おすすめスポットもご紹介!「中秋節」を祝おう
中華圏の一大イベント「中秋節」を祝おう
中秋節は毎年の農歴8月15日で、今年は9月29日(金)がそれにあたる。香港をはじめ中華圏の街並みは、赤いランタンなどで彩られひときわ華やぐ季節だ。澄んだ秋の空に昇るこの日の満月は、1年の中で一番丸くて大きいといわれ、多くの人が屋外に出て月見を楽しむ。中秋節を祝うために、人々は古くから秋の収穫を月の神様に感謝し、月餅を贈り合ったり、一家団欒を楽しむ風習がある。
春節、清明節、端午節と並ぶ中国四大祝日のひとつ。「中秋」の字は、戦国時代の書物に言及されていることが確認されている。その後、秋の豊作を祝う祭事的な意味合いが強まり、清朝では家族みんなで月を愛でる日へと発展した。
供え物の餅が丸くなって月餅に
中秋節に欠かせない月餅だが、「月餅」という言葉は800年以上前の文献にも登場しており、もともと月餅は月の神に捧げる供え物の餅だった。その後、丸い月にちなんで丸い形になったと言われる。家族円満を願い、家族で食べたり、親戚や友人にも贈られたりするようになった。
吃柚子
満月の月と同じように丸いブンタンは「團圓(団欒・円満)」を象徴している。ブンタン(ザポン)の中国語は「柚子」で、「柚」(you)と同じ発音の「佑」(you、護る)を連想させることから、月のご加護を祈願する意味を持つ。また、この季節が柚子の旬であるため、中秋節には欠かせない果物とされている。香港では柚子の葉を沸騰させ、沐浴の時に体の邪気を払い、幸運を呼び寄せるものとしても使われている。
吃菱角
子どもがいる家庭では、「菱角」(菱の実)を子どもたちに食べさせる。菱角には子どもたちが賢くなるようにという願いが込められている。菱の実は表面の皮を剥いて粒状に切り分けお粥にし、月餅の後に食べる。
吃芋頭
里芋には「魔除け・厄除け」の意味がある。中秋節で食べるのは、この季節が里芋の旬であること、さらに春に親芋を植えると秋には一株の親芋からたくさんの小芋がなることから「母子團圓」の象徴とされている。
炒田螺
中秋節に田螺(タニシ)や石螺(石巻貝)を食べる風習の起源は、ある秀才に由来するという。中秋節に貧しくて肉を買えなかったこの秀才は、タニシと石巻貝を集めて煮て、月を見ながらこれを食べた。後に、秀才はみごと科挙に合格する。田螺は「攀桂」(科挙合格)ともいわれ、中秋節で食べられるようになった。この季節のタニシは食べ頃で、目に良いとされている。
さっそく出かけよう!おすすめスポット
利東街「躍兔・迎月」綵燈會
毎年恒例となった利東街の美しいランタンは必ず見ておきたい。今年はランタンの数も800個とパワーアップし、7mを超える大きな月と兎のオブジェも出現、さらに18mのLEDでできたドラゴンの舞も鑑賞できる。期間限定のポップアップストアも多数出店し、お祭りムード満点。 200 Queen’s Rd. East, Wan Chai
www.leetungavenue.com.hk/en
元朗の燈籠街(ランタンストリート)
中秋節と国慶節が近づき、元朗大橋街市のキャンドルショップでは、例年通り1,000個以上の伝統的な紙製のランタンが飾られ、その美しさに多くの人が訪れる。近年伝統的なランタンの数が減っている中、ランタンストリートには、香港でデザインされた金魚や白うさぎ、スターフルーツなど、現地の人の手で作られた様々な趣向を凝らしたランタンが並んでおり、伝統的な赤いランタンをはじめさまざまな模様がデザインされた物や、流行のキャラクターの物もある。
元朗大橋街市
大澳ランタン祭り2023
コミュニティ組織「大澳非茂里」が主催する当イベントでは、手描きの1,000個のランタンが路地の高い位置に展示され、9月~10月の間、夜間にライトアップされる。また手描きランタンのワークショップ、マーケット、ドラゴンボートレース、写真展、音楽イベントなど、さまざまなアクティビティを用意。水郷の棚田が美しくライトアップされる様子は幻想的だ。
Kat Hing St., Tai O
フェイスブック:大澳非茂里
ビクトリアパーク 中秋綵燈會
