尹弁護士が解説!中国法務速報 Vol.41

2021/03/31

中国の独占禁止法

 中国の独占禁止法は、どのような行為を規制しているのでしょうか。

 独占禁止法は、その名の通り独占行為を規制しています。

 では、「独占行為」とは何でしょうか。独占禁止法は、独占行為として以下の1)~3)の行為を規定しています。

 

1)「独占合意」とは、事業者の間で競争を排除し、もしくは制限する合意、決定又はその他の協力(协同)行為をいいます。例えば、ライバル会社同士で「値下げしないようにしよう」とか、卸業者と小売店が「何元以下では消費者に売らない」と合意するような場合です。

 「事業者の間」というのは、次の2つの種類に分けることができます。

a.ライバル会社同士(競争関係にある事業者間)の合意(ライバル会社同士の横の繋がりで合意するため、「水平的合意」といわれます。)

b.卸業者と小売店などの取引相手との間の合意(取引相手との縦の繋がりで合意するため、「垂直的合意」といわれます。)

 

2)「市場支配的地位の濫用」とは、市場支配的地位を持つ会社などが、その地位を濫用して不公正な取引などを行うことです。市場支配的地位とは、関連市場において商品の価格、数量もしくはその他の取引条件をコントロールすることができ、又はその他の事業者の関連市場への参入を阻害し、もしくはこれに影響を及ぶすことができる能力を有する市場地位を指します。

 例えば、不当に高い値段で販売して価格を釣り上げたり、逆に不当に安い値段で販売して、小規模業者にダメージを与えるような行為です。

 

3)「企業結合事業者の集中)」とは、会社の合併などのM&Aによってシェアが高まり、競争が制限される場合です。

 例えば、市場で40%のシェアを持っている会社同士が合併すると、シェア80%を独占する会社が誕生し、競争原理が働かなくなるおそれがあります。

 そこで、企業結合が一定の規模に達した場合、事前に審査当局に申告して審査を受ける必要があります(この他にも、国家安全という観点から当局による審査が必要になる場合があります)。審査の結果、競争の排除、制限や、そのおそれがあると判断された場合、審査当局は企業結合を禁止したり、条件を付けたりすることができます。

 

 以下のいずれかの基準に該当する場合、事前申告が必要となります。

a.集中に参加する全ての事業者の前会計年度の全世界における売上高の合計が100億人民元を超え、かつそのうち少なくとも2つの事業者の前会計年度の中国国内における売上高がいずれも4億人民元を超える場合

b.集中に参加する全ての事業者の前会計年度の中国国内における売上高の合計が20億人民元を超え、かつそのうち少なくとも2つの事業者の前会計年度の中国国内における売上高がいずれも中国で4億人民元を超える場合

 

 前述1)~3)の違反行為(独占合意、市場支配的地位の濫用、企業結合の独占行為)及び価格独占行為があった場合の取締や審査などは、国家市場監督管理総局がこれを担当しています。

 


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尹秀鍾 Yin Xiuzhong尹秀鍾 Yin Xiuzhong
卓建律師事務所深圳本部 パートナー弁護士、法学博士 (慶応義塾大学)

【主な業務領域】
外商投資、移転/撤退、知財侵害、紛争解決

 

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