芸術・自然が集まる静かな庭園「宝墨園」広州市番禺区

2015/08/12

宝墨園(包相府)

「宝墨園」の前身「包相府」は、清朝「嘉慶」(1796〜1820)時代、北宋の名臣「包拯」(ほうじょう、999〜1062)を祀るために建立された。嘉慶4年、親政を目指す嘉慶帝は、収賄によって巨万の富を得ていた軍機大臣「和珅」(わしん)を弾劾、自殺へと追い込んだ。包相府の建立には、「反腐敗」を願う民の思いが込められている。文化大革命によりここの文化財が失われたが、1995年に再建され、園の面積も300平方メートルから10万平方メートルにまで広げられた。清朝宮廷文化、嶺南の伝統建築や庭園文化、珠江デルタの水郷文化がここに集められている。注目されることの少ない宝墨園だが、次の三通りの楽しみ方を知っていれば有意義な時間を過ごせるはずだ。

宝墨園の庭芸術に触れる:園内には「治本堂」、「宝墨堂」、「清心亭」、「仰廉橋」、「紫洞舫」、「龍図館」、「千象回廊」、「風味食街」の8スポットがある。園全体の特徴は、たくさんある池や川が庭園造りにうまく使われていることだ。景観美のほか、伝統工芸や美術品の整備にも力を入れており、陶像、石灰像、石刻、レンガ彫刻、木彫、五彩、嵌瓷(広東省潮汕地区の伝統工芸)などの芸術品が収蔵されている。その中で特に注目なのは、3万個もの青磚(黒レンガ)に彫刻が施された「吐艶和鳴壁」だ。600羽以上の鳥、50種類以上の花・樹木が彫られている。陶瓷浮雕(セラミックレリーフ)の「清明上河図」の立体的なポートレートは見る人をその世界に引きこむような魅力がある。
宝墨園の壁宝墨園(清明上河図)

家族で遊ぶ:芸術品や骨董品に興味のない方にはほかの楽しみ方がある。園内の池ではたくさんの鯉が飼われている。池の水はとても澄んでいて池の底まで見えるので、鯉が泳ぐ様子が何とも涼しげで気持ちが良い。ここの錦鯉はとても大きくて数も多いので、エサあげの光景もなかなかの迫力!園内ではエサを売っているので、子どもたちにエサあげ体験させてあげよう。また、子どもたちが喜びそうな、魚すくいエリアもある。さらに、静かな庭園の中には無料で利用できる子供用プールが二つ、大人用プールが一つある。ここの”庭園プール”はとてもきれいなことで有名なので、暑い日の水遊びにお薦め。

宝墨園の池植物を愛でる:園内に植えられている主な植物は、イヌマキ(羅漢老松)、柑橘類の観葉植物ゲッキツ(九里香)、漢方薬にも使われるテリハサンショウ(両面針樹)、イチョウ(銀杏樹)、モクレン類の花マグノリア(玉堂春)、大葉ガジュマル(大葉榕樹)、サルスベリ(紫薇樹)など。ほかに、たくさんの”嶺南盆景“(嶺南式盆栽)も見られる。植物鑑賞でぜひ訪れたいのは、園の南西に位置する「玫瑰園」(バラ園)だ。50品種30万株の赤、白、紫、黄など、色とりどりのバラたちが美を競う。チャイナローズ「葡萄紅」(状元紅)、芳香バラ「ホジュン」(芳純)や「ダブルデライト」(紅双喜)など有名な品種もそろう。ここのバラは長い期間咲いているため、”瑰園春永“(バラ園の永い春)として知られている。
宝墨園の美しい庭園

広州市の中心からは少し離れていることもあり、訪れる人はそれほど多くない。家族でのんびり過ごしたい方、静かな場所でゆったりしたい方にはお薦めのスポットだ。

宝墨園
住所:広州市番禺区沙湾鎮紫坭村
時間:8:30~17:30
アクセス:地下鉄3号線「市橋」駅、「丹山橋」バス停から12番バスで終点の「宝墨園」まで約30分。
入場料:RMB54元(サイト予約RMB46)

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