香港街角コラムVol.1 インドネシア商店に行ってみた!

香港に出稼ぎにくるメイド(阿媽)さんたちの生活を支えているであろうインドネシア商店に久々に行ってみた。これだけたくさんのメイドさんがいるのだから、おそらく黃埔にも北角にもそこいら中にこういった店はあるのだと思う。目印は看板の「印尼」の文字。インドネシアを意味する漢字だ。私の家の近くにある「印尼の店」は入り口に様々な香辛料が置かれていて、料理好きな私は見ているだけでも楽しくなる。黒胡椒が2HKD、乾燥ローズマリー5HKD、クミンが3HKDとスーパーで買うのが億劫になる価格設定だ。

こういったインドネシア系商店の魅力はたくさんあるのだが、やはり食料品や調味料の品揃えが素晴らしい。店内はまさに「アジアンワールド」で、下北沢や西葛西に行かなくても良いくらい種類豊富なカレー粉、アジア各地のチリソースやナンプラー、生ウコンや瑞々しいレモングラスなど、未知の世界が広がる。また、ローストした東南アジア産のコーヒー豆を店内で挽いている場面を目撃し、「東南カルディ(KALDI COFFEE FARM)かい!」と思ってしまった。

今回は、お惣菜にもチャレンジしてみた。まず、レジ前に置かれている『かき揚げ天麩羅のようなもの』5HKDだ。購入の際に紅生姜や七味のノリで「生の唐辛子つけようか?」と聞かれたが、一緒に食べるイメージが湧かずに辞退した。帰宅して食べてみると、一口目はまさにかき揚げ天麩羅だった。玉ねぎやニンジンが入っている。しかし、すぐに違いに気づく。パクチー(コリアンダー)が入っていて、二口目には中の唐辛子に当たった。『ちょっと辛いアジアンかき揚げ』といった感じでビールが進むのだ。これは絶対にポルトガル船がマカオや日本にたどり着く前に現地に置いてきた産物なのだと確信した。

そして、ミニ炒飯10HKD。こちらも悪くない。最後はインドネシア弁当(たぶん15HKD)。揚げ魚バージョンもあったが、今回はフライドチキンにした。揚げニンニク味噌和え(みたいなもの)、野菜のお浸し、魚フレーク、茹で卵にチキンがひと切れという構成だ。ミニ容器に入っている唐辛子ミンチソースが侮れない。特筆すべきは、おかずとご飯の間に透明セロファンが敷かれ、フライドチキン用にビニール手袋が入っていることだ。しかも折り畳まれたビニール手袋は、絆創膏のようにパッキングされていて、そのパッキングがすでにチキンの油に侵されているのだ。というわけで、手袋を取り出す際に、手は油まみれになってしまう。とはいえ、「これが15HKDか!」と思えるほどお得感満載の食べ応えであることは確かなのだ。

最後にインドネシア系商店の店主(店員)に触れておきたい。彼らは、メイド(阿媽)とは現地語、インドネシア華僑とは北京語、香港人とは広東語で話し、英語で質問すれば英語で返答がある。なので、きっとあなたの得意な言語に対応してくれるはずである。
是非、未体験の方は、「印尼」の看板を頼りに勇気を出して踏み込んでほしい。非日常が待っているはずである。

文・鳥丸雄樹
鳥丸雄樹(Torimaru Yuki)
香港を拠点に活動するフリーライター。ロスの日刊サンへの寄稿を経て今に至る。自身がベースボーカルを担当したオルタナティブなハードコアバンドを引き連れて90年代は、ロンドンのコヴェントガーデンにてライブ活動を行う。


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