僕の香妻交際日記 あなたは我が子が間違いなく自分の子だと言えますか?

第99回 あなたは我が子が間違いなく自分の子だと言えますか?
昨日、テレビのワイドショーで、ある一般人男性が4人の子どものうち下の2人の子どもが自分の子どもではなかったと衝撃の告白。実は2人目の子供が生まれた後、妻は不倫をしていて下の2人の子どもはその不倫相手との子どもだったとのこと。妻の携帯にあった不倫相手とのベッド上でのツーショット写真が見つかって不倫の事実が発覚した。そして2人の子どもが自分の子ではないと判明したのは最近になってDNA鑑定の結果で分かった。当然男性は離婚を決めたが、それをきっかけに妻の態度は激変、一方的な妻の不貞にも関わらず財産を半分要求、夫名義の持ち家もなぜか妻が鍵を換えてしまい、夫は家に入ることすらできなくなった。完全に泥沼状態で男性は途方に暮れていた。
他人事に見えて、突然「自分事」になる
この番組を、私は妻と7歳の娘と一緒に観ていた。妻は娘の顔を見ながら、「あんたは絶対にお父さんの子ね」と呟いた(笑)。確かに、娘の顔は99%私に似ている。この一年で体つきもよくなり、特に尻や太ももの筋肉が発達。食欲も旺盛で、何でも食べる。これらは間違いなく私の遺伝子によるもので、DNA鑑定なんかせずとも明らかだ。
父親だけが「確信できない」構造
さて、父親の私はふと思った。母親は子を産むので、その子が自分の子であることは確実だ。一方、父親はその子が本当に自分の血を引いているかどうか、実は疑う余地があるのではないだろうか。この番組を見るまで、そんなことは考えたこともなかったが…
物語は「母親目線」ばかりだった
ドラマや小説では、女性が複数の男性と関係を持ち、孕んだ子の父親が誰か分からないという女性目線の話が多い。しかし、父親目線で考えると、妻が産んだ子が本当に自分の子かどうか分からないのは父親の方ではないか!特に子どもは成長すれば、個性が芽生え、体型や顔も変わる。外見的な遺伝性は薄れ、それこそDNA鑑定でもしなければ父子の関係性を明らかにすることは不可能だろう。テレビ上での男性の悲痛な訴えを聞くまでは、父親のくせに父親目線で親子関係について深く考えたことがなかったと思い知った。
ふと思い出した、明智小五郎の一場面
父子の関係と言えば、ふとある小説の一場面を思い出す。名探偵・明智小五郎を主人公とした作品で、舞台は無人島での殺人事件。無人島にいた9人全員が容疑者の疑いがあるという状況で、1人の青年が自分はかの有名な名探偵何某の実子だと名乗り出て、自ら事件を解決しようとする。結局、この青年が本当に名探偵の息子かどうかは最後まで明らかにならなかったが、彼の推理も一助となり事件は解決に至った。最後の場面で明智小五郎はこう語る。「彼が本当にあの名探偵の子かどうかは僕にも分からない。でもそれでいいだろう。真実は誰にも分からないが、私が見た事実は彼はあの名探偵を親のように慕い、彼を彷彿とさせる推察力で今回の事件解決に大いに貢献してくれたことだ。」

血縁か、積み重ねた関係か
この言葉は、親子関係の本質を突いているように思える。生物学的事実と、築かれてきた関係性、どちらがより重要なのか。冒頭の男性にとって、妻の不倫、子どもが他人の子だったという事実、それに気づかずに彼らに愛情を注いできた年月、これらは確かにやりようのない怒りと悲しみと困惑を引き起こすだろう。
しかし、もし視点を変えられるなら、事実そのものに目を向けることが救いになるかもしれない。確かに子どもは生物学上は彼の子ではなかった。しかし、子どもたちが生まれた瞬間の喜び、言葉を覚えていった成長の過程、それらの体験は紛れもない事実だ。彼が注いだ愛情、共に過ごした思い出は、DNAの一致とは関係なく、彼と子どもたちの間に確かに存在したに違いない。
「父親だった」という現実が、関係を決める
これから先、この男性がどう生き直すかは本人のみぞ知るところだ。経済的、法的な問題も山積みだろう。しかし、4人の子どもたちとの関係において、一つだけ確かなことがある。彼らが生物学的に彼の子であるかどうかに関わらず、子どもたちにとって、彼は父親だったということだ。
親子関係の本質は、血の繋がりよりも、共有された時間と経験にあるのではないか。養子縁組や里親制度が示すように、生物学的関係がなくても深い親子の絆は築ける。逆に、血が繋がっていても、愛情なく育てられた子どもは親子の絆を感じられないこともある。
最後に残るのは「呼び名」かもしれない
父親としての不確かさは消えないかもしれない。しかし、目の前にいる子どもとの絆は、疑いようのない現実として存在する。この男性にも、いつかこういった視点に立てる日が来ることを願わずにはいられない。子どもたちが誰の遺伝子を受け継いでいるかではなく、これからも彼らが彼を「お父さん」と呼び続けるかどうかが、真の親子関係を決めるのだから。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴13年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。

第98回 子争い裁判の判決は正しかったのか?
名裁きが映し出す深い愛情
「子争い裁判」。これは大岡越前守忠相 (えちぜんのかみ ただすけ) の名裁きとして知られる逸話である。二人の女性が一人の子どもの実の母親であると主張するので、越前は「子どもの腕を引き合い、我が物とせよ」と命じた。子どもが痛がって泣くやいなや、一方の女性が我にもなく手を離した。それを見た越前は「彼女こそが真の母親である」とその手を離した女性を指さして宣言したのである。血の繋がり云々ではなく、我が子の苦痛を我が事のように感じ、耐えられぬ思いで手放す、その「情」こそが母性の証であると看破したのだ。
親の決断に潜む自己犠牲の愛
ここに見るのは、親の気持ちの複雑さである。この裁判の母親のように、我が子の痛みや苦しみを考えるからこそ、時に子どもから離れるという選択をせざるを得ない現実がある。例えば、経済的困窮や家庭環境の悪化、自身の心身の不調などから、離婚や養子縁組、あるいは施設への預け入れという道を選ぶ親はいつの時代にも存在する。その決断の根底には、「自分と一緒にいるよりも、別の環境にいた方がこの子は幸せになる」という切ないまでの愛情と覚悟がある。現在の苦しみは自分一人で引き受けるという自己犠牲的な愛は、子どもの目には「見捨てられた」という行為でしか映らないこともあるが、親の胸中には深い葛藤があるのだ。
子どもが感じる「見捨てられ」の孤独
しかし、そのような親の決断とは裏腹に、子どもは「手放されること」に恐怖と孤独感を抱く。たとえその環境が多少なりとも痛みを伴うものであっても、子どもは「自分の親」と一緒にいたいと願うものである。心理学的に見ても、子どもにとっての安心感は、生物学的な親、あるいは養育者との安定した愛着関係によって築かれる。親が「あなたのため」と思って下した決断が、子どもにとっては世界の崩壊のように感じられることも少なくない。子どもの心には「なぜ自分だけが置いていかれるのか」という深い傷が刻まれるのである。
対立する「親の論理」と「子の心情」
つまり、ここには「親の論理」と「子の心情」という、相容れない二つの世界が存在する。親には親の事情と責任に基づく考え方がある。同様に、子にも一人ひとりに異なった感受性と捉え方がある。親にも子にも、それぞれの立場で感じ、考え、発言する権利は確かにある。
しかし現実には、社会的、経済的、身体的に未熟な存在である子どもは、その意見が軽んじられ、結果として「親の意見」が社会通念や法律の名の下に罷り通ってしまう側面が否めない。大岡越前のような名裁判官ですら、子どもの外側に現れた行動から推し量ることしかできず、その胸中に去来する複雑な思いまでは完全に理解することはできないのである。もしかしたら、あの子どもは手を離した優しそうな女性へ「なぜ僕の手を離したのか」という畏怖(いふ)を、そしてもう一人の女性には慕情(ぼじょう)を抱いていたかもしれないのだ。

相互理解を築くための「時間」という処方箋
では、このすれ違いを埋めるものは何か。それは、他ならぬ「時間」ではないだろうか。子どもの本当の気持ち、些細な変化のサインに気づけるのは、日々の生活を共にし、言葉以外のコミュニケーションを積み重ねてきた親だけである。だからこそ、親はもっと子どもと過ごす時間を大切にすべきだ。父親は、仕事の忙しさを理由にせず、子どものお弁当や学校の宿題といった子の日常に関心を寄せることで、子どもの世界を理解する窓を開くことができる。一方、母親は、子育てへの過度な責任感から、知らず知らずのうちに子どもに自分の理想や不安を押し付ける「押し付けがましさ」に陥っていないか、客観的に考えてみることも必要かもしれない。
絆が試されるとき
平穏な日々の中では、誰もが優しく笑顔でいられる。しかし、本当の親子の絆は、何か問題が起きた時、意見が対立した時にこそ試される。そんな時、かつての大岡越前の裁きのように、親は「子どもの痛み」に目を向け、自分の正しさを通すことより、子どもの心の声に耳を傾ける勇気を持たなければならない。親の「引き寄せる愛」も時に必要だが、それ以上に、子どもの成長や意思を尊重し、時には「手を離す」覚悟もまた、深い愛情の形なのである。親子とは、異なる人格のぶつかり合いであり、その関係を紡ぐのは、法律や慣習ではなく、日々の積み重ねによる相互理解という、地道で温かな営みに他ならない。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴13年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。

第97回 父イップマンに欠けているもの
私の妻は映画『葉問(イップマン)』が好きだ。打倒イップマンを目指して果敢に挑む数多の武術の猛者たちを誰一人と寄せ付けず、拳と礼をもって相手を諭す武道家としての姿。争いごとに消極的ながら、いざとなれば自ら鉄拳制裁をクールに喰らわす正義の味方としての姿。決して大きくない身体一つで悪と戦うその姿は妻でなくても多くの人間がイップマンに対して敬意と魅力を感じさせる。
しかし、一方でイップマンの妻は彼のことを私たち聴衆のようには見ていない。息子の描いた絵一つ見てあげる時間もないほど格闘や争いごとに身を捧げている本人を見て度々嫌気をさしている。そう、夫として父親としてのイップマンは控えめに言っても及第点に至っていないのである。
仕事を取るか、家族を取るか
これは家庭を持つ男性にとって永遠の課題である。世の妻たちに問えば、大多数は「家族」と即答するだろう。しかし、現実問題として、男性が働かずしてどうやって家族を養うことができるのか。このジレンマこそが、夫婦間における永遠の論争なのである。
理想的には、仕事と家庭の両立を図ることである。しかし、これは口で言うほど簡単ではない。仕事で成果を出そうとすれば、一日8時間、週5日の労働時間ではなかなか突出した成果も報酬も得られない。実績を出したければ、自然と残業や上司・取引先との付き合い、休日出勤が発生する。そうなると当然、家族との時間は犠牲にならざるを得ない。かといって、いつも定時退社してばかりいては、仕事の成果も会社からの評価も上がらない。
現代の資本主義社会では、仕事での成功と家庭での幸福は、往々にしてトレードオフの関係にある。仕事で高い成果を上げようとすれば、家庭での時間やエネルギーが削られる。逆に、家庭を優先しすぎれば、仕事でのキャリアアップや収入増加の機会を逃すことになる。
イップマンの場合は仕事やキャリアップというよりも、武道家としての血が騒ぎ居ても立っても居られなくなってしまうのが原因で家を留守にすることが多い。悪者に
引導を渡すべく、弱き者を助けるべく日夜どこかで誰かと戦っているのである。
父イップマンの問題点
そんな正義の味方イップマンも映画の第4作目になると、息子がかなり愚れている様子が見られる。自分の父親が周囲の人間からどんなに尊敬されよう感謝されようと、そしてお前の父親は偉大だと諭されようと、息子の目からみる父親としての姿は決して私たちの羨むようなものではないのだ。
問題の本質はおそらく彼の子どもに対する無関心さにある。仕事を頑張ること、世の中を平和にすることは良いことだが、それを理由に自分の子どもへの関心を疎かにしてはならない。子どもと休日に遊ぶことだけが父親の役割ではない。勉強のこと、友達のこと、習い事のこと、そして何より自分自身のこと、子どもにだっていろい
ろな事情があり、他人には言いにくいことがたくさんある。そういった悩みや葛藤を聞いてアドバイスをあげることが親としての最大の存在価値ではないだろうか。
何でもいいから子どもと関わりをもつ
我が家には住み込みのヘルパーがいるが、この新年度からは私が自ら娘のお弁当を作るようにしている。毎朝5時半起きというのは辛いが、今では娘が何をどれくらい食べているのか、友達はどんなお弁当を持ってきているのか、クラスの問題児はどんな子なのかなど学校のことで会話が弾むようになった。
妻やヘルパーに任せきりのことを父親が一つでもやってみる、それこそが仕事と家庭の両立の第一歩と言えよう。
手は教えてくれる
最後に、今このエッセイを読んでいる皆さんには自分の手を見てもらいたい。
親指が父親、人差し指が母親、中指がお兄ちゃん、薬指がお姉ちゃん、小指が赤ちゃん。
手を開くと父親(親指)は一人違う方向を向いている。母親(人差し指)は子どもたちに寄り添って同じ方向を向いている。
次に母親(人差し指)と赤ちゃん(小指)をくっつけてみてほしい。意外と2本の指をくっつけるのが困難であることが分かるだろう。
では、父親(親指)を加えて3本の指をくっつけるのならどうだろうか…そう、3本の指は見事にくっつくのである。

父親という生き物は不器用で不細工でだらしがないと家族から思われることが少なくないが、父親こそが家族が一つになるための最後の一番大事なピースである、ということを私たちの手は教えてくれている。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴13年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。

第96回 サルはバナナを選ぶが、人間はどうか?
サルの目の前にバナナと100ドルを並べたら、サルはどっちを選ぶだろうか?
迷わずバナナを選ぶだろう。それはかれらが100ドルで100本のバナナが買えることを理解できないからだ。同じように、子どもの目の前にiPadと教科書を並べれば、
多くの子がiPadに手を伸ばすだろう。我が家でも7歳になる娘のiPad依存が加速している。では、私たち人間は本当にサルよりも賢い選択ができるのだろうか?
サルの選択から見える人間の本性
サルが即座にバナナを選ぶ行動は、私たち人間の「即時報酬への弱さ」を映し出す鏡だ。神経科学の研究によれば、人間の脳も基本的には同じ報酬システムを持っており、特に前頭前野が未発達な子どもは「今すぐの楽しみ」に抗うのが難しい。
ところで、皆さんは「5匹のサルの実験」をご存知だろうか。この実験では
1. サルがバナナを取ろうとすると冷水をかけられる
2. やがてサルはバナナを取らなくなる
3. 新しいサルが入れ替わっても、古いサルが新しいサルを制止する
4. 最終的に冷水がなくても、サルはバナナに触れなくなる

ここには3つの重要な教訓がある
1. 盲目的な慣習の継承:本来の罰(冷水)がなくなっても、「バナナを取ってはいけない」というルールが受け継がれる
2. イノベーションの抑制:新しいサルは「なぜダメなのか」を問う機会を与えられない
3. 学習の歪み:サルたちはバナナを「得る方法」ではなく「避ける方法」だけを学ぶ
これはそのまま現代の教育にも当てはまる。親が「勉強しなさい」と強制するだけでは、子どもは「学ぶ喜び」ではなく「罰を避ける技術」だけを身につけてしまう。神経科学者アントニオ・ダマシオが指摘するように、健全な意思決定には感情が不可欠だ。理想的な教育とは、子ども自身が「学ぶ喜び」というポジティブな感情を見出せるように導くことである。
親子の認識ギャップを埋める方法
重要なのは、単に「勉強しなさい」と強制するのではなく、子どもの発達段階に合わせたアプローチを取ることだ 。
1. 近未来報酬の活用:「宿題を終わらせたら、好きなゲームができる」など、短期的な報酬と結びつける
2. 選択肢の設計:「夕食の前と後、どちらで勉強する?」と自主性を尊重した問いかけ
3. 失敗からの学習:一度悪い点を取らせるなど、自然な結果を経験させる
4. 未来の可視化:AIツールで「将来の自分」をイメージさせるなど、抽象的な未来を具体的に
サルから人間へ:真の知性の証明
サルは本能のままにバナナを選ぶ。人間の子どもも最初はiPadを選ぶかもしれない。しかし、人間の真の知性は、自らの経験と理性で「100ドルの価値」を理解できる点にある。「5匹のサルの実験」が警告するように、単なる禁止や強制では、サルと同じレベルの学習しか得られない。
重要なのは
• 単に「ダメ」と禁止するのでなく「なぜ」を説明する
• 新しい世代が疑問を持つ機会を作る
• 罰ではなく内発的動機付けを重視する
科学的子育ての実践
ペンシルベニア大学の研究が示すように、効果的な子育てには3つの要素が必要である:
1. 自律性(自分で選んでいる感覚)
2. 有能感(できるという自信)
3. 関係性(親のサポート)
例えば、10歳の子どもに「今週末の計画を立てよう。A:土曜に勉強して日曜に遊ぶ、B:土曜に遊んで日曜に勉強する、どちらがいい?」と選択肢を与える。これによ
り、子どもは自分で決めたという満足感を得ながら、親が望む行動を取れるようになる。
バナナの向こう側を見る力を養おう
サルはバナナを選ぶ。それは本能だ。しかし人間は、自らの経験と理性で「100ドルの価値」を理解し「見えない未来」に投資できる唯一の種である。親の役割は、子どもがサルのように即時報酬に飛びつくのを止めることではなく、将来の可能性を「見える化」するガイドになることだ。
エイブラハム・リンカーンはこう言った。
「私たちが木を植えるとき、その陰で休むことはない。しかし、未来の誰かがその恩恵を受けると知っている」
そう、私たちは「未来の誰かがその恩恵を受けると知って」木を植えることができる。
真の教育とは、サルのように目の前のバナナ(iPad)に飛びつく衝動を抑え、100ドル(将来の利益)の価値を理解させるプロセスと言えるだろう。
みなさんは冷水を恐れるサルを育ててはいないだろうか? 子どもだけではなく、親もまた学びを止めてはならない。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴13年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。

第95回 Nintendoスイッチで娘に日本語でキレられた
会社のお楽しみ抽選会でNintendo Switch とSwitch Sportsが当たった。娘が生まれてからはゲームとはほぼ無縁の生活だったが、意外にも娘がハマったもので、最近は毎晩彼女とともにヴァーチャルスポーツの世界へ勝負に繰り出すのが日課となっている。
テニスは座ってやるべし
Switch Sportsの中ですぐに楽しめるのはテニスだろう。ゲーム中にボタンを押す必要がないので、向かってくるボールに合わせてひたすら腕を振りかざせばいいだけだからだ。
テニス攻略の秘訣は2つ。椅子やソファに座ってやることと、腕は使わないで手首のスナップでボールを打ち返すこと。座った姿勢でやることで、身体や下半身の無駄な動きを省けるので、打ち返す球のスピードが速くなる。
テニスで勝利するためには速いボールをコートの隅に向かって打ち返すことなので、肩や肘を使わずに手首のスナップだけで素早くフォアハンドとバックハンドを使い分けられるかが勝負の決め手だ。
スプリットを避けるべし
テニスと並んで初心者や子どもにも楽しめるのがボウリング。ボウリングのコツは一球目は手首のスナップを使いすぎず、カーブよりもストレートボールで勝負すること。大事なことは残ったピン同士の間が開かないスプリットを残さないこと。ボールが先頭のピンのど真ん中に入るとスプリットになる可能性が高くなるので、気を付けよう。いかにスプリットを避け、我慢強くスペアを重ねられるかが勝負の分かれ目となる。
ドリブルよりもパスを駆使するべし
バスケットボールではドリブルのコントロールが自由にできないので、パスを駆使してリングまでの距離を詰めるのが効果的である。ゲームが始まったら、慌てず味方の動きとそのマークについている相手の動きをよく見ること。そして可能な限りリングに近づきダンクを決めるのが勝利の秘訣である。ダンクはブロックができないので得点率は100%だ。
ちなみに我が家では娘はパスを全くしてくれないので、彼女にはシュートに専念させているが、私のパスが相手にスティールされると「オラッ! Why did you pass to him?」とオラッだけやたら日本人なのがいつも気になる。

パターは手首を使うべし
ゴルフでの勝利はパターのクオリティーにかかっている。パターのコツは腕を使わず手首のスナップだけで打つこと。また、ティーショットやフェアウェイからのショットは予想飛距離よりも遠くに飛ぶので、ボールの予想落下点がピンフラッグちょうどの場合は、1つ下のクラブに替えて思いっきり振り抜くくらいがちょうどいい。
バレーボールはマニュアルで立ち位置を決めるべし
キャラクターは基本的に自動で動いてくれるので、レシーブ、トス、スパイクにおいてはタイミングさえあえばプレーに支障はない。ただ、ブロック、レシーブの成功率を上げたいならジョイコンを使ってマニュアルで立ち位置を動かすのが良い。相手は対角線上にスパイクを打ってくる可能性が高いので、レシーブをする前にあらかじめ対角線上のコートの隅に立ち位置を移動させておくことでレシーブの成功率を高めよう!
チャンバラとサッカーは1人の時に遊ぶべし
私は基本的に娘がスイッチで遊ぶ時しかスイッチスポーツを遊ばないので、1人プレイ用のチャンバラとサッカーはまだ攻略できるほどやりこめていない。
バドミントンは反射神経
バドミントンはテニスと操作が似ているが、テニスよりも動きが速いので、ゲームであまり疲れたくない私には苦手な種目だ。またシャトルのコントロールが難しく、どうすればコートの隅へウイニングショットを打ち込めるのかは未だに研究中である。
Switch Sportsの真の見どころ
私はもともとスポーツマンだったので、ゲームといえども世界中のユーザーと対戦ができるとなるとやはり若き日の勝負師としての血が騒ぐ。特に相手が日本人だと分かると娘とともに打倒日本を合言葉に一層力が入る。バーディーチャンスのパット、バスケットボールのラスト3秒、時に励まし合い、時に罵り合い、本物のスポーツさながらの緊張と興奮が味わえる。諦めない気持ちと集中力といったスポーツに必要な精神力を楽しく子どもに伝えられるところがSwitch Sportsの素晴らしさだろう。
最後に
スポーツには怪我が付きものだが、スイッチスポーツも例外ではない。私もつい先日バスケットボールのやりすぎで手首を負傷した。白熱するのはいいが、平常心でそれぞれの種目に臨むこと、そして1時間遊んだら必ず小休止を挟むべし。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴13年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。

第94回 アポなし訪問営業のススメ
私が初めて正社員として就職したのは貴金属の訪問買取営業を専門とする会社だった。
給料は最低賃金プラス歩合制の正統派の営業職である。当然毎月ノルマがあり、その日一件も買取ができなかった場合は終電までオフィスで居残りロールプレイ。月の後半を過ぎてノルマ達成が怪しくなってきたら土日祝日も営業に出て回ることを余儀なくされた。
新人社員のノルマは一日300件のアポなし訪問営業。一日8時間で300件というと、一件につき2分もかけられない計算になるので、一見無茶なノルマに見えるかもしれない。しかし、都営団地のような住宅が密集した居住区を狙うと、一棟で100件稼げる場合もあるのと、留守の家も結構あるので、300件というのは意外と難しくはない。私は当時若く体力に自信があったので、一日500件回った日なんかもあったりした。
とは言え、一日に300件回るのは当然楽ではない。一カ月、二カ月と続けていくと1人また1人と社員が足や腰に支障を訴え辞めていった。
またアポなし訪問なので、300件中290件以上の住人からは一言も話さずに断られるか、煙たがられて終わる。簡単ではないと分かっていても相手に断られ続けると精神的に辛くなってくるのが人間というものである。一日ならまだしも、それが一週間続き、二週間続き、それでも成果が出なければ休日返上で営業に回らなければならない。身体に支障が出ずとも、ほとんどの社員が一カ月持たずに辞めていった。そんな過酷な職場で私はなんとか結果を出して、一年足らずで大阪天王寺店の営業所リーダーにまで昇格した。
一日300件というノルマはあったが、300件回ったからといって成績が上がるわけではない。ただ一方で、300件回るくらいの根気がなければ安定した成績は残せないのも事実であった。根気といっても、ただの根性ではなくそこにはさまざまな気力が備わっていなければならない。300件回るだけの体力、300件断られてもめげない忍耐力、時には住人に怒鳴られることもあったし、私も玄関先で正座させられなぜか説教をされることもあった。そういった、時には理不尽とも言える現実を受け入れ、明日は明日の風が吹くという気持ちでまた次の日の朝から300件のインターホンを押せるかどうか。そういった気力の鍛錬が300件アポなし訪問には含まれていた。
もちろん、私もこの仕事が好きではなかった。単純に辛いからだ。今日は今日のノルマを達成できたとしても、明日は達成できるかどうか分からない。そういった不安が夜布団に入った途端に襲ってくる。それが毎晩続くのだ。
また土日に営業に回ると公園で子どもと遊んでいる親の姿をよく見かけたものである。そういった普通の家庭の姿を見ると、自分は何が嬉しくてこんな仕事をしているのかと虚しくなることも多々あった。

しかし、そこで立ち止まることはできなかった。運良くこの平和な時代の日本に生まれ、尊敬する親の元で大事に育てられて、一応国立の大学まで卒業した。人の人生に正解も不正解もないが、それでも自分自身の20年の人生の成果を証明したいという気持ちが心の中にあった。
私には小さい頃から自己嫌悪感があった。学校の勉強も部活動も人並み以上の成績は残せていたが、何となく、自分の力で成し遂げた感覚というものに欠けていた。何をしても周りの人たちが助けてくれたからという気持ちが強く、自分の実力にいつも疑問を感じていたのだ。
そのような自分に対する嫌悪感や否定感を払拭するために、このアポなし訪問営業は最高の試金石だった。そして、約一年間、この仕事を通していろんな人間に出会い、辛酸な経験と葛藤を経て分かったことは、死ぬこと以外はかすり傷ということだった。
怒られようが、失敗しようが、明日は来るし、明日はまたこの身体一つで立ち上がらなければならない。自分の生い立ちがどうだとか、昨日失敗したからどうかなんていうものは周りの人にとってはどうでもいいことで、今自分がどんな顔で、態度で目の前の人に接しているかが重要なのだ。死なない限り人生は続くのである。
自分にもできるんだという自信と失敗に引きずられないガッツ、そして多少の営業テクニックを手に入れた私は突出した成績は残せなくとも、安定した結果を日々残せるようになった。しかし、ガッツは正しく使わなくてはならない。若さは時にガッツを良い方にも悪い方にももたらす。そして、ついに私はそのガッツの使い方を間違ってしまったのである。
それに気がついたのはあの大阪西成警察署からの電話であった。詐欺罪と不法投棄罪の容疑で事情聴取を受けることになった。人生は一度きりなのでいろんな経験を積んだ方がいいに決まっている。でもそれだけは絶対にやってはいけないということもたくさんある。自信と過信は紙一重なのだ。
つづく
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴13年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。

第93回 それでも人間はなぜ犯罪を犯すのか?
私が塾の教室長をしていた頃、親御さんから「うちの子は本を読まないんですがどうしたらいいでしょうか?」という質問がしばしばあった。
最終的には本を読むことの面白さが分からなければ、子どもだろうと大人だろうと本を読む習慣というものはつかないが、子どもに本を読ませるキッカケを作るためにはまずは親が本を読む姿を子どもに見せるというのが定石ではある。
私の場合は母が家で本を読んでいたのが私にとって本を読むキッカケとなった。母は高卒だったし、学校の勉強のことにあれこれ言うタイプではなかったが、好きでサスペンス小説をよく読んでいた。
母は特に西村京太郎の十津川警部シリーズが好きで、私もその影響を受けて西村京太郎や赤川次郎、横山秀夫などのサスペンス小説を好んで読むようになった。
サスペンス小説の面白さは犯人の巧みなトリック工作であり、また人間模様の描写である。物語の中で犯罪者はさまざまな理由で犯罪(主に殺人)を犯すのだが、刑事や探偵がたびたび口にするのは犯人ほど人間らしい生き物はいないということだ。
犯罪者の心理を考察する根底には、まず私たちは常に感情をコントロールして(押し殺して)生きているということの理解が必要だ。なぜ人間は感情をコントロールできるのかというのは幼少期からの教育のおかげであると言っていいだろう。
家庭や学校での教育を通して私たちは善悪を学び、それによってやっていいことやってはいけないことが分かるようになる。この善悪の理解についてはおそらく万国共通と言える。なぜなら、殺人や窃盗を善と理解する人はいないからだ。
では全ての人間が善悪の理解がありながら、なぜある種の人間が悪事を働くのかというと、そこには時代や政治、家庭、学校といったその人間が境遇した環境が関係してくる。
環境によって人間はいくらにでも心変わりが起きる。それは決して正義が悪に変わる可能性だけをいっているのではなく、悪が正義に変わることだってありえるということだ。
となると、誰しもが犯罪者になる可能性があると言えるが、それでもほとんどの人間は相当な怒りや悲しみを抱えたとしても犯罪までは犯さない。なぜならいざとなると「犯罪はしてはいけない」という心の声が聞こえてくるからだ。誰がそんな声を吹き込んだのか?
私が小学校一年生の頃、学校の「宗教」という授業でモーセの十戒を完コピするまで再々再々テストくらいまで受けた記憶があるが、今思えば6歳でモーセの十戒を覚えさせるのはスパルタすぎだろう!でもこのような妥協のない教育が悪に負けない人間を形成してくれるのである。事実、「殺してはならない」「父母を敬え」の2つだけはいまだに覚えている。
では、それでも人間はなぜ犯罪を犯すのか?
犯罪といえば私自身、人生で2度の過ちを犯したことがある。それぞれの件で警察に事情聴取を受け、最終的に一件は示談、もう一件は送検された後、簡易裁判による判決によって穏便に落着したが、どちらも立派な犯罪である。
当時23歳だった私がなぜそんな愚かなことをしたのかというと、それは責任逃れとも自暴自棄とも形容できるが、要するにある瞬間に理性を失ったことが原因と言える。
特にお金が絡んでくると人間の思考や感情はとことん乱れる。それはいわゆる一流大学を卒業している人間だろうと大企業の重役だろうと関係ない。
先にも言ったように、たった一つの出来事をきっかけに平凡な人間でも悪人に心変わりするのだ。
ちなみに犯罪者には2つのタイプがいる。一つは自分が間違っていると分かっていて犯罪を犯した者。もう一つは自分が正しいと思って犯罪を犯している者。犯罪者の多くは前者で、後者の例で言えば地下鉄サリン事件のオウム真理教のような人間だ。
当然、私も前者であり、前者の者が犯罪を犯すと、犯罪を犯したあと極度の恐怖に襲われる。これは私の実体験だが、上述の二つの犯罪を敢行したあと、私は怖くなってすぐに夜逃げを試み、東京の実家へと飛んだ。そして、ロサンゼルス行きのチケットを買って数日後にアメリカに飛ぶ計画を立てた。
東京に戻ってからは昼間は携帯の電源を切り実家に身を潜めた。勤めていた会社の同僚、賃貸の大家からも着信が入りまくりだったが、何よりも警察からの電話が怖くて昼間は電源は入れられないでいた。

