中国南方の食「沙河粉」中華料理
麺料理は中華料理の中でも重要な存在だ。日本で中華の麺料理といえば、ラーメンに代表されるような小麦粉を原料としたものが主流。だが、本場の中国では小麦粉は主に北方で食される。南方で食される麺類は主に米を原料としたものが広く普及している。日本では、小麦粉で作られる麺に比べてビーフンのような米粉が原料の麺はマイナーなイメージがあるが、台湾や福建をはじめ南方では、むしろ米を使った麺のほうがメジャーなのだ。ちなみに、中国語では、米を原料にした麺類全般を指して「粉」という漢字が使われ、小麦粉を主な原料にしたものに「麺」(面)という漢字が用いられる。
この「粉」にも様々なタイプがあり、広東省ではきしめんのような「沙河粉」(サーホーファン)が好んで食されている。沙河粉は、真っ白でつるつるとしていて、どんな具材でもどんな味付けでも合う、不思議な麺なのだ。「沙河」とは、現在の広州市市街地の北東部、広州東駅からほど近い場所を指す地名で、ここが発祥とされる。そのため「河粉」またの名を「沙河粉」と呼ばれるようになった。現在では市内の至る所に沙河粉の専門店が並ぶ。またスーパーの惣菜売り場では加工された沙河粉もよく見かける。
沙河粉の材料には精選した「龍眉百米」が使われ、水に米を浸し、石臼ですり潰して薄く引き伸ばした生地状にする。薄い生地は半透明でとても滑らかになる。こうしてできた沙河粉は、かけそばのようにスープと一緒にいただいてもいいし、野菜などと一緒に炒めてもおいしく、様々な料理に活用できる。
沙河粉の中でも最も代表的な一品が「乾炒牛河」という料理。もやし、河粉、牛肉などを炒めて作られる素朴な家庭料理だ。自分で調理するのも簡単!乾燥沙河粉をぬるま湯でもどし、牛肉や野菜を合わせて炒めればできあがり。
〈乾炒牛河の作り方〉
材料:乾燥沙河粉300g、牛肉150g、もやし100g、ショ
ウガ少々。小麦粉、酒、油、塩、しょうゆ(少々)
❶乾燥沙河粉は、3~5分ぬるま湯につけてもどす(もどし過ぎに注意)。
❷薄切りにした牛肉に、小麦粉少々をまぶし、酒、ショウガの千切りを加えておく。
❸中華鍋に食用油を熱し、牛肉をさっと炒め、鍋から取り出す。
❹鍋を再び火にかけ、食用油を熱して、❶の沙河粉を入れる。強火で炒め、うっすらと焼き色がついたら、炒めた牛肉、ニンニクの芽、塩、しょうゆを加え、さっと炒める。