中国の歴史・法律の軌跡をたどるマニアック探訪「沈鈞儒記念館」

2026/06/03

中国の歴史・法律の軌跡をたどるマニアック探訪

中国近代史は、現代中国につながる重要な歴史といえる。この中国近代史の中でも、法制史につながる部分を中国を知りつくした著者が、日本人が踏み込まないようなマニアックな地を訪れ、近代法制史を振り返る旅行記。

 

沈鈞儒記念館

沈鈞儒記念館外観

沈鈞儒記念館外観

沈鈞儒(しん・きんじゅ)という人物をご存知でしょうか? 沈鈞儒は、中華人民共和国の初代最高人民法院長(日本でいう「最高裁判所長官」)を務めた人物です。沈鈞儒は、1875年1月2日に現在の浙江省嘉興という街で生まれました。その浙江省嘉興にある沈鈞儒の生家が「沈鈞儒記念館」という資料館になっています。

沈鈞儒は、日本とも深い関係がある人物です。中国が(清末・中華民国初期に)近代法導入を進めたときに、これに最も協力したのが日本の法政大学でした。近代法とはいかなるものかということを学びたい中国人に、明治維新を終わらせていた日本は覚えたばかりの明治以降の近代法を教えました。その中でも、特に中国の近代法整備に協力したのが法政大学だったとされています。そして、沈鈞儒もこの時に日本に留学し、法政大学を卒業しているのです。

その後、沈鈞儒は中華人民共和国成立後、最高人民法院の初代院長に就任しました。

当時の中国は戦争などの混乱期でもあり、多くの知識人が留学によって知識を身に付けていましたが、日本への留学生も多かったのです。このような中華人民共和国成立初期に活躍した人については、日本人にはなじみがないかもしれません。しかし、そのような人物もしっかりと日本との関係を持っているので、そのような経緯を踏まえて、沈鈞儒記念館などで日中間の歴史の深さに思いを馳せてみるのもいいかもしれません。

沈鈞儒記念館
住所:浙江省嘉興市南湖区環城南路545号
開館時間:火曜日~日曜日 9時~16時


高橋孝治〈高橋 孝治(たかはし こうじ)氏プロフィール〉
立教大学アジア地域研究所特任研究員
北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)、国会議員政策担当秘書有資格者、法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格者)。中国法研究の傍ら、講演活動などもしている。韓国・壇国大学校、東アジア人文融複合研究所、海外研究諮問委員や市民大学「御祓川大学」の教授でもある。著書に『ビジネスマンのための中国労働法』、『中国社会の法社会学』他多数。『時事速報(中華版)』(時事通信社)にて「高橋孝治の中国法教室」連載中。

Pocket
LINEで送る