身を潜めて数日後、ロス行きを翌日に控えたある日の昼間、実家の電話が鳴り響いた。母が受話器を取ると間もなくして私を呼んだ。
「龍ちゃん、警察の人から電話よ、あんた何かしたの?」と聞かれたが適当に相槌を打って受話器を受け取った。案の定、大阪の警察からだった。
つづく
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴13年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第92回 親から子への最後の教え
金曜日の夜、日本にいる姉からLINEで「お父さんが熱が出て入院したよ」と”また”連絡があった。普段は特に姉から連絡が来ることはないので、連絡があるとすれば父の身に何か起きた時(だいたい入院した時)である。
父が初めて倒れたのは19年前のことである。私は当時大学受験勉強の真っただ中で、あの日は確か日曜日だったため学校も部活もなく2階の自分の部屋にこもって自主勉をしていた。母と姉は外出中で、父は祖父母と一緒に居間でテレビを見ていたと思う。特に何の変わりもない普通の日曜日だった。
すると突然、祖母が階段の下から「龍ちゃん、龍ちゃん」と珍しく大きな声で私の名前を呼ぶので、何か食べ物でもくれるのかと居間に来てみると、畳の上には全身びっしょりになって「痛い、痛い」と胸を押さえながら呻(うめ)き、小さい子どもが駄々をこねるように身体を左右にバタバタしている父の姿があった。祖母の話によると、父が庭の池を掃除している最中に突然池の中に落ちて、その後自力で這い上がってきたとのことだった。
病院に運ばれてまもなく父は気を失い昏睡状態になり、そこからはもう医師もどうすることもできず、文字通り神頼みで父が自ら目を覚ましてくれるのを待つしかなかった。
父が目を覚ましたのはそれから約1カ月後のことであった。私もすぐに病院に駆けつけると、微かながら目を開けている父の姿がそこにはあった。父の手を握ると、僅かながら手を握り返してくれた。あの感触と感動は今でも昨日のことのように覚えている。
それからさらに数カ月経って、ようやく父が退院した。86キロあった体重は70キロまで減って、全身、特に足の筋肉が激減したため、歩くのもやっとだった。後遺症で視力も70%ほど失った。
その日から、母によるフルタイムの介護が始まった。父は目もよく見えないし、立つのも歩くのもしんどいので、トイレからシャワーまで全て母が手伝った。それでも1年2年と月日が経つにつれ少しずつ父の体力は回復した。
母はよく「お父さんが死ぬまで私は死ねない」と口にするようになった。昔からあまり感情を表に出さない母だったが、母が父を朝から晩まで介護する姿を見て、私は初めて二人の愛というものを感じた。

私が大学を卒業するくらいの頃には父は会社にも顔を出せるようになった。特に仕事をするわけではなかったが、週に一回ちょっと顔を出して家に帰って来るという感じだったと思う。リハビリは順調だったが、それでも年に数回は原因不明の高熱で入院したり、散歩中に転倒して血だらけになって病院に運ばれたことも何度かあった。毎日ハラハラしながら、今日は何もなかったねという日々が重なり、今年も何とか乗り切ったね、というのが我が家の年末のお決まりの話題になった。
父のリハビリ17年目、母が膵臓癌で逝去した。最期の1カ月は病気の進行も早く、コロナ禍で航空券を取るのに難航し、私が日本に駆けつける1日前に自宅で息を引き取った。母の死は私たち家族に大きなショックをもたらしたが、何より父にとっては受け入れられない出来事だった。葬儀も終わり母はお骨となって家に帰ってきたが、四十九日が過ぎても父は頑なに納骨を拒み、毎日家の中で母のお骨を眺めていた…
土曜日の夜、姉からまたLINEが来た。
「お父さん突然病室で気を失って集中治療室に運ばれたから、今から病院に行ってくる」
これまで幾度となくさまざまな原因で入退院を繰り返してきたが、今回はちょっと嫌な感じがしたので妻と相談して、翌日日本に帰る手配をした。
日曜日の朝、姉からまたLINEが来た。
「お父さん、息をひきとりました」
その日の夜に妻と娘をつれて父の住んでいた家へ戻ったときには、まだ父の温もりが至る所に残っていた。父の椅子に敷いてあるクッションはまるでさっきまで父が座っていたかのような形をしていた。父のベッドもまるでたった今起きたかのようにブランケットが無造作に置かれていた。ただ一つ違ったことはそこに父の姿はなかった。
数カ月に及ぶ闘病の末に亡くなった母と1日そこらで突然逝ってしまった父。親の死こそが親から子への最後の教えというが、まさにその教えを対照的な最期を迎えた両親から身をもって教わった。きっと父はまだ自分が死んだことに気が付いていないかもしれない。でもたぶん父にはそんなことはどうでもいいような気がする。なぜなら、父はまた母と一緒になれて幸せだからだ。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴11年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。
第91回 早くそいつを捕まえろ!
私と妻は近頃Netflixの『地面師』という映画にハマっている。劇中では地面師に騙された被害者たちが口を揃えて「早くあいつら(地面師)を捕まえろ!」と怒り狂うのだが、結局警察をもってしても詐欺師の姿かたちは見つからない。
俺は大丈夫、と思っている人ほど罠にはまりやすい。今から20年前、それまで詐欺とは無縁の人生を送ってきた若かりし私の目の前に突然その男は現れた。
当時、私は新卒で貴金属買取専門の会社に入社。入社といってもマイナビで履歴書を送って筆記試験や数回に及ぶ面接をクリアして…というちゃんとした就職ではない。
たまたまコンビニの無料求人誌で「月収100万円も夢じゃない!」という広告を鵜呑みにして面接に行ったら即日採用が決まったという、ちょっと怪しげな会社に入社しただけのことである。仕事内容は毎日ノルマ300件のアポ無し訪問営業。大阪市内市外の団地や住宅地をひたすらインターホンを押して不要になった金プラチナの指輪やネックレスを買い取るという仕事だ。
そんなある日、一本の電話が会社に入る。不要になったプラチナがあるので売りたいという電話であった。すぐに社長から「ちょっと見てきてくれ」と要請があり、早速電話主と連絡を取って会うことになった。
通常、私の会社のような訪問買取専門店では金プラチナの査定は相手方の自宅に訪問して、その玄関先か、家の中で行われる。貴金属を査定するので公園や喫茶店などでは目立ちすぎるからだ。
しかしいざ電話主とアポを取ろうとすると、「妻に内緒で売りたいので自宅では話ができない」と自宅マンション一階のエレベーターホールのソファで査定を行うことになった。
依頼されたプラチナは円形のものが2枚。持った瞬間に重さが手に伝わり、その時点で私にはおそらく本物のプラチナであるだろうことが分かった。試金石を使って最終確認をすると、やはり本物のプラチナだった。重さは大きいものが100g、小さい方でも80gあった。市場価値としては100万円以上する大型案件だ。そして相手との交渉の結果、80万円で買取させてもらうことになった。
しかし、私の持ち合わせの現金が20万円しかなかったので、翌日に現金渡しでもいいか尋ねると「今日中に支払ってもらいたい」と言われたので、社長に直訴してとりあえず30万円を引き出し合計50万円を手付金として渡し、残りの30万円は翌日またこのエレベーターホールで引き渡すこととなった。

この案件だけで、30万円近くの粗利が出たので、意気揚々に会社に戻り、早速貴金属のスクラップ業者である林さんに計180gのプラチナを手渡した。林さんも「おー、重いね」と驚嘆しながら、いつも通り自身の査定キットで査定を始めた。すると彼の手が止まる。オフィス内に嫌な緊張感が漂った。
数十秒後、林さんが「ちょっと社に持ち帰らせてもらって、精密検査をさせてもらいます」と表情を曇らせた。林さんは業界のプロなので、それこそその貴金属がプラチナであるかどうかは手に持てば分かる。しかしこの時だけは「今の段階ではなんとも言えない」と歯切れの悪いことしか口にしてくれなかった。私はこの時点で最悪の結果を覚悟した。
その日の夜、林さんから電話があり、精密検査の結果あの円形プラチナの正体はタングステンという金属であることが判明した。価値はこの重さでたった数千円…
50万円の損失。すぐに電話主と連絡を取ろうとするが電話に出ない。ダッシュで取引をしたマンションに戻って彼の自宅を訪問したが、管理人にそんな人間は住んでいないと追い返された。
買取の際に免許証のコピーをもらっていたのだが、それも偽造されたものだと分かった。
翌日には携帯電話はもう通じなくなっていた。
詐欺が行われている際、絶対に不審点がある。今回の件も、相手の「妻に内緒で…」「エレベーターホールで…」「今日中に現金で…」というのは今思えば普通ではなかった。普通ではないと分かっていながら交渉を続けた。
それに、その時はこの詐欺師が良い人に見えた。取引が完了したときには何度も「ありがとうございます」と言った。そういえば、一目会うなり私の容姿や私の両親のことまで必要以上に褒めてきた。免許証もちゃんと提示してきたし、彼が詐欺師なんて疑うわけがなかった。
何より、粗利を上げたいという欲が、これら全ての普通でない点に対して「目をつぶれ、お前の勝利は目の前だ」と囁いてきた。
時すでに遅し。タングステンと分かってから社長に「早くそいつを見つけてこい」と言われたが当然見つかるわけはなかった。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴11年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。
第90回 家族との調和を保ちながらW杯や最新の映画を観たい人へ
私には趣味がほとんどないのだが、もし時間があったら何がしたいかと聞かれれば「香港映画を観る」と答えるだろうか。
もともと父が刑事モノのドラマを観るのが好きだったので、その影響で私も小さい頃から刑事モノのドラマや映画に面白さを覚えるようになった。
日本にもかつては西部警察、あぶない刑事、踊る大捜査線といった超名作刑事ドラマがあったが、最近では相棒の新シーズンが時々あるくらいで、それ以外はシリーズになるほどの名作はあまり輩出されていない。テレビマニアの父も今はBSで遺留捜査や科捜研、コロンボなどの再放送を観るくらいだと言っている。父も私も日本の映画事情にはあまり詳しくないが銀幕の方でも刑事モノの映画は今は昔ほど流行っていないように感じる。
一方で香港は刑事モノの映画やドラマの新作が毎年どんどん出る。日本と香港の作品の違いはその過激さだろう。香港では麻薬、爆発、殉職といったシーンが一作品中にこれ見よがしにたっぷり出てくる。日本の作品では主演俳優の妻や子どもたちは悪党にさらわれることはあっても最後にはギリギリのところで助かるという展開が定番だが、香港では女、子どもも容赦なく殺される。
私の記憶では舘ひろし、織田裕二、水谷豊が悪役を演じて殺されるシーンは観たことがないが、香港では劉德華(アンディ・ラウ)、郭富城(エーロン・クォック)、古天樂(ルイス・クー)といったスーパースターでも平気で悪役を演じるし、平気で死ぬ。
香港では女優の卵は売春婦役、俳優の卵はチンピラ役から始めると言われていて、襲われたり殺されたりする演技を一人前にこなしてようやく次の役を与えてもらえるのだ。
このように伝統的に香港の刑事モノは過激なシーンが多く、人気作品でも子どもと一緒に観るのがためらわれる作品もあるため、結局我が家でも新作の香港映画が公開されて興奮しているのは私だけになる。
新作映画を観たいのが私だけの場合、その作品を映画館で観るのは難しい。かといって定期購読しているディズニープラスでは新作がリリースされるまで数カ月かかる。そして、ようやくその作品がディズニープラスで観られるようになっても、テレビは基本的に妻と娘に占領されているので観られない。そうやって私はほとんどの大ヒット映画を見逃してきた。
香港映画を観る頻度が減ると私自身の広東語のレベルも下がるし、新しい女優や俳優の情報の更新も途絶える。まさに虻蜂取らずだ。
人間は困難に直面してこそ、その高等生物としての真価を発揮する。
私も最近になってようやく映画館に行かず、テレビを使わずに妻と娘に迷惑をかけないように香港の最新映画を観る方法を見つけた。
学生の頃は世界中の90%のコンテンツは英語を使って検索することで情報を得ることができたし、20年前は英語で検索すればインターネットで映画を無料で観ることもできた。その後時代は大きく変わり、今は中国語がその役割を担っている。

