深センものがたり 第38回
〜中秋節〜
今年の9月21日は、「中秋節」(旧暦8月15日)である。
客家人の中秋節
客家の人々は、中秋節を「八月節」または「八月半」と呼ぶ。その風習は他の中国人と同じく、月餅を食べながら、ゆっくりと月を眺めたりする。夜に名月が現れると、夜空に月が浮かんでいる方向にテーブルを置き、月餅や落花生や柚子などを供えて、月の光を拝む(敬月光)。月の神から授かった家族の健康と幸福に感謝をするのだ。
月を拝した後、家族が集まり、お月見会食が始まる。客家人は伝統的な食文化の慣習は現代でも引き継ぎ守り、親は先ず子供にお供え物を食べさせる(子供たちは、お月見などにまったく興味はなく、はやく遊びたいからである)。
中国では祭祀行事中にお供え物を食べる慣習がある(日本では”罰あたり者“と叱られる)。より健康に、より幸運に、福徳の人生になれるそうだ。
お月見
周の時代、「春分に太陽を祭り、夏至に大地を祭り、秋分に月を祭り、冬至に空を祭る」という厳粛な祭祀行事があった。時代を経て、お月見の風習は宮廷や貴族だけでなく、庶民でも取り入れられ、気楽な娯楽に変化。
月餅
月餅は中秋節に必ず現れるアイテムだ。中秋節の夜、団円(円満)を象徴する丸い食べ物である月餅の他に、丸いスイカなどの果物を食べ、家族の健康と幸福を祈るのである。
柚子(ゆず)
柚子を食すことは、意味がある。柚子の皮を剥ぐことを「柚子を殺す」とも言い、邪気を払う意味である。また、柚子の皮を剥ぐことを「鬼の皮を剥ぐ」とも言い、悪いものを追い払う願いが込められているのだ。
お月見が定着した唐の時代には、多くの月を詠じた感動深い名詩句が生まれた。宋の時代にお月見が定着し、正式に「中秋節」と定めた。宋の詩人は、月には曇った時、晴れた時、欠ける時、丸い時などがあることから、人間には悲しみ、喜び、別れ、めぐり合いなどがあることを連想して、完全無欠はこの世にはないという悲しい感情を詠じた詩歌が創られた。
宋の時代では中秋節の夜は眠れぬ夜とされ、夜市は空前の盛況を呈し、月見の”呑めや、歌えや、踊れや“の宴は翌朝まで続いたそうだ。
中秋節の翌日を休日にした方がよい…
中秋節には恒例の娯楽ある。なかでも、欠かせないのは灯篭会。中秋節は、中国三大灯篭祭りに数えられ、元宵節に行われる大規模な灯篭会ではなく、中秋節の提灯は主に小さい子供たちが遊ぶおもちゃを家に飾ることが多いそうだ。
中秋節に提灯を楽しむ風習は主に中国南部にあり、胡麻提灯、卵提灯、花提灯、稲藁提灯、鱗提灯、もみ殻提灯、瓜種提灯、鳥獣や花木の造形など色鮮やかな提灯が秋深まる夜空を演出する。
ちなみに、日本のお月見文化は、大昔の縄文時代(紀元前1万4千年頃)からあったとされる。平安時代…酒を呑んで和歌を詠いまくる貴族の道楽。室町時代…お月見のお供え物が始まる。江戸時代…庶民のイベントに定着。この時期に収穫される里芋煮を食べていたのが、のちに月見団子になったそうだ。秋の収穫を祝い、感謝する祭りである。
深セン在住20年のベテランコンサルタント
宮城 紀生
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深セン華日(ワーヤ)コンサルティング
会社設立・運営、法律相談、会計財務税務
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