初夏を味わえる日本料理「なだ万」広州
2007年シャングリ・ラホテル広州にオープンした、日本が誇る老舗「なだ万」。4ヶ月にもわたるコロナ禍における一時休業から、2020年6月10日、満を持しての再開を果たした。
この広州のなだ万では、天保(1830年)から令和(2020年)という、190年の歴史に裏打ちされた技と味を受け継いだ料理人が日々腕を振るっている。2019年10月末就任の渡邊料理長は今年21年目、渡邉副料理長は今年17年目、どちらも「なだ万」一筋だ。Wワタナベが織りなす贅を尽くした逸品たちを紹介したい。
本日のメインの食材はこれだ。照りと艶に魅了される長崎県産の鮪。こっくりとした橙色の生雲丹。どちらも新鮮さはいわずもがな、素材そのものの美味しさが一体どうなるのか、期待に胸がふくらむ。
まずは「生雲丹プリン」だ。丁寧に裏漉しした生雲丹プリンに涼しげなコンソメゼリーをあしらい、生雲丹をのせる。ふうわり、とろり、爽やかさという、三つ巴かと思わせる食感が、即座に三位一体となり、まさに口福そのものだ。
「鮪の盛り合わせ」は初夏にふさわしい中トロと赤身のお造りだ。脂のノリは山葵の効き具合で分かると言うが、素材の旨さと山葵の風味。いやはや、どちらも甲乙つけがたいほどである。
輸入牛肉を使用した「和牛炙り握り」はテーブルで炙りの仕上げを施してサーブされる。五感に訴えかけるこの握り、「和」の柔らかさに思わず驚嘆の声が上がる。
食後のひと品「グラマラッカ」は、デザートと呼ぶべきなのか、甘味と呼ぶべきなのか。バニラアイスとバジルシード(洋)、ココナッツミルク(南国)、粒あんに黒みつ(和)。国境をも凌駕する、まさに食のマルチリンガルである。
老舗という言葉は、伝統を重んじ、頑固に守り続けていくものだというイメージがあるだろう。しかし、創業者、初代灘屋萬助から続く「老舗はいつも新しい」を矜持に、Wワタナベをはじめとするなだ万料理人は、新しさに目を配り、四季折々の季節感をも盛り込み、洗練された、完成度の高い料理を常に追い求めている。これこそが、190年続き、これからも続いてゆく、なだ万流「伝統」の本質なのである。
シャングリ・ラ ホテル広州
住所:広州市海珠区会展東路1号
電話:(86)20-8917-8888
なだ万
住所:シャングリ・ラ ホテル広州 3F
予約電話:(86)135-8031-3124(Vivi)
時間:11:30~14:30、17:30~21:30(月~土)、 日曜定休