インターネットで「線上看」と検索するとさまざまな中国の視聴サイトがヒットする。それらのサイトでは映画に限らず、ドラマ、スポーツや日本のバラエティ番組など世界中の人気コンテンツが視聴可能だ。香港でも大いに盛り上がったEURO2024をLIVEで視聴することもできた。
ただし、これらのサイトは安全性の面で疑問があるのと、観れそうで結局観られないサイトも多いので、根気強くそれぞれのサイトをチェックしていく必要がある。
お気に入りのサイトが見つかったら、あとは妻と娘が寝静まった夜にこっそりとiPadで映画を視聴する。
睡眠時間は圧倒的に削られるが、このようにして誰にも迷惑をかけずに最新映画を楽しめるのだから、それだけの価値はあると私は思っている。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴11年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。
第89回 師匠イップマンが私に降臨した日
最近ふと聞いた噂話である。
香港カンフー映画の大人気シリーズ、映画葉問(イップマン)の指揮をとった監督が近頃のインタビューで、実はイップマン制作に際してもともとは中国と香港が誇る二大アクションスターのジェットリーとジャッキーチェンのどちらかにイップマン役をお願いしようしていたことを明かした。しかし、実際に依頼をしてみると彼らは十億単位の出演料を要求したとのこと。
そこで、もう1人の香港アクション映画界のスーパースターであったドニーイェン(Donny Yen)に白羽の矢が立った。彼はこのイップマン役の依頼に対して「一握りでいい」とお金よりもこの役を演じられることを光栄に思っていたらしく、監督もその場でドニーにイップマン役を託したとの話だった。
この裏話を聞いた市民の中には「金の延べ棒の一握りだったりして」と揶揄するコメントもあったが、多くの市民は「ドニーさすがやな」と好感度爆上がりだった、という話である。
私とイップマンの出会い
イップマンと言えば、今でも覚えているのは社会人になりたての頃、TSUTAYAのレンタルコーナーで映画イップマンの特集がされていて、そこで初めてブルースリーに師匠がいたことを知った。ブルースリーは当時の日本でも知らない人はいないくらい超有名だったが、幼少時代からジャッキーチェン映画を毎週のように鑑賞していた私でも知らないくらいイップマンに関しては全くと言っていいほど日本では知名度はなかった。
映画タイトルに「マン」が付くので、ウルトラマンやスーパーマンのようなヒーロー系B級映画の臭いがプンプンしたが、ブルースリーの師匠という見出しとよくできた予告動画に後押しされ私も興味本位で借りてみることにした。これが私とイップマンの初めての出会いである。
ウルトラマンのマンとは違う
映画を観てまず最初に分かったことはイップマンとは葉問の広東語読みの名前で、ウルトラマンのマンとは全く違うニュアンスであった。ちなみに劇中に出てくる日本軍は彼のことをヨウモン(日本語漢字読み)と呼んでいる。
イップマン役を演じているド二ーイェン映画を観るのも私にとってはこれが初めてだったと思う。
彼はすでにハリウッド映画に出演するほどのスーパースターだったが、日本ではジャッキーチェンやブルースリーほどの知名度はまだなかった。
映画イップマンには俳優の池内博之も日本軍の三浦役で登場していた。三浦は空手の達人で、戦争中に日本軍の捕虜となった中国人たちの中から腕っぷしに自信のある奴を次から次に道場に呼んで日本兵たちと手合わせをさせていた。
イップマンがキレた
イップマン本人はめちゃくちゃ強いくせに常に謙虚で争いごとを嫌い、家族のために早く家に帰るようなちょっとそれまでの典型的なヒーロー像とは異なったキャラクターを持っていた。
そんな基本おとなしめの彼がついにキレてしまったのが、かつてのカンフー仲間が三浦や日本兵に殺されたことを知った時である。卑怯な手合わせで仲間を殺されたことに腹を立てたイップマンはついに自ら日本軍の道場に足を踏み入れた。そして、ここでイップマンのあの名言が生まれたのである。
我要打十個!(10人とやらせろ!)
アニメやゲームではない実写版で1人の人間が10人の人間を倒すシーンなんてそれまで見たことがなかったのであのシーンは衝撃的だった。編集の力があったにしても、本当に10人を相手にしているように見えた。
そして、見事10人の日本兵に打ち勝ったイップマンは最後に三浦を大衆の面前で打ち負かし、ここからイップマン伝説が始まった。
その後ドニー主演の映画イップマンは第4作まで制作されるほど大人気シリーズとなった。
このイップマンシリーズが代表作の一つとなったドニーは、2000年代の香港アクション映画界を語る上で欠かせない唯一無二のスターの地位を確立したのは言うまでもない。
イップマンが私に降臨した
映画イップマンをTSUTAYAで借りたあの日からもう10年以上が経つが、あれから私は妻や娘と一緒にイップマンシリーズを20回以上は観てきただろう。それくらい、何度観てもイップマン映画は飽きないし、観るたびに学びがある。
私は今も昔もジャッキーチェンファンだが、同時にイップマンのことは私の人生における師匠の1人だと思っている。
師匠イップマンの一挙手一投足を見てきた私は、先日、私が自分で受け持つ柔道のクラスで、初心者の大人メンバーたちが正座をして私の話を聞いている姿を見てふと師匠が日本軍道場に乗り込むシーンを思い出した。
そして普段は初心者とはあまり乱取稽古をしないのだが、その時ばかりは「我要打六個!(6人一斉にかかってきなさい!)」とまるで師匠が私の中に降臨したかのように自然とあの言葉が私の口から発せられた。
決まった…
とその自分のセリフに酔いしれたのも束の間、普段滅多に自分では練習をしないので6人の初心者を相手にしただけで案の定右手手首を負傷。もう2週間近く経つがまだ右手で歯磨きができないほどの重症を負った。
威勢だけは一丁前だが、心技体の成熟はまだまだ師匠の足元にも及ばない。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴11年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。
第88回 忘れ物は悪、だから忘れ物をした自分も悪なのか?
2週間ローテ時間割の落とし穴
日本の学校と異なり、娘の学校の時間割は2週間単位でローテーションされるので、今週が第1週目なのか第2週目なのかが大人の私にもたまに分からなくなる。
それは先日の火曜日のこと。本来、第2週目の火曜日には体育があるのだが、私がうっかり第1週目の時間割表を見ていたため、娘に体操服を持たせるのを忘れてしまったのだ。
周りの目を気にする文化
私自身が子どものころは、周りと違う格好をしているのが嫌だった。
幼稚園での夏祭り、みんなが浴衣を着てきたのに自分だけ甚兵衛を着ていてとても恥ずかしかったのを今でも覚えている。しかし、そのように子どもが恥ずかしい思いをしているときも、甚兵衛を私に着させた張本人である母親は子どもの気持ちなど全然気にも留めない。そうやって親の知らない間に子どもは少しずつ周りとの違和感を感じながら成長し、歳を重ねるごとに過去の何気ない経験や感情がその子の将来の人間性へと影響を及ぼすのである。
体操服を忘れて誇らしげな娘
娘に体操服を持たせるのを忘れてしまった火曜日の夜、本人に学校で先生やクラスメートに何か言われたかと聞くと「私だけ赤い制服でスペシャルな感じだった」と予想だにしていなかった返答が返ってきた。
娘の言うところのスペシャルな感じという部分にネガティヴな感情は見られず、むしろいつも通り楽しげにその日の体育での出来事を話してくれた。
ダメの本質を知るべし
自身の子どもの頃を振り返ると、日本の教育は「何がダメなのか」を教育することに重視していたように思う。
忘れ物はダメ、遅刻はダメ、食べ物のお残しはダメ、周りと違うことをしてはダメ、休んだらダメ、失敗したらダメ…ダメなものを語らせる討論会があれば日本人は世界一になれるだろう。
世の中のダメなものを知り、それらのことを避けるべく行動を取ることは大事であるのは間違いない。一人一人がダメなことを避けられれば、集団としての統制が取れるし、その集団の士気も上がる。実際に個人の身体能力では劣る日本人がチームスポーツになると外国勢に引けを取らないのもその統一の取れた組織力があるからこそであろう。
しかし、ダメなことを徹底的に指導する教育には細心の注意が必要だ。アフターケアなしにダメを厳しく教え込むことで子どもの感情を必要以上に抑え込んでしまう危険性があるからだ。否、そうやって人間の感情を抑え込むことがもしかしたらそのような教育の目的なのかもしれないが…。日本人は子どものころから当然のように感情を抑えられて育ってきた、そして周りのみんなも同じように感情を抑えられている、忘れ物は悪、忘れ物をした人はダメな奴というようなレッテルを小さい頃から頭の中に植え付けられる。
すると、中にはそういった悪に敏感に反応する人間が現れる、それは時に先生や親といった大人であったり、クラスメートといった子どもであったり、彼らは悪を犯す人間を嫌悪する。忘れ物をした人間を執拗に責める、いじめるといったことが起きる。忘れ物は悪、だから忘れ物をしたお前も悪だ、といったように…
もちろん忘れ物はダメだし、遅刻もダメだ。でも「ダメ」の本質はその人間が繰り返しそれらのミスを犯したときである。そして本当にダメなのはその人の事態を改善しようとしない態度、心意気である。教育する側がこういったダメの本質を分からずにダメだダメだとひたすら繰り返すことは危険だろう、というのが私の思うところである。
娘の学校はインターということもあり様々な国籍、肌の色、言語を有する先生、子どもたちが集う。ここでは多様性が重視されるし、服装にしても髪型にしてもあれがダメこれがダメというのは一言には言えない環境がそこにはある。
日本男児の私から見ればインターの自由奔放な教育方針に疑問を覚えることも多々あるが、娘が体操服を忘れたあの日、ふとインターの雰囲気というのはそれはそれで子どもの成長に良い影響を与えている部分も大いにあることを感じた。
願わくば、周りの目を気にせず自分の意志で持って我が道を進んでいきつつ、最低限のマナーと礼儀、そして多少の逆境に負けない根性を兼ね備えた国際人になってほしいと思うが、後者の部分は親である妻や私の指導が大事になってくるので、親子二人三脚で引き続き学びを重ねていくことが必要なのは言うまでもない。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴11年。現在は香港の現地法人で人事部長を務めている。モットーは三度の飯のために飯を食わない。特技は豚のように食べること。
第87回 元旦から三宮のステーキ店でキレてしまった話
2024年1月1日、三宮に本店を構える老舗ステーキ店で新年最初の夕食を家族で堪能した。
店員の態度が急変
私が店員の異変に気が付いたのは、目の前に広がる鉄板の上でシェフが最後のガーリックライスを作り終えたころのことである。
私が最後の肉一切れを口に入れると同時にマネージャーらしき人が「先にお会計を」と言ってきたので、支払いがてら「この辺にラウンドワンありましたっけ?」と聞くと無表情で「ちょっと分かりません」と何ともぶっきらぼうな回答が返ってきたのだ。一瞬、おかしな雰囲気を感じたが、まだ妻のお皿には少しの肉や野菜とドリンクも残っていたので「お会計済ませたし、ゆっくり食べて大丈夫だよ」と言って私は娘をトイレに連れて行った。
そして数分してトイレから帰ってくるとなんとテーブルの上のすべての皿がなくなっていたので、「もう食べ終わったの?」と妻に聞くと「店員に片づけられちゃった」と残念そうな顔をしていた。
この時もまたおかしな感じがしたのだが、「デザートでも食べに行こう」ととにかくお店を出ることにした。エレベーターのところまであのマネージャーが一応エスコートしてくれたが、エレベーターのドアが閉まるまで一度も笑顔を見せることはなかった。店を出た後も妻の表情は相変わらず冴えなかったので、もう少し詳しく事情を聴くと私と娘がトイレに行っている間にあのマネージャーが妻のところに駆け寄り残っていたドリンクも奪い取るように片づけてしまったとのことだった。その話を聞いた私はもう居てもたってもいられずエレベーターに乗りなおして店内に戻りあのマネージャーに抗議することにした。
エレベーターを降りると店の入口付近であのマネージャーが立っていて、私の顔を見た途端すでに泣きそうな顔をしていたが、そんなことは構わず店中にいるすべてのお客と店員、シェフに聞こえるような声で妻への対応について猛抗議をした。
彼の言い分は次のお客が待っているので早くテーブルを空けてほしかったとのことだが、あからさまに早く出ていけと訴えかけるような彼の人を刺すような目は、その日のディナーに66,000円も支払ったお客に対する態度としてなんとも失礼で、全くもって不快であったと私は強く訴えた。
指さしコミュニケーションの落とし穴
今回は4年ぶりの家族での日本旅行。日本へ帰ってみて驚いたことはレストランやショップ、ホテルの日本人店員の接客対応の質の低下である。そもそもコンビニに入っても店員の多くの名札はカタカナで日本人の店員の姿を見ること自体が稀で、街中は想像以上に外国人だらけで私がレジに並んでも一言目から英語や中国語で話されることもあった。前述のステーキ店もお客は95%外国人。流石に高級ステーキ店とあって店員は皆日本人ではあったが彼らの対応はどこかギクシャクしていた。
そう感じた要因の一つはお客と店員とのコミュニケーションがメニューを指してお互いにちょっとニコッとするだけで終わるので、それぞれのテーブルの言葉数が異様に少なく、お店全体に活気を感じられなかったからだ。しかし私が最も問題に感じたのは店員の語学力ではなく、彼らが自分たちの仕事を誇りに思っていないことであった。
人間の真価が発揮されるとき
神対応という言葉があるように問題が発生したときに店員1人1人がどう対応するかでその人間の、そしてその店全体の評価が決まる。そして神対応に必要なのは英語でも中国語でもなく、誇りだ。日本人としての誇り、その店の店員としての誇りがあるからこそ、責任を持って問題を解決しようとした結果、神対応が生まれるのである。かつての日本にはこの神対応が至る所で見られ、その素晴らしい対応力を外国人たちが目の当たりにして日本は素晴らしい国だと称賛した。
しかし日本は変わった。神対応どころか、どうせ言葉も通じないから適当に対応しておけばいいだろうという日本人の思惑が私には至る所で垣間見れた。特に外国人の多くは日本が大好きなので、ちょっとした不満があっても口にはしない。
ステーキ店のマネージャーが日本語の分からない妻に対して強引な対応に出たのもそういった安易な考え方からだろう。もし私自身が日本人でなかったら、あのマネージャーのおかしな態度や仕草にはきっと気づかなかっただろうし、仮に気がついたとしてもステーキ自体の美味しさに満足してきっと何事もなかったかのように店を後にしていただろう。お客と店員の間でコミュニケーションが生まれないと、店で起きるたくさんのことが見て見ぬふりされる。
ただ、現在の日本経済は外国人観光客の財布によって成り立っているようなものなので、これからも多くの会社の管理層は外国人誘致を強化していくだろう。そしてそのことにより現場で働くスタッフの接客クオリティはより一層低下するに違いない。一見すれば客入りもいいし、景気復興の兆しが見えてきたとも言えるが、日本のおもてなしはすでに崩壊し始めている。とは言え、その崩壊の傾向をもう誰も止めることはできないし、そもそもそれに気がついている人もほとんどいない。
今後の日本のおもてなし文化の行く末が不安で仕方がない。
※本記事には個人的な見解が含まれています。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第86回 100通の履歴書から5分で5人を厳選する方法
香港の大学生は6月で卒業、7月8月の最後の夏休みを満喫し、個人差はあるもののだいたい9月から本格的に就職活動を開始する。エネルギッシュで優秀な若い人材を欲する企業としては、この時期が一つ採用活動への力の入れどころである。
OKR/KPIを事前に設定する
新しい人材を採用する際にまず会社がするべきことは、どのような機能が今会社に求められているか(欠けているのか)を明確に理解することである。求人広告を出す前にその職位の職務内容はもちろんのこと、毎月、毎週、毎日の業務及び行動目標、いわゆるOKRやKPIを詳細に決めておく必要がある。新入社員が達成すべき項目とそのための日々の行動目標が事前に明確であればあるほど、入社1 日目から即戦力として期待ができる。
日々の行動目標を設定することは新入社員にとってだけでなく上司の助けにもなる。入社当初は会社のこと仕事のことがよく分からないので、中には入社初日からあれだこれだ質問攻めをしてくる新入社員がいる。上司に質問すること自体は悪いことではないが、あまりに質問の頻度が多かったり常識はずれな行動があったりすると、その新入社員の世話に追われて自分の仕事ができなくなってしまうケースも少なくない。人手不足で新入社員を雇ったのにも関わらず、その新入社員のせいでより一層生産性が下がったとなれば本末転倒である。
履歴書で見極める
香港での新卒採用の場合、履歴書で注目すべきところは大学名とGPA(学業成績)、インターン経験といったところであろう。香港内の5大大学出身やGPA3.0以上(4.0が最高)などの情報から学業優秀な人材かどうかはある程度見極められるが、結局のところ長く戦力になる若手人材は素直でどんな仕事にも積極的に取り組める人間に限る。
中途採用の場合は、履歴書である程度会社に必要な知恵と経験を持った人材かどうかの篩(ふるい)にかけることができるだろう。経験値以外の部分で注目すべき点は前職で昇進経験があるかどうかである。香港では2,3年ごとに転職しながら給与や職位を上げていく人が多いので、意外に一つの会社で昇進経験のある人が多くない。なので、この条件を満たす履歴書に焦点を当てることで、たとえ100通の履歴書が目の前にあったとしても比較的簡単に5人の候補者に絞ることができる。
正しく求人広告サイトを活用する
香港での求人広告といえばJobsDBが一番に頭に思い浮かぶ人が多いだろう。求職者の登録人数も豊富で広告掲載費も比較的安く、タレントサーチという機能で企業側から直接目ぼしい人材にアプローチもできる。ただし、JobsDBが強いのはSenior OfficerからAssistant Manager層の人材で、新卒採用やSenior Manager層の採用にはあまり向いていない。
新卒採用で一番効率がいいのは大学のキャリアセンターに連絡を取って求人広告を掲載、または採用を希望する学部の教授から直接生徒や卒業生に求人広告を流してもらうことである。それぞれの大学で専門性の高い学部が異なるので、どの学部出身の人材が欲しいのか、どの大学がその分野で強いのかを調べてから大学に連絡を取ることで、最短距離で優秀な人材に巡り合うことができる。そして何よりも大学経由での求人広告は費用が掛からないのと、学生の就職活動のサポートをキッカケに大学や教授とのネットワークを構築できるのでまさに一石三鳥だ。
採用に焦りは禁物
私が今勤めている会社も、私の妻の勤めている会社も、私の友人が経営している会社もどこも皆社員教育や人材採用で苦労している。
私の会社では常に人手不足が発生している。以前はとりあえず頭数だけでも揃えておきたいと星5段階評価のうち星3つくらいの印象ならその人材を採用していたこともあったが、彼らが入社してみたら見事に期待を裏切られたという苦い経験も少なくない。そのような経験もふまえて、今年度始めに採用した中国部門のマネジャー職は適材者を見つけるまで半年の時間を費やしたが、その我慢の甲斐もあり、彼女のおかげでようやく中国ビジネスが軌道に乗ってきた。猫の手も借りたいくらい人手が不足しているからといって、本当に猫の手を借りてしまってはやはりうまくはいかない。人手不足の状況下でも、人事担当は平常心で辛抱強く人材選びに励むべきである。そうすれば必ず星5つの人材と巡り合うことができるはずだ。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第85回 免税制度改定に関するご案内
香港エクスプレスとの4時間1本勝負
先日、同級生の結婚式に出席するため、夢にも見たことがなかった妻と子を香港において私一人で日本へ帰るという、控えめに言ってももう死ぬまで絶対に二度と経験することはない機会を得られた。
今回は一人旅なので格安航空で良いだろうと初めて香港エクスプレスを選択したのだが、思っていたよりも機体は小さめ、乗務員は男性多め、両脇の乗客は肩幅広め…の上に、機内食とか映画とかブランケットとかないんですね!って乗ってから初めて気が付きました。周りの乗客はiPadで映画を見たり、軽食を持ち込んだりしていたのに、マジで何も準備をしていなかった私が日本までの4時間半の間にできたことと言えば携帯の中の写真を削除すること。おかげさまで11,000枚の写真の削除に成功しました。
帰国スタンプ、GETだぜ!
今回の日本帰国、友人の結婚式に参加する以外に大事なミッションがあった。それは妻から言われたアイテムを買ってくること。円安と免税のダブル恩恵で日本で買ったほうがいい商品がたくさんあるというのだ。
実はコロナ禍の最中に一度日本へ戻ったことがあったのだが、その時に私は免税に失敗していた。便利なことに最近は日本パスポートの所持者は空港のイミグレーションを顔パスで通れてしまうので、係員にお願いしない限りパスポートにスタンプを押してもらえなくなったのである。パスポートにスタンプがないとお店の免税カウンターで一時帰国の証明ができないので、前回の日本帰国時は一切免税が適用されなかった。そのような経験があったので、今回は帰国スタンプを確実に押してもらい、万全の状態で銀座三越に向かった。
免税制度が改正されました
銀座三越の免税カウンターは馬券場に群がる人だかり並みに混雑していて、その群れの中からサッと中国人スタッフ2人が私のところに駆け寄ってきた。少し圧倒されながらも「香港から一時帰国中なんだよね」とチョイ悪オヤジ風に海外在住日本人をアピールすると、「あの~、申し訳ありませんが、在留証明か戸籍の附票の写しをお見せ願えますか?」と絶対に日本語能力試験1級を取った人でなければ使えないような完璧な敬語と発音で逆質問を受けて、一瞬私のほうが日本語のよく分からない外国人みたいに「戸籍が…ナンデスカ?」と聞き返してしまった。
話を聞くと2023年4月から免税制度が改正され、日本国籍の者が日本で免税を適用するには在留証明か戸籍の附票の写しというものの原本を提示しなければならなくなったらしい。そんなことは当然知らなかったので、今回もまさかの免税失敗。その日は銀座三越で妻のために10万円は買い物をしていたので単純計算で1万円の税金を日本国に献上したことになる。ちなみに妻にはこの日免税に失敗したことはまだ言っていない。
在留証明を持っていった
免税制度が変わって免税が受けられなかったことを実家で姉に伝えたところ、「あるよ」と奇跡的に以前実家に送った在留証明の原本がまだ残っていた。翌日、その在留証明を持ってヤマダ電機にiPadを購入しに行った。案の定、免税手続きの際に「在留証明の原本が…」と店員から要求されそうになったので「あるよ」と再度チョイ悪オヤジを気取って今度こそ免税確定や!とドヤ顔で手続きが終わるのを待っていた。すると15分経ってもまだ手続きが終わらず、「大丈夫?」と探りを入れるとようやく店員が口を開いた。「あのー、在留証明なんですが、2年以上香港にいることを証明できるものでなければいけないんですね…」と言われ、在留証明を見てみると記載されている引越日が2023年1月になっており、この紙を見る限りでは「日本から香港に引っ越したのが2023年の1月」と誤解されてしまうことに気が付いた。
2012年から香港に滞在している私がなぜ在留証明に「引越日2023年1月」と記入してしまったのかというと、青衣から荃湾に引っ越した日付の2023年1月を記入してしまっていて、日本から香港に引っ越した2012年のことを記入していなかったのだ。結局ヤマダ電機でも免税失敗。それでも姉のヤマダ電機カードがプラチナランクになったのがせめても救いであった。
☆海外在住日本人の免税まとめ
1. 一時帰国前に領事館で在留証明を取得。引越日は日本から香港に来た年月日を記入すること。
2. 空港で帰国スタンプをもらう。
3. 免税を適用するとヤマダ電機のポイントはもらえない。
4. 免税を失敗しても妻にはバレない。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第84回 ビザ申請 曇るガラスと透けるシャツ
先日、中国の工場見学のために業務ビザ(ダブル)の申請に挑戦した。
中国ビザはオンラインから
中国ビザ取得の最初の関門は10ページ以上に及ぶオンライン申請。
噂ではこれが超面倒くさいと聞いていたので、申請画面を恐る恐る覗いてみると、噂に違わぬ面倒くささだった。
情報を間違えて入力した
10ページに及ぶ申請画面、不慣れな入力作業なので、進めば進むほどに脳の機能が低下する。
申請完了後に気が付いたが、父親と娘の誕生日をそれぞれ一年サバを読んでいた。また自分の香港の自宅住所の棟番号を記入し忘れていたことにも気が付いた。さらに中国での訪問先の工場の名前も間違えて申請していた。果たしてビザは発行されるのだろうか…
写真はFotomaxで撮ろう
オンライン申請の中で特に面倒だったのは、写真のアップロードである。表情や背景、サイズなどに条件があり、基準に満たないと申請画面上で即弾かれる。一番確実なのは、最寄りのFotomaxに行って中国ビザ用の写真をJPEG版とともに購入することだ。費用は210ドルくらいかかるがこれで一発でアップロードが成功する。
ビザセンターに行く
オンライン申請が完了するとビザセンターで書類提出ができる。私は午後2時の予約で午後1時半に到着したが、案の定、フロアはすでに人であふれていた。それでもワンチャイのイミグレーションに比べるとビザセンターは清潔(トイレも汚くない!)で窓口の対応も親切のような感じがした。
曇りガラスと透けたシャツ
時刻は午後5時、予約時間からちょうど3時間が経ったころ、ようやく私は窓口11番に呼ばれた。申請書類上の入力情報を間違えまくっているので、最初に好印象を与えておこうと開口一番「ハロー!」とガラス越しに座っている女性職員に挨拶をするも余裕で無視される。それにしても、こちらの女性職員、なんと着ている白いシャツがスケスケではないか。健全なPPWの読者の皆さんの前なので詳しくは言わないが、肌着の柄までよく見えてしまうくらい透けていた。そんな職員のシャツはスケスケの一方で、窓口のガラスには絶妙な高さのところに曇りガラス加工がされており、そのせいで職員が今書類のどこを見ているのかが私には見えない。私は終始、誤入力のあるページで職員の手が止まっていないかが心配で、曇りガラスの上から覗こうとちょっと腰を上げようともしたが、なんだか彼女の胸元を覗きこもうとしているようですぐに着席。大胆なシャツを着ているわりには、一言も言葉を発しないし、笑顔も見せない美人職員との無言の時間は5分ほど続いたが、最後に指紋を取られて無事に?申請は終了した。
書類の再提出
書類を提出したその夜、「意外に余裕だったよ」と妻に報告した矢先、ビザセンターから電話があり、工場からの招待状に不備があるとのことだった。招待状には私の名前のほかに性別、誕生日、パスポート番号などの個人情報を記入しなければならなかったらしい。そして「明日中に窓口11番にまた来なさい」と言われ、あのスケスケシャツの職員の姿が脳裏をよぎった。
窓口11番の美人職員に言われた一言
翌日、言われた通り窓口11番に向かうと、なんとまたあのスケスケシャツの美人職員がこの日は違うタイプのスケスケシャツを着て座っていた。昨日の今日なので、どうせまた無視されるだろうと分かっていながらも私はまた笑顔で「ハロー!」とガラス越しに声をかけると、な、なんと「I remember you!」と笑顔で返事が返ってきたではないか。しかもこの日のシャツはスケスケしているだけでなく胸元がV字に大きく開いたタイプのもので、二日連続でこのファッションはもう確信犯だと私は勝手に確信した。しかも書類についているホッチキスを取るために、わざわざ席から立ち上がって前に屈みこみながら力いっぱいホッチキスを取ろうとするので、ただでさえ開放感70%のシャツが開放感120%になってしまい、もはや曇りガラスも私自身も無力であった。
中国ビザまとめ
1. 写真はFOTOMAX
2. 家族や職歴、学歴に入力ミスがあっても大丈夫(正確に入力するに越したことはない)
3. パスポートのコピーも忘れずに持参
4. 業務ビザの場合は中国企業の会社登記証明と招待状が必要
5. ビザセンターの窓口11番は開放感がすごい
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第83回 もし「あんた、豚みたいね」と言われたら?
私は味にうるさくない。辛いものも甘いものも、熱いものも冷たいものもなんでも食べる。中国米もタイ米も大好きだ。ストレスがたまると、白飯は夕飯だけで一人で4合食べる時もある。勢いあまって昔はよく妻の分のおかずまで食べてしまいマジギレされることもしばしばあったが、最近は私のこの来るもの拒まずの食欲に対して妻がときおり感心するしぐさを見せてくれるようになった。
食べなくても生きていける
夕飯に白飯を4合も食べると聞くと、では朝食と昼食は何を食べているんですかと疑問に思う読者もいるかもしれない。意外に思われるかもしれないが、私は子供のころから朝食を食べない子で今でも基本的には食べない。敢えて挙げるなら水。朝食は水。昼食は前の晩の残り物があれば弁当にして持っていくが、残り物がなければ何も食べない。なので弁当を持参しない日は夕飯まで特に何も食べずに一日を過ごすのだ。
何も食べないで大丈夫なんですかと思われるかもしれないが、ハングリー精神というものはハングリーな状態でなければ湧いてこないと信じているので、胃に何もない状態のほうが仕事に集中できるのである。
ゴミはゴミ箱へ、食べ残しはパパへ
小さいころ、祖父に「茶碗の米粒は最後の一粒までありがたく味わうんだ」と食べ物を粗末にするんじゃねえ精神を教え込まれた。その精神は今も私の食の基本姿勢として、いつ何時誰とどこで食事をしようとも胃袋に伱間がある限り最後まで食べ切るように心がけている。
例えば、妻はタピオカミルクティーが大好きで、週に3回は仕事帰りに駅前で買って帰ってくるのだが、毎回必ず飲みきれない。なので残ったタピオカとミルクティーは私が飲み干す役割を担っている。また、来客者が娘のために買ってきたケーキや妻が会社でもらってきた軽食、義父が作って持ってきた焼きそばなど我が家の冷蔵庫は常に食べ物で溢れていて、そのほとんどが3日経っても冷蔵庫内の同じポジションに居座っている。そして、いよいよ食べ物の表面が傷み始めたころ、私の出番である。妻からは「もう食べなくていいわよ」と言われるが祖父の教えに背くわけにはいかないと箸の動きを止めることはない。
豚のように食べる
「胃に入ればみんな同じだろう」という信念は食べる時間がろくに取れない時に功を奏する。特に娘は食べるのが遅いのでその面倒を見ていると自分が食べる時間が削られる。しかし、だからと言って先に自分の食事を済ませようとするとうっかり妻の分までおかずを食べてしまう可能性があり、結局妻と娘の二人が食べ終わるまで待つことになり、だいたい自分に残された食事時間はいつも5分程度である。
先週の土曜日、幼稚園のクラスメートの誕生日会に招かれたのだが、出発まであと10分しかないというところで娘の皿にはまだ肉やら野菜やらが半分ほど残っていた。娘は麺好きで麺ばかり食べておかずを食べないのだ。しかし、この日ばかりはさすがに時間がなかったので、「えいっ」と娘の食べ残しや食卓に置かれていた残りの肉から野菜からスープまですべて自分のボウルに放り込み口の中にかき込んだ。かつてTVチャンピオンで活躍された大食い女王の赤坂さんを彷彿とさせた私の食べっぷりを向かいで見ていた妻がボソッと「あんた、豚みたいに食べるわね。すごっ」と私の豪傑食いを褒めてくれた。
人間が豚に例えられる場合、たいていはネガティブな印象を受けるが、この日私はなんだか新しい自分を見つけられた気がして、初めて自分で自分を褒めたいと思えた。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第82回 キミは、日本で二番目に高い山を知っているか?
2位じゃダメなんです
私の直属の上司でもあり会社の社長でもあるミスターリンは私が人生で出会ってきた人々の中でもトップ3に入る意識の高さを誇る。ビジネスに関して言えば仕入れ値の1セントの違い、デザインの1ミリのズレ、ミーティングでの1秒の無駄にまでとことんこだわる。その意識の高さは自らの子どもたちにまで及び、テストで98点を取ろうものなら98点取ったことを褒めるよりもあと2点なぜ取れなかったのかを追求する。口癖はShoot for the sky(てっぺん目指そうぜ)、「2位じゃダメなんですか?」という質問に「キミは、日本で二番目に高い山を知っているか?一番じゃなければダメだ」と答えてしまうのがミスターリンなのである。
ディズニーよりもオーシャンパーク
普段のランチにもROI(Return on investment, 投資利益率)を意識してしまうミスターリンは常に1ドルの投資で10ドルの利益を得るように行動している。だからミスターリンは子どもたちを滅多にディズニーには連れて行かない。行くならオーシャンパーク、なぜなら住まいが香港島のリパルスベイなので、オーシャンパークが近いからだ。同じテーマパークなのであれば10分で行ける方を選ぶ、そうすれば1時間かけてディズニーに行くよりも2時間多く遊べるじゃないか、と考えるのがミスターリンなのである。
明日ディズニーに行く
そんな曲がったことが大嫌いなミスターリンが先日ドイツからのお客さんとのミーティング中、先方がトイレ休憩で席を外している最中に突然「明日ディズニーに行くんだ」と彼らしくないことを言ってきた。というのも彼は私がほぼ毎週ディズニーに行っていることを知っているので私に土曜日のディズニーの混み具合を確認したかったのだ。無駄が嫌いなミスターリンのことなのでよっぽど混み合っているようならやはりオーシャンパークに行こうと考えていたらしい。しかし、娘たちはディズニーにもたまには行きたい…とのことで「土曜日のディズニーはそんなに混んでいませんよ」と私は伝えた。
社長とディズニーで遊ぶ
ちなみにその土曜日はたまたま私たちもディズニーに行く予定でそのことを伝えると「じゃあ一緒に行こう」とミスターリンに誘われた。私は普段から比較的彼とは親しい間柄だが、とはいえ会社の社長である。社長とディズニーで遊ぶとなるとどこまではしゃいでいいのか悩むところだ。いつもならキャプテン・アメリカのティーシャツを着て肩にはグルートのぬいぐるみ、頭にはジェラトーニのカチューシャをしてディズニーに行くのだが、そんな格好を社長が見たら果たしてどう思うだろうか。それでも、一応「ディズニーに着いたら落ち合いましょう」と答えた。
社長とアントマンに乗る
結局カチューシャとグルートだけは家に置き、無難にミッキーマウスのティーシャツ姿で社長家族と落ち合った。私の娘はアントマン好きなので、とりあえずアントマンに乗ることになった。社長サイドは社長と娘2人の3人、私の方は妻と娘の3人。アントマンは2人乗りなので、それぞれの家族から1人余る。当然社長と私が余る。1人で乗ることも可能だが、それも少し寂しい。しかし、社長と2人でアントマンでエキサイティングできるとは思えない。妻に小声で相談したところ、「そりゃ社長と一緒に乗った方がいいわよ」と言われたので、私は目をつぶって社長と2人でアントマンに乗り込んだ。
360000点
負けず嫌いな社長ミスターリンは当然アントマンでも勝つ気満々だった。プレイ中は終始無表情で無言を貫き、高得点の的に向かってひたすら射撃を繰り返していた。プレイ終了後、妻や娘たちが「120,000点取った!」「90,000点しか取れなかった」と興奮冷めやらぬ状態でいた。そこにミスターリンがすかさず「俺は360,000点」と水を差し、その興奮の熱を一瞬にして冷ました。そこからはどうやったら高得点を出せるのかの講義が始まったのは言うまでもない。
獅子は兎を狩るにも全力を尽くす
この言葉が誰よりも似合う、それがミスターリンという漢なのだ。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第81回 香港で事故物件に住まないために
家賃の予算は1万2千ドル
香港で生活する上で一番の課題は住まいである。私のようにボストンバッグ一つで香港にパッとやってきた人間が香港で家を買うのは夢の中の夢でも見られないような話なので、選択肢は賃貸となるのだが、結婚をすると最低でも2LDK、子どもができると願わくば3LDKが欲しいところだ。しかし2022年の香港人の平均年収が439,000ドル、月収換算で約3万6千ドルの収入で考えると、家賃を収入の3分の1に抑えようとしたとき家賃予算は1万2千ドルが目安になる。この予算で3LDKを探すのはなかなか難しく、2LDKでも理想の間取りを見つけるのは思いのほか難しい。
理想の間取りと広さ
日本では方形(四角形)の間取りが一般的だが、香港ではちょっといい値段、立地の物件でもリビングや部屋、キッチンの形が台形の間取りの物件が多い。間取りが台形だと家具の配置に苦労するので、理想としてはやはりそれぞれの部屋やスペースが四角形でまとめられているものになる。さらに家族(3~4人)で住もうとするなら最低でも実用面積で500sqftの広さが望ましい。
將軍澳か屯門か
太古、紅磡、九龍などは日本人にも人気の場所だが、これらの地域は通勤通学、買い物などが便利なので比較的家賃相場が高い。会社から家賃補助が出ている駐在員のような身でなければそう簡単に手を出せる場所ではない。自らの収入のみで家賃を捻出しなければならない私のような一般人の場合、先に述べた予算で家族で住めるような理想の間取りと広さの物件を検索すると、必然的に將軍澳や屯門などのオフィス街から電車で1時間ほどの距離の地域が主な選択肢となる。通勤や通学を考慮した上で最終的にどのあたりの物件を狙うかを決めよう。
物件検索アプリ
家賃予算、間取り、広さ、場所がある程度決められたら、早速物件探し。香港には28Hseなどの物件検索アプリがいくつかあるのでそれらを利用して、通勤中、勤務中、就寝前にひたすら物件を物色するのだ。それぞれのアプリで微妙に掲載物件が異なるのだが、とりあえずは一つのアプリで徹底的に理想の物件を探すことをおすすめする。
事故物件を見つける
理想の物件が見つかったらアプリを通じてエージェントに連絡を取りいよいよ物件訪問が可能となる。ただ、もし気になるのであればエージェントに連絡を取る前にその物件が事故物件でないかを検索することも可能だ。私のような人間はその人の過去をあまり気にしないようにその物件で過去に何があったかなどは全然気にしないのだが、私の妻はそういうのを大変気にする人なので物件選びのto doリストの中に必ず事故物件検索という項目が含まれている。Googleで「凶宅」と検索すると香港の事故物件リストが出てくるので気になる方は是非ご覧いただきたい。
私の経験談
私は今年で香港に来て丸10年が経つが、この10年間で5回の引越を経験している。一つ目の住まいは重慶大厦(チョンキンマンション)のワンルーム。家賃は1ヶ月で4,000ドルだった。チョンキンを卒業した後も独身時代は一貫して尖沙咀、佐敦界隈を好んだ。その後結婚して旺角の250sqftに住み、子どもができて青衣の2LDKへと移った。娘が生まれてからはずっと「3部屋は欲しいわ」と妻に念仏のように言われ続け、私はまさに馬の耳に念仏の精神で頑なにその要望を聞いて聞かぬふりをしてきたが、昨年から妻の念仏が呪縛に変わり始めたところで、ついに5度目の引越を決意した。
新天地は荃灣。青衣よりもシティ感に溢れ、自然感には欠けるが駅、バス停が多く、市場やスーパーマーケット、デパートなどすべてが徒歩圏内にあり、子どものいる家庭にはより住みやすい場所だ。それにしても1人での引越は気楽なものだったが、妻や子どもとの引越となるとそれはもう一苦労どころではなく、引越前後の1週間は地獄絵図だった。
次の10年はここ荃灣で穏便に生活ができますように…2023年の初参りでは家族には内緒で神様にそうお願いした。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第80回 コロナで失った誇りと得た誇り
妻の異変
最初に症状が出たのは妻だった。木曜日の時点で喉が痛いと訴え、金曜日の朝になると38.5℃の熱が出たため会社を休んだ。コロナの陽性反応も出ておらず、季節の変わり目で体調を崩してしまったのかと私も軽く思っていた。特に妻は2019年のコロナ発生時から控えめに言っても私の10倍以上はコロナに気を付けており、基本的には家とオフィスの往復のみで日々を過ごしているので、そんな妻が熱を出してもただの風邪だとしか思わなかった。
雨のディズニー
一方で妻が珍しく寝込んだこの金曜日はもともと娘の幼稚園が休みだったため、私は休暇を取り娘と2人でディズニーランドへ行く約束をしていた。あいにくその日の天候は雨で気温も最高14℃と最悪のディズニー日和だったが、園内は予想以上に込み合っていた。平日だからか子どもよりもカップルが多かったので、そんなイチャイチャにわかディズニーファンには負けまいと私も娘も必死になってアトラクションやキャラクターグリーティングに並んだ。気温14℃だというのに娘は寒くないと言い張りジャケットを脱いで走り回るので、私は傘もささずに傘とジャケットと簡易ベビーカーとリュック2つを抱え、雨に濡れながら娘を追いかけること8時間、夜7時にディズニーを出るころには流石に体力の消耗を隠せなかったが、娘の満足げな顔を見て私も満足感で満たされた。
2本線現る
翌日、土曜日の朝、妻が珍しく朝早くに起きていた。私は午前中に仕事があったのでササっと顔を洗って家を出ようとすると、突然妻が「コロナかもしれない」と言い簡易チェッカーの結果を見せてくれた。するとうっすらと二本線が浮かんでいるではないか。この3年間、幾度となく押し寄せたコロナの大波をこれでもかとかいくぐり、我が家では一人も感染者を出すことなく幼稚園も会社も皆勤してきたことがいつも誇りだった。そんな鉄壁だった我が家のリーダーである妻がコロナになったと分かった瞬間から娘も突然咳をし始めて、私も頭痛がしてきた。二人ともこの時点では陰性で熱などの症状もなかったが、メンタルはすでにやられていた。そして、その夜、娘と私にも陽性反応が出た。
引き裂かれた誇り
3年間、張り詰めていたものがぷつっと切れた音がした。コロナにかからないことは私たちにとって家族の誇りであり、絆の証であり、ウィルスに負けないという人間としての威厳でもあった。そうやって守り続けてきたものが一気に崩れて、娘と私にも二本線が浮かび上がったときには妻もかなり失望した様子であった。最近妻は仕事が忙しかったし、私と娘は雨のディズニーで興奮しすぎて免疫力が弱っていたのかもしれない。様々な憶測が飛び交う中、初コロナにあたふたする妻と私の横で生の二本線を初めて見た娘がこんなことを言い始めた。
「私の二本線、パパのより濃くない?じゃあ、私が一番強いってこと?!やったー!」
「ちょっと、ママの二本線、私のよりも濃い!私の負けってこと?!やだー!」
娘が二本線の濃さで勝負をし始めたのである。どう反応すればいいのか最初は戸惑ったが、気がつくとその娘の言葉に妻も私もなんだか救われた気がした。
新たな誇り
コロナなどの病気にかかって陥りがちなのが、罪悪感や否定的な考えばかりが頭に浮かんで、気持ちが落ちてしまうこと。仕事とか学校とか買い物とか全てのことがストップしてしまうので、悲観的になることはある程度避けられないが、私たちはいずれにしてもこういった病気とうまく付き合っていかなければならないのである。
一番大事なことは気持ちを強く持つこと。妻のような真面目な人になればなるほど責任感や劣等感を感じてしまうので、なるべく明るく前向きに過ごすことが必要だとコロナによる隔離生活を経てそう感じた。
家族全員が一つ屋根の下で一歩も外に出ない生活が一週間続き、ママとパパと毎日一緒にいられて娘は大喜びだった。度々、娘は「私たち、コロナ家族だね」と誇らしげに言うので、3年前の妻なら「そんなのは誇りにはならない!」と激怒していただろうが、今は笑顔で「そうだね」と誇らしげに答えられるようになっていた。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第79回 BLACKPINKのチケット購入が私の仕事
突如舞い込んだ超難関ミッション
BLACKPINKが見たい
ある夜、夜中の2時くらいだっただろうか、社長から「BLACKPINKが香港に来る」というWhatsAppを受けて、暗黙の了解でブラピンのチケット購入をするというミッションが突如舞い込んだ。
BLACKPINKは韓国が誇る4人組音楽グループで、YouTubeでのミュージックビデオの再生回数が10億を突破するなど、チャンネル登録者数が世界で最も多い音楽グループと言われている。またフォーブス・アジアによる「30 Under 30」に女性アイドルとして初めて選出されるなど、K-POPアーティストの歴史を次々と塗り替えている…らしい。
チケット購入成功確率は1%
世界のNo.1アイドルと言っても過言ではないBLACKPINKの人気は香港でも凄まじく、噂では今回のワールドツアーのチケット購入成功確率は1%以下と言われているほどで、クリスマスに銀座のミシュランレストランを予約するよりも遥かに難易度が高い。
今回のチケットの購入チャンスは先行販売日と一般販売日の2回。Live Nationというチケット購入サイトで会員登録(無料)をすることでこの勝率1%の戦いに臨むことができる。
オート入力機能で全ての情報を30秒で入力せよ
両日ともに朝10時に販売が開始されるのだが、10時前にはアクセスが殺到しサーバーがダウンしたり、ページ更新、移動が正常に行われないだろうという予想は立っていた。なので、もし幸運にも購入画面に進むことができたら、素早く個人情報、クレジットカード情報を入力しなければならない。これらの入力に手間取っているうちにページが更新できなくなることもありえなくはないからだ。
そこで、オート入力機能を使って入力欄をクリックするだけで、名前や住所、カード情報が入力されるように設定する必要がある。販売日の前日に他のイベントのチケットを試験的に何度も購入(その後キャンセル)して購入の手順、オート入力の具合を念入りにチェックした。
オートページ更新ソフトで更新せよ
オンラインでチケットを購入する際の最大の難関は、購入画面への移動にある。購入画面の前のページでフリーズもしくは「しばらくお待ちください」が表示されたまま、結局購入画面にたどり着けずに終わるというのがよくあるオチだからだ。そして、この最大の難関をクリアするためのコツはいかにページを更新できるかにあるらしく、オンラインチケット購入のプロになると1秒間に100回以上ページ更新をできるソフトを持っているとかいないとか。
そこで私も半信半疑でEasy Auto Refreshというソフトを使って自動でページ更新ができるようにして、一応やれることはやっておこうと思った。
複数のブラウザで勝率を高めろ
メッシを擁してもW杯では勝てないように、1人のスーパープレーヤーよりも複数のグッドプレーヤーがいた方が勝率は高くなる。そこで、私も1つのパソコン上でサファリ、Google、Firefox、Microsoftなどの複数のブラウザを開いて多方面からのアプローチを試みることにした。
さあ、いざ本番
販売日当日は9時にオフィスに出社してから人事室にこもり、人事部のパソコン、自分のノートパソコンと携帯の3台でこの成功率1%のミッションを完遂するために万全の準備を整えた。今回はさすがに難易度が高いので社長自らも参戦した。
そして時刻は午前10時。サイト上のボタンが「チケット詳細」から「購入する」に変わった瞬間に計3台のデバイス上で操作を開始し、予想通り「大変混雑しております、このままお待ちください」のページが現れた。ここからはもう私にできることはない。ただひたすらその狭き門を潜り抜けて購入画面に移るのを待つのみ…頼む、頼む! …そして、結果は…
「ありがとう、今チケット売り切れの情報が入った」
と社長からのWhatsAppを受けて試合は終了した。時刻は午前11時を回ったところだった。
翌日の一般販売日にも同じ戦術で臨んだがやはりチケットは買えなかった。その日のLINEニュースで私たちが狙っていたHKD2,900のチケットがHKD6,000で流通しているとの情報を見て、改めて香港市場の激しさと厳しさを痛感したのだった。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第78回 結婚は素晴らしいことなのか?
結婚は素晴らしいことなのか?
夫婦間で衝突を避けられないのが結婚である
ふとたまに、なぜ夫婦喧嘩は絶えないのかと疑問に思うことがある。お互いの良いところも悪いところも全部含めて好きで、この人となら良い家庭を築き上げることができるだろうと意を決して結婚したというのに、いざ結婚してみるとお互いの嫌いな部分だけがどんどん増えていき、時にどうしても受け入れられなくなり喧嘩になる。
私は喧嘩になるとダンマリを決めこみ、妻の言い分を聞きながら「分かった分かった、もう君の言う通り、君の勝ちだ」と早く喧嘩を終わらせてビールでも飲みながら「ディズニー+」で香港映画を観たい派の人間だ。
一方で妻は喧嘩になると私の言い分を聞かないと気が済まないタイプなので、私がダンマリを決め込もうとするとさらに逆上して、私がちゃんと理由なり考えなりを述べない限り「ディズニー+」を見せてくれないのだ。
それは私だって言いたいことはたくさんあるけど、それを妻に言ったところでお互いに違う性格、感性の持ち主なんだから絶対に分かり合えない部分はあることを心の中でも頭の中でも分かっているからこそ私はダンマリを決めこむのであって、ダンマリだって楽じゃないぞということを妻にも分かってほしいところである。
ちなみに、私の友人はダンマリを決めこまず、ズバズバと妻に対して口に出してしまうタイプとのことで、それはそれで夫婦喧嘩が絶えないという。
つまり、ダンマリを決めこむか決めこまないのかを考えることは無意味で、何をしたって妻との喧嘩を避けることはできないということなのだ。
男性と女性の脳の違い
結婚生活研究の権威、マーク・ガンガー氏によれば、男性の頭の中には小さな引き出しがたくさんあり、一つの引き出しにつき一つの話題が収納されているという。だから一つのことに集中して考えることができる反面、複数のことに頭が回らないということだ。
一方で女性の頭の中は無数のワイヤーが張り巡らされていて、全ての話題がそのワイヤーによって繋がっている。つまり一つのことを考えるのに他の話題の要素もあちこちから入り込み、話が複雑になり、長くなるのだという。
妻が夫にキレるワケ
妻が夫にキレてしまうのは夫が失敗を繰り返すからであり、そしてその数々の過去の失敗を妻は鮮明に覚えていて、その時の感情が今も頭の中で常に記憶として残っている。
もちろんこれらの記憶はネガティブなものなので、いつのまにか夫そのものに対してネガティブな印象を持ってしまうようになる。ネガティブな印象を持ってしまったら最後、夫がちょっとしたミスをしただけでも「またやった」と過去の失敗例を出しながらガミガミと突っかかる。たまに夫が良い行いをしてもネガティブな印象が強すぎて素直に喜べなくなる。過去、現在、未来の記憶が常に頭の中でつながっているので妻の夫に対する態度や印象は結婚当初から比べると大きく変化するのである。
とは言え、実は妻だって失敗を繰り返している。ただ妻と違って夫は自分自身の過去の失敗をあまり気にしないように、妻の過去の失敗を現在に持ちこまない。頭の中の過去と現在の引き出しが違うので過去の感情を現在に引きずることなく、“今”を今の感情で行動、考えることができるのだ。だから、妻が失敗をしてもその場ではちょっとイラっとすることもあるが、明日にはもう気にしなくなっているのである。
しかし、そんな過去を気にしない夫が妻にキレることだってある。夫の日々(過去)の過ちを忘れることのない妻は、過去の都合の悪いことをキレイに忘れることができる夫に腹が立ちキレる。夫からすると大したミスじゃないのに妻がキレるので、妻がどうしてそんなにキレているのかが分からずに唖然としていると、その唖然としている姿に妻がさらにキレて、そのしょっちゅうキレている妻の姿を見て夫も「めんどくさい奴だなあ」とキレてしまうのだ。
やっぱり結婚は素晴らしいことだ
結婚生活では数々の衝突やストレスは避けられないものの、結婚がもたらす良い面も研究者たちはちゃんと立証している。
既婚者は独身者よりも健康で、幸福度が高く、収入も高く、より良い性生活を送れて、男性に関しては既婚者の方が長生きすることも立証されている。独身でいることは1日2箱半の煙草を吸うのと同じくらい健康に良くないというのだ。
一般的には男性は無頓着で、女性は神経質と言われるが、個人差はもちろんある。ただ夫はもう少し妻のことを気にかけること、妻はもう少し夫の良いところを意識することで、もしかしたら少しは喧嘩の数も減らせるのかなあとまた無駄なことを考える今日この頃である。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第77回 携帯トイレのススメ
外出時必須アイテム!携帯トイレのススメ
皆さんは、小さな子どもとの外出中にトイレで困ったことはないだろうか?
・ショッピングモールのトイレが汚い
・トイレに行列ができていて入れない
・子どもがトイレのあちこちを触る。そしてその手で目を擦る!
・子ども用便器がなく子どものトイレに手間がかかる
・まだトイレのカバーを閉めていないのにセンサーが作動してトイレが流れて飛沫が体に…!
我が家も例外ではなく、特に衛生管理にうるさい私の妻はこのように外出時の子どものトイレに悩まされ続けたママの1人だったのだが、そんな妻がある日タオバオで携帯トイレなるものを発見しこれが超優れものだった。
そこで今日はこの携帯トイレについて使用場面ごとに使い方を解説しながら紹介したいと思う。

