英語に限らず身につけたい 日本語以外のコミュニケーション能力

2017/04/19

TOEIC

     先日TOEICで980点(990点満点)という驚異的な高得 点を挙げた日本の少女がニュースになった。今年神戸市 内の中学に入学したばかりの12歳のこの女の子は全く 海外生活の経験がないというから驚きだ。3歳で始めた 英語がよほど楽しく、性に合ったのだろう。小学生時代、 Skypeで英語のネイティブスピーカーとの会話学習を続 けると同時に、辞書を引くことなく小説などの洋書を読みあさったという。 TOEICでは単語の記憶力、語彙力だけでなく高度な読解力が求められる。 単に英語のお勉強好きというだけでなく、彼女は本のなかの世界に想像 力と好奇心で羽ばたく、天性の読書好きでもあったのだろう。いずれにしても信じられないほど の彼女の英語能力には「すごい!」と唸らざるを得ない。

TOEIC 02

TOEICは1981年から始まった、英語によるコミュニケーション能力検定試験。英語をを母国語 としない人が対象で、世界約150の国と地域で実施されている。年間約700万人が受験しており、 もちろんここ香港でも受けられる。

日本では2000年度に総受験者数が100万人を超え、昨年2016年度には公開テスト・IPテスト ※併せて約270万人以上が受験した。過去5年間でも約19万人増加している。日本で叫ばれる「グ ローバル化」に伴って英語で話す・書く能力を測るニーズの高まりを反影しているといえる。試験 結果は得点に応じて英語によるコミュニケーション能力レベル・A~Eの5段階で評価され、企業 などでは社員の採用時に参考とされる場合や、昇進・昇格の要件、目安として活用している所も ある。

海外で暮らし、仕事をする上で日本人にとって日本語以外の語学の習得は不可欠。TOEICなど の試験では測れない生きたコミュニケーション能力も必要とされる。ここ香港での公用語は「英 語または中国語(広東語でも北京語でもない)」と明確に定められている。香港在住日本人の間 では新たに中国語を始めるという人より、「とりあえず中学、高校、大学と学んできた英語で」と、 英語を使う人の割合の方が高いようだが、実際日々の生活や仕 事において「言葉のカベ」を身にしみて感じさせられることもしば しば。これを機に英語、広東語、北京語のいずれかを本気で勉強 してみようと決意を新たにした人も多いのでは。逆に考えれば、 香港は語学力を身につけるのに打って付けの環境といえるかも しれない。

本紙PPWでは来る5月の590号で語学学習に関する特集を予 定している。「5月病」なんて言葉はもはや死語。冒頭の神戸の中 学生のようにとまでは行かないまでも、改めて「学び始める5月」 にしてみてはいかがだろう。

公開テスト:国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)の管理下で実施し、個人が直接申し込みをする受験制度 IPテスト(団体特別受験制度):企業・大学などの団体が、所属社員・学生を対象に随時実施する

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