしろいです。今は、2020年の地下鉄開業に向けて工事が行なわれており、日々、見える景色が変わっています。日本にいるときは、街が変わるという感覚を持ったことがなかったので、驚きの連続で、ホーチミンの未来が楽しみです。

 

 

ベトナムの悪い点
女性がバイクに乗るときに頭からつま先まで 全て覆うスタイルは「ninja」と呼ばれている

女性がバイクに乗るときに頭からつま先まで 全て覆うスタイルは「ninja」と呼ばれている

危ないところでしょうか。危なさの基準が日本とは全く違うので、ヒヤッとする場面が多いです。ベトナム人の友人からは、「いつもデンジャラスって言ってるね」と言われます。例えば、車間距離の狭さや、靴のかかとを踏んだまま工事現場の作業をしていること、ヘルメットを被らせないまま小さな子どもをバイクに乗せることなど。
普段バイクを運転しているのですが、雨の日は後ろから軽く追突されることもあります。車とバイクがぶつかる現場はほぼ毎日見かけますが、大事故でない限り、車から降りることはなく、「ごめん」の一言だけで終わりです。事故を起こさないように、そして、巻き込まれないように、いつも気をつけています。

 

 

 

 

 

これからのベトナムについて
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地下鉄工事のために閉鎖された、メインバスターミナル

私がホーチミンへ来た2016年と現在を比べると、いろいろな建物がなくなり、そして、新しい建物がたくさんできました。信号機も増えました。1ヵ月前と比べても大きな変化があるので、今後の予想はできません。
変わり続けることはよいことですが、環境の観点では問題も感じています。先日、橋の建設のために、ホーチミン市内の大通りの立派な木が全て切られていた日は、とても悲しい思いになりました。また、ここ2ヵ月のトレンドで、プラスチックバックやプラスチックストローの使用を控えるお店が多いです。こういうとき、政府の規制の前に、個人単位で行動を始めるベトナム人のそのスピード感に感心させられます。
今後のキャリアとしては、日本にあってベトナムにないもの、ベトナムにあって日本にないものの情報に毎日触れているので、その情報を活かして、自分自身でビジネスをしたいです。これはパナソニックで働いていたときに身についた考え方ですが、自分の人生さえよくても人は幸せにはなれず、どのように社会の役に立つことができるかを考え、そして、日々行動し続けることが大事だと思っています。

 

 

ベトナムで暮らすことを検討している人へ
新旧が混在する、ホーチミン4区

新旧が混在する、ホーチミン4区

しっかりとその土地に足を運び、自分自身の目で見ることが大切だと思います。例えば、ベトナムでも、北のハノイと南のホーチミンでは全くカラーが違います。それは、実際に自分の目で見なければわからないこと。時々、ベトナムに来てみたものの、「こんなところだとは思わなかった」という声を耳にすることがあります。その経験は決して無駄ではありませんが、きちんと事前に確かめておけば、限られた人生の時間をより有効に使うことができたのではないでしょうか。だからこそ、自分の人生に関わる情報は、手間が掛かったとしても、自分自身で探した上で決定する必要があると思っています。
最後に、「人はずっと同じ場所にいる必要はない」というメッセージも伝えたいです。生きていく場所は、用意された流れに身を任せるのではなく、自分で見つけに行くことが大切です。もし今いる環境に満足できないのであれば、他の土地に目を向けて見ることをおすすめします。もしかしたらもっと心地よく、もっと幸せに暮らせるところが、世界のどこかにあるかもしれません。まずは自分の好きなところに住み、そして、その場で目指すキャリアが実現できれば幸せだと思います。
海外で暮らすということは、大切な友人や家族と離れるということですが、決して悲しいことではありません。私の家族もホーチミンが好きで年に1回遊びに来てくれますし、昨年1年で10人もの友人も遊びに来てくれました。海外で暮らすことによって、自分にとって本当に大切な人や価値があるものに気づくこともできます。

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