約HKD17で購入可能
ショッピングモールで使う
ショッピングモールやレストランなどの公共トイレで使用する場合は携帯トイレはトイレの蓋の上に設置する。設置する前に蓋の表面をアルコールで除菌できればベストだ。便器の蓋を開けずに用を済ますことができるので突然センサーが作動しトイレが流れるようなことがあっても飛沫が体にかかることを防げる。スペースが広いのと洗面台が低めなこともあり、車いす用のトイレが空いていればそちらを使用することをおススメする。
キャンプやビーチで使う
そもそも携帯トイレとは本来アウトドアでの使用を目的としてデザインされているのでキャンプやビーチで使用するのは比較的容易である。人目を避けられるテントの中や木陰を見つけて子どもに用を済まさせよう。
ディズニーランドで使う
園内の男性女性用トイレには赤ちゃん用のオムツ交換コーナーが設置されているのでそこに携帯トイレを設置する。携帯トイレをオムツ交換マットの上に設置したら子どもの靴を脱がせてマットの上で用を済まさせよう。ディズニーの女性用トイレはよく行列ができているので、その場合はパパが男性用トイレに娘を連れていってあげよう。
ワンタッチテントと併用で超快適
ちなみにこの携帯トイレは大人も使用できるのでアウトドアでも大変便利なのだが、大人の場合は360度人目を避けて用を足す必要があるので「場所取り」がポイントになる。そしてそんな悩みを2秒で解決してくれるのが2秒で設置ができるワンタッチテント。こちらもタオバオで購入できるので携帯トイレを購入の際に是非合わせて検討してみてほしい。このテントさえあればいつでもどこでも大小に関わらず大人も子どももトイレができるので、家族でのアウトドア活動でいつもネックになっていたトイレへの不安も一掃してくれること間違いなし。
まだまだ暑い日が続くので携帯トイレとワンタッチテントを持って週末はビーチで家族との時間を過ごしてみてはどうだろうか。

