海外で活躍する塾講師インタビュー「epis Education Centre」
学生時代に出会った一冊の本が彼女の歩む道に大きな影響を与えた。
紛争地域など、世界には文化的教育を受けられない多くの子供達がいる。
ボランティアという形でその現実に触れた彼女は、世界を舞台に「教育」に携わることとなる。
いま、香港で塾講師として教鞭をとる彼女は、広い視野を持って、子供達の将来の可能性を一緒に見据えようと日々を送る。
塾の先生になろうと思われたきっかけは。
学生時代にテスト勉強のために資料を買いに書店に行った際に、偶然、山本敏春さんという「国境なき医師団」で活躍されていたお医者さんの本に出会いました。その本で海外での医療活動に関心を持ち、ボランティアに応募して採用されたんです。
写真家でもある彼はプロジェクトの一環として、世界中の様々な国(シエラレオネなどの紛争地域が多かったんですが)に行って、「あなたの大切なものはなんですか?」と、子供達に絵を描かせる。その写真で絵本を作っていたんですが、それを見ると国や地域、その環境によって子供達が描く絵が全然違うんですね。例えば、お花を描く子もいれば、ゲームの絵を描く子もいる。かと思えば、地雷の絵を描く子もいる。
中でもシエラレオネの子供が描いた絵が印象に残っています。シエラレオネの子供は5歳まで生きられないとも言われています。そこの子供達が描いた絵というのは、真っ黒な絵とか、同じ年齢の他の国の子供が描いたものと全く違う。あるいは、絵を描けと言われても、絵というものを描いたことがないので描けない。世界には文化的な教育を全く受けていない子供達がいる、という事実に、非常にショックを受けました。子供の価値観は教育によって、そんなにも変わるものかと。同時に、彼らが受けている教育というのは非常に重要なのだと感じ、それで教育に携わろうと思いました。
海外で働こうと思われたのはなぜですか。
日本でも塾に勤めておりまして、夏休みなどに期間限定でたまに帰国生の生徒を教えていたんですが、彼らの純粋さ、知的好奇心の高さとか、そういう部分で海外に住んでいるお子さんに魅力を感じていました。学校生活とか日常生活に目が行きがちな日本の子供に比べて、「どうして日本の子はこうなの?」とか、「どうして先生は先生になろうと思ったの?」とか、物事を客観的に捉えているなと感じる質問や、鋭い質問に「様々なことに興味があるのだな」と感じることが多かったんです。ただ、夏の短い期間にしか帰国生を預かる機会がなかったので、彼らの将来を一緒に考えるというところまでの関係は築けKey Woman 香港、広東で 輝き続ける女性に会いたい!ず残念に思っていました。そういったことから、海外で塾講師をしたいという気持ちをずっと持っていました。
香港の子供達と接する上で心がけている点、日本との違いはありますか?
こちらで教える子供達は、日本中どこでも帰国地となる可能性がありますし、もしかしたら更に海外という可能性もあります。私自身も今まで以上に広い視野を持って、大げさに言えば自分が生きてきた人生よりも広い視野をもって彼らの可能性を考えていかなくてはならないと考えています。これは海外、日本ともにですが、自分の家族同様、一番大切なものとして考えるというところでしょうか。自分の人生と同様に彼らの人生も大事だと思って接することを心がけています。
仕事をするうえでやりがいを感じる瞬間、逆に難しいと感じる事をお聞かせください。
それは生徒の成績が上がって志望校に受かった時ですね!目に見える結果がやはりモチベーションにつながります。
例えばある生徒さんはインター校に通っていて、英語は得意ですが国語がとても苦手でした。その彼女が当校の国語の月例テストで80点近く取ったんですね。本人もそんな点を取れたのがものすごく嬉しかったみたいで、積極的に勉強するようになりました。この教室はインター生も多く、ダブルの生徒もとても多いんですよ。国語に対する苦手意識が強い生徒でも、何かのきっかけで国語が好きになって進路が大きく変わるというケースも多々あるので、たかが月例テストという小さなテストなんですけど、そういう結果にもこだわっています。
また、授業が自分なりに満足にできたからといって、それが生徒の成績に直結するとは限りません。授業のクオリティはもちろん、保護者の方に本当に心を開いて、信頼関係を築くことは簡単ではありませんが大事なことです。そのためには親御さんからのフィードバックが不可欠だと思いますので、親御さんが生徒さんの迎えにいらっしゃった際など、親御さんとのコミュニケーションを大切にしています。
日々の授業のために心がけている点はありますか。
自分だけで予習をするより、先輩方などに訊いて新しい考え方を取り入れるという事を大切にしています。
実際に他の先生の授業を見学することは難しいので、例えば「自分はこういう風な教案を書いてる」など、九龍教室の先輩の女性講師からヒントをもらい、自分の中に取り入れてみたりとか、「この時期にこのテストで良いのか」とか、先輩を頼っています。結果的に生徒達の反応も良いので、それは重要なことかなと思っています。
今後どこの国で教えてみたい、など 夢を教えてください。
トルコや中東など、イスラム圏の子供がどういう経験をしているかというのも知りたいですね。そういうところの生活環境を経験してみたいとも思います。文化的背景がアジアとは全く異なるところの子供達に接する機会があればいいなと思います。
おそらく私は塾の講師としてしか生きていけないと思っているので、もっといろいろな国で塾の講師として、経験を積み、腕を磨いていきたいと思っています。
休みの日はどういった過ごし方をされていますか?
お買い物をしたり、最近はこう見えてハッピーバレーで走ったりしています。あとは、episの講師で飲みに行ったりしています。飲めなくてもオレンジジュースで最後まで付き合います(笑)。
香港で働く女性にメッセージをお願いいたします。
香港はすごく女性が働きがいがある環境だと思います。この環境を生かしてどんどん夢や目標を達成すべく邁進して欲しいと思います。
たくましくなれる環境だと思います!
ありがとうございました。
森 理江さん
学生時代に出会った山本敏春氏の著書により教育に携わることを決意。帰国生の自由で純粋な感性に触れて、海外で働く事を目指す。「年に1回社内でTOEICを行っているのですが、それもきちんとスコアをあげています!」彼女の挑戦はまだまだ終らない。
epis Education Centre
〈香港教室〉
住所:1/F., Redana Ctr., 25 Yiu Wa St., CWB
電話:(852)2838-7177
ファクス:(852)2838-1027
〈九龍教室〉
住所:Shop 143-145, Level 1, The Laguna Mall, 8 Laguna Verde Ave., Hung Hom, KLN
電話:(852)2362-0221
ファクス:(852)2362-1181
〈わかば深圳教室〉
住所:南山区南海大道1113-1115 花様年美年広場3棟2階
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