ホワイトストーンギャラリーにて鷲見康夫氏、初の香港個展(黃竹坑)

2016/03/14

AUTONOMY THROUGHMESSアジアの芸術都市とも言われている香港では日々大小様々な展示会が各地で催されている。現代芸術に造詣の深い人ならば現在ホワイトストーンギャラリーで開かれている「AUTONOMY THROUGHMESS(乱雑さを通しての自律性)」を見逃す手はないだろう。同展覧会は日本の前衛現代画家として活躍した鷲見康夫(すAUTONOMY THROUGHMESS2みやすお)初の香港個展。昨年10月惜しまれながらもこの世を去った同氏が準備に携わっていた展覧会で、未発表の作品も展示される。
1925年大阪で生まれた鷲見康夫は筆の代わりにそろばんや櫛、かさ、バイブレーターなどの道具を使用して絵を描いたことで知られる。アーティストとしてのキャリア
は抽象画家として活躍していた嶋本昭三(しまもとしょうぞう)と出会うことで始まる。嶋本は絵具を詰めたガラス瓶をカンヴァスに投げつけその砕け散った塗料にエネルギーの激しさを表すなど、新しい手法を数々取り入れた前衛画家で、「絵具と絵筆は悲劇的関係にあり、絵筆による虚勢の彼方に絵具の本質的美を求める」と語ったと伝えられている。両氏はともに前衛アーティストたちで結成された団体「具体美術協会」に加入しており、空間を活用した大規模なパフォーマンスや大阪万博(1970年)への出展など精力的に活動を続けた。
今回の展覧会では鷲見の60年に亘る芸術キャリアを象徴する作品群が展示される。17歳で「具体美術協会」に加入して発表した作品から、晩年制作し公には未発表のものまで約40作品が用意される。「人は『自然』について話すとき、外側の世界のばかり注目していますが、私たち自身も『自然』の一部なのです。それはつ
まり『自然の力』は我々も内包していることを意味します。考えないことは自然なことで、その境界に達する事で創造性が生まれます。私は何も考えずに作品を創り出すとき、いつも作品がぐちゃぐちゃで汚く仕上がるのです。」と鷲見は語る。
ダイナミックな手法で、溢れ出るような自身の内面のエネルギーを描き出した前衛画家。その心の内を感じる一日を過ごしてみてはいかがだろうか?

YASUO SUMI: AUTONOMY THROUGH MESSAUTONOMY THROUGHMESS3
4月9日まで
住所:Whitestone Gallery Hong Kong, 28F Global Trade Square,
21 Wong Chuk Hang Rd., Wong Chuk Hang
時間:火~土 11:00~19:00
電話:(852)2523-8001
ウェブ:http://whitestone.hk

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