まだ見ていないなら、今。香港故宮「古代エジプト文明大展」は8月31日まで

2026/08/01

033FF5C6-EE34-430C-A464-065C436F7799_1_102_o長く開催しているから、そのうち行けばいい。そう思っていた人へ。もう、その「いつか」は今しかない。

香港故宮文化博物館で2025年11月から開催されてきた特別展「古埃及文明大展──埃及博物館珍藏(Ancient Egypt Unveiled: Treasures from Egyptian Museums)」が、2026年8月31日(月)で閉幕する。

開幕から約9カ月半。7月末までに55万人以上が訪れた大型展も、いよいよ最後の1カ月に入った。結論から言えば、古代エジプトに少しでも興味があるなら、これは見逃さない方がいい。

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一階プロジェクションマッピング

約250点の展示の特徴

今回展示されているのは、古代エジプト約5,000年の歴史を伝える約250点の文物。

エジプト国立博物館やルクソール博物館をはじめとする、エジプト国内の主要7館の所蔵品に加え、カイロ近郊のサッカラ遺跡から出土した比較的新しい考古学的発見も含まれている。

しかも、古代エジプトの文物はすべてエジプト最高考古評議会が所有し、エジプトから香港へ直接貸し出されたもの。すべてが香港初公開で、そのうち少なくない数がエジプト国外で初めて展示されている。

ロンドンやニューヨークなどにも世界的な古代エジプト・コレクションはある。ただ、普段はエジプト国内の複数の博物館や遺跡に分かれている文物を、最近の発掘品とともに一度に見られる機会は、常設展示とは異なる価値がある。

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センウセレト1世の巨大な頭像。もともとは全高約10mの王の像で、後のファラオ、ラムセス2世が自分の名前に彫り替えて再利用した。

5,000年を一気にたどる

展示は「ファラオの国」「ツタンカーメンの世界」「サッカラの秘密」「古代エジプトと世界」の4部構成。

60体を超えるファラオや神々の像、7組の彩色された棺、石碑、王室の装飾品、日用品などを通して、王権や宗教だけでなく、古代エジプト人の仕事、暮らし、死生観までたどっていく。

大きな像の迫力だけで終わらず、細かな装飾品や文字、小さな生活道具まで見ることで、古代エジプトが「ファラオとピラミッドの世界」から、実際に人々が生きていた社会へと変わって見えてくる。

 

見逃したくない4つの展示
高さ約2.8メートルのツタンカーメン巨像

館方が「エジプトにあるツタンカーメン唯一の巨型石像」と紹介する、本展を象徴する展示の一つ。

少年王ツタンカーメンの死後、腰のベルト部分に刻まれた王名は、後継者のアイとホルエムヘブによって書き換えられた。美しい王の像であると同時に、歴史から名前を消されたツタンカーメンの運命まで伝える文物だ。

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ツタンカーメン巨像

色彩が残る棺

数千年前の品とは思えないほど、鮮やかな色と細密な図像が残された棺も見どころ。

棺は遺体を納めるためだけの箱ではない。神々や呪文、死後の世界への願いが描き込まれた、亡くなった人を来世へ送り届けるための装置でもあった。近づいて見ると、一つひとつの線や色に込められた執念に圧倒される。

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3種類の文字が刻まれた石碑

紀元前12年の石碑。上から以下の三言語が同じ内容で記されている。

・ヒエログリフ(神殿や記念碑に刻まれる格式の高い文字鳥や人、目などの絵のような文字)
・デモティック(日常生活や行政文書で使われた、崩したエジプト文字)
・ギリシャ文字(アレクサンドロス大王以降、プトレマイオス朝エジプトでは公用語の一つだった、現代英語のような文字)

ロゼッタ・ストーンを思わせる構成だが、こちらは別の文物。ローマ統治下のエジプトで、複数の言語と文化が共存していたことを示している。こうした三言語の石碑のおかげで、19世紀に学者たちはヒエログリフの解読を進めることができたようだ。

上からヒエログリフ(神聖文字)、デモティック(民衆文字)、ギリシャ文字

上からヒエログリフ(神聖文字)、デモティック(民衆文字)、ギリシャ文字

日本のエジプト展とは何が違う?

現在日本を巡回中の「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」は、同館のコレクション約150点から古代人の暮らしやピラミッド研究を読み解く構成。2026年1月まで東京で開催された「ラムセス大王展」は、ラムセス2世と新王国時代に焦点を当てた約180点の展示だった。

一方、香港故宮の展示は、エジプト国内の7館とサッカラ遺跡を横断し、約5,000年の歴史を250点で見せる「広角」の展覧会だ。

一人のファラオや一つの博物館を深く掘り下げるのではなく、王権、宗教、生活、死後の世界、考古学的発見、他文明との交流までを一度に見渡せるのが、近年日本で開催された代表的なエジプト展との大きな違いといえる。

 

8月は全日開館

閉幕前の混雑に対応するため、香港故宮文化博物館は8月限定で、通常休館となる火曜日も含めて全日開館する。

月~木曜は10:00~18:00、金~日曜は10:00~20:00。館方も事前のオンライン予約を勧めているため、特に週末は早めにチケットを確保しておきたい。

また、8月19日(水)には18歳以上限定の夜間イベント「法老之約」も開催。閉館後の特別観覧に加え、英語による文化座談会、DJ、エジプト舞踊、ハープ演奏、古代エジプトをイメージした香りを会場で楽しむ嗅覚体験などが行われる。

通常の展示と「法老之約」と、目的に合わせて選ぶとよさそうだ。

長く開催されていた展覧会ほど、また今度、と後回しにしてしまう。しかし、8月31日を過ぎれば、250点の文物はもう同じ場所にはそろわない。

まだ見ていないなら、レッツラゴー!


 

古埃及文明大展──埃及博物館珍藏
会期:2025年11月20日~2026年8月31日
会場:香港故宮文化博物館 展廳9
住所:8 Museum Drive, West Kowloon Cultural District, Kowloon
8月の開館時間:月~木曜10:00~18:00、金~日曜10:00~20:00 ※8月は火曜日も開館
料金:大人HKD190、特別料金HKD95/全館共通券 大人HKD250
公式サイト:https://www.hkpm.org.hk/tc/exhibition-ancient-egypt-unveiled

夜間イベント「法老之約」
日時:2026年8月19日(水)18:30~22:00
対象:18歳以上
料金:通常HKD450、2枚以上の購入で1枚HKD360
備考:座談会は英語で実施
詳細・購入:https://www.hkpm.org.hk/tc/event/a-pharaoh-s-rendezvous

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