僕の香妻交際日記 第47回 香港人の履歴書
先日、突然社長からHR(Human Resources / 人事部)の仕事を手伝うように頼まれて、香港人の履歴書を読む機会が増えるようになり、もともとHR歴の長い妻とも共通の話題ができたので、夫婦間の会話にも活気が蘇ってきました。
1.転職当たり前
「香港人にとって転職は当たり前」ということは妻からもよく聞いていたのですが、実際に30歳前後の応募者の履歴書を見るとだいたい2~3社はすでに渡り歩いている人が多いです。面接で転職の理由を聞くと「スキルアップ」「キャリアアップ」ということを口にする人がほとんどなので、香港人は向上心高いよねと妻に話したところ「仕事が楽でそこそこの給与がもらえる会社を探し回っているだけ」と一蹴されました。
2.英語が難しい
香港人の履歴書はだいたい英語で作成されているんですが、みなさん難しい英語を使って書いているので読みづらいんです。で、実際に面接で話してみるとあまり英語が得意でない様子の人も多く、「香港人の履歴書はホントに読みづらいっ!」と妻も激しく同意してくれました。
3.給料高い
香港人の履歴書の最後にはたいてい希望給与額が記載されています。みなさんなかなか強気な額を要求してきます。たとえばAssistant Managerレベルで30,000HKD/月、Managerレベルだと40,000HKD/月、Accounting ManagerやWarehouse Managerくらいになると50,000HKD/月を超えてきます。会計や倉庫の業務は激務なのでそれなりに給与も高くなります。営業部門は20,000HKD/月くらいになりますがボーナスが多めになります。先日、うちの会社のAssistant Manager職への応募者の希望給与額が45,000HKDだったよと妻に伝えたら「高っ!アタシが面接やってあげようか?」と謎にやる気満々でした。
4.履歴書美人
香港人の履歴書を見てきて感じたことは、「みんな優秀…そうだなあ」ということです。数々の会社を渡り歩き、それぞれの会社で立派なAchievementを獲得し、語学も英語、広東語、普通語はすべてExcellentかGood Commandレベル。そんなに優秀なら転職しないで今いる会社でキャリアアップを目指せばいいのにと思うのですが、いざ面接をしてみると履歴書から漂った人間像の3分の1スケールくらいの人間が多く、1つの会社でキャリアアップできない理由がなんとなくわかる気がします。妻も「履歴書なんて当てにならん」と香港での優秀な人材の採用の難しさを力説してくれました。
とはいえ、やはり応募者の中には本当に優秀な人材もいます。そういう人たちは面接で話すとHR素人の私でもすぐにわかります。なんというか、その職に対する熱意が違うんです。目に力と輝きがこもっている。まだまだHRとしての日は浅いですが、自分なりに人材の選別方法を見出した私は早速妻に
「俺はさあ、面接のときに相手の目を見るようにしてるんだ。目でその人の熱意が感じ取れるんだよね。」
と気取ってみたところ、妻にこう言われました。
「今はみんなマスクしてるから目しか見えないだけでしょ。アホ」
終
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。