【COVER STORY】新皇崗口岸、深港移動を変えるか

深圳・皇崗口岸の完成イメージ。香港・深圳・グレーターベイエリアを結ぶ新たな玄関口として期待される。画像提供:Aedas
香港・深圳間の越境が、さらに身近になる日
香港から深圳へ向かうルートのひとつ、皇崗口岸(ウォンゴン・ハウオン)が大きく生まれ変わろうとしている。現在、再整備が進められている新皇崗口岸は、香港と深圳を結ぶ24時間対応の主要な陸路口岸として位置づけられており、開通後は深港間の移動時間や通関の流れが大きく変わる可能性がある。
皇崗口岸は、深港間で24時間旅客通関に対応する重要な玄関口として知られてきた。仕事終わりの移動、深夜・早朝の越境、週末の深圳滞在など、時間帯を選ばず使える点は大きな特徴だ。新施設でもこの24時間通関は維持される見込みで、香港から深圳へ向かう日常の選択肢はさらに広がりそうだ。
注目されているのは、通関方式の変更だ。従来の越境では、香港側と中国本土側でそれぞれ手続きを行う流れが一般的だったが、新皇崗口岸では、両地の出入境手続きを一カ所でまとめて行う共同検査・一回通過方式が導入される予定とされている。香港政府関係者は、平均通過時間が従来の約30分から、約5分まで短縮される見込みだと説明している。
新しい口岸には、自動化ゲート134台と有人カウンター68台が設けられる計画。自動化ゲートでは、旅行証件を読み取る方式のほか、事前登録をした香港居民向けに顔認証を使った通過方式も用意される。香港居民が深圳方面へ向かう場合は回郷証、香港へ戻る場合は香港IDカードを使う運用が想定されており、今後さらに詳細が詰められる見通しだ。
施設は地上5層、地下4層の構成とされている。バスや自家用車の利用に加え、将来的な鉄道接続も見据えた設計で、想定される通関人流は1日約20万人規模。単なる出入境施設というより、香港・深圳・グレーターベイエリアをつなぐ大型交通拠点として整備されている点が特徴だ。
車両での越境にも新しい仕組みが導入される。ドライバーは共同ワンストップレーンを通り、旅行証件、顔画像、指紋などの情報を一度に取得。データは香港・深圳双方の当局に送られ、同時に確認される。越境バスや自家用車の同乗者については、基本的に車を降りて旅客ホールで手続きを行う形になるとみられている。
一方で、開通時期については慎重に見ておきたい。複数の報道では2026年7月1日の開通説が取り上げられているが、現時点で公式に確定した日程ではない。香港政府側も、具体的な運用開始時期や詳細については両地政府の協議が必要だとしている。2026年内の供用開始は現実味を帯びているものの、7月開通はまだ見込み段階といえる。
新皇崗口岸が開通すれば、影響はビジネスだけにとどまらない。深圳での買い物、食事、週末の小旅行、出張、広東省方面への移動など、日常の選択肢が広がる。特に深圳地下鉄7号線沿線には商業施設や飲食店、スーパーも多く、目的地に合わせた深圳側の動き方も変わっていく可能性がある。
これまで香港と深圳の行き来は、羅湖、落馬洲、深圳湾、蓮塘など、目的地や時間帯によって使い分けるものだった。そこに新皇崗口岸が加われば、24時間利用できる深港間の新しい主軸として、移動の選び方が変わっていく。開通日はまだ正式発表を待つ段階だが、香港生活における深圳の近さは、もう一段変わることになりそうだ。


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