殿方 育児あそばせ!第20回
親子で蟹調理に挑戦!のはずが……。
10月11月と上海蟹の旬な季節であったので食した方も多いのではないだろうか?
我が家は自宅近所のイオンに上海蟹の特設コーナーが出来ているということを知り、自炊にチャレンジすることにした。
といっても蟹を調理するのは初めてなので、調理法を調べる必要があり色々調べているうちに上海蟹に関する意外な事実を知る。
それは上海蟹が日本においては平成18年より【特定外来生物】に指定されていて個人での輸入や購入は出来ないということ。
日本で上海蟹を食べたい場合、特定のお店に出向く必要があり、個人で購入して調理をして楽しむことは出来ないのだ。
イオンなどで上海蟹を購入して自宅で調理して楽しむ、このお手軽な楽しみ方は中国ならではということを知り、より一層自分で調理するモチベーションが上がったのであった。
上海蟹を蒸す為に必要な蒸し器や、食べる為に必要な道具等ひとしきりジンドンで揃え、いざイオンへ。
イオンでは特設コーナーがあり、そこでお店の方が、オスがいいのか?メスがいいのか?など丁寧に聞いてくれ、活きが良い個体を調べて選定してくれる。他にも色々丁寧に教えてくれているようだったが私の中国語力では残念ながら理解できなかった。しかし丁寧に慎重に選定してくれたのは間違いない。
上海蟹は腕に産地のタグがつけられ、逃げ出さないように体をしっかり紐で結ばれた状態で売られている。
買ってきた個体は塩水で泥抜きしてブラシでよく洗う。泥抜きは30分くらいだろうか。その間席を外していたが、キッチンに戻った時に事件が発覚する。なんとオスの個体が紐をほどいて脱走をしようとしているではないか!あれだけしっかり紐で結ばれてたはずなのに、どうやってほどいたのか。本当に謎だ。
今回PPWの記事に【親子で蟹料理に挑戦】としたかったのだが、蟹が暴れてそれどころじゃなくなった。トングでなんとか泥抜きをしている鍋に戻し、蓋をして捕獲成功となったが何度か爪で指を挟まれそうになり、私自身内心少々ビビっていた……。
子供達は、私が蟹と格闘する姿を少し遠目で見つつ、蟹に対して少し愛着が湧いていたようだった。娘は「ふわふわの毛が可愛い。」と、脱走を謀ったオスを見ていた。
蒸し器の準備が整いいざ蟹を投入。蒸し器の蓋の部分がガラスの為、中の様子がよく見える。紐が外れてしまったオス蟹は蒸し器の中でももちろん暴れている。蒸し器の温度はどんどん上がりオス蟹は暴れ狂い、暴れた挙句自分の足が取れてしまう。
『なんで殺しちゃうの。かわいそう。』息子がこう言う。確かに私自身も蟹が暴れ苦しむ様子を見て、なんて残酷なことを自分はしているのだろうか。という少し嫌な気分になった。
少し難度は高そうだったが蟹を絞める方法もあるので、すんなり楽にしてやってから調理してあげればよかった。
なぜ殺してしまうのか?息子のその問いに『自分たちが生きる為に殺しているんだ』と不器用な回答をした。
この上海蟹だけで無く、普段食べている食事の大半において何かしら生き物の命を頂いていることになる。だからこそ、その命に感謝をして粗末な食べ方をしてはいけない。
そんなことを息子には伝えてみたが『えーかわいそう。この蟹食べたくない。』とあまり響いて無いようだったw。私の物事を伝える能力が低いのと、息子の年齢的に命の尊さをまだ感じ取れないのかもしれないが、また今度このような命について語る機会があったら積極的に話してみようと思う。
何よりも普段あまり気づくことが無かった大切なことを気づかせてくれた上海蟹に、そして『なんで殺すの?』という息子の一言に感謝したい。
親子で何かに挑戦することで改めて気づかされることはやっぱり多いですね。
上海蟹はとても美味しかったです。
Ryosuke Yoshida
埼玉出身、大阪生活は12年。中国語初心者・初の海外生活ということで右も左もわからない状態ですが、世界埼玉化計画推進の為、広州に家族(妻・長男6歳・長女2歳)とやってきました。広州在住日本人の先輩方に助けられ徐々に行動範囲と会話力が広がってきたところです。趣味はゲーム。仕事もゲーム。好物はビールと十万石饅頭、そこらへんの草。