中国史・法律の軌跡をたどるマニアック探訪「遂川県工農兵政府跡地」
中国近代史は、現代中国につながる重要な歴史といえる。この中国近代史の中でも、法制史につながる部分を中国を知りつくした著者が、日本人が踏み込まないようなマニアックな地を訪れ、近代法制史を振り返る旅行記。
中国共産党が初めて統治をおこなったのはどこであるかご存知でしょうか。1927年10月、中国共産党は、当時の中華民国政府(中国国民党政府)と内戦をし、江西省の井岡山(せいこうざん)に立てこもりゲリラ戦を展開しました。このため、井岡山は中国共産党が初めて統治をおこなった場所ということになります。
そして、井岡山の統治は、ある程度形にもなっていました。例えば、井岡山から少し離れた「遂川(すいせん)」という場所には、政府庁舎も建っていました。この1928年1月24日に建てられた「遂川県工農兵政府」庁舎の跡地は、現在「遂川県博物館」として一般公開されています。
中国共産党にとって初めての政府機関ということで、中国にとって非常に重要な博物館と位置付けられているようです。もっとも、中国の鉄道で「井岡山駅」(江西省)からタクシーで2時間ほど行く必要があり、行くのはかなり大変ではあります。しかし、そのような行きにくい中にあっても行く価値のある場所だと思います。中国近代史、中国共産党史に興味のある方は一度は行ってみてほしいと思います。
遂川県博物館(遂川県工農兵政府跡地)
住所:江西省吉安市井岡山市茨坪鎮紅軍南路5号
〈高橋 孝治(たかはし こうじ)氏プロフィール〉
立教大学 アジア地域研究所 特任研究員
北京にある中国政法大学博士課程修了(法学博士)、国会議員政策担当秘書有資格者、法律諮詢師(中国の国家資格「法律コンサル士」。初の外国人合格者)。中国法研究の傍ら講演活動などもしている。韓国・檀国大学校日本研究所 海外研究諮問委員や非認可の市民大学「御祓川大学」の教授でもある。著書に『ビジネスマンのための中国労働法』、『中国社会の法社会学』他多数。FM西東京84.2MHz日曜20時~の「Future×Link Radio Access」で毎月1、2週目にラジオパーソナリティもしている。Xは@koji_xiaozhi