読むだけでママが笑顔に「ままサプリ」 第113回
連載 第113回 就職活動をしないという長男
お正月は東京で大学生活を送っている長男が帰ってきていました。
ある夜、長男が「就職活動をしたくない」と言い出しました。
リクルートスーツを着て会社を回るいわゆる「リクルート活動」に興味がないというのです。
今の日本の就職は、まだまだ総合職採用の時代。クリエイティブで人見知りな人が営業に配属されたり、デスクワークの苦手な外交型の人が事務職として採用されたりしています。
選べるのは、公務員なのか、金融なのか、メーカーなのか業種であって、個人の能力を発揮するのに大切な「職種」はまだまだ置き去りにされています。
アメリカやヨーロッパの学校では、専門課程を選択する時に、「これを選択すると、将来はこんな職種で活躍できます。」と自分の能力をどう活用できるかが具体的にイメージできるといいます。
実際日本でも専門職のニーズはますます増えていて、学歴ではなく「個人として何ができるか?」が問われるようになってきました。
これからAIが進むと、誰もができるような雑多な仕事、知識だけが要求される仕事はAIが代行し、「自分にしかできない突出したもの」を持っていることが必要になってきます。
それはまさに、「好きで得意なこと」だけが生き残る時代。
「好き」だけれども「得意」でないことは時間がかかる。
「得意」だけれど、「好き」でなければ続かない。
この両方を兼ね備えている「好きで得意なこと」をどれだけ早く見つけられるか。
これからはそんな教育が期待されています。
けれど、今の教育はまだまだ受験のため、進学のための学力をあげること重視で、個人の才能や向いていることを探す時間が取れていないように思います。
長男は、自分らしく生きるためにずっとこの「好きで得意なこと」を探してきました。そしてようやく、それを形にできる段階まできたそうです。
「大学3年生から『業種』だけで会社を幾社も回る時間を『好きで得意なこと』を発信する時間、挑戦する時間に使いたい」と言うのです。
じっくり話をしてみて、子供たちの生きている今は、私たちの生きてきた世界と大きく違っていることに気づきました。
自分の経験に照らし合わせると、賛成できないことも多々あります。
自分たちの価値観を押し付けるでもなく、子供のいうことを鵜呑みにするでもない。大切なのはどうしたら長男が長男らしく生きていけるのか?そこを大切に夜中の2時まで話しました。
帰る日に、「はじめの一歩を踏み出したんだね。はじめの一歩が出たらあとは進むだけ。応援してるよ。」と言うことができました。
「言葉にできて気持ちが整理できた。ありがとう。」
母親として、いつの間にか大きく成長していく我が子をただただ応援していたい。そしていつの日もエールを送る存在でいたいと思います。
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Kyou氏 プロフィール
海外で3兄弟を育てる中、人を育てる一大事業に頼れるものが何もないことに疑問を持つ。
現在上海ママたちに心理学、統計学、コーチングなどを基にした「ままサプリ」展開中。香港にて講座開催中♪
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