僕の香妻交際日記 第52回 1日で1200リットルの水を使う家族
私たちが生活する上でどうしても避けられない出費の一つが光熱費である。
香港は今年ももう夏真っ盛りだが、こう暑いと昼も夜もどうしてもエアコンに頼らざるを得ない。ましてや今年はコロナのせいで休日もろくに外に出られないので、ほぼ24時間エアコンつけっぱなしのコンビニ状態である。
もともと空気にうるさい妻はこの夏の暑さ、湿気、コロナという歴代最強クラスのクリンナップへの対策としてエアコン、ダイソン(扇風機)、加湿器という「家電三種の神器」をもって日夜空気の洗浄に勤しんでいる。
実際、これら3つの家電を狭い香港の家で一斉に使うとすごい効き目があって、我が家はたちまち冷蔵庫と化する。特に夜、狭い香港の家の中にあるさらに狭い寝室でこれらを一斉にオンにした日にはもはやオーシャンパークのペンギンハウス並みの寒さだ。その寒さと言ったらこの夏、三種の神器を崇拝してやまない妻に頭のてっぺんまでごっつい毛布を被らせ、普段すごい寝相で掛布団を蹴散らしていた2歳の娘においてはしっかりと肩まで布団をかけて礼儀正しく寝させちゃうくらいである。
そんな真冬のように眠る2人を横目に私は何をしているかというと、少なくともダイソンの稼働を止め、エアコンの強度をLow Coolに設定するために、妻が寝入るのをじっと待つのである。
敵は水道にあり
こうやって我が家の現状を振り返ってみると、改めて電気請求書を見るのが恐くなる。
そう思っていた矢先、7月に電気、水道、ガスの請求書がポンポンポンと一気にやってきた。
電気代 $1680 2019年12月~2020年6月
水道代 $1413.9 2020年2月~6月
ガス代 $295 2020年5月~6月
なんと、あれだけ恐れていた電気代が大方の予想を裏切り月平均280HKD程度というガス代並みの出費で上半期をフィニッシュ。一方でまったくノーマークだった水道代がまさかの1,000HKD超え、月平均で350HKDと初の電気代超えを果たしたのだ。
ただいま混み合っております
水道請求書の備考欄によれば「香港人の1日の平均水道使用量は130L、世界平均が110L、あんたは1,205L使っている」とのことだった。これは聞き捨てならないとさすがの私も怒りを露わにして、早速水道局へ抗議の電話を掛けた。すると「ただいま大変お電話が混み合っております」と定番の門前払いメッセージで一蹴されたのだが、1日に1200Lも使用しているというのがどうしても信じられず今度は水道局宛に証拠を見せなさいとEメールを打った。
犯人は…俺だ
Eメールを出しても怒りが収まらず、妻にも「ありえないっしょ!」といつも妻が私にキレているときのような威勢で共感を求めたところ、意外にも妻は冷静だった。
「あんた、コロナ以降毎晩手洗いで自分の服洗っているからそれが影響したんじゃない?」
説明しよう。私はコロナ発生以降、家に帰るとすぐにシャワーとその日着ていた服一式の手洗いを欠かさずにいた。自分の服のためだけに毎晩洗濯機を使うのは電気と水がもったいないと思ったためだ。
さらに妻から「あんた、どうやって洗ってんの?」と問い詰められたので、「足マッサージ用の木桶で洗い10回、すすぎ10回を心がけています…」と答えたところで、突如それまで胸のうちにあった怒りの炎がすーっと消えた。
1日1200Lの使い方
足マッサージ用の木桶は調べてみると20L近く水が入るらしい。それを洗いとすすぎで計20回も水を出し入れしていたら優に400Lの水を使うことになる。とはいえ、それでもまだ1200Lには遠く及ばないのだが、我が家にはもう一人手洗いをする人間がいた。ヘルパーだ。彼女も私同様市場での買い物から帰ってくるとシャワーと服の手洗いを義務付けられていたので、彼女がどれくらい洗いとすすぎをしていたかは知らないが、まあ私と合わせて800L近くの水が使われていたことは想像できなくはない。
心配なのは電気代よりも…
そんなわけで、じゃあもう服を手で洗うのはやめようという結論にいたり、コンビニで1400HKDの支払いを済ませ、次回の請求書からは人並みの請求額であることを祈りながら日々節水に励むこととなった。
夏ということもあり電気代ばかりに目がいきがちだが、皆さんには是非水の使い方にも気をつけてほしいと思う。
それにしても、妻の三種の神器は今日もフル稼働だが、大丈夫か、ダイソンのモーター…
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。