僕の香妻交際日記 第3回 ジャッキーチェンみたいな笑顔
「本音と建前」という言葉は日本人の民族性を語るうえで欠かせません。
帰りたいけど帰らない。
おいしくないけどおいしい。
イライラするけど怒らない。
こういった経験は皆さんにも一度はあると思います。
そういう私も「本音と建前」をしっかりと守っています。
つらくても、面白くなくてもいつも笑顔を絶やしません。
そんなある日、ザ・日本人の私にザ・香港人の妻が予想外の一言を言ってきたの
です。
「あなた、そのジャッキーチェンみたいな笑顔やめなさいよ」
この「ジャッキーチェンみたいな笑顔」とは、ご察しの通り「顔がジャッキーに似てるね」ということではなく、
もちろん「すてきな笑顔だね」という誉め言葉でもなく、日本語で言うところの「気色悪い」ということなんだと思います(悲)
人前ではいつもいい顔して、裏でひどいことをしている、そんな腹黒い人間
(ジャッキーチェンがそういう人かどうかは分かりませんが)の笑顔のように妻には
見えたのでしょう。
妻はそんな私の笑顔を「ジャッキースマイル」と名付けました。
不思議なことに私がこのスマイルを出すと彼女はすぐに気づくんですね。
「あなた、何か隠してるでしょ?」
妻に聞いたところ、私のジャッキースマイルを嫌いな理由は2つ。
1つは夫婦としてお互いに正直になるべきということ。
もう1つはそんな笑顔で周りの人を幸せにはできないということです。
そう言われるとジャッキーファンの私としても手も足も出ません。
香港には今も昔も「本音と建前」という文化はないようです。
お互いに正直になるからこそストレスがたまらないというのも一理あると思います。
でも、このような文化がないから香港人がいつも幸せかというとそういうわけでも
ありません。
正直であることで絆を深められるときもあるし、衝突するときもあります。
そして、文化に良いも悪いもありません。
国を超えて受け入れられるものもあればそうでないものもあるというだけです。
ただ、私のジャッキースマイルは受け入れられなかったということ…
そんな私が今取り組んでいるのはチョウ・ユンファスマイル。
これはなぜか妻のツボにはまっています。
皆さんも是非お試しあれ。
笑顔のポイントは目じりにしわを寄せること
ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。