香港最大とも言える中秋節のイベントと言えばビクトリアパークの展示。広大なエリアにいくつものランタン作品が並び、兎年の今年はウサギをモチーフにしたランタンが多く見られる予定。18時30分よりランタンの灯がともされる。家族や友人と、中秋節を祝って美しい写真をたくさん撮ろう。
1 Hing Fat St., CWB
ランタン職人・欧陽秉志さんに聞く
機械には作れないあたたかさ
中秋には欠かせないアイテムの1つ、「ランタン(燈籠 ダンロン)」。一般的には、旧暦7月15日以降、街市の紙製祭祀用品店や文房具店で売り始めるこのランタン、今日ではプラスチック製で機械が作る量産型が主に流通している中で、伝統的な手作りの紙製ランタンを作る職人がいる。今回はその職人、宝華扎作(Po Wah Paper Crafting)の二代目・欧陽秉志さんにインタビュー。
まず初めに、自己紹介をお願いします。
1997年にデザイン学校を卒業し、就職先を探していたのですが、最終的に父親が初代の家業を継ぎ、かれこれ20年近く今の仕事をしています。作業自体は父親や従業員の手伝いをしながら学んできました。また始めた当時はAIBOなど流行っていたものからインスピレーションを受け、参考にしながらオリジナルのものを作り始めましたね。作ったものはお店の外から通行人にも見えるように置いていたところ、メディアに取り上げられることも。そうしたところからこの仕事を続けていこうと決めました。ちなみに本来は祭祀用品(火葬の際に棺桶に入れて一緒に焼く、紙で作った故人の好きだった物)を作っていますが、中秋節の時期になるとランタンを作っています。
なぜ祭祀用品職人なのにランタンを作るのでしょうか。
やはり伝統的に行われている行事ですし、何よりこの時期になるとランタンを作ってくれとオーダーが来るので、中秋節の時期限定ですが必然的に作るようになりました。また、私の初めての作品はスターフルーツのランタンでした。 お客さんの大半は、伝統的なランタンを見て子どもの頃を思い出したり、そういった懐かしさだったりノスタルジーを感じたい方が多いように思います。これは手作りならではかと思います。ですので今でも市販の物より値段が張っても、当店にランタンを買いに来る人は絶えません。
ハンドメイドで実際ランタンを作るのにどれくらい時間がかかるのでしょうか。
まず作成工程から説明すると、竹で骨組みを作り、その後、紙と場合によっては半透明のフィルムを用いてランタンを作ります。スターフルーツのランタンだと一つ作るのに上手くいけば2、3時間といったところです。上手くいけばというのは、最初の竹の骨組みが上手くいかないと、そこで時間がかかります。
どうしても竹なので途中で折れてしまうからです。兎だとだいたい一週間、大きいものだと何週間とかかる時もあります。また、動物の毛のフサフサ感を表現したり、特殊な作業工程を追加したりすると更に時間を要します。
祭祀用品が主な作品と伺いましたが、ランタン以外にはどのような物を作製されているのでしょうか。
伝統的な中国の漢服や食べ物、動物を作ったり、大掛かりな物では楽器、自転車など、幅広く色々なものを作製しています。また、以前中秋節にビクトリアパークで作品が展示されたこともあります。
今後の展望をお聞かせください。
9月に初個展を開催します。香港ならではの竹を使った作品をたくさん創作しましたので、ぜひ会場にお越しください。
9月17日まで欧陽さんの初個展開催中
202 Tai Nan St., Sham Shui Po 宝華扎作 Po Wah Paper Crafting
住所:G/F., 2D Fuk Wing St., Sham Shui Po
電話:(852)2776-9171
時間:9:00~19:00
PPW厳選!
中秋節に喜ばれるプレミアムギフト
中秋節といえば、中華圏では月餅を送りあうのが古くからの習わし。しかし近年行われた調査では、香港だけでも年間450万個以上の月餅が食されることなく廃棄されており、食品ロスが社会問題となっている。そこでこのページでは、贈り物を考えているけれど何を贈れば喜んでもらえるか分からない…と悩んでいるあなたに、PPW編集部が厳選した中秋節の特別ギフトをご紹介!
もはや定番!