付属品全部込みでたった約HKD133で購入できる!
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第76回 ディズニーホテルの楽しみ方
ガチ勢から学ぶ、
香港ディズニーランドホテルの楽しみ方
予約は1-830-830へ電話をしよう
香港ディズニーランドホテルはオフィシャルウェブサイトや旅行会社のサイトから部屋の予約が可能だが、ガチ勢は必ず電話で予約をする。部屋のタイプは日本円で10万円近くするアナと雪の女王やシンデレラをテーマにしたスイートルームを始め、スタンダードルームでも低層階、高層階、オーシャンビューなど様々な条件の部屋がある。一番人気の高層階+オーシャンビューのスタンダードルームはかなり早めに予約をしないと取れないので、電話で部屋の空き具合を確認しながら希望に合った部屋があればその場で予約することをおすすめする。また部屋タイプの選択肢以外にも30%OFFや朝食付、夕食付、入園パス付、誕生日パック、記念日パックなど様々なパッケージが存在するのでやはり電話でスタッフに相談するのが一番無難である。さすがはディズニーだけのことはあって、スタッフはかなり親身になって相談に乗ってくれるので、例えば子どもの誕生日で部屋をデコりたかったり誕生日ケーキを用意してもらいたかったりすれば遠慮なく申し出よう。だいたいの希望は叶えてくれるはずだ。
ホテル到着は午後2時を目指す
ホテルのチェックインは午後3時となっているが、午後3時に到着した時点でロビーには行列ができてしまっている。ロビーに到着するとスタッフから待機番号を渡され、その番号が呼ばれるまではチェックイン手続きができない。待ち時間はだいたい30分くらいだが、チェックイン手続きの時間などを入れると部屋に着く頃には午後4時を回ってしまっている可能性が高くなるので、ガチ勢は昼頃にはホテルに到着して待機番号を受け取り次第、ホテル内のレストランでランチを取りながらチェックインを待っている。
プールで遊ぶ
ホテル内では様々な有料、無料のアクティビティが用意されているが、一番人気は屋外プール(無料)。こちらは予約をしないと利用できないのでチェックインが完了次第ホテル内のフィットネスジム受付で予約をしよう。滞在中はプールを何回でも利用できるので、ガチ勢は異なる時間帯で複数回予約している。ちなみにに屋外プールのスライダーは1人専用になっており、小さい子どもと一緒に滑ることができないのでご注意。
レストランでディズニーキャラクターに会う
夕食と朝食のレストランは電話予約の時点で予約することができる。ディナー時にディズニーキャラクターと会えるEnchanted Garden Restaurantはやはりガチ勢に占領されているので、予約はかなり困難だが電話予約の際に一応空席があるか聞いておこう。
太極拳には朝8時から並べ
毎朝9時からホテルロビーでディズニーキャラクターと太極拳を楽しめるアクティビティがあるが、現在のコロナ禍では入場制限が掛かっておりなんと8組の家族しか参加できない。先着8組からもれた子どもたちはどうなるのかというと、この太極拳クラスを遠くからただ眺めることしかできずに朝から何ともしらけた感じになってしまう。先頭に陣取ったガチ勢が一体朝何時から並んでいるのかは不明だが、ガチ勢に紛れて本気で太極拳に参加したいのであれば8時くらいにはロビーに行っておいた方がいいのかもしれない。
レイトチェックアウトをお願いする
ホテルのチェックアウトは通常午前11時とかなり早め。朝食ブッフェを呑気に楽しんでいるとチェックアウト時のバタバタ感は免れない。しかしチェックイン時にレイトチェックアウトをお願いできるので必ず申請しておこう。ガチ勢は12時までチェックアウトを延長することに成功したことがあるらしいが、私のようなミーハーが交渉した際には11時30分が限界であった。
香港ディズニーのガチ勢はホテルの予約からレストランの予約、プールの予約、太極拳への参加など、全てにおいてとにかく行動が早い。ちなみにスイートルームに宿泊すると、なんと就寝時間前にわざわざディズニーキャラクターがおやすみの挨拶にやってきてくれるので、ガチ勢が大金を叩いてでもエルサルームを予約するのも納得がいくわけだ。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第74回 ヘルパーが新しい携帯を自慢し始めたら気をつけよう
私がこれまで雇ってきた歴代のヘルパーの半分がローン会社からお金を借りていたように、フィリピン人、インドネシア人に関わらずそれはそれは多くのヘルパーが香港内で借金を抱えている。そもそも香港はシンガポールや台湾に比べてヘルパーの給与が高いというのに、なぜそれに満足せずお金を借りようとするのか?
最初はヘルパーの金銭感覚に対して理解に苦しんだが、最近少しずつ彼女たちの借金の経緯や理由が分かってきた。
超簡単に現金が手に入る
ヘルパーがお金を借りるのに必要な資料はHKID、パスポート、ビザ、香港雇用主との雇用契約書、香港の住所証明、母国のIDカードのみ。これらの中で入手が困難なものはただ一つ、香港での住所証明だけである。これは雇用主宛の郵便物をこっそり拝借しなければならないのだが、雇用主が働いていて不在の平日の日中の時間を使えば比較的簡単に手に入る。そして、これらの資料を揃えてローン会社に出向くだけで、その場で現金(給与の2〜3ヶ月分)が手に入るのだ。
ヘルパー仲間と仲良く借金できる
ヘルパーが借金をするときはヘルパー仲間と一緒にお金を借りることが多い。各ローン会社は魅力的なお友達紹介特典を用意することで、1人のヘルパーから数珠つなぎのように他のヘルパーが連れてこられるような仕組みを作っている。しかし、仲間で一緒にお金を借りる場合、借用人となるのはそのうちの1人なので、口のうまいヘルパーは借用書に仲間のヘルパーにサインをさせ、現金を手に入れ次第音信不通になるというケースはめちゃめちゃ多い。口のうまいヘルパーにまんまと騙された残りのヘルパーは仲間の分も借金を返済しなければならないのだが、大抵返すことができずに破産への道を歩むことになる。
新しい携帯電話がもらえる
ヘルパーたちが最終的にお金を借りようと決断する決め手となる要因としてローン会社の特典がすごい魅力的だという点が挙げられる。携帯、バッグ、財布、電化製品、時には現金までもらえるのだからそういった現物を目の前に見せられたら、最初は躊躇していても気分がハイになってしまうのは言うまでもない。しかもその新しい携帯には新しいSIMカードまで入っていて、雇用主の知らない新しい電話番号を手に入れられるのだから、隠し事の多いヘルパーには何ともありがたい。ただ、ローン会社がSIMカードまであげてしまう本当の理由はヘルパーとの連絡手段を確保するためだということにヘルパーはその時点では気がついていない。
借金をしたヘルパーの行く末
お金を借りた次の月からヘルパーの借金返済生活が始まるのだが、まず彼女たちは返さないと考えていい。もちろんちゃんと返済したヘルパーもいるとは思うのだが、私がこれまでに経験した中では返済に成功したヘルパーは一人もいない。ヘルパーたちが借りた金はどこにいったのかは知る由もないのだが彼女たちは口をそろえて「返済するお金がない」と言う。最悪のケースはこの後他のローン会社からまた借金をするケース。そうなったヘルパーたちは救いの施しようがない。
借金が返済できないとどうなるのか
月々の返済に失敗すると、ローン会社はまず雇用主の住所宛に催促状を郵送してくる。この時初めて雇用主は自分のヘルパーが借金をしていることに気がつく。返済に2ヶ月連続で失敗すると、ローン会社はヘルパーの実家に借金コレクター(たぶんその手の方々)を派遣する。ローン会社が借金返済をしないヘルパーの雇用主に対して何かすることはないとのことだが、自分のヘルパーが返済滞納していると判明した時点で契約解除することをお勧めする。
ヘルパーに借金をさせない方法
察しの通りヘルパーに「借金するなよ」と言ったところで効果はない。だから雇用主としては借金をする上での必要書類をヘルパーに揃えさせないことで防止をするしかない。まず第一に郵便物はしっかりと管理すること。郵便受けには鍵をかけ、家に持って帰ってきた郵便物はヘルパーの手の届かないところに保管する。本音はヘルパーのパスポートや雇用契約書も保管しておきたいところだが、それを強制するとヘルパーが労働局へ訴える場合もあるので大きな声でお勧めはできない。あとはヘルパーがある日突然新しい携帯やバッグなどをもって家に帰ってきたときは要要要注意である。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第73回 ヘルパーに出来高給を与える5つの条件
香港で人材の採用活動をしていて最もタフなところは給与の交渉である。
前職では月給20000香港ドルだったから次の会社では22000香港ドル行くっしょ!というように面接の時点で昇給を希望する人は多い。
それぞれの求職者はそれなりの経験と自信、そしてそれなりの履歴書を持って面接に挑むわけだが、人事の人間はそれらのアピールを当然鵜呑みにしてはいけない。なぜなら、たとえかれらがどこぞの有名大学を出ていて有名な企業での職務歴があったとしても自分の会社でフィットするかどうかの保証は一切ないからだ。
ただ一方で人事としては一日も早く人材を確保したいのも確かである、人材を採用することが人事の仕事だからだ。
とは言え、前職で月給20000香港ドルだった人間に月給22000香港ドルをはいどうぞと提示してはならない。
エサよりも仕事が先
多くの人間は仕事をする前にエサを欲しがる。それは人間(生き物)の本能だろう。だからエサをくれたら仕事をすると言う。仕事をする自信がある、大丈夫、信じてくれ、だからまずエサをくれと言う。しかし、そうやってエサを先に欲しがる人間に実際にエサを与えてみると十中八九大した仕事をしない。だからまずは仕事をさせることが絶対である。実際に仕事をさせて、本人の能力を証明させてからエサを与えてあげる。それが雇う側と雇われる側の健康的な関係であり、仕事とエサの順番を間違えると大抵上手くはいかない。このことは役職や年齢に関わらず全ての仕事に当てはまり、もちろんヘルパーにも当てはまる。
2022年はヘルパーの価格が上昇傾向
香港のヘルパーの法定賃金は月給4630香港ドルと決まっているのだが、コロナ禍になってからというものこの賃金で雇えるヘルパーは少なくなっている。特に香港はこの2年間入国規制が厳しいので、フィリピンやインドネシア本土からヘルパーを気軽に雇えず、雇用主はどうしてもすでに香港在住のいわゆるローカルヘルパーを探さざるを得なくなっている。ターゲットがローカルヘルパーとなると当然数が限られてくるので、ヘルパーの価値も自然と上がってしまうというわけだ。
基本給+出來高のススメ
それでもよほどな理由がない限り、4630香港ドル以上でヘルパーを雇うのはお勧めしない。前述したように、例えばローカルヘルパーに5500香港ドルを支払ったところでヘルパーのパフォーマンスは変わらないからである。繰り返すがエサを先に与えられた人間は基本的に働かない。
ただ、今は本当に4630香港ドルでローカルヘルパーを雇うのは難しくなっているのは事実なので、そこで代替案として基本給+出来高での契約をお勧めする。
ではどのようにこの「出来高」を設定すればいいのか。以下参考にしてみてほしい。
- 明朗快活な態度:挨拶とコミュニケーション
- 丁寧な物の取扱い:食器を割ったり、家電などを破壊しない
- 食事メニューの改善: 毎週新しいメニューを一つ取り入れる
- 時間管理: 寝坊や子どもの学校への遅刻がない
- 仕事への向上心:同じミスを繰り返さない
このように5つの項目を設定し、このうちのいくつを達成できたかで毎月の出来高を決めるのである。例えば5つ全てクリアした場合は出来高1000香港ドルが月給に追加。3つ達成した場合は600香港ドルを追加というような感じである。上記の5つを達成できるヘルパーは総じて優秀なヘルパーと言えるので、そのようなヘルパーに対して追加で1000香港ドルを支払ったとしても雇用主としては気分は悪くないだろう。
出来高項目は明確に
出来高を設定する場合に大事なことはゴールを明確に示すこと。そして契約書に詳細を書き込むこと。出来高給とは聞こえが良い一方で雇用主のさじ加減で決まってしまうのではと疑われることがほとんどなので、何をどうすればいくらもらえるのかをはっきりと契約書に記載しよう。そうすることでヘルパーの不安を払拭し、仕事に集中してもらうことができるはずだ。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第72回 2022年に香港でヘルパーを雇いたい人へ
オミクロンのせいで何が痛いって、何よりも海外旅行ができない(できるけど隔離規制など大変不便!)というのが最も痛い。こんなに長い期間海外に渡航ができないというのは、私たちのこれまでの人生においては前代未聞の事態で、このことが今年のヘルパー雇用事情にも大いに悪い影響を及ぼしている。
Overseas Helperを雇うのに5ヵ月必要
政府による入国制限がきつくなり、さらにイミグレーションが在宅勤務を実施していることにより、海外からヘルパーを雇うために必要な書類手続きに大いに遅れが出ている。フィリピン人ヘルパーなら通常2ヵ月半から3ヶ月あれば香港に来ることができたのだが、今はその倍近く時間が必要となる。
2022年、雇用主の弱み
Overseas HelperはLocal Helperとは違い香港ヘルパー界の悪しき習慣や文化が身についていないので、忠誠心はまだ高めだ。だから選択肢があるのならOverseas Helperを選びたいところなのだが、実際は「ヘルパ-を雇うのに5か月間も待てないよ」という雇用主がほとんどなので、かれらの残された選択は自ずと「Local Helperを探す」に絞られる。そして、このような「早くヘルパーを見つけたい」という雇用主の焦りがヘルパー探しにおいて雇用主の弱みとなる。
交渉の主導権はLocal Helperに
雇用主の焦りを感じ取ったLocal Helperが何をするかというと給料の引き上げだ。
香港の労働法ではヘルパーの1ヵ月の基準給与はHKD4,630と決まっているのだが、現在の相場はなんとHKD6,000。これくらいの金額を提示しなければLocal Helperは面接にすら応じてくれない。何とも許しがたい傲慢な態度だが、彼女たちはHKD6,000の高給でも雇ってくれる雇用主が現在の香港にはたくさんいることを知っているのだ。
Local HelperをHKD6000で雇った結末
雇用主が勘違いしてはいけないのは高給だからと言ってヘルパーの質が高いわけではないということ。むしろ彼女たちが次に考えることと言えば、さらなる高給を目指しての転職である。HKD6,000という実績を作っておいて、3ヶ月もしたらまた次の雇用主を探し始め、その時にはHKD6,500という数字を提示するのである。
傲慢なヘルパーたちがそれでも雇用主を見つけられる理由
とは言え雇用主もバカではないのでそうは簡単にHKD6,000で契約を結ぶわけではない。当然、ヘルパーとの間に入っているエージェントに給与交渉の相談をするわけである。しかし、それが落とし穴だったりする。なんとこのエージェントとヘルパーがグルになっている可能性があるからだ。その理由はヘルパーが雇用されるとエージェントは雇用主から手数料をもらえるので当然契約成立のためにエージェントは雇用主に「今、彼女より良いローカルのヘルパーは見つからない」とHKD6,000でハンコを押せという説得してくるのだ。雇用主に選択肢がないという弱みにエージェントまでもがつけ込んでくるのだ。
2022年、ヘルパー探しはどうする?
まず第一に5ヵ月待てるのであればOverseas Helperをおススメする。これから入国規制が緩和されればこの5ヵ月という数字も短くなるだろうし、ホテルの隔離期間も今(2022年4月4日現在)では7日間となってこの期間もさらに短くなるだろう。ヘルパーがやってくるまでの間はNanny(お手伝い)を一時間HKD120で雇えるようなサービスを提供してくれる会社もあるのでGoogleで検索してみてほしい。いずれにしても早めに計画を立てることが重要である。
もしどうしてもすぐにヘルパーが必要、Local Helperしかないというのであれば、給与提示はHKD4,630+出来高(HKD1,000)にこだわってほしい。絶対にHKD5,500やHKD6,000を提示してはいけない。この出来高の内容に関しては次回号で私のアイディアを紹介させていただくこととする。
またLocal Helperを探すには正式な代理店に頼む方法とビザ申請手続きを熟知したローカルヘルパーやブローカーに依頼する2つの方法があるのだがそれぞれにメリットデメリットがあるので、こちらについても次回号以降で話したいと思う。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴8年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第71回 人材採用のコツはエディソンチャンに学べ
旧正月が終わり、今年も毎年恒例の人材採用の季節がやってきた!(全然うれしくない)
香港には日本の4月入社のような文化はなく年中無休で採用活動をしなければならないのだが、旧正月でボーナスを受け取った後に転職を考える人が比較的多いので中小企業としてはここでより良い人材を確保しようと躍起になるわけである。
求人サイトを使いこなす
JobsDB、CTgoodjobs
香港で人材を探すならこの2つのサイトのどちらかには必ずお世話になるであろう。
時期によってパッケージの価格が変わるのだがJobsDBの方が若干安いので私はいつもJobsDBを使っている。両社は給与で言うとHKD20000~40000の層を最も多く抱えており、ポジションで言うとSenior OfficerからManagerくらいの人材が集まっている。
新卒や学生を採用するなら
若い人材を探しているならJINESSやJIJISと言った学生専用の求人サイトを活用したり、大学ごとに開催される合同説明会に参加するのがおすすめだ。その他にも「青年就業」などで検索すると若い人材を採用できるサイトやプログラムが見つかるので、それらを最大限に利用することでより多くの人材に巡り合うことができるだろう。
これらのサイトは基本的に無料なので使わない手はない。
パートタイマーを探すなら
パートタイマーが欲しいのであればFacebookで「搵工(仕事探し)」のつくようなコミュニティにアクセスして求人広告を出すことで即日採用が可能だ。香港人はFacebook使用率が高いので主婦や学生バイトを探している場合は試してみる価値はあるだろう。ほとんどのサイトが無料掲載を提供している。
その他の無料で広告を掲載する方法
Indeed HKとLinkedinは本来有料広告媒体になるのだが、広告掲載をする際に「無料で広告掲載する」をクリックすると無料で掲載することも可能になっている。また労働局では求職者と企業のマッチング支援プログラムが多数あるので是非アクセスしてみてほしい。
香港人の履歴書の評価のコツ
転職が少ない
香港人は転職する回数が日本人よりもはるかに多く、転職してナンボというのが香港文化とも言えなくはないが、私が履歴書を見る際は逆に転職の少ない人をまず探すようにしている。転職が悪いというわけではないが、最低でも3年以上一つの会社で働いていることが望ましい。
一つの会社で昇進、昇給している
香港人はキャリアアップもしくは給与アップ目的で転職する人も少なくない。しかしベストな人材は一つの会社でキャリアップを実現できていると私は信じている。また一つの会社で給料が上がっていることも評価の材料になるので、面接の際には給与推移について聞くことも必要。
Gmailを使用している
最新の流行や話題、技術に敏感な人間はやはり仕事でも優秀であることが多い。その人が時代の変化や流れに敏感かどうかを見極める一つの手段としてメールアドレスを確認するという手がある。履歴書にはたいていメールアドレスが記載されているので、それがGmailなのかYahoomailなのかもしくはHotmailなのかを確認するのも忘れてはならない。メールアドレス一つでその人の全てが分かるわけではないが、私はGmailを使っている人に相性がいい。
バックアップを必ず持っておく
以上のようなルールをもとに時に大量の履歴書を吟味していくのだが、履歴書はあくまで履歴書なのであまり厳しく審査しすぎないことも大事である。多少上記のルールに外れていても見込みのありそうな求職者とは面接をしてみる。一つの枠に対して10人は面接、3人は最終候補に残しておきたいところである。常にバックアップを持っていることで候補者Aが突如辞退をしても候補者BとCが手元に残っているような状態を作ることで採用活動はもっとうまくいくはずだ。そう、それはかつてエディソンが数々の大物女優を同時に掛け持ちしていたように…
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴8年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。
第70回 香港でヘルパー探しに困っている方へ
我が家では3年前に娘が誕生して以来住み込みのヘルパーを雇うようになったのだが、いかんせんこのヘルパー運に恵まれていない。先日見たテレビ番組でも「良いヘルパーを見つけるのは六合彩(宝くじ)で当選するのと同じくらい難しい」と言っていたが本当にその通りなのだから…泣けてくる。
初めてのヘルパーはフィリピン人のアリン。当時35歳くらいで夫とは離婚したため息子の養育費を支払うために香港へやってきたとのこと。履歴書を見るとヘルパーとしては珍しく一応大学を卒業していたので、多少は知識や教養が備わっているように見えた。面接時に話した感じでは、あまりおしゃべりな感じではなく謙虚にウフフと笑うタイプだったので、このような性格なら息子のために黙々と仕事に励んでくれるだろうと思い面接当日に契約書にサインした。仕事ぶりは3の上くらいだったのだが、6ヶ月後に香港の金融会社からアリン宛に借金返済の催促状が白い封筒に入れられて我が家に送られてきたので妻も私もそれはそれは驚いた。それでもアリンは良い奴だったので給料前倒しで借金返済を援助しようとしたのが、頑なに「この借金は私のじゃない、友人に騙されたものだ」と私たちのオファーを断り、逃げるように母国へと帰って行った。
アリンの突然の帰国に妻も私も大ショックを受けていたのだが、娘のことを考えると一刻も早く次のヘルパーを見つけなければいけないとアリンと同じエージェントを通してフィリピン人のマリア(当時35歳くらい、子持ち)と間もなく契約を交わした。アリンよりもハキハキと話すタイプだったので、彼女となら意思疎通がうまく取れそうだと私たちの直感を信じた…のだがそれが大ハズレだった。何が大ハズレかというと、掃除も洗濯も料理もできないひたすら飯を食らい息を吸うだけのただのヒトだったのだ。雇ってから1週間が経つ頃には妻も私も堪忍袋の緒が切れて「ええかげんにせえよ」と説教をしたところ「じゃあ今日やめます」と言いかえしてきたので、「いいわよ、1ヶ月前通知をしていないから、1ヶ月分の給与支払ってからフィリピンへ帰ってね」と伝えたところそんな金はないと言って労働局に泣きついて「雇用主に暴力を振るわれた」と嘘の供述をしてきたものだから妻も私も激おこぷんぷん丸。こちらも弁護士を雇って、証拠となる録音音声、録画動画を全て揃えてマリアの訴えを一蹴した。とはいえ、まさに悪夢のような1週間だった。
35歳くらいの子持ちなら養育費のために一生懸命に働いてくれるだろうと思っていたのだがこうもトラブルが続くとちょっと路線を変更しなければならないと、思い切ってインドネシア人のアヌー(24歳、独身)を雇うことに決めた。知識も教養もいらない、ただ健康で従順に私たちの言うことを聞いてくれる人間が必要だったのでこの若者に私たちの運命を委ねることにした。案の定、知識も教養もなかったのだが、私たちもアヌーを無垢な妹だと思って優しく接した。24歳にしてはそれなりに頑張っていたのだが、2ヶ月おきくらいに謎の行動を起こすようになり、徐々に雲行きが怪しくなっていった。6ヶ月を過ぎたくらいからは、いよいよ会話のすれ違いがひどくなってきたので、私たちもまるで小学生を扱うかのように、毎日ダメだったこと良かったことを書かせて何とか彼女の更生を試みたのだが、2021年の旧正月に妻の堪忍袋の緒が切れた音がしてご臨終となった。アヌーもいい奴だったのだが、いかんせん無知過ぎたのが敗因だった。
もうこれ以上は失敗できないと複数のエージェントから多数のヘルパーを紹介してもらい慎重に面接を行い、最終的にインドネシア人のマリアンナ(36歳)と契約を交わした。
インドネシア人にしては珍しく英語ができて履歴書も面接の印象もこれまでで一番良かった。実際に彼女の働きぶりは5段階評価の4くらいでようやくヘルパーらしいヘルパーが我が家にもやってきてくれたと妻も私も安心した。そして、順風満帆に早6ヶ月が経った先日、郵便受けに真っ白な封筒がアリアンナ宛に届いた。この封筒、妻も私もどこかで見覚えがあるなと一瞬嫌な予感がしたのだが、まさかね…と私たちはお互いに言い聞かせながらその白い封筒を片手にエレベーターに乗り込んだのだった…
私たちのヘルパーとの闘いはまだまだ続く。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴8年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第69回 3歳の娘が「さるかにがっせん」を読みたがる本当の理由
意地悪な猿はまだ熟していない硬い柿をかににめがけて次々と投げつけました。やがてかにの甲羅は破れ、かには死んでしまいました。そして、破れた甲羅の中から子がにが出てきて「母ちゃんの仇は必ず打つからな!」と泣きながらに強く誓いました。とは言っても子がにはまだ小さく自分一人ではとてもあの意地の悪い猿には太刀打ちできないので、うす、はち、栗、そしてうんちの4人に助けを求めたところ、4人は怒りを露わにしながら「よしいっちょ猿をこらしめてやろう」と快く子がにの依頼を引き受けました…
初めての子育ては要領が分からないので何かと大変である。特に香港の教育事情は1歳半から幼稚園受験の準備が始まるということで、我が家でも娘が1歳を過ぎた頃にはトイレの練習を始めたり、絵本を買い漁って読み聞かせを始めたりといろいろと試みたものであった。しかし、今振り返ってみるとなんと無茶なことを娘に要求していたものだと反省している。1歳半そこらでオムツが取れるわけもないし、ちゃんと座って絵本を読んだり聞いたりするなんてできるわけがないのだ。それでも妻と私はきっと周りの子どもたちはそういうことがすでにできるものだと思い込んでいたため、テレビばっかり見ていないで絵本を読みなさいと当時はしばしば厳しく娘に当たってしまった。
そんな娘も3歳になり幼稚園に通うようになると、おしっこやうんちも自分から進んでおまるを使うようになったし、就寝前にはたいてい自分から「これ読んで」と本棚から絵本を選んで持ってくるようになった。娘が1歳のときに買い漁った絵本たちは2年の月日を経てようやくその存在意義を発揮し始めたのだ。改めて子どもの成長とは不思議で素晴らしいものだと実感している今日この頃である。
ちなみに娘はインターの幼稚園に通っているので幼稚園では英語と普通語の教育しか受けておらず、日本語に触れられる瞬間は私との会話のときにほぼ限られているのだが、家でも日本語の歌や話を聞いたり、日本語の発音の練習をするのは好きではない。これまでもYouTubeでしまじろうを見せたり、日本語でディズニー映画を見せたりと試みたがどれも娘の反応はいまいちで、結局英語音声に落ち着くことが常であった。絵本も同様にディズニープリンセス、PJMASKSそしてセサミストリートの繰り返しで他の日本語の絵本にはあまり興味を示してこなかった。
それでも「教育は我慢だ」をモットーにしている私はあきらめず、根気強く色々な日本語の本を読み聞かせてきたところ、ようやく娘が興味を示す本を見つけることに成功した。それが冒頭に紹介した「さるかにがっせん」である。さるかにがっせんと言えば日本おとぎ話の定番の一つであるが、ディズニープリンセスとか韓国アイドルが好きな平成生まれの娘がなぜそんな昭和の色満載の日本のおとぎ話に興味を示したのか。みなさんにはもう一度冒頭の要約を読んで、娘がこのストーリーのどこに興味を持ったのか考えてみてほしい。
ポイントは2つ。1つはかにが殺されるシーン。絵本の中でも挿絵でかにが泡を吹きながら倒れている様子が描かれており、破れた甲羅から血が流れ出るところまで細かく描写されている。日常ではあまり見ない光景なので、なぜかには死んだのか、猿はなんてひどい奴なんだと娘も興味津々なわけである。そして2つ目のポイントは「うんち」がひどく怒っているという点である。うす、はち、栗が怒るのは百歩譲って理解できても、そこで4人目がなぜうんち(絵本では「うしのふん」として登場)!?この衝撃のキャスティングは娘の創造力の枠をも超越していたがため、今では毎晩うんちの怒っているシーンの挿絵を見ないと眠れないくらい虜になっている。
ちなみにこのうんち、蜂に刺されて家から慌てて飛び出してきた猿を見るや否や「待ってました!」と叫びながら猿の足元へ滑り込み横転させ、その後の臼によるとどめの一発に見事に貢献した。あれだけ日本語に抵抗のあった娘もうんちが活躍するこのシーンでは必ず「待ってました!うんち~!」と日本語で叫ぶのだから日本人の父としてはうんち様様である。一方で妻はうんちの活躍を称える娘の将来を若干不安視しているが…
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴8年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第68回 なぜ、我が家は90分食べ放題を攻略できなかったのか?
娘が幼稚園に通うようになり、毎月の教育費もなかなかの金額なため、父としてはいよいよ節約生活を余儀なくされている今日この頃。最初は窮屈に感じられたそんな生活も、やっているうちにだんだんと自身の節約感覚が研ぎ澄まされてきて、鶏肉はどのスーパーでいつ買ったら一番お得なのか、洗剤やティッシュはどこの薬局で買えば一番安いのかなどのデータが自然と頭の中に蓄積されている。
財布に優しいお得情報が蓄積されていく一方で、財布に良くないNG行動もだんだんと分かってきた。その一つは妻と娘をドン・キホーテや759阿信屋、12ドルショップなどのディスカウント店に連れていくこと。彼女たちはそれらのお店で実生活にまったく必要のないもの(例えばヘアーマッサージャーとかリカちゃんとかゼリーとか)を、あたかも必需品であるかのように購入するので、そういう彼女たちの姿を見ていると歯がゆいことこの上ない。リカちゃんに支払ったその169ドルがあれば火曜日のHKTVMallでポーランド産鶏肉1羽を4羽購入してもおつりが来るのに…と当然私は考えるのだが、当然彼女たちにそのような考えはない。
日常の食材の相場を知った節約家の私にとっては、「外食」もまた主要なNG行動の一つとなっており、特にしゃぶしゃぶ食べ放題とかビュッフェにだけは絶対に行ってはいけないと思っている。食べ放題で使う一人400ドルのお金があるなら、その400ドル片手に大戸屋に行って家族3人で好きなものを頼んだほうがまだましではないか。
それに食べ放題とは肉をどれだけ胃に詰め込んだかが勝負のポイントなので、そのほかの具材を煮る時間、それらの具材に与える胃袋のスペースは最小限に保たなければならない。つまり食べ放題プランで野菜とか健康とか考えている暇なんてないのだ。そういった肉重視の戦略を取ってしても最終的に店側に利益が出てしまう。そういうシビアな世界なので、本来は女性や子供を連れて挑む場所ではないのだ。
そんなシビアな食べ放題の勝負に、先日妻が久々に挑戦してみたいなんて言うから、あまりに唐突だったので私もついうっかり二つ返事で承諾してしまった。
ここで「うっかり」と使ったのは、私には家族で特にしゃぶしゃぶ食べ放題に行きたくない理由があったことを失念していたからだ。鍋料理となると、妻が鍋奉行をするのだ。
その日も席に着くや否や妻が菜箸を握り、野菜から順番に鍋に入れ始めた。そして海鮮物。野菜がなくなったので追加。そして野菜が二巡したところでようやく肉を投入する。肉を食べようとするころにはもう腹八分。90分あった時間も気が付けば残り10分。妻が肉を最初に入れない理由はスープがあくだらけになるからだと。確かに間違ってはいない、しかし90分一本勝負の食べ放題でそんなキレイごとを言っている場合か…久々の食べ放題だったため、妻がそういう律儀な旅館の女将のような菜箸遣いであったことを私もついうっかり忘れていた。
案の定、妻による素晴らしい食材のローテーションのその横で、娘はアイスを食べたいと届かない願いを叫び続けた。私は途中何度かそろそろ肉でも…とアプローチをを試みたがその願いも届かなかった。我が家の鍋奉行は今宵も健在だった。それでも最後には娘にアイスを取ってきてくれたし、私に残り5分でようやく肉2皿を頼ませてくれた。会計は998ドルだった。
そのあと、ほぼ野菜とエビで膨れた腹を癒すため、ドンキに。エルサ好きな娘がティンカーベルの人形を買っていた。妻は4000円くらいする謎のフェイスクリームを買っていた。私は当然何も買わなかった。あとは何を買っていたのか覚えていないが会計はかろうじて1000ドルを免れたのだけは覚えている。それでも、妻も娘も終始「ドンドンドン、ドンキー…」と口ずさみながら楽しそうだった。私がランチを手作り弁当にすることで節約してきた数千ドルはその週末で帳消しとなった。
貯蓄とは「信頼」と同様に積み重ねるのに時間は掛かるが崩れる時は一瞬である。でも、私には一つ分かったことがある。私はなぜ節約をしているのか。もちろん教育費や生活費のためというのは間違いないが、何よりも家族の笑顔を見るためなんだと。ドンキのペンギンマスコットと一緒に写真を撮る彼女たちを見ながら私はそう確信した。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴8年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第67回 成功が幸せ?それとも幸せが成功?
先日、社内でのミーティング中に副社長(女性)がこんなことを口にした。
「多くの男性にとっては成功が幸せで、多くの女性にとっては幸せが成功だから、
男女間で意見が食い違うのは仕方がない」
「成功が幸せ」と「幸せが成功」…
両者は言葉が似ているので、一瞬理解に苦しんだが、よくよく考えてみたら結構深い意味合いが込められていることにようやく気がつき、よっ!さすが副社長!とは声には出さなかったが、たまには良いこと言うよねと改めて感心したものである。
自分自身はどちらかというと、やはり今の自分に関しては前者だろうと思う。振り返れば大学卒業後、就職もせず東京の親元を離れて大阪、韓国、中国、そして香港と転々としてきたのも無性に成功意欲に駆られていたからであった。今年で34歳だというのに、自分の中では未だにお金持ちになりたい、有名になりたい、大きな家に住みたい新車のテスラに乗りたいという中学生みたいな野心がゴォーゴォーと燃えているのだ。
ただ、中学生と少し異なる部分は、お金持ちになることで家族も幸せにできるし、チャリティー活動で貧しい人たちも助けられるはずだと偽善に満ちた考えを持っていることだろう。
一方で、私の妻はというと完全に後者である。家族で過ごす時間こそが最高の幸せの瞬間だと思っているので、私が仕事や飲み会で夜遅くなるのをすごい嫌がる。私からすれば飲み会だって将来の成功のために乾杯しているのであるからその辺はちょっと理解してほしいなあと思うのだが、妻は「そんなの関係ねえ、そんなの関係ねえ」の小島よしお一辺倒。
ただ、小島よしおと少し異なる部分は、妻は最後に「はい、おっぱっぴー!」…とは言わないので、最終的に空気が重くなり笑いが絶えないどころか家の中の笑い声が絶えるというところだろう。
このように私は成功すれば幸せになれると思っていて、妻は幸せに過ごすことが成功だと思っているので、それはもう常日頃から意見の食い違いは避けられない。私は良かれと思って仕事に精を出し、妻は良かれと思って家族との時間を確保しようとする、お互いが良かれと思ってやっていることなので、否定されたり受け入れてもらえないとどうしてもイラっとしてしまうのである。
それでも副社長の言葉を聞いた後はさすがに、「そうか、だから自分はしょっちゅう妻と喧嘩するのか。世界一の富豪、Amazonのジェフベゾスが離婚した理由もきっとそうだったに違いない」ということを感じ、反省というか、ワークライフバランスは大事だなあと考えさせられた。
それにしても、人間の成功欲というものは厄介なものである。34歳にもなると、自分の頭の中では「お金では幸せになれないし、他人を幸せにすることもできない」と理解しているのにも関わらず、依然としてお金が欲しい、有名になりたいという欲望は消えない。
そもそも成功とは何を指しているのか? 家を買うことなのか?会社が上場することなのか? それらを達成したところで果たして自分の心は満たされるのだろうか?9月から娘が幼稚園に行くようになり、夜も9時には寝るようになった。そうなると、私が家に帰るともう寝ているなんて日も増えて、娘と会話ができずに一日が終わることも増えてきた。
将来の不透明な成功のために今を犠牲にしている自分は果たして幸せと言えるのだろうか。否、幸せではない。
成功が幸せなのか、それとも幸せこそが成功なのか。その答えは明確ではないか。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴8年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第66回 MARVELはなぜドニーではなくトニーを選んだのか
先日、「日本人高卒ルーキーがなぜメジャーで成功しないのか」というよ
うな記事をヤフーニュースで見つけたのだが、その大きな理由として英語力と人間としての未熟さが関係しているのだろうと結論づけられていた。
私が香港に来たのは25歳のときで、なぜ25歳で香港に来る決意をしたのかというと沢木耕太郎著「深夜特急」の付録対談で沢木が「海外に出るのに最も適した年齢は26歳だ」と話していたからという何とも単純な理由であった。ちなみにその沢木が最初に選んだ場所は香港だったので私もそれに乗じたというわけである。
沢木が言っていたのは人間的な成熟度は海外生活を成功させるために欠かせないもので、だからと言って成熟しすぎる、つまり世の中のことを知りすぎることも海外生活への順応の邪魔になるので30歳では遅すぎるし20歳では早すぎるとのことで社会経験を3年積んだ26歳がベストだろうとという話であった気がする。
そんな沢木の20年前の対談を読んで大いに感銘し、実際に25歳で来港した私だが、改めて自身の香港生活を振り返ってみると沢木の言ったことは正しかったと思うし、高卒ルーキーで海外に挑戦するというのはやはり人間的な面で難易度は高いだろう。
一方で英語力についてだが、香港に来る前からそして来た後も私は「流ちょうな英語は海外生活に必要ない派」に属していたが、ちょっと最近その考えが不安定になってきた。
そのきっかけとなったのがMARVEL最新作の「シャンチー」のキャスティングである。
MARVELと言えばヒーローアクション映画製作の超巨大企業である。だからこそそこに抜擢される俳優や女優達も身体能力高めの人たちが勢ぞろいなので、当然今回のシャンチーには葉問(イップマン)でおなじみ、香港映画界が誇るアクションスターのドニーヤンが抜擢されると思っていた。しかし、蓋を開けてみればなんとシャンチーの親父役はトニーレオンではないか。
トニーレオンも香港映画界を代表するスーパースターであることに違いはないが、どちらかと言うと柴田恭兵っぽい雰囲気があるのでMARVELというよりはあぶ刑事っぽい役がぴったるハマるというのが私の印象であった。
とにかく、絶対にトニーよりドニーの方がシャンチーの親父役にハマるってことを誰かに言いたく、とりあえず横にいた妻に「なんでMARVELはトニーを選んだ!?」と聞くと「ドニーは背が小さいからよ」と一蹴された。だからってトニーもそんなに背は高くなかっただろうとGoogleで調べてみると…
トニーレオン 171㎝
ドニーヤン 173㎝
ドニーの方が背が高いやんけ! というような雰囲気を出しながら「Donny is taller」と妻に問いただすと、妻が「ドニーは年なんじゃない?」と言い返してきた。
トニーレオン 59歳
ドニーヤン 58歳
ドニーの方が若いやんけ! というような雰囲気を出しながら「Donny is younger」と妻にさらに問いただすと、妻は「ドニーは英語が下手なんじゃない?」とめんどくさそうに言い返
してきた。
この妻のテキトーな一言が私の胸に刺さった。
そういえば、日本人俳優で海外映画界で成功したと言えるのは渡辺謙と金城武くらいだ。もちろんこれまでも多くの日本人俳優たちが海外の映画に出演してきて重要な役もあったが実はセリフが多い役はほとんどなく、英語で二言三言話すだけ「おお!この人英語喋れんだ」となるのが日本映画界の限界であった。
昔聞いたことがあるのは、ただ英語が発音できるだけではハリウッドでは通用しない。全米、全世界に通じる英語を話せなければアメリカンドリームは絶対に叶わない、ということだ。
きっとトニーにはその英語力があったんだろう。トニーはこの出演でギャラが7億円だったというから「英語勉強しといて良かったー!」と内心思っているに違いない。
海外とは全く別世界である。アメリカンドリームとかパツキンのチャンネーと付き合いたいとかそれぞれに海外生活に抱く夢はあると思うが、それよりも何よりも「その世界のことを知りたい、学びたい」と思うことがそこでの生活に順応するためにまず必要な心構えである。知るということは生活様式や文化だけでなく、言語も当然学ばなければならない。
島国育ちの日本人が海外で苦戦するのは大和魂を見せてやるんだ、カタコト英語で何が悪いと頑固になりがちだからである。
トニーとドニー、名前も身長も年齢もほぼ同じ2人のスーパースターの明暗を分けたのがたぶん英語力だったということを私たちはしかと心に留めておくべきだろう。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴8年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第65回 絶対痩せる、妻も娘も喜ぶ、ルーシー流ダイエット法
終わりの見えないコロナ禍の世界で、それでも香港の街は少しずつかつての活気を取り戻そうとしている。コロナウイルスという目に見えない敵に対して香港でも指折りの警戒心を払っていた私の妻も、ここにきてようやく私や娘の外出に寛容的に対応してくれるようになった。
そういうわけで、最近は久しぶりに友人たちに会う機会も増えてきたのだが、会う人会う人に「あら、ルーシー痩せたね」と言われるので、自分でも今一度鏡で自分の姿を見てみるとなんと確かにお腹が凹んでいるではないか。
そういえば、かつてねじ込んでもウエストのボタンが締まらなかったタイトなジーンズも気がつけばジャストフィットで穿けるではないか。
そして2ヵ月前までは75㎏台をうろうろしていた体重も、昨日あさイチの体重を測ってみるとなんと70.6㎏! 妻に内緒で密かに目標にしていた69㎏台まで目前となっていた。
外出が制限されていたコロナ禍でどうやって私が5㎏のダイエットに成功したのか。
ジム不要、ジョギング不要、お金も時間もかからない、そして小さい子どもの面倒を見ながらできるルーシー龍によるルーシー流のダイエット法を本日はPPWをご覧の皆さんだけに特別に公開しようと思う。
ランチはポテトチップスを食らえ
ダイエットの成功に欠かせないのは食事の節制である。ポイントは一日の摂取カロリーを消費カロリーに対していかに抑えるか。30代男性の一日の消費カロリーを2,000kcalと考えると、単純に摂取カロリーを2,000kcal以下に抑えれば体重が減る計算になる。朝ごはん、夜ご飯は家で食べることで比較的調整しやすいのだが、勤め人にとって昼ご飯は難しい。特に香港は日本のようにスーパーやコンビニの品ぞろえが充実していないので気軽にサラダなどが買えないし、健康に良いものを食べようとすると高くつく。一方で茶餐廳( チャーチャンテン)のようなローカルのランチは安いがご飯大盛だし、油の量が多いので健康には良くない。そこでルーシー流のランチのおススメはポテトチップスだ。健康に一切気を遣っていないポテトチップスでもだいたい500kcalなので、牛丼並盛800kcalに比べれば全然優等生である。コンビニでプリングルスのハーフ缶(250kcal)が手に入れば完璧だ。ちなみに私くらいになると昼ご飯はメントス一本だけでもしのげる。
ソーダ水を飲め
勤め人にとって家に着いてからのキンキンの缶ビールはたまらないが、ビールのカロリーや糖質が高いことは周知の事実である。そこでルーシー流の晩酌のおススメはソーダ水だ。ソーダ水はまさかの0kcal、水と同じなのでいくら飲んでも0kcal。近所のスーパーで1缶4ドル以下で買えるのでビールの半額以下。健康にも財布にも優しいソーダ水なら妻も安心。ちなみに私くらいになると水道水(0円、0kcal)に氷を入れて飲むだけで平日の夜はぐっすり眠れる。
腕立てと腹筋をセットでやれ
食事制限と合わせてダイエットに欠かせないものは代謝の向上である。筋肉運動を増やすと筋肉が発熱してカロリー燃焼の一助になる。妻がよく勘違いするのは「ジョギングをして帰ってきて体重を測ったら減っていて嬉しい」というもの。ジョギングして体重が減ったのは汗が出た分が減っただけなのでダイエットとは言えない。ルーシー流は常にカロリーとの戦いなのであって、発汗量に焦点はおいていない。そこでおススメなのが腕立て伏せと腹筋である。それぞれ30回ずつ交互に合計3セットやるだけでかなり息が上がる。また小さいこどもがいる家庭ではたいてい腕立て伏せの最中に子どもが背中に乗ってくるので強度も子どもとのスキンシップも増す。ちなみに私くらいになるとこれにプラスして懸垂10回を取り入れている。懸垂俸はHKTVMALLで200ドル以下で買える。
太るかも…とか思うな
あなたの目の前に大好物のメロンパンがあるとしよう。ダイエット中のあなたがそのメロンパンを食べるとしたとき、あなたはどう思いながら食べるだろうか。ルーシー流では「病は気から」の教えも取り入れているので、メロンパンを食べるときも「太らない」と思いながら食べることを実践している。よくある勘違いは「あ~これ食べたら太るな~」と思いながら食べてしまうこと。そう思うんだったら食べるんじゃねえ、と私は言いたい。食べるときは思いっきり食べる、食べないときは食べない、どちらにしても後悔はしないことが大切なのだ。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴8年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

