伊藤計劃の同名SF小説がアニメ映画化「平和な社会」
2019年、アメリカで起きた「大災禍(ザ・メイルストロム)」と呼ばれる事件をきっかけに、世界では戦争や疫病が蔓延し旧体制が崩壊した。「健康、幸福、調和の思想に支配された社会」を理想とする新政府が発足し、そこで生まれた社会は「息苦しいほど優しくねつ造された世界」だった。
そんな「穏和」な日常が半世紀ほど過ぎたある日、世界中で多数の人が同時刻に自殺をするという事件が発生。新政府の一大組織「螺旋監察事務局」の上級監察官だった霧彗トァンは、その原因を探る中で13年前に自殺したはずの友人、御冷ミァハが裏で関係しているのではないかと疑う。時を置かずして「1週間以内に一人以上殺さなければ、自らの命を落とすだろう」との犯行予告声明が発表され、世界はパニック状態に陥った。
事件の背後に見え隠れする御冷ミァハ。「私は、永遠だと人々が思っているものに不意打ちを与えたい。」と言う彼女の狙いは一体何なのか。
同作品は2007年にミステリー小説家としてデビューしたものの、そのわずか2年後に34歳という若さで夭折した伊藤計劃による同名の小説が原作。同小説は第30回日本SF大賞のほか、英訳され米国でSF小説を対象とた「フィリップ・K・ディック賞」も受賞している。
私達人類にとって望ましい社会とは?「理想的で健全な社会」で行き場を失った魂の叫びを眼前にし、あなたはそう問わずにはいられない。
平和な社会
2月25日公開
原作:伊藤計劃
監督:なかむらたかし/ Michael Aria s
キャスト:沢城美雪、上田麗奈、洲﨑綾、榊原良子、大塚明夫、三木眞一郎、チョー、森田順平ほか