フルーツバスケット
九龍の下町エリア、油麻地(ヤウマテイ)にある「油麻地果欄( ヤウマテイクォラーン)」。夜中から稼働する卸売青果市場で、日中は一般客も購入できる小売市場となる。外国産の質の高い果物も多く並ぶことから常に客足が絶えないが、特に9月ごろになると、高級フルーツの盛り合わせを買い求める人でごった返す。月餅同様、中秋節にフルーツを贈るのがもはや定番となっているからだ。なかでも桃やぶどう、柿、梨、メロンといったこの時季旬の果物は人気が高い。中秋節間近はデパートなどでも綺麗にラッピングされたフルーツが数多く並ぶが、街の青果店では日本産と偽って販売されていることもあるので、明らかに安すぎるものなどは注意しよう。
台湾風に家族そろってBBQ
高級ビーフ
台湾では中秋節に家族が集まってバーベキューをするというのが定番となっている。これはあるソースメーカーが麻雀で使われる言葉「三家贏一家」(3人が結託して打ち負かすこと)をもじって「一家烤肉三家香」(1軒が焼き肉をすると3軒に香る)というキャッチコピーの広告を出したことが始まり。ここから家族が集まった時はバーベキューをするという刷り込みにより、中秋節にこの風習が根付いた。香港ではバーベキューは冬にするものと考える人が多いこともありこの習慣は広まってはいないが、和牛など高級肉は誰に贈っても喜ばれるもの。台湾流にバーベキューを勧めてみてはいかが?
日本のこころを贈りたい…
和菓子
日本人として贈り物をするなら、やはり和菓子はおすすめ。和食好きの香港人にも親しまれており、日本スタイルのデパートSOGOなどで簡単に手に入る。満月を連想させる丸いまんじゅうや団子を贈ると喜ばれるかも。
アルコール好きにはコレ一択!
日本酒などの高級酒
お酒好きの人には、有名どころや珍しい銘柄の日本酒・焼酎がイチオシだ。清酒の輸出先としては世界一の香港。日本政府に初めて認可された輸出専用日本酒の初出荷先もこの地である。日本酒ブームを受けて専門店も多く存在し、手に入りやすいのが有り難い。ぐい呑みや徳利と一緒に贈っても喜ばれそう。
いちばん喜ばれるかも⁉
デパートやスーパーの商品券
相手の好きなものが本当に分からない時は、選んでもらうのがいちばん。SOGO、Lane Crawfordといったデパートや、AEONなど身近なスーパーでも贈答用の商品券を扱っており、普段の贈り物としても人気がある。有効期限はあれど必要なときに必要なものを購入できるので、受け取る人も贈る人も、何気に最も嬉しいかも⁉
インテリアとしても人気
3Dムーンライトランプ
近年流行している中秋節にぴったりな満月デザインの照明器具。電池式のものが多く、お月見の夜にランタンとして屋外へ持っていけるだけでなく、中秋節後もおしゃれなインテリアとして重宝できる。インテリアショップや雑貨店などで購入可能。
やっぱり月餅は外せない⁉
人気店のひと味違うムーンケーキ
そうは言ってもやっぱり月餅を贈りたい!自分でも美味しい月餅を食べてみたい!という人におすすめの、ユニークなムーンケーキをご紹介。トレンドは、中秋節後も使えるパッケージデザイン。味よし、見た目よし、使い勝手よしな最新月餅をどうぞ。
飾って可愛いブリキの置き物
Ralph’s Coffee
人気アパレルブランド「Ralph Lauren(ラルフ・ローレン)」が手がけるカフェ「Ralph’s Coffee(ラルフズ・コーヒー)」。香港以外にもニューヨークと日本に店舗があり、コーヒーには創業者ラルフのお気に入りブレンドを、スイーツには妻であるリッキーのファミリーレシピを再現したブラウニーを提供している。そんな同店から販売されているのは、ムーンケーキを積んだリヤカー型ギフト。カフェエプロンを付けた可愛いテディベアのメッセージカード付きで、開閉できるパラソルや花束いっぱいの荷物カゴなど、ディテールへのこだわりが乙女ごころをくすぐる。食べやすいミニ月餅が6個入っており、フレーバーはカスタードと抹茶の2種類。抹茶味は京都宇治産の有機抹茶を使用したラルフズ・コーヒーオリジナルの抹茶ラテを再現して作られている。
HKD488
販売期間: なくなり次第終了
www.ralphlauren.com.hk
エレガントなジュエリーボックスに変身
Lady M
ケーキ界のルイ・ヴィトンとの呼び声も高い「Lady M(レディー・エム)」。日本発祥のミルクレープを世界に広めた実力派であり、第1号店はニューヨークにありながら、アジア人が好む甘さ控えめな味に仕上げられている。洗練された内装も相まって、香港進出当初から話題の大人気ケーキショップだ。そんなLady Mからも、期間限定の月餅ギフトボックスが発売中。3種のフレーバー、ゆずミルクカスタード、抹茶パンダンカスタード、ライチローズカスタードは、老舗の中華菓子メーカー「奇華餅家」と共同開発された。ラグジュアリーなパステルピンクのパッケージは、ジュエリーボックスとしても使用可能。サステナブルな時代に相応しいスペシャル月餅となっている。
HKD688
販売期間: ~10月2日
www.ladym.com/mooncake