第64回 プリンスにごめんなさい
前回、ディズニープリンセスのエース「シンデレラ」の凄さについて素人なりに考察してみたのだが、その中で一部誤った情報があったので、今回この場を持ってお詫びとともに正しい情報を皆さんにお伝えしたいと思う。
その誤った情報とは一体何なのかというと、プリンス・チャーミングに対する私の評価があまりに軽率で彼に対して失礼であったということである。
やれ諦めが早いだの、やれファザコンだの、そして極めつけは「歴代のプリンスの中でも群を抜いて努力とか苦労をしていないのがプリンス・チャーミングなのだ」と決めつける始末。
プリンス・チャーミングには大変不快な思いをさせたことを心からお詫び申し上げたい。
シンデレラは実は3部構成だった
私がなぜ突然プリンス・チャーミングの評価を改めたいと思ったのかというと、前回の私の記事を見た(絶対見ていない)NowTVの関係者が「ある日本人によってプリンスがボロカスにディスられている」ということに気がつき(絶対気にしていない)、急遽(たまたま)シンデレラ3をディズニーチャンネルの作品リストに追加したところに発端がある。
シンデレラとシンデレラ2を観たことがある人はお分かりだと思うが、それぞれの作品におけるプリンスの存在感は極めて薄く、彼の役割はシンデレラの噛ませ犬に徹している。もちろん、シンデレラが主人公なので彼女の魅力が十分に引き立てられればディズニー側としても鑑賞する女性や子供たちからしても全く問題ないのだが、私のようにちょっとひねくれた視聴者は脇役にばかりに目が行ってしまうので、とりわけダメなキャラクターが出てくるとツッコみたくなって仕方ないのだ。
ツッコまれているのが悪役のキャラクターたちならまだしも、さすがにプリンスをディスられるとディズニーも黙ってはいられなかったのだろう。何とかプリンスとしての尊厳を取り戻せられないものかと、満を持してプリンスを主役にしたストーリーを考え出したのである。それがシンデレラ3というわけだ。
シンデレラ3にツッコみを入れてみた
1.それ、なくすか!?
フェアリーゴッドマザーが暢気に踊っている最中に魔法のステッキをなくすという大失態を犯す。そしてそのステッキがないとなんの魔法も使えないフェアリーゴッドマザーにも落胆した。
2.それはヤバい
訓練とか資格とか一切なしに、願い事を頭に浮かべて「ビビデバビデブー」と言えば誰でも簡単に使えてしまう魔法のステッキ。どおりで皆が欲しがるわけである。危険極まりない。
3.鬼やこいつ
ステップマザーの魔法のステッキの使いこなしが半端ない。ステッキを手に入れるや否や、過去に戻ったり、プリンスの意識をコントロールしたり、ガラスの靴を娘アナスタシアのサイズに合わせたり、アナスタシアの容姿をシンデレラにしてしまったり…とやりたい放題、悪役の鑑!
4.プリンス、キターー!
離れ小島へと流されることになったシンデレラを乗せた船に、プリンスが断崖絶壁の場所から飛び降りて船に乗り込むという荒業を披露。だいぶ高いところから船に飛び込んだので髪型が少々崩れたのだが、手早く整えてシンデレラにいきなり求婚するというまさかの男らしさを見せつけた。
5.プリンス、キターーーーーー!
シンデレラ追放計画をことごとく失敗し怒り狂ったステップマザーはついにステッキを使ってシンデレラを殺そうと死ね死ね光線を発動。その途端、プリンスは剣を抜き出しシンデレラの元へ駆け寄り、なんと剣を使ってその光線を跳ね返すというオオタニサンも顔負けのヒッティング技術を披露。跳ね返った光線はステップマザーに当たり、彼女は知らない街へ飛ばされ蛙となった。
シリーズ最終章、プリンスの男気とステップマザーの腹黒さをたっぷりと堪能できるシンデレラ3、おすすめです。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第63回 父はシンデレラがお好き
ディズニーなんて女や子どもの見せ物でしょ?と生まれてこの方一度もまじめに観たことがなかったディズニープリンセスの映画を、娘が生まれたことをきっかけにNowTVのディズニーチャンネルを購読してからというもの毎日のように鑑賞するようになった。
それぞれのディズニープリンセス映画に共通していることは友情、愛情、努力に溢れたストーリー、キャラクター設定になっているということ。
まさにアメリカ版ジャンプ漫画と言ってもいいくらい、観たあとに元気や学びをもらえる作品ばかりで、今となっては3歳の娘と「今日はどのプリンセスを観る?」と親子共々完全にディズニープリンセス狂と化している。
アメリカ公式では12人いる(アナとエルサは入っていない!)とされているプリンセスの中でも私の一番のお気に入りはシンデレラだ。
彼女にはプリンセス共通の勇敢で逆境に負けない強い心の持ち主という特長以外にもいくつか卓越した魅力がある。
シンデレラの魅力 その1 プリンスが頼りない
それぞれのプリンセスに欠かせないものとしてプリンス(王子)の存在がある。オーロラ姫のプリンス・フィリップは勇敢にドラゴンに化したマレフィセントを、アリエルのプリンス・エリックは魔女アースラを倒した。ポカホンタスに出てくるジョンスミスは村長を守るために自らが盾になり重傷を負った。このようにプリンセスだけでなくプリンスたちも時に勇敢に戦って自分たちの運命を切り開いていった。
それがシンデレラのプリンス・チャーミングはどうだろう。
呑気に舞踏会なんか開いて、そこで見つけたシンデレラに一目惚れ。12時になって突然逃げ出したシンデレラを最後まで追いかけることもせず諦める。
またその後シンデレラとのハネムーンを終えて城へ帰って来るや否や王(父親)の命令にあっさり従い、2日後のお披露目会準備をしなければならないシンデレラを1人置いてすぐにまた出かける。
歴代のプリンスの中でも群を抜いて努力とか苦労をしていないのがプリンス・チャーミングなのだ。
シンデレラの魅力 その2 すごいしっかりしている
かつて召使いだったということもあり家事が完璧にこなせるのは歴代プリンセスの中でも彼女くらいではないだろうか。また勇敢である一方で一般常識や教養に欠ける傾向があるプリンセスの中でもシンデレラには高い知識と教養、さらには問題解決能力が備わっていて、プリンセス・シンデレラお披露目会でもこれまでの王宮の習わしをことごとく覆し、誰もが喜ぶ最高の会を披露したのは記憶に新しい。
シンデレラの魅力 その3 誰にでも優しい
プリンセスたちは基本的に誰にでも優しいのだが、シンデレラの優しさは竈門炭治郎の無意識領域の透明感並みに透き通っている。例えば、プリンセスになってからも朝は城にいる誰よりも早く起きて昔からの親友であるネズミたちや自分のお手伝いたちに朝食を振る舞う。かつて召使い時代に散々酷い目に遭わされた義姉のアナスタシアがパン屋の店主に恋に落ちたときも自ら進んで恋のキューピッドとなり、、義母の強い反対を押し切り2人が見事シンデレラ主催の舞踏会に一緒に参加することを実現させた。
また伝統行事であるプリンセスお披露目会で貴族だけでなく一般人の参加を初めて実現させたのもシンデレラである。
シンデレラの魅力 その4 親からの愛情を受けてこなかった
シンデレラが他のプリンセスたちと圧倒的に異なる点が、彼女は親からの愛情を受けて育ってこなかったということである。他のプリンセスたちには必ず両親の愛情や教えが物語の随所で励ましとなってきたのに対し、シンデレラの話には一切そのような励ましは出てこない。それもそのはず彼女は幼くして両親を亡くしたからだ。その上酷い義母、義姉たちの元で育ったことで、大変つらい幼少、青年時代を過ごしてきたのだが、それでも文句一言言わず、嫌な顔一つせず、もくもくと働いた。その結果、自分の力で考える、行動する習慣や他人を敬う気持ちが自然と身についていったのだ。
世間一般的な「シンデレラ」と言えば、貧しかった人間が日の目を見るサクセスストーリーの代名詞で、そのストーリーだけが先行して上記のような彼女の人としての本当の素晴らしさを理解している人はそう多くはないのが現状である。それこそ、子どもたちにとってはシンデレラなんかよりもエルサやアナの方が圧倒的に魅力的だろうし憧れだろう。私の娘や妻も例外ではない。
好きなキャラクターはエルサでもいい、でも娘にはシンデレラのようなタフで愛に溢れた女性になってほしい、と父はそう思うのである。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第62回 もし、香港人の社会の窓が開いていたら
広東語に火車沒到站(フォーチェーメイドウジャン)という言葉がある。
「列車はまだ到着していない」という意味だ。一見、なんてことはないフレーズだが、香港の日常生活では時々この言葉が男性に対して向けられることがある。
物語はある晴れた日のランチから始まる。
そもそも私のランチの予算は年々縮小傾向にあり、2021年5月時点でその額は20HKD(約281円)にまで落ち込んだ。香港在住の方ならご存知の通り、香港のオフィス街で20HKDでランチを食べようとするのは至難の技である。
この予算で炭水化物を摂りたいと思ったらカップラーメンを除いてはパサパサのおにぎりか冷えたサンドイッチ、もしくはコンビニのレジで印尼麵(インドネシアヌードル)を頼むしかない。
3歳になる娘にはとてもではないが見せられない何とも寂しいパパのランチだ。
それでも、「家族に三度の飯を食わせるために俺は三度の飯を食わない」のが香港で働くお父さんたちの合言葉なので、贅沢は言っていられない。
その日もこの合言葉を胸にランチへ臨もうとしたわけだが、少しは開拓もしなければとオフィスビルを出ていつもとは反対方向に歩みを取ることにした。すると、まもなく周囲を工業ビルに囲まれた一角に行列のできるお店を見つけた。メニューを見てみると、いわゆる車仔麺(チェージャイミン)のお店のようだった。
車仔麺屋では麺の種類から具材まで自分で自由に選択することができるので、予算や好みに合わせて自分だけの車仔麺を頼むことができる。
そんな香港B級グルメの雄、車仔麺のお店がオフィス街のど真ん中にあるとは知らなかったので、私も行列に加わることにした。
私のチョイスは幼麺(細ちぢれめん)、もやし、大根、そして巨大しいたけ。これでちょうど20HKD。予算に限りがあるため肉っけなしの超草食系メニューだがこれに入れ放題のガーリックチップとみじん切りネギを山盛りにしてみると、なんとなく角ふじの野菜増しラーメン風になるではないか。
何よりも20HKDランチの最大の課題であった野菜不足をこの麺で解消できることに私は甚く(いたく)感動し、スープの残り一滴、ガーリックチップのカスまであっという間に平らげた。
食べ終えてみるとコンビニ飯に慣れていた私の胃袋には少々ボリューミーではあったが、それでも久々の満腹感と新しい行きつけの店ができた喜びに満たされながらオフィスへと戻った。
胃も心も興奮冷めやらないまま、いざ仕事でもするかとパソコンのディスプレイに集中しようとすると、なんだかやけに集中力散漫な自分に気がついた。そして、気がついたら額からアーネストホースト級の玉汗が噴き出していた。まあ香港の5月と言えば夏も同然だからとあまり気にせず汗が引くのを待っていたのだが、それでもなかなか汗は止まらなかった。それどころか、今度は頭がクラクラしてきて、吐きたいのかう〇こをしたいのかよく分からないような気持ちの悪さを感じ始めた。そのころにはこの玉汗はアーネストホーストが3度目のK-1王者に輝いた時のような清々しいものではなく、例えるなら清原和博が語っていた薬物の禁断症状により「真冬でも汗が止まらなかった」というそれによく似ているものだと確信した。自分の身体にも何か悪いものが入り込んだか…とクーラーフル稼働中のオフィスで一人汗だくになりながら天井を仰いだり机に伏したりを繰り返し、それでも妙な吐き気や便意が止まらないのでズボンのベルトをはずし、チャックも全開にしてなるべくお腹に負担がかからないよう身体をまっすぐにのけぞるのようにして椅子に座り、やがて力尽きた自分がそこにはいた。
汗だくでチャック全開で椅子にのけぞって座っている日本人を同僚たちはどう思うだろうか…あ、ボスから何かワッツアップが送られてきた…いや、そんな周りのことはどうでもよかった。
その時はとにかく「生きろ、そなたは美しい」とアシタカがサンを励ましたように、「生きろ」と自らを鼓舞し続けた。
結局、約2時間に及ぶ格闘の末、ようやく瀕死の状態から蘇った私は、チャックを戻し、ベルトを締め、ゆっくりと状態を起こした。時刻は午後4時、窓から差し込む西日が眩しかった…
さて、以上の物語を読んで、皆さんは私のフォーチェーがメイドウジャンだった瞬間がお分かりだろうか?
正解はチャック。日本では「社会の窓」と形容されるチャックだが、香港では列車に例えられて、チャックが閉まっていないことを火車沒到站と言うのである。
香港で、目の前の男性の社会の窓が開いていたら是非「ムゴイ、フォーチェーメイドージャン…」とつぶやいてみてほしい。この一言であなたは一躍人気者になること、間違いない。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第61回 ありがとう、でも欲しいのはそれじゃない
先日、日本人を妻に持つアメリカ人のジョーが流暢な日本語でこんなことを言っていた。
「今日も妻が料理を作って僕の帰りを待ってマス。でも僕が本当に食べたいのはピザなんデス。そんなに時間とお金をかけてご飯とか味噌汁とか作らなくていいんデス。ピザとコーラがあれば…。もちろん、これは妻には言えませんガ。」
そう言ってジョーは私からの食事の誘いを断り、妻の待つサイワンホーのマンションへと家路を急いだ。
「ピザとコーラがあれば…」という彼の気持ちがよく分かりすぎて、私はその時彼を励ますような気の利いた言葉が見つからず、ただただ深く頷く(うなずく)ことしかできなかった。
夫婦間の価値観の違いはもはや国籍だの文化だのを超越して、基本的には人間対人間の話になるので、日本人夫婦でも香港人夫婦でもこのような愚痴がお互いに出ることは多々あるだろう。
もちろん我が家も例外ではないのだが、私の妻の場合は夫(私)のことを大切にしてくれているが故の気遣いが多く、逆にそれが夫(私)を戸惑わせている。
1.3時間コトコト煮込んだスープ
香港の食卓にスープは欠かせない一品で、それもしょっぱくて美味しい味噌汁と違って鶏肉丸ごととか野菜とか漢方薬とかが入った本気のスープである。我が家でもデッカい土瓶みたいな鍋に具材全部入れて3時間煮込むスープが度々登場するのだが、そのスープが出た日はビールは飲めないというルールがある。
仕事から帰ってまずは一杯キンキンに冷えたビールを飲みたい…という時に妻が笑顔でアツアツのスープを出してくるのだ。アツモリ!
2.常温の水
滋養のために漢方入りスープを飲むのは理解できるのだが、だからと言ってアツアツのスープではのどの渇きは癒せないので、せめて冷たい水を飲もうと水に氷を入れようとすると、妻が冷凍庫を開けようとする私の手を止める。「冷たい飲み物は体に良くないから」と水だけを飲むように勧めてくるのだ。アサヒ、スーパードライ!
3.ほぼタピオカ
そんな健康に気を遣う妻もタピオカミルクティには目がなく、しょっちゅう仕事帰りに買って帰ってくる。しかし、香港のタピオカミルクティは量が多いのでたいてい自分一人では飲み切れず、でも捨てるのはもったいないからと最後のフィニッシュの部分を私に委ねてくる。フィニッシュと言ってもミルクティはほとんど残っておらず、残っているのはほぼタピオカだ。ビールはダメだけどタピオカはいいのかよ!なんて思ったことはありません。
4.モンブランのベルト
スティーブジョブズに影響された私は、月から金曜日まで同じチノパンを履き、ユニクロのTシャツかポロシャツで出勤するようにしている。そんな私を見て、「あんた、外見がプロフェッショナルじゃないわね」とTUMIのカバンとか、ブルックスブラザーズのジャケットとか、フェラガモのネクタイとかモンブランのベルトとかペンとか買ってきてくれるのだが、TUMIのカバン以外、ほぼ使っていない。
50HKDのシャツを着ていてもカッコよく見える男になりたい私と、カッコ良くないんだからせめてカッコいいシャツを着なさいという妻とでは意見が食い違うのは致し方ない。それでも妻の優しさには感謝しているので、「10年寿命が縮まってもキンキンのビールを飲みたいんじゃ」なんてことは言わず、なるべく彼女の前では言うことを聞くようにしている。
ジョーも私もなんて妻想いなんでしょう。世の男たちもまだまだ捨てたモノではありませんね。おしまい。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第60回 香港は本日も晴れ、異常なし
暇だ。
今、私はオフィスにいる。
当たり前だ、今日は水曜日である、しかもちょうど昼の12時、一週間のちょうど折り返し地点だ。
それにしても、今日のオフィスはやたら静かだ。
私の机はオフィスの一番奥、窓に面していて、私はいつも窓とその向こう側に見える向かいのビルを見ながら作業をしているので、意識して振り向かない限り私の背後に広がるオフィスの風景が全く分からない。
まさに窓際係長だ。
さすがに今日のオフィスの静けさは異常だと心配になったので、久々に振り返ってみる。遠くに座っているデザイナーの頭が見えるくらいで、あとはもぬけの殻だ。
みんなどこへ行ったのか。ちょっと気になりはしたが、とりあえずデザイナーの頭は見えたのと、立ってみんなが何をしているか探りに行くのも面倒なので、また窓の方へ向き直し、パソコンの画面に精神を集中させる。
私が今やるべきことは香妻日記の原稿を書くことだ。
香妻日記の原稿を書くことは私の香港生活において数少ない日本語に触れられる機会なので、私にとってはとても大事な習慣となっている。
そうは言っても仕事とは全く関係がないことなので勤務中に原稿を書いて大丈夫なのかと疑問に思う人もいるかもしれない。
まず第一に、こうやって私が勤務時間中に香妻日記の原稿を日本語でタイプしていても社長も同僚も日本語が読めないから、私が何をそんなに一生懸命になってワードに打ち込んでいるのかが分からない。
そもそも、ここは香港のローカル企業なので、私以外の人間、社長も同僚も掃除のおばちゃんも全員香港人。
よっぽどの用がない限り日本人の広東語の分からない私に声を掛けてこない。ということで、もちろん、勤務中に原稿を書いているなんて社長にバレたら大変ではあるが、社長は日本語が分からないからいいのだ。
とこんなことを書いていたら、ちょうど今、社長が出社した。
いつも通り、軽く会釈をお互いにして、社長は社長室にカバンを置くと、そそくさと会議室の方へ去っていった。
なぜ私が社長のそんな一挙手一投足を実況できるのかというと、社長室は私の左手に位置しており、嫌でも社長の足音が聞こえてくるし、社長室のドアが開いていれば中で何をしているのかも見える。
一方で、このように私が社長の動向を見て実況できるように、社長も社長室に入るときに私のパソコンのディスプレイを見ることができる。
さっきも見えていたはずだ、私がワードに何やら日本語でタイピングしている姿を。でもそんなの関係ねえ。
なぜなら、今日が香妻日記の原稿の締め切りだからだ。いつもお世話になっているぽけっとページの石川さんが私の原稿を待っているのだ。
ただ、一応、もし社長に「お前何書いてるんや?」って質問されたらどうするか、ちょっと考えてみる…
いや、絶対にそんな質問してこないから、大丈夫。
うちの社長はやることやっていればあとは出社時間に遅刻しようと、ランチが1時間を超えてしまっても、こうやって私が日本語でカチカチ一生懸命原稿を書いていようと気にしない。
ちなみに私はこの会社で新規事業開発部という部署に配属されている。
開発部とか言いながらこの部署には私一人しかいない。
この部署は社長直属の部署で私は毎日社長に事業の進捗を直接ワッツアップで報告している。
ワッツアップ?と思った人もいるかもしれない。
少し補足すると、社長はワッツアップの活用を推奨していて、この会社では会議はほとんど開かずできる限りの議論はワッツアップで済ませる。
各部署、案件用にグループを作成して、そこで議論が行われるため、すべてのグループに登録されている社長のアカウントには未読メッセージが300件とか表示されているときがあるから、さすがにメッセージを見落とされているときもあるのだが、それでもこのやり方は非常に効率的で議論の記録も残るので私も気に入っている。
12時半になった。
ランチの時間である。
今日の午前中は何もこの会社の業績に貢献することができなかった。反省だ。
とはいえ午後で挽回できる見込みも今のところなし。どうする。
まあ、こういう日もあるでしょ、人間だもの。
みつを
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第59回 あなたなら・・・どちらを助けますか?
1. ある激しい雨の日、2匹の子猿を連れた母猿がうっかり足を滑らせて3匹とも濁流に飲み込まれてしまった。母猿は泳げるのだが、兄猿とチビ猿はまだ泳げない。しかし、あまりに激しい川の流れのために母猿はどちらが一方の子猿しか助けられない。
果たして、母猿はどっちの子猿を助けたのだろうか…?
2. ミスター李は警察のスパイとして麻薬取引を行うマフィアグループに潜入するも、遂にその身元がバレてしまった。妻と生まれたばかりの赤ちゃんを人質に取られ、マフィアのボスにどちらかをナイフで殺せと迫られる。
果たして、ミスター李は妻と赤ちゃんのどちらにナイフを突きつけたのだろうか…?
3. 韓国人の私はその日、父と日本人の妻の3人で登山を楽しんでいた。途中、岩肌に沿って1人ずつでしか通れない細い道を歩いているときに、父が砂利に足を滑らせそこから落ちそうに。父の後ろを歩いていた妻はとっさに父の腕を掴み助けようとしたが、その妻も足を滑らせて父同様に妻も宙ぶらりん状態になってしまった。すぐに助けなければならないのだが、1人を助けている間に横でぶら下がっているもう1人は体力的にもたない。
果たして、私は父と妻のどちらを助けるべきだろうか…?
4.ある大富豪の娘が行方不明になり、ベテラン刑事コンビのルイスとショーン、そして若手有望株のニックの3人はそれが臓器売買で国際指名手配されていたタイのマフィアグループの仕業であることを突き止めた。マフィアの所有する工場へ潜入し、人質を見つけることに成功するも、激しい銃撃戦の末、ショーンとニックが捕まってしまう。後から助けに来たルイスは人質を解放する代わりに2人の刑事のどちらかを殺せと迫られる。
果たして、ルイスはベテランのショーンと若手のニックのどちらに銃口を向けたのだろうか…?
5.東京郊外にある発電所が大火災に見舞われ、中に取り残された職員たちは中央通気口から黒煙を外に逃すことで消防隊の助けが来るまで凌ぐことができそうだと考えた。しかし、天井が陥落し塞がれてしまった通気口を人力でこじ開けるにはかなりの危険が伴う。現場にはベテランと若手グループの職員がいたが、果たして、所長はどちらのグループを連れて通気口へと向かったのだろうか…?
だいぶ脚色をしてはいるが、これらの5つの話は日本、中国、韓国、香港で私が耳にしてきた人間の価値観のたとえ話が元になっている。価値観の話なので、それぞれの状況でどちらを助けるかに正解はないし、人によって選択肢が異なるのは間違いない。ただ、みなさんの参考程度に私が聞いた回答を一応まとめておくので、改めて人間の価値観や文化の違いについて考えるキッカケとなれば幸いである。
1の回答:兄猿を助けた。動物にとって最も大事なことは繁殖すること。兄猿の繁殖能力はチビ猿よりも高い。
2の回答:赤ちゃんを助けた。赤ちゃんには将来があるし、妻もそう望んだ。
3の回答:父を助けた。父はこの世に一人しかいない。妻はまた他の女性と結婚することで手に入れられる。
4の回答:ショーンを助けた。ショーンには妻と小さな娘がいた。一方でニックは独身だった。
5の回答:ベテランを連れて行った。若手職員には生きて会社と日本の未来を背負ってもらう義務がある。
さあ、あなたならどちらを助けますか?
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第58回 18禁病棟24時
先日、左眼に違和感を覚えた私を見て、これは一大事だと妻がすぐさま香妻日記第55回でも登場した、コロナ禍でも肌が荒れるから手を洗わない医師Dr.ドロシーに連絡をしたところ、精密検査のため私は急遽入院することになった。。
1.「すぐ終わるから」と強引な女医
朝9時、Dr.ドロシーのオフィスに入ると、あいさつ代わりにいきなりブスブスブスと注射針を3本(うち1本はミスショット)刺された。なぜですか?とかあれまだ血管が浮き出ていないような…とかそういう私の想いはなんのその、とにかく刺された。そのあと、入院するにあたりCOVID陽性検査を受けなければならないとのことなので検査専用の部屋へ向かったのだが、猪突猛進とはまさにこのことかと、彼女はすでに検査を待っている患者や検査の準備をしている看護師にお構いなく一言「すぐ終わる」と私を強引に空き部屋に突っ込み、彼女自ら私のCOVID検査をしてくれた。
2.「私の目を見て」とハードコアな看護師
朝10時、おそらく病院史上最速で注射3本(うち1本はミスショット)とCOVID検査及び結果報告、入院手続きを終えた私はすでに18階のベッドの上にいた。すると、さっそく今風な顔とメイクでちょっと茶髪なんだけどやたら英語が流ちょうな若い女性看護師がやってきた。しかし、さすがは英語が流ちょうなだけあって彼女の右肩には「私、彼氏いますからそういうのはお断りしています」とでも言わんばかりに彼氏との2ショットの写真がクリップされていた。もうその写真が気になってしょうがない私は、彼女が私の目をチェックしている最中もどうしても目がきょろきょろしてしまったのだが、「Look at my eyes, please」と彼女にちょっと強めに言われてからは彼女の瞳を素直に見つめることができた。
3.「また来ちゃった」とツンデレな看護師
昼12時、自分より若い女性に「私の目を見て」と言われた衝撃と興奮がようやく収まろうとしていたころ、またあの若い看護師がやってきた。相変わらず右肩の彼氏の顔が気になるが、なにやら今度は目薬を5分ごとに計3回うつとのことで、ちゃんと仕事をするために私を訪ねてきたのだった。というわけで1回目2回目それぞれの目薬が終わると「5分後にまた来ます」と彼女は仕事の顔のままその場を去っていった。そして5分後、最後の回に臨もうとやってきた彼女はちょっとはにかみながら「I came again」とようやく右肩の彼氏にも見せたことないような笑顔を私に見せてくれた。
4.「もっと強く」と力む看護師
午後2時、病院の食堂でランチの出前を頼もうとしたが全部高いので躊躇していたところに、またあの看護師がやってきた。相変わらずなんでそんな顔の男と付き合うのか気になるが、今度は突然「私の手をにぎって」となんとも大胆な要求をしてきた。自分は眼の検査で入院していることを考えるとこの要求は仕事なのか、プライベートなのか迷うところだったが、とりあえず言われた通り彼女の白く華奢な手を握った。「もっと強く」。えっ?。「もっと」。えっ、いいの?「うん」…というやり取りが続き、これ以上あなたの手を握り続けたら私の理性のたがが外れてしまう…という私の苦悩に感づいたのか「はい、OKでーす」と突如彼女は私の手から離れた。脳に支障があると手足の動きに影響が出るのでそれを確認したかったんだってー(投げやり口調)。
5.「奥さんがいるのに…ごめんなさい」と赤らむ看護師
午後4時、眼科医からは「特に異常なし」と太鼓判を押されたが、それでも念のため脳のMRIを撮ることに。金属物は一切身につけてはいけないのでマスクすら鼻のワイヤーがないものに取り換えられた。人生初のMRIだったが、検査中は爆睡したため検査に15,000HKDも支払ったのに何の感想もなかったのが何とも情けない。検査後、寝ぼけ眼で預けていたマスクとジャケットを受け取ると、もう一つ肝心なものを受け取り忘れていることにかろうじて気がついた。「(結婚)指輪もあるはずなんだけど…」とスレンダーでストレートの黒髪がきれいな看護師に確認してもらうと「あら、ごめんなさい、気づかなった、ごめんなさい」と香港人には珍しくすごく丁寧に謝られた。「大丈夫、僕も忘れていたくらいだから」と紳士に答え、私はおばちゃんの待つ車いすに乗り込んだ。
※この物語はノンフィクションです。劇中に登場する個人名、数字、セリフは全て実在するものですが、それぞれの登場人物に対する表現は筆者自身の妄想に基づいており、実際の人物像とは一切関係ございません。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第57回 2020年、意味のなかったモノまとめ
今朝たまたまネットで2020年のベストバイという記事を見かけたので、私は2020年のドントバイをまとめてみた。
1. 鼠のポチ袋
コロナが香港で本格的に蔓延したのはまさに2020年の旧正月をお祝いしようとするその直前であった。その証拠に私の下着ダンスの中には今でもその時に準備した利是(ライシー:お年玉)たちがお札(10ドル)入りで未だにキレイにしまってある。これらのネズミの封筒が使えるのは12年後だ。
2. 人差し指の第二関節
「ウィルスはどこに潜んでいるか分からないから指を使って公共のモノに触れるな」という妻のアドバイスに忠実に2020年は人差し指の第二関節を使ってボタンを押すことを心がけた。エレベーターのボタン、ATMのボタン、オフィスのコピー機など触ることをやむを得ない状況では指の腹ではなく第二関節を使ってチョンとボタンを押すようにしていた。しかし、「指の腹を使うな」という意識だけが先行しすぎて、時折目や鼻を擦る際にも人差し指の第二関節を使ってしまっていることに最近気がついて、自分のことながら何とも哀れで、それでいて人間とは暢気なものだなと感心したことは妻には内緒にしてある。
3. おでこをかざすとピッとなる体温計
2020年の夏頃(香港第三波発生時)になるともうどこのレストラン、お店でも店の入り口におでこや手首をかざすだけで体温が測れる簡易体温計が設置されるようになった。
ある日私は昼間から熱っぽかったのだがオフィスに体温計がなくムズムズしていたころ、「そうだ、外に出れば至る所に体温計があるじゃないか」と近所のレストランの入口でピッと測ったところ36.3度と平熱だったので、とりあえず退社時間まで我慢して夜病院に向かうことにした。昼間から相変わらず熱の感覚はあったのだが、病院の入口にあったサーモグラフィカメラでも熱があると判断されず、セキュリティのおじちゃんに「はい、いいよ」と難なく受付に通された。
しかし、診察前になってようやく看護師に耳で測るちゃんとした体温計でピッとやってもらったところ、やはり38.5度の熱があったのだ。
幸いコロナ検査の結果は陰性だったので良かったものの、店先のおでこのピッは全く当てにならないことはこれで皆さんもよくお分かりになられたと思う。
4. 猫用メガネ
外出する機会が少ないとなかなかインスタ映えする写真を撮る機会もないので、Living Plaza(通称12ドルショップ)の買5送1(5商品買うと1商品無料でゲットできる)キャンペーンを利用して我が家の猫にオシャレ眼鏡を買ってきた。妻には「史上最もいらないものを買ってきたわね」とディスられたが、これを猫にかけてインスタやツイッターに載せて #猫好きと繋がりたい とタグ付けすればきっとバズるのではと私は密かに信じてやまなかった。というわけで早速、猫にかけようとすると横から2歳の娘が割って入ってきて「アンゲン、アンゲン」(広東語で眼鏡)と言いながらその小さな猫用の眼鏡を横取りして自分で掛け始めた。猫用のため娘の顔のサイズに当然幅が合わないので耳に掛ける棒の部分(正式名称テンプル)が見る見るうちに開いていくのだが、それでも娘は強引にその眼鏡を掛けるわけで、結果的に娘は新渡戸稲造みたいになった。結局、猫に掛ける間もなく、その眼鏡は娘によってこの小さな家のどこかに隠されたまま、今もまだ見つかっていない。
5. アリババ株
せっかく香港にいるんだからと満を持して始めた株投資。初めて買った銘柄は中国オンラインビジネスのパイオニア、アリババ。2020年も順調に一時期一株300USDまで上昇したが、12月になって政治的問題が勃発し私が購入した時から順調に下降を続けている。それでもウォーレンの言葉を信じて10年は所持するつもりだ。
1年前の今頃、来る2020年がまさかこのような形で幕を閉じるとは誰も予想していなかったことだろう。
2020年、世界は落ちるところまで落ちたはず、だから2021年は這い上がるのみ!
そう信じて、2021年は妻の言うことをちゃんと聞いて、精神的にもっと成長して、世界が平和に健康になって、アリババが飛躍してくれることをひたすら祈りながら年を越したいと思う。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第56回 ヘルパー選びを甘く見てはいけない
香港で腰を据えようとするならば、その高い家賃を払い続けるために夫婦共働きという選択が自然と必要になってくる。しかし、夫婦で共働きとなると、家事は誰がやる?子どもの面倒は誰が見る?という疑問が出てくる家庭も少なくはないだろう。そんな時こそヘルパーの出番である。
しかし、ヘルパー選びを甘く見てはいけない。通常ヘルパーを雇うには代理店の仲介が必要になるのだが、紹介手数料は1万香港ドル前後、雇用契約書にサインしてからそのヘルパーが家に来るまで3ヵ月はかかる。もしあなたが見つけたヘルパーが全く機能せず、他のヘルパーに替えたいと思ったら、上記の1万香港ドルと3ヵ月をもう一度費やさなければならないので、できれば一発でツモりたいところだ。
Break Contract と Finish Contract
ヘルパーを提供してくれる代理店に連絡を取ると、雇用可能なヘルパーの履歴書を見せてくれる。履歴書で一番に注目する部分は過去の雇用主たちとのお別れの仕方だ。過去のお別れが円満であったかどうかは契約をBreakしたのかFinishしたのかである程度見当がつく。Breakは契約期間中に解雇またはヘルパー自ら契約破棄をしたことを意味するので、雇用主との間で何か問題があったと考えていいだろう。
経験豊富なベテランヘルパーの落とし穴
ヘルパーに限っては若手とベテランならベテランの方が良いというのはほぼ間違いない。日本や香港の20歳そこらの若者と子持ち40歳の女性、どちらが家事や育児に秀でているか考えてみればその理由は一目瞭然である。しかし、ベテランヘルパーで気をつけなければいけないことがいくつかある。主なところでは…
- 言うことを聞かない
- 借金をしているかもしれない
- 香港のヘルパーコミュニティに強すぎるネットワークがある
- 実家の子どもが恋しいなどを理由に突然辞めることがある
ヘルパーとしての長い経験が仇になることも少なくない。
フィリピン人ヘルパーの特徴
彼女たちの一番の長所は英語が話せるということ。性格は明るく、面倒見がいいので子どものいる家庭ではフィリピン人ヘルパーを好む場合が多い。一方で香港でのフィリピン人ヘルパーのコミュニティは強力で様々な情報がヘルパー同士で日々交わされている。それらの情報が時に彼女たちに悪知恵を与えてしまうことがあるので、ヘルパーの態度や言動が急に変化したときには特に注意しなければならない。
インドネシア人ヘルパーの特徴
多くのインドネシア人は英語が不得意なので、雇用できる最低条件は雇用主が広東語話者であること。彼女たちは性格が穏やかかつ忠実で、雇用主の言うことをよく聞いて働いてくれるので、比較的に日々のスケジュールが固定されている年配の世話などが向いている。また、フィリピン人に比べるとインドネシア人ネットワークはまだまだシェアが低いので、彼女たちが周りの情報に流されて突如不審な言動に走る危険性も低い。
前雇用主に連絡する
履歴書を見て、本人とも面接をして、このヘルパーは何となく良さそうだと思ったら、最後に彼女の前雇用主に連絡を取って実際の働きぶり、人間性を確認することをお勧めする。たまに前雇用主の連絡先を教えたくない素振りを見せるヘルパーがいるので、その場合は要注意である。前雇用主との関係が良くなかったことが考えられるので、そのようなヘルパーは保留にした方がいい。
我が家のルールを教え込む
新しくやってきたヘルパーが食器を割る、洗い残しがある、家電を壊す、置物の配置を変える、掃除ができない、不衛生であるなどは当たり前だと思っておいた方がいい。せっかくお金を払っているのだから彼女たちに全幅の信頼を寄せたいところではあるが、当分は疑い半分、多少のミスは目をつぶるような接し方が無難だ。最初の三ヵ月で我が家のルールを徹底して教え込もう。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第55回 うがい、手洗い、マスク…なんてしない医師たち
最近、我が家は2人のとてもユニークな医師と遭遇している。
1人は妻のビジネスパートナーで現在フランスでロックダウンされて身動きが取れないフランス人医師のドクターアンドレ。
彼は特許技術や器具も所有するほどのフランスでは有名な白内障のスペシャリストなのだが、副業でマスクやグローブなどの輸出入もしておりアジア圏にネットワークのある私の妻にフランスからZoomで毎日連絡をしてくる。
最近では私たちの2歳の娘も「ドッター」と認識できるほど彼との通話は我が家の日課となっている。
もう1人は妻の気管支炎を診察、治療してくれた香港人医師のドクタードロシーである。
ドクタードロシーは肺の専門医でありながらICU(重症患者を扱う)集中治療の資格も持っており、24時間スタンバイで毎日超多忙に働いている。もともとはよくある担当医と患者の関係だったのだが、どういうわけか妻と気が合ったらしく、治療を終えた今も家族ぐるみで一緒に食事をするほどの仲になっている。
今回はそんな2人の医師の医師ならではの力強い発言を皆さんに紹介したい。
「娘がコロナにかかって今部屋で寝てるんだ」
ドクターアンドレがZoom越しに突然こんなことを冷静に言うので、遠く離れた香港にいる私たちの方がビックリしたのは言うまでもない。
「いや、病院に連れて行った方がいいのでは…」と私たち素人は当然娘さんだけでなく同居しているドクターや家族の心配をしたのだが、「俺は医師だ、俺が娘を治す。病院は信用ならない。」というなんともたくましい一言で一蹴された。
「でも、どうやって…?」と私たち素人は当然疑問に思ったのだが「メロンを食べさせたから大丈夫」とWHO世界保健機関も驚きの治療法を紹介してくれた。
「肌が荒れるから手は洗わないわ」
ドクタードロシーは現役バリバリの医師なので毎日朝から晩まで、時には日付変更線を超えて日々最前線で戦っている。また今年はコロナの影響もありさぞかし衛生面には気をつけているに違いないと思っていたのだが、当の本人はウィルスよりも肌荒れの方が気になっているようだった。ちなみに手を洗わずにどう日々の診察をこなしているかというと、使い捨てグローブを巧みに操り感染と手荒れの危険から見事に免れているとのことである。
「俺ももうコロナに侵されているだろう」
まさかのメロン療法で奇跡的に娘のコロナを自宅で治療してみせたドクターアンドレはロックダウン中もブラックジョークを連発。彼は外出先からもよくZoomをしてくるのだが、そのたびにあまりマスクをしていないので「ドクター、マスクをつけてください」と私たち素人は当然心配した表情を見せると決まって「時すでに遅し」的なジョークを披露して場を和ませてくれる。
「勘違いしている医師は多い」
ドクタードロシーは父親も医師で幼少時代から医師になることを目標としていたいわば医師のサラブレッドである。だからこそ医師の本性というものをよく理解していて、「華やかで優秀に見える医師もその多くは不潔で傲慢で世間知らずの井の中の蛙だ」と会うたびにディスりまくっている。
「俺もコロナにかかった」
これまで破天荒な治療法と強烈なブラックジョークで私たち素人を幾度となく仰天させてきたドクターアンドレも人の子であったことが証明された瞬間であった。現在は病院にて隔離中とのことでZoomも一時中断となっているが、見事にカムバックしてまたパワーアップしたブラックジョークで私たちを笑わせてほしいと切に願う。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。
第54回 香港の幼稚園に申し込む
香港の9月と言えば食欲の秋…でもなく、中秋の名月…でもなく、「幼稚園の申込みに決まってるでしょ!」というのが香港ママたちのもっぱらの口癖である。
今年で2歳を迎えた娘を持つ我が家も例外ではなく、もう6月くらいからあっちやこっちの幼稚園のウェブサイトを訪問しては「まだ詳細出てないね、ね?」と妻と私は互いを安心させることに必死だ。
特に今年はコロナウィルスの影響で「面接を対面でやるのかやらへんのかどっちやねん」状態なので、突然ウェブで説明会とかあるんじゃないか、ウェブ面接とかあるんじゃないかとママパパたちは例年よりも余計に神経を尖らせているのではないだろうか。
香港の場合、幼稚園によって申込手順も期間も全く異なることがこのようにバタバタ、ヒヤヒヤさせられる原因なのだが、一方でインターやローカル、日系幼稚園と選択肢が豊富な点はここでの教育における利点の一つと言えよう。
香港のローカル幼稚園の噂
香港といえば、超学歴社会がまだまだ健在している場所でもあるので、各学校の競争は熾烈を極めている。そして、その闘いは幼稚園から始まっており、「香港幼稚園排名」とGoogleで調べるとなんと幼稚園のランキングが見られるくらいである。しかもそのランキングはご丁寧に最下位までランキングしてくれているので容赦ないといえば容赦ないのだが、おそらくこのランキング制が各幼稚園にとって次年度へのモチベーションになっているのだろう。そんなローカル学校の特徴は学費が安い、宿題が多い、学校名が大事、広東語がメインといったところがよく耳にするところである。学費に関して言えば幼稚園では半年で1000HKDちょっとという話であるからローカル有名校の申し込みに行列ができるのも無理はない。。
香港のインター幼稚園の噂
インターというと学費が高いという噂があるが、噂通り学費が高い。学費だけで月々10000HKD前後するのは当たり前でそこに諸経費が加算されるとそれはもうパパは発泡酒から水道水に、ママはプラチナリングからシルバーアクセサリーに変えないと家計は毎月ヒノカミ神楽(←鬼滅の刃で検索)状態で体力がもたない。さらに、各インター校はDebenture(学校資本債券)というディズニーランドのファストパスみたいなものを発行していて、入学志願者はこれを購入することで優先的に面接が受けられる仕組みになっている。しかもこの債券の額といったら何十万HKD(数百万円)から多いところでは何千万HKD(数億円!)もするのだから、香港インター校の人気の凄まじさは可愛い顔してク〇強い胡蝶しのぶ(←鬼滅の刃で検索)に匹敵する。
香港の日系幼稚園の噂
学費で見ると日系幼稚園も安くはなく、月々6000~8000HKDほどの費用が必要になる。日系幼稚園は民間企業同様に香港のク〇高い家賃や先生たちの給与も自分たちの力で払いながら経営をしていかなければならないのでこれくらいの学費が必要になるのも致し方ない。英語教育はローカル幼稚園ほどではないが、日本の幼稚園同様に情操教育(豊かな感情を育む)を軸にして香港の日系幼稚園でも子どもたちは伸び伸びと育っているように見受けられる。また受験戦争やディベンチャーなど世間のしがらみもないので、年齢などの最低限の条件さえ満たせばいつでも入園ができる点はママパパにとっては非常にありがたい。
香港に住む日本人家庭の学校選びのポイント
子どもの学校選びにおいては、まず自分たちがどれくらい香港に滞在するつもりなのかが最も重要なポイントであり、その期間に応じて選択肢も自ずと限られてくる。例えば、駐在で5年以内には日本に戻る予定なのであれば、数年後に日本の学校へ戻ることを考えるとやはり日系の幼稚園や小中学校に通うのがいいだろう。一方で自営業や現地企業に就職している、または香港人配偶者を持つなど香港に長く滞在する予定の家庭では逆に日系学校は考えものである。なぜなら香港の日本人学校は中学校までしかないので、日本の教育を引き続き受けるためには日本に戻るかシンガポールや上海などの日系高校に進学するしかないからだ。もちろんそれぞれの高校には学生宿舎もあり子どもだけ香港を離れるということは可能だし、もしくは香港のインターに編入するという手もあるので、その判断は家庭の教育方針によるが。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。
第53回 税金、払いすぎてませんか?
毎年7月くらいになると、香港政府から緑色の封筒がやってくる。そう、税金の申告書だ。
香港の税金は日本に比べればはるかにお財布に優しいのだが、それでも毎年この色の封筒を見るたびになんだか不当に請求されている気分になるのだから、人間とはつくづくケチな生き物である。
と言っても、税金を支払うことは香港に住まわせていただいている者としての最低限の義務となるので、去年の申告書の写しを見ながら今年もほぼ同じ内容で書き書きしていく。
そうやって冷や汗をかきながら頼りない筆圧で書き書きしている私を見てもっと冷や汗をかいているのが他でもない我が家の勘定奉行、妻である。
税金申告書記入のコツ
今日に始まったことではないが、大前提として、妻は私のことをこれっぽっちも信用していない。だから、いきなりボールペンで書き書きなんてさせてくれない、まずは恒例の「鉛筆による下書き」を命ぜられる。以下、申告書記入のポイントをまとめてみた。
1.申告書は発行日から1か月以内に税務局に郵送しなければならない。
2.第4部薪俸税(収入)欄には会社からオフィシャルにもらった年間給与額明細に記載された額と同じ額を記入する。会社はその額を税務局に申告しているので、ここで異なる額を記入するとあとで税務局から詰問される。
3.第4部3章1項支出及開支欄にはありったけの支出を記入。家賃、生活費、保険など。
4.第4部3章4項には年間のMPFの支払額を記入。
5.第11部2章子女免税額欄には子どもの名前とHKIDの記入を忘れずに。
さらに、私の妻くらいになると会社からの給与明細書にすら疑問を投じてくる。というのも会社が税務局に申告している年間給与額はたいていすっきりした数字になっていない(241,234HKDのような)からだ。例えば月給が2万HKDとすると12ヵ月分の給与は24万HKDになるはずだが、ここからMPFの支払い分が引かれたり、ダブルペイやボーナスなどの額が加算されると年間総額が241,234HKDみたいになるのである。
私なんかはもう申告書を書き書きし終わった時点で「正直お腹いっぱい、じゃあボールペンで書いていいかな?」状態なのだが、妻はその鋭い眼光で「この241,234HKDの内訳を会社の経理に確認してきなさい」と私に次の指令を命じるのだ。そう簡単にボールペンなんか持たせちゃくれない。
絶対に忘れてはいけない「スキャン&コピー」
と、その後かくかくしかじかと会社への確認や妻からの詰問があり、ようやくボールペンでの清書が済むと最後にこれまた恒例の「スキャン&コピー」が命ぜられる。妻は家庭のお財布を司る者として「記録」を大事にする。各書類をハードとソフトの両方で記録しておくことで後でちょっと確認したいときや何か問題が生じたときに動かぬ証拠として参考にすることができるからだ。実際にこの「記録」のおかげで私も幾度となく政府や会社とのやり取りの際に助けられたので、みなさんも是非スキャン&コピーの習慣をつけておくことをおススメする。
支払い請求が来てもビビんじゃねえ
7月に申告書の提出が済むと、翌年の3月くらいに政府から素っ気ない、それでいて威圧感のある白い封筒が郵送される。そこに前年に提出した税金申告書の結果、つまり支払い税金額の通知書が同封されているのだが、だからといって「はい、仰せのままに」とすぐにコンビニで支払いを済ませてはいけない。
通知書の裏面には支払税金額の内訳が記載されているので必ず確認したうえでその額が正しいかを見極め、必要があれば「反対通知書」を以って税務局に抗議をしなければならない。
ちなみに私の妻は今年送られてきた私宛の支払通知書の額がちょっと納得できなかったらしく、子女免税額が反映されてないんじゃない?と訴えた反対通知書を税務局にFAXした。すると、間もなく新しい支払通知書が郵送されてきて、2万HKD近かった支払額がなんと1,200HKDまで減少していた。
このことを妻に報告すると「だから言ったじゃないの。相手が政府だろうと税務局だろうとビビることなんてないんだから。」と胸をグーでパンチされた。窓の外から差し込む西日がいつもより暑かった。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。
第52回 1日で1200リットルの水を使う家族
私たちが生活する上でどうしても避けられない出費の一つが光熱費である。
香港は今年ももう夏真っ盛りだが、こう暑いと昼も夜もどうしてもエアコンに頼らざるを得ない。ましてや今年はコロナのせいで休日もろくに外に出られないので、ほぼ24時間エアコンつけっぱなしのコンビニ状態である。
もともと空気にうるさい妻はこの夏の暑さ、湿気、コロナという歴代最強クラスのクリンナップへの対策としてエアコン、ダイソン(扇風機)、加湿器という「家電三種の神器」をもって日夜空気の洗浄に勤しんでいる。
実際、これら3つの家電を狭い香港の家で一斉に使うとすごい効き目があって、我が家はたちまち冷蔵庫と化する。特に夜、狭い香港の家の中にあるさらに狭い寝室でこれらを一斉にオンにした日にはもはやオーシャンパークのペンギンハウス並みの寒さだ。その寒さと言ったらこの夏、三種の神器を崇拝してやまない妻に頭のてっぺんまでごっつい毛布を被らせ、普段すごい寝相で掛布団を蹴散らしていた2歳の娘においてはしっかりと肩まで布団をかけて礼儀正しく寝させちゃうくらいである。
そんな真冬のように眠る2人を横目に私は何をしているかというと、少なくともダイソンの稼働を止め、エアコンの強度をLow Coolに設定するために、妻が寝入るのをじっと待つのである。
敵は水道にあり
こうやって我が家の現状を振り返ってみると、改めて電気請求書を見るのが恐くなる。
そう思っていた矢先、7月に電気、水道、ガスの請求書がポンポンポンと一気にやってきた。
電気代 $1680 2019年12月~2020年6月
水道代 $1413.9 2020年2月~6月
ガス代 $295 2020年5月~6月
なんと、あれだけ恐れていた電気代が大方の予想を裏切り月平均280HKD程度というガス代並みの出費で上半期をフィニッシュ。一方でまったくノーマークだった水道代がまさかの1,000HKD超え、月平均で350HKDと初の電気代超えを果たしたのだ。
ただいま混み合っております
水道請求書の備考欄によれば「香港人の1日の平均水道使用量は130L、世界平均が110L、あんたは1,205L使っている」とのことだった。これは聞き捨てならないとさすがの私も怒りを露わにして、早速水道局へ抗議の電話を掛けた。すると「ただいま大変お電話が混み合っております」と定番の門前払いメッセージで一蹴されたのだが、1日に1200Lも使用しているというのがどうしても信じられず今度は水道局宛に証拠を見せなさいとEメールを打った。
犯人は…俺だ
Eメールを出しても怒りが収まらず、妻にも「ありえないっしょ!」といつも妻が私にキレているときのような威勢で共感を求めたところ、意外にも妻は冷静だった。
「あんた、コロナ以降毎晩手洗いで自分の服洗っているからそれが影響したんじゃない?」
説明しよう。私はコロナ発生以降、家に帰るとすぐにシャワーとその日着ていた服一式の手洗いを欠かさずにいた。自分の服のためだけに毎晩洗濯機を使うのは電気と水がもったいないと思ったためだ。
さらに妻から「あんた、どうやって洗ってんの?」と問い詰められたので、「足マッサージ用の木桶で洗い10回、すすぎ10回を心がけています…」と答えたところで、突如それまで胸のうちにあった怒りの炎がすーっと消えた。
1日1200Lの使い方
足マッサージ用の木桶は調べてみると20L近く水が入るらしい。それを洗いとすすぎで計20回も水を出し入れしていたら優に400Lの水を使うことになる。とはいえ、それでもまだ1200Lには遠く及ばないのだが、我が家にはもう一人手洗いをする人間がいた。ヘルパーだ。彼女も私同様市場での買い物から帰ってくるとシャワーと服の手洗いを義務付けられていたので、彼女がどれくらい洗いとすすぎをしていたかは知らないが、まあ私と合わせて800L近くの水が使われていたことは想像できなくはない。
心配なのは電気代よりも…
そんなわけで、じゃあもう服を手で洗うのはやめようという結論にいたり、コンビニで1400HKDの支払いを済ませ、次回の請求書からは人並みの請求額であることを祈りながら日々節水に励むこととなった。
夏ということもあり電気代ばかりに目がいきがちだが、皆さんには是非水の使い方にも気をつけてほしいと思う。
それにしても、妻の三種の神器は今日もフル稼働だが、大丈夫か、ダイソンのモーター…
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第51回 香港のゲームセンターで本気で戦ってきた話
皆さんは香港のゲームセンターで遊んだことがありますか?
香港のゲームセンターは日本のゲームセンターと違って、気軽に入って100円だけ遊んで帰るというようなことができないので一見、日本人の私たちにはちょっとハードルが高いのですが、実は一度楽しみ方を知ると毎週でも通いたくなるほどに危険な遊び場なんです。
子供連れにもカップルにもおススメのゲームセンター
香港のゲームセンターの中でも最も有名なのが冒険楽園JUMPIN GYM USAです。
JUMPIN GYMは香港各地に35店舗以上を持つ大型ゲームセンターで、ここの会員になれば、これらのすべての店舗で遊ぶことができます。JUMPIN GYMはUFOキャッチャーやコインゲームがメインの家族、カップル向けのゲームセンターなのでちょっとチャラい学生やちょっとイカツイおっちゃんたちは基本的に見かけることもなく、小さい子供連れでも安心して楽しむことができます。
JUMPIN GYMの魅力は景品
日本のゲームセンターというとパチンコ店と違って景品とは無縁な場所なのですが、JUNPIN GYMではなんとバリバリ景品がもらえます。しかも、その景品といったら家庭電化製品やiPhoneに及ぶほど本格的なラインナップなので、香港の親子連れ、特に親たちが本気になるのも納得がいきます。
会員にならなきゃ始まらない
JUMPIN GYMに入店したらまずは会員登録をして会員カードを手に入れます。そのカードにお金をチャージしてコインを手に入れることでようやくゲームを楽しめます。会員にならなくてもコインを購入することができますが、割高なので会員になることをおススメします。
景品の獲得方法
UFOキャッチャー以外のゲームは獲得したポイントに応じてチケットがもらえます。このJRの切符みたいなチケットを集めることで景品を獲得することができるのですが、ちなみにiPhoneを獲得するためには34万枚のチケットが必要です。私が好きなピンボールマシンで計算してみると、だいたい3,400回プレイして獲得できる枚数です。このプレイ回数を金額にすると約22,500香港ドルなのですが、「普通にアップルショップに行って買えよ」とか言わないでください。
チケット量産のコツ
広いゲームセンターなのでいろんなゲーム機があるのですが、それぞれで獲得できるチケットの枚数はバラバラです。バスケットボールとかシューティングゲームなどは家族で楽しめますが獲得できるチケットは最大で24枚程度、アスリートの私から言わせればこんなところで道草を食っている場合ではないという感じです。そんな私のおススメは壁に面してズラリと並んでいる古びたピンボール系のマシンたちです。一見この老いぼれめとスルーしたくなるのですが、侮ってはいけません。かれらは余裕で50枚くらいのチケットを量産してくれます。
娘のためにママとパパで本気を出してみた
というわけで、一通りの分析が済んだところでチケット2050枚で獲得可能なママゴトキッチンセットを目標に妻の個人情報でいざ会員に。2050枚というと平均10コイン100枚を獲得できるピンボールマシンを使えば200コイン、つまり250香港ドル程度の出費で容易に獲得できる計算でした。
結果はというとトータルで400ドル、時間にして3週間(週1回×3週)を費やしてようやく娘のためにキッチンセットを獲得できました。予想よりもコストがかかった原因は、単純操作のピンボールばかりやっていたら妻が飽きて他のゲームにも手を出し始めたところを夫の私が止められなかったことにあります。石の上にも三年ということわざの意味を説きたかったのですが完全に無視されました。
たかがゲーム、されどゲーム
景品が目に入ると私のようなアスリート(えせ)たちはゲーム機を前に精神論を語り始めてしまうのが悪い癖、あくまでここはゲームセンター、大事なことは楽しむことです。特に小さい子どもがいる家庭は子どもが楽しめるゲームで一緒に遊んであげましょう。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。
第50回 香港人はなぜリュックを前に担がないのか
香港で毎日電車に乗っていると、どうしても気になることがあります。
リュックです。
香港は眼鏡人口が多いのですがそれに引けを取らないくらいリュック人口も多いのです。
リュック人生のはじまり
日本が超高齢社会なら、香港は超学歴社会。この香港に生を授かり、めでたく一歳の誕生日を迎えると同時に受験戦争の火蓋が早くも切って落とされます。
プレイグループを皮切りに保育園、幼稚園、小学校、中学高校、そして大学へとかれらの、否、かれらのママたちの絶対に負けられない戦いが始まるのです。
そして、その戦いはリュックにも及びます。
たいてい赤か黒かくらいしかない日本のランドセル文化とは異なり、香港ではリュックがどこのブランド、どのディズニーキャラクター、どれくらいキラキラしていて、どれくらい重い(教科書詰め込んでいる)のかなどによりヒエラルキーが生まれます。
このような少年時代を通じて香港人とリュックとの関係はより深く、強固なものになるのです。
大人になってもリュックを持つ理由
物心ついた時にはリュックでの通学が当たり前だった香港の少年少女たちは、大人になってからも、特に男性陣はリュック通勤バリバリです。
このように香港人男性が日本人サラリーマンのようにショルダータイプや手提げタイプのカバンを選ばずに未だにリュックを選ぶ理由は、かれらの通勤の服装にあります。
香港の場合は金融、不動産、弁護士の仕事以外の人は基本的にスーツを着ません。服装がカジュアルなので、日本人サラリーマンのようにガッチリした皮製のカバンを通勤時に持つ必要がないのです。むしろ、ドルガバやヴィトンのようなカバンを持っていたらちょっと気持ち悪いと思われます。そもそも機能面で言えば手提げカバンよりもリュックの方が断然上ですので、香港人からすればリュックを持たない理由を教えてほしいくらいなのです。
なぜリュックを前に担がないのか
しかし、便利だとは言えこれだけリュック人口が多いと弊害もあります。
それがリュックサックアタックです。
ただでさえ狭くて人口密度が高い香港で、なぜかいつもパンパンのリュックを持った香港人たちが電車やバスの中にひしめき合うと必ずリュックサックアタックを食らいます。
「乗車するときはリュックは前に担ごうよ」という思いやりの精神がここにはないのです。
香港でリュックマナーが定着しない原因は、子どもたちはリュックはヘルパーか親が持ってくれるものだと思っており、その結果周りへの配慮に対するマナー教育を受ける機会を失ってしまっていることにあります。
なぜ私までリュックを担いでいるのか
と、ここまでリュック、リュック言いたい放題の私ですが、そんな私も今では立派なリュック派です。来港当初、メイドインジャパンの皮製カバンを持つザ・日本のサラリーマンだった私がリュック派に鞍替えした理由は、もうみなさんも察しの通りリュックサックアタックです。それまでは皮製の手提げカバンを持つことが社会人の一つのステータスだと思っていたので、スーツに手提げかばんを持つ自分を誇らしげに思っていましたが、香港に来て毎日リュックサックアタックを食らい続けて目が覚めました。
それからというもの、通勤にスーツやシャツを着るのもやめ、カバンもリュックに変更し、香港人たちと同じような服装で快適に通勤しています。
そんな香港市民に見た目も考え方も溶け込みつつある私ですが、それでも大和魂は健在です。
どうしてかって?私は担ぎますから、リュックを前に。お・も・い・や・り。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。
第49回 香港人女子が日本人男子をリアルに好きな理由
みなさん、こんにちは。
いつもルーシー龍がお世話になってます。私は彼の妻です。
私のことを少しだけ紹介させてもらうと、中国国籍の父とフィリピン国籍の母を持ち、奇しくも北京語、福建語、広東語、タガログ語そして英語を使う環境で育ったのですが、理解できる言語が多いと逆に聞かなきゃよかった他人の話まで耳に入ってしまうんだよなあ…ということに最近悩んでいる香港在住20年のハーフ香港人です。
物心がついた時からベッカムや彭于晏(エディ・ポン)のようなセクシーでロマンチックなイタリア人(ベッカムもエディもイタリア人じゃないぞ!)の男性と結婚したいと思っていたんですが、人生は何が起きるか分かりませんね、気が付けばキムタクでも金城武でもないただの日本人と結婚していました。
そんな夢にも見なかった日本人との結婚を現実でやってのけた私ですが、それでも日本人の彼氏(今の夫)を持った当時から香港の友人たちは物凄いキラキラした目で「日本人の彼氏いいなー」と私を羨ましそうに見るので何とも不思議な気分でした。今思うと、もし私がフィリピン人とかアフリカ人なんかと付き合っていたら彼女たちの反応はきっと「へー、そうなんだ」ともっと塩っぽかったと思います。
ただ、リアルな話をすると、香港人(特に女子)は日本人というよりは日本、日本というよりは楽天が好きなんだということを皆さんには理解していただきたい。
つまり、
「日本人の彼氏いいなー、楽天で買い物もできるし、日本でしまむらに行けるし。」
ということなんです。
香港人女子は超現実主義、利用価値のないものに興味はありません。
その点、日本語が分かる(日本での買い物でミスしない)、日本発行のクレカを所持(楽天で買い物できる)、日本の運転免許証を所持(しまむらに行ける)する日本人男子は大変利用価値があります。
そう、日本人男子は彼女たちの夢を叶えてくれる「リアルドラえもん」なんです。
金持ち日本人と貧乏日本人
香港に生息する(なんか昆虫みたいやな!)日本人男子には2種類(昆虫か!)います。1つは日本の大企業派遣(大企業とは限らないぞ!)による駐在員。残りは謎に自ら香港に来ちゃった日本人(言い方キツイね!)。
前者の日本人男子の場合は、お金や住まいには全く困りませんが基本的に仕事の虫なので長い目で見ると安定感に欠けます。飲みやら残業やら出張やらで家にはいつもいないし、異動も頻繁なので結婚して子どもが出来たら子どもの教育に影響が出そう…それに香港人女子は日本人女子と違って結婚してからもバリバリ働くので、夫婦のすれ違いが生じる確率も高そうです。でも収入はいいし、家や教育費も会社が提供してくれる場合が多いと聞くので、それはとても魅力的ですよね。
一方で自ら香港に来ちゃった日本人と付き合う、または結婚するのは博打(言い方!)です。言葉の問題は言うまでもなく、そもそもの性格、文化の違いからこれらの男子たちが香港で自分の希望する仕事を見つけるのは無理でしょう(難しいが無理ではない!)。私の夫みたいに運良く(運も大事!)仕事が見つかっても、家庭のことは?子どもの面倒は?これらは全部香港人妻の責任になります。香港にいる以上、やはり広東語が出来なければ身の回りのことをローカル価格で処理することはできません。毎日シティスーパーやAEONで買い物されたら財布が持たないですから。
会社からの補助も出ないし(ぎくっ!)、家のことは何もできないし(ぎくっ!!)、街市(ローカル市場)で野菜の1つ買えないし(買えるわ!)、私はなぜそんな日本人男子と結婚をしてしまったのでしょうか?
それでも日本人と結婚した理由
ああらやだ、本題に入ろうと思ったところで字数制限いっぱいに…すみません。
今日は日本人夫の魅力を全然伝えられませんでしたけど、みなさんにお話ができて良かったです。
次回までに日本人夫の魅力を探しておきますね。(え、これから探すの!?)
では、ごきげんよう。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。

第48回 あなたにとって勇気とは何ですか?
信玄とは米や塩の量で競っているわけではない
永遠のライバルと言われた上杉謙信と武田信玄は14年もの間戦い続けましたが、その間謙信は自国で塩が収穫できず、さらに他国からの供給も止まってしまった信玄へわざわざ塩を送ってあげていたと言われています。塩は人間の生活に必要不可欠なものなので、その塩がないというのは国としても致命的だったに違いありません。
ライバルがそのような危機的状況に陥っているのですから、自分としてはその相手の弱みに付け込むのが常套手段のはず、しかし謙信はそのセオリーとは逆にライバルを助けることを選択しました。当然ですがこのような謙信の行動を懐疑的に見ていた家来も少なくなく、それらの者たちに対して謙信はこう諭したとのことです。
「私が信玄と争うのは弓矢の強さであって米や塩の量ではない」
この謙信の「敵に塩を送る」逸話はおそらく知っている人も多いかと思いますが、この話から私たちが学ぶべきこと、考えるべきことは勇気の本当の意味についてなのではないかと私は思います。
生きるべきときに生き、死ぬべきときに死ぬ
ギリシャの哲学者プラトンによれば、勇気とは「恐るべきものと恐るべからずものとを識別することである」とのことでした。この言葉の意味するところは、危険を顧みずやみくもに困難に立ち向かうことは決して勇気とは言えず、それで命を落としたのならそれはただの犬死にすぎないということです。
「負けない」という強い気持ちを持つことと、「大丈夫」という強がる気持ちを持つことは似ているようで心理的な耐性としては大きく異なり、後者は極めてもろく、ある一線を越えてプツンと切れてしまった緊張の糸は二度と修復することができなくなってしまいます。
大事なことは危険な状況にこそ冷静になって物事の黒と白を認識することで、それができるかどうかが勇気という言葉にふさわしい行動をできるかどうかに関わってくるのです。
私たちは未曽有の危機に瀕している
今、世界はコロナウィルスの脅威によってこの世界に生きている人間が誰も経験したことのない最大級の危機に直面しています。しかも、敵は私たちの目には見えません。このような状況だからこそ、世界が一丸となって敵に向かう必要があると私は思います。人間ですから、個人個人に嫌いな国もあれば、嫌いな人もいるのは仕方ありません。私にも嫌いな人はいます。しかし、今私たちの敵はそれらの嫌いな国でも嫌いな人でもありません。
政府と争うのは自由や人権のためであって、今は政府の指示を聞き入れて国民全員が忠実に従うことが先決でしょう。また、ウィルスについて一番の情報を持っているのはプレジデントXiなんですから各国首脳は迷うことなく頼るべきです。
この2か月間で「大丈夫」と思っていたことがウィルスの手によってすべて覆されました。ここからは「負けない」という気持ちを切らさないことはもちろんのこと、皆が同じ方向を向いて協力、共有しながらこの目に見えない巨大な敵に立ち向かっていくしかありません。
来年、桜の木の下で入学式が迎えられるように、東京オリンピックが平和の祭典として世界に感動と希望を与えられるように、今こそ勇気ある行動が求められています。
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。
第47回 香港人の履歴書
先日、突然社長からHR(Human Resources / 人事部)の仕事を手伝うように頼まれて、香港人の履歴書を読む機会が増えるようになり、もともとHR歴の長い妻とも共通の話題ができたので、夫婦間の会話にも活気が蘇ってきました。
1.転職当たり前
「香港人にとって転職は当たり前」ということは妻からもよく聞いていたのですが、実際に30歳前後の応募者の履歴書を見るとだいたい2~3社はすでに渡り歩いている人が多いです。面接で転職の理由を聞くと「スキルアップ」「キャリアアップ」ということを口にする人がほとんどなので、香港人は向上心高いよねと妻に話したところ「仕事が楽でそこそこの給与がもらえる会社を探し回っているだけ」と一蹴されました。
2.英語が難しい
香港人の履歴書はだいたい英語で作成されているんですが、みなさん難しい英語を使って書いているので読みづらいんです。で、実際に面接で話してみるとあまり英語が得意でない様子の人も多く、「香港人の履歴書はホントに読みづらいっ!」と妻も激しく同意してくれました。
3.給料高い
香港人の履歴書の最後にはたいてい希望給与額が記載されています。みなさんなかなか強気な額を要求してきます。たとえばAssistant Managerレベルで30,000HKD/月、Managerレベルだと40,000HKD/月、Accounting ManagerやWarehouse Managerくらいになると50,000HKD/月を超えてきます。会計や倉庫の業務は激務なのでそれなりに給与も高くなります。営業部門は20,000HKD/月くらいになりますがボーナスが多めになります。先日、うちの会社のAssistant Manager職への応募者の希望給与額が45,000HKDだったよと妻に伝えたら「高っ!アタシが面接やってあげようか?」と謎にやる気満々でした。
4.履歴書美人
香港人の履歴書を見てきて感じたことは、「みんな優秀…そうだなあ」ということです。数々の会社を渡り歩き、それぞれの会社で立派なAchievementを獲得し、語学も英語、広東語、普通語はすべてExcellentかGood Commandレベル。そんなに優秀なら転職しないで今いる会社でキャリアアップを目指せばいいのにと思うのですが、いざ面接をしてみると履歴書から漂った人間像の3分の1スケールくらいの人間が多く、1つの会社でキャリアアップできない理由がなんとなくわかる気がします。妻も「履歴書なんて当てにならん」と香港での優秀な人材の採用の難しさを力説してくれました。
とはいえ、やはり応募者の中には本当に優秀な人材もいます。そういう人たちは面接で話すとHR素人の私でもすぐにわかります。なんというか、その職に対する熱意が違うんです。目に力と輝きがこもっている。まだまだHRとしての日は浅いですが、自分なりに人材の選別方法を見出した私は早速妻に
「俺はさあ、面接のときに相手の目を見るようにしてるんだ。目でその人の熱意が感じ取れるんだよね。」
と気取ってみたところ、妻にこう言われました。
「今はみんなマスクしてるから目しか見えないだけでしょ。アホ」
終
ルーシー龍(りゅう)
東京都出身。香港歴7年。元日本語講師。元学習塾塾長。現在香港企業窓際マネージャー。柔道三段。妻は香港人。娘はハーフ。猫は香港仔出身。愛読書は武士道。
第46回 日本人の英語が上達しない本当の理由
日本人たちが英語ができないできないと嘆き続けてどれくらいの月日が経ったでしょうか。
2018年度の日本国内の語学ビジネス市場はなんと売上高で887,300,000,000円(矢野経済研究所調べ)。
0が多すぎていくらかよく分からなかった人のために分かりやすく言うと、日本人は外国語を勉強するために一年間で8,873億円を投じたということです。
これだけ投資しているにもかかわらず、まだ英語ができないと言うんですから皮肉なものです。
そこで今回は、日本人がこれ以上ただ英語学習を続けても時間と金の無駄なようなので、どうして日本人が英語音痴になっているのかについて考察してみることにしました。
外国人に興味がない
英語を勉強している人はたいてい英語が留学や仕事で必要だとか、外国人と話せるようになりたいとか思っています。
だからダメなんです!
あなたは英語に興味はあるけど、話す相手、つまり外国人に興味がないから実際の会話で英語が磨かれないのです。まずは外国人に興味を持ちましょう。かれらに興味を持てると聞きたいことがたくさん出てくるので自然と質問ができます。さらに質問ができるようになると会話が盛り上がるので日本人が嫌う気まずい沈黙も避けることができます。会話が続けば続くほど、自分の口から発言する単語の数も増えますし、逆に相手の英語を聞き取る機会も増えるのでみるみる英語力が鍛えられます。
日本人のことをよく知らない
日本人はなぜ飛び降り自殺するときに靴を丁寧に揃えるんですか?という質問にあなたはなんと答えますか。
「それは日本人だから…かなあ」
だからダメなんです!
外国人は日本という国や日本人に強い関心があり、相手が日本人と分かろうものなら怒涛の質問攻めで私たちのことを丸裸にしてやろうと常に精選された質問を懐に備えています。そして、それらの日本人にとっては正直どうでもいい質問にしっかりと回答をすることが日本人としての責任であり、外国人との親交を深める秘訣でもあります。かれらと仲良くなればなるほど自然とあなたの英語力も向上します。まずは日本人のことを言葉で説明できるように日本のことを勉強してください。
日本が最高すぎる
旅行や出張などの用事が終わって外国から久々に日本へ戻ってきたときに「やっぱり日本が一番だわ」と思ったことがありませんか?
だからダメなんです!
日本が最高なのは私も認めます。空気も、食事も、サービスもトイレも世界で最高水準のクオリティーを誇ります。でもあなたが英語を学びたいと思っているのなら、こんな最高の国にいてはいけません。外国から帰ってきたら次の外国に行く予定をすぐに立てましょう。日本にいる限りあなたのお腹も心も満たされてしまい、やがて動くのが億劫(おっくう)になり日本語で話せることがすごい心地よく感じるようになってしまいます。そう感じるようになったらあなたの英語学習人生はおしまいです。
あなたの英語を上達させる方法
私たちの身の回りでは私たちが思っている以上にたくさんの出来事が起きています。でもほとんどの場合、それらは私たちの視界には入らずスルーされてしまっています。まずは自分の行動、他人の行動にもっと関心を持って、なぜそのような行動が取られるのかを自分の言葉で表現してみてください。そしてその自分の言葉を英語でどのように表現したらいいかをネットや辞書を調べながら考えてみましょう。これを繰り返すことであなたの英語は間違いなく上達します。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第45回 香港でお金のトラブルが発生したときの4つの心得
先日、妻がふと私に聞いてきました。
「将来、日本に帰る気あるの?」と。
日本人夫を持つ香港人妻の苦労
香港に生活拠点を持ち、妻が香港人で夫が日本人の夫婦の場合、生活の主導権の99.999%は妻にあります。例えば、家を借りるとき、子どもの保険に入るとき、電気ガス水道の契約などのサインが必要とされるような場面では基本的に妻の名前が使われます。妻がいつもサインをする理由は彼女が現地人(香港人)だからです。もちろん夫である私がサインをしても全く問題ありませんが、広東語または英語の契約書を読むときやエージェントや大家とコミュニケーションを取るとき、日本人の夫ではめちゃくちゃ不安が残ります。そして何よりも何か問題が発生した時に日本人の夫ではまず解決ができません。
ですから自然と妻がサインをすることになるのですが、これは同時にすべての責任も妻が追うことになるということになります。契約書を入念に読むのも、先方と会話や交渉をするのも、問題解決をするのもいつも妻主導でやらなければならず、一方でとなりの夫はジャッキーチェンのようなスマイルで実は頭の中では何にも考えていないのが丸見えなので、妻からするとふとした時に何とも不公平に感じるわけなのです。
日本人夫を持つ香港人妻の不安
日本人の夫と香港人の妻の夫婦が年を重ねると、妻にのしかかる負担はどんどん増えていきます。妻にとって、将来、自分の双肩にのしかかる重荷が増えることは目に見えて明らかなのです。
それでも、香港で生活する限り日本人の夫にはどうしても頼ることができないのは、どうやっても夫が信用ならないからです。そもそも夫という生き物自体が信用ならないものであるのに、その上それが香港で働く日本人とあらばなお使い道がありません。ジャッキースマイルしかできない夫に何かを任せれば任せるだけ妻の不安はむしろ倍増する結果になるので、それなら自分でやってしまった方が早いと考えてしまいます。ただ、ふとした時にそんな生活が一生続くのかと考えると、時折とてつもない不安に駆られてしまうのが妻の本音です。
香港人妻を持つ日本人夫の考え
では香港の暮らしに慣れてしまった日本人の夫は将来についてどう考えているのでしょうか。日本に戻ってまた新しい生活を始めるプランはあるのでしょうか。
私の回答はノーです。
香港人の奥さんが香港での生活にこんなに苦労して将来への不安も抱えているにもかかわらず、その夫の回答はノーだなんてそんな自己中な態度にイラっとした読者の方もいたかもしれません。
実際に私がノーと妻に伝えたときも妻は明らかに落胆していました。
でももうちょっと私の話を聞いてください。
今私たち夫婦にとっての最優先事項は1歳半になる娘のことです。彼女が日本の教育を受けようとすると、香港の日本人学校は中学校までしかありません。つまり高校入学時に日本へ戻るか他の国の日本人高校に行くかしなければならず、インターやローカル学校に編入しない限り香港に残る手段はありません。私も妻も大学に入るまでは娘と一緒に暮らすという意見は同じなので、娘が日本の高校に行くとなれば家族一緒に日本に移住することになります。
おい、さっき日本に帰るプランはないって言ってたじゃねえかとツッコみたい読者の方もいたかと思いますが、日本に帰るべき理由があれば潔く帰るというのが私のスタンスです。自分の都合で香港にしがみつこうとはしません、今もこれからも私にとっての最優先事項は家族です。
しかし、考えてみてください。娘が日本の高校に入学するのは2034年の春。あと14年先の話です。
だから私は妻にこう答えました。
「日本に帰る気はない。でも香港で今の状態のままのらりくらりと生活を続ける気もない。香港にいる限りは絶対に香港ドリームを叶える。叶わなかったら潔く日本に帰って働く。でもここで夢が叶うかどうかを判断するのに14年も待つ必要はない。あと3年、オラに時間をくれ」と。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第44回 香港でお金のトラブルが発生したときの4つの心得
別に神様に悪口を言ったわけでもなく、いつも通り普通に生活をしていても災難というものは突如降りかかってくるものです。
それでも多くの場合は自分の力で解決できたり時間が解決してくれたりと何とかなるのですが、まれに自分の力では何ともできない災難もあります。
そんな厄介な災難に遭遇した時、最後の手段として考えられるのが「弁護士に解決依頼をする」という選択肢です。
しかし、困ったからといってただ弁護士に相談しても高額の相談料を取られるだけで問題解決には至りません。
もしあなたが何か厄介なことに巻き込まれそうと感じたときには弁護士に相談する前にやっておくべきことがあります。
心得その壱:証拠を集めろ
厄介な問題に巻き込まれているときは、たいてい厄介な人間に関わってしまっていることが多いです。この厄介な人間のせいで問題が解決しないので、まずはこの人間の行動や発言をできるだけ記録しておきましょう。最も簡単な方法はWhatsApp上での会話のやり取りの記録です。このアプリ上の会話は自動的に記録される(LINEと同じ機能)ので要注意人物との過去の会話も後で簡単に振り返ることができます。
証拠を集めるときのポイントは、電話よりもメッセージ(WhatsApp,FB,Messenger,LINEなど) を使って会話の記録を文字にしておくことです。
電話や直接本人と話す機会がある場合、可能ならボイスレコーダーを使ってその場の会話を記録しておくことがベストです。
相手側の問題行動や発言を証明する証拠がない場合、後で弁護士に相談するときや裁判が起きたときに自らの言葉に信憑性を持たすことができず主張を聞き入れてもらえなくなってしまう可能性もあるので、証拠は大切です。
心得その弐:労働局に行け
日本にも各都道府県に労働局なるものがあるよう、香港にもLabour Departmentと呼ばれる雇用主、被雇用者間で発生した問題を相談できる政府の窓口が各地に存在します。例えば、会社が給与を支払ってくれない、ヘルパーが突然辞めたなどの問題もこの窓口で相談できます。ここに来れば無料で相談ができるので、弁護士に依頼する前にまずは自分の居住区にあるLabour Departmentにてアドバイスをもらうことをお勧めします。窓口で職員にアドバイスを受けた後、必要あらばその場で必要書類を提出することで、あなたとあなたを苦しめている相手とOfficerの三者で後日ミーティングをする機会を設けてくれます。このミーティングではOfficerが間に入って両者の言い分を聞き、その場で和解案を提案してくれます。しかし、Officerは法律にすごい詳しいのですが、あくまで公務員であり裁判官ではないので両者に和解案の承諾を強制する力まではなく、必ずしもこのミーティングで問題が解決するとは限りません。
心得その参:弁護士に相談しろ
Labour Departmentでのミーティングでも問題が解決しない場合、次なる対決の舞台は法廷しかありません。そこで、裁判所に書類を提出し訴訟を起こすことになるのですが、その前に弁護士に一度相談しておいた方がいいでしょう。案件にもよりますが、弁護士から相手側に法的文書を送って給与やその他未払金の支払いを要求する場合もあります。この文書(手紙)の意味は「今支払えば法廷にこの案件を持っていくことなくクローズすることができる」といったものです。ですからほとんどの場合この文書をもらった相手は期限内に支払いを済ませます。Labour Departmentでもゴネていた相手が急に弁護士からの文書によって支払いに転じる理由は、やはり法廷決着となるとそれに伴う費用と時間が膨大にかかってしまうからだと推測されます。ちなみに過去の私のケースでは2戦2勝。弁護士から支払い要求文書を送ってもらった瞬間に未払いの給与や敷金が支払われました。ただしこの文書の作成と作成に当たり必要なヒアリング料は弁護士に支払わなければなりません。だいたい3,000~5,000香港ドルくらいしますが効果は抜群です。
心得その四:法廷決着だ
Labour Departmentでも弁護士による文書でも解決できない場合はいよいよ法廷に行くしかありません。請求する金額の大きさによって弁護士不要の即日決着裁判なのか、テレビドラマさながらのガチンコの裁判なのかは分かれますが、ここから先は私もまだ足を踏み入れたことがない世界なのでよくわかりません。ただ、裁判となれば証拠がすべてなので、冒頭にも述べたように証拠となりそうなものはすべて取っておきましょう。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第43回 親父がいない香港
日本では昔から「地震、雷、火事、親父」と言うくらい、家庭における親父の存在感は大きいものでした。
親父は時にうっとうしく、また時に家族から軽く鼻であしらわれ、それでも家族に三食を食わせるために自分は一食もロクに食べないで一生懸命働いていました…きっと。
親父とは決して美しい生き物ではなく、皆からいつも受け入れられた存在ではありませんが、子どもたちもそして日本という国もうっとうしい親父たちの頑張りのもとでたくましく成長することができたというのもあながち言い過ぎではないと思います。
親父がいない香港
一方で、香港はというと圧倒的にその親父の存在感が足りていないように感じます。親父の存在感とはかれらの「うっとうしさ」にあり、香港のパパにはそのうっとうしさが欠けているのです。
ダメなものはダメだと子どもたちに言える威勢、忍耐力、精神力といった揺るぎない何かが香港パパたちの辞書にはなく、いつもニコニコしているなあというのが私の個人的な印象です。
自己中心的な傾向にある香港人
「静かにしなさい!」
と駅のホームで注意するママとそれを無視する子どもという光景は香港ではよく目にします。ママの言葉が子どもたちに伝わらない理由はママの言葉に気持ちがこもっていないからです。
では、ママはなぜ注意するのか?
周りの人に迷惑をかけているから?周りの人に私ちゃんと注意してますよアピール?単にうるさいなあと黙らせるため?それとも子どもの成長のため?
ポイントは誰のために注意しているかということです。香港の教育の問題点はこの「誰のため」の部分にあると思います。
つまり、多くの香港人は「自分のため」に行動をしてしまっているから問題なのです。ママも自分が携帯電話に集中したいんだけど息子がうるさくて集中できないから注意しているにすぎません…きっと。だから口先だけの注意になってしまうのです。常に子どもの成長と未来のことを中心に考えて接していれば、言葉に気持ちが入りますし説得力も変わってくるはすです。
自己中心的な教育の代償
親父のいいところは不器用ながらも一生懸命に物事に取り組むところでした。だから気持ちがこもるし、それがいつの日か周りの人にも伝わります。しかし、現代では「器用に、スマートに」という考え方が流行ってしまい、それを勘違いして「考えない、頑張らない」という若者が増え、その結果うわべだけの関係、言葉、行動、情報が氾濫するようになってしまいました。しかし、子どもたちがこのようになってしまったのはそもそもかれらの両親が自己中心的な教育をしてきてしまったことにあります。
だから親父が必要
ママは比較的感情的に話す傾向が強いので、子どもに世の中の道理をよくわかるように説明する場合はパパの方が向いています。子どもたちは賢いので論理的に説明されれば納得してくれます。もちろん人間として感情表現は大事なので、こちらの方面についてはママから学ぶことはたくさんあります。
特に香港のパパたちは仕事帰りに同僚とお酒を飲むこともほとんどありませんし、週末も出勤や出張というのが日本人パパに比べれば全然少ないので、家族と過ごす時間自体は確保しやすくあります。若い子たちと話すときのコツは「同調からのbut」が基本です。「なるほど、そうだよなあ。でもね…」というように必ず最初にかれらの意見に同調してあげることが大事です。同調が得られないかぎり、かれらが自分たちの心を開くことはありません。どんな意見にもまずは「それも一理あるよね」という余裕が親父には必要です。
つまるところ「寛容さ」こそがこれからの時代の親父に必要な要素の一つかもなあ、と今私の横で1歳を過ぎた娘がしまじろうを見ながら踊っている姿を見てそう思うのです。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
42回「香港最高かよ」と日本から遊びに来た友人を唸らせる香港フード
「香港でおススメの食べ物って何ですか?」
と聞かれてしまったときに「飲茶とかアフタヌーンティーかな」と答えてしまったことがある人は少なくないと思います。
確かに、飲茶もアフタヌーンティーも香港ならではのモノではありますが、落ち着いて考えてみれば飲茶もアフタヌーンティーも正確には食べ物の名称ではなく、「ビュッフェ」「食べ放題」のような食事の形態の名称の一つにすぎません。
飲茶やアフタヌーンティーは「楽しい」のであって「おいしい」と形容するのはちょっとおかしくて、それらの中のシュウマイやチョコレートケーキが「おいしい」かどうかの対象になります。
そう考えると、飲茶もアフタヌーンティーも響きは香港らしいですが、実際に出てくる食べ物はぶっちゃけすごい特別なものではありません。
せっかく日本から来てくれた友人に日本では食べられないようなもの、もしくは日本よりもおいしいものを食べさせてあげたいのに、結局日本でも食べられるような、いや、むしろ崎陽軒やファミマのスイーツのほうが美味いんじゃないかというようなシュウマイとかケーキを振舞って「どう、おいしい?」と聞くのもなんだかな~と私個人的に以前からずっと葛藤がありました。
そこで、今回は何とか日本から来た家族や友人たちに「香港最高かよ」と思ってもらえるように私なりに香港のおススメの食べ物をおススメの店舗名付きで紹介します。
1.米線 @ 南記 ナムゲイ
ラーメンが好きな人は日本にも香港にもたくさんいますし、香港のラーメン屋のクオリティもクリエイティビティも高くなってきていますが、香港でラーメンを食べることはオススメしません。味は良しとして値段が高いですよね。なので、香港で麺を食べるなら絶対に米線を推します。トッピングは豚肉(腩肉ナムヨッ)を追加するだけで十分です。日本人の舌にも絶対合う、鉄板のおススメ食べ物です。
2.フライドチキン @ Jollibee ジョリービー 
フライドチキンと言えばケンタッキーフライドチキン(KFC)の一強なのが日本の現状ですが、香港にはその絶対王者KFCの最強ライバルであるフィリピンの雄「ジョリービー」が存在します。ジョリービーのフライドチキンのすごいところは持ち帰りで持ち帰ったチキンが家に着いて蓋を開けた際に全然しなしなになっていないところです。つまりクリスピーな状態をかなり長い時間キープすることができます。さらにフライドチキンの横についているパスタもフィリピン独特の甘いミートソースがよくからまっていておいしいんです。そんなジョリービーも日本にはまだ進出していないので日本人観光客におススメです。
3.タピオカミルクティー @ 賞茶 A Nice Gift
20年前、飯田橋のジョナサンでブラックタピオカミルクティーを期間限定メニュー枠で見つけだとき、「こんなの誰が飲むんや」と思いながら、いつも通りジャンバラヤを注文した記憶があります。あの頃はまさかそのブラックタピオカがアジアを席巻するとは夢にも思いませんでしたが、20年経った今では私も妻とともにその不思議な魅力の虜になっています。日本のタピオカよりも甘くて大きいのが香港のタピオカの特徴で、その量もほとんどの店で日本より1.5倍~2倍、最後のほうは若干気持ち悪くなるくらいたくさん入れてくれます。またミルクティーそのものも香港のほうが香りがよく、より本格茶葉感が出ています。
「香港に来てまでタピオカかよ」と言われるかもしれませんが、ぜひ自信を持ってススメてあげてください。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第41回「俺たちはジェームスボンドじゃない」
あなたの夢は何ですか?
ちなみに私の夢は、セントラルの金融街でオーダーメイドのスーツに身をまとい、携帯電話で海外のクライアントと英語で数億円の取引案件について話をしながら颯爽と歩くことです。
ところで、みなさんはこんな香港人を見かけたことはありませんか?
・ スーツを着て、手ぶらで歩いている。
・ スーツを着て、かばんは持たず、紙袋を持って歩いている。
・ スーツベストを着ているんだけどジャケットは着ていない。
実は私の憧れの街セントラルの近くを歩いているとよくこのようなビジネスマンを見かけることができます。
そこで、大きなお世話ですが、勝手にかれらの心理を分析しました。
1.かれらはきっとナルシスト
上記のような格好をしている人は自分の容姿を気にする人なので鏡や携帯電話の自撮りモードで自分の髪型を執拗にチェックし、駅のホームのガラス張りに映る自分の姿は電車を待っている間5秒おきにチェックします。稲垣吾郎クラスになると醤油皿の醤油で自分の髪型をチェックできます。
2.持たないことがカッコいい
オーシャンズ11や007のような映画に出てくるキャラクターは皆スーツをビシッと着こなしています。そしてかれらに共通していることは基本的に手ぶらであること。当たり前ですがかれらはビジネスマンではないのでビジネスバッグなどは持ち歩かず、ときどきピストルかタバコを手にしているくらいです。香港のビジネスマンがカバンを持たなくなったのはジョージクルーニーやブラッドピットの責任でもあります。
3.タイトなベストにねじ込む、私という戦うボディ
そもそもスーツとは男性にとって魔法の洋服で、これを着るだけ3倍増しでカッコよく見えます。そこにスーツベストを加えたら5倍増しです。スーツベストを着ると上半身がほどよく締め付けられシュッとするのでシルエットがカッコよく見えます。このシュッとした自分の姿に惚れた男たちは、ジャケットを羽織らずスーツベストだけで街へ出てしまうのです。
4.実際に手ぶらで歩いてみて・・・
では実際に手ぶらで通勤しようとするとどうなるのか。財布、携帯、家の鍵の3種の神器は何とかジャケットやパンツのポケットを駆使すれば問題ないでしょう。しかしそれ以上のものをポケットに入れようとするとポケットがデッカくなってシュッとしたシルエットを体現できなくなります。でもジョージはカバンなんか持ってなかったから…。そこで紙袋。しかもシャネルやヴィトンのようなブランドのロゴが入った紙袋なら何だかおしゃれに見えると思ってしまいます。
5.なぜ筆者は香港人男性の心理が分かるのか
おそらく香港全土でかれらのファッションが気になってしまうのは私くらいでしょう。ベルトがグッチのデカバックルで靴下が足首丈のものを履いているビジネスマンもすごい気になります。では、なぜ私はかれらのことがこんなに気になってしまうのかというと、一つは冒頭でも述べたように、私の夢はセントラルのビジネスマンだからです。そして、もう一つは、手ぶらで歩くのも、ベストで出歩くのも、シャネルの紙袋を持ち歩くのも私が高校生の時にイケてると思っていたファッションだからです。ですから、彼らの気持ちも、これらのファッションが本当はイケていないという事実も知っているのです。
男がイケてるかどうかは「いざという事態にどれだけ対応できるかどうか」だと30歳を過ぎてつくづく思います。いざ雨が降った、いざ彼女が鼻血を出した、いざ娘がうんちを漏らしたときにどれだけ早く的確に対応できるか。
そう考えると、必然的に手ぶらでは出歩けなくなるはずなんです。
紙袋でもいいですけど、やっぱりカバンを持つのが一番でしょう。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第40回「数字の19を広東語で言ってはいけないよ…」
私と香港人妻との間では普段英語で会話が行われるのですが、妻が妻の友人と一緒にいるときは基本的に広東語での会話が繰り広げられるので、横にいる私も下手なりに広東語で応戦しなければなりません。
先日、妻の仲の良い友人がうちに遊びに来たので、その日も暗黙の了解の上で私は広東語での発言を強いられることになりました。
すると、会話の中で妻の友人が何だかダサいことをしきりに言っていたので私が「時代は2019年だというのに何をそんな70年代みたいなことを言ってんだい」的なことをつたない広東語を駆使してツッコもうとしたんです。
私 : 「何言ってんだい、時代は2019年…」
妻 & 友人 : 爆笑
私 : 「何?どうした?」
妻 & 友人 : 「今なんて言った?」
私 : 「2019…」
妻 & 友人 : 爆笑
私 : 「20…」
妻 & 友人 : シーン
私 : 「19…」
妻 & 友人 : 大爆笑
私 : 「19?19がどうした?」
妻 & 友人 : 「あははは、もう言わないで笑」
広東語には「粗口(チョーハウ)」という特定の人の前では絶対に言ってはいけない言葉があり、この時、私が発した19の発音はそのチョーハウだったようなのです。
ちなみに私が2019をどのように発音したかというと「イーリンヤッガウ」と数字を一個ずつ発音する方法を用いたわけなんですが、この「ヤッガウ」の発音がチョーハウだったということでした。
ちなみに、数字の19にはもう一つの言い方があり発音は「サプガウ」となるのですが、私のサプガウの発音もチョーハウに当たると指摘されました。
妻とその友人によると「ガウ」はトーンによって数字の9にもなるし、男性器を意味する言葉にもなるとのことで、その「ガウ」が数字の1(ヤッ)や10(サプ)と組み合わさることで立派なチョーハウに姿を変えるとのことでした。
広東語の悪口と言えばポッカイやチーシンくらいは私も知っていましたが、今の時代これらの言葉の悪口としての地位は以前と比べてかなり落ちてしまったようで、老若男女問わず普段の会話の中で広く使われているらしいです。
ちなみに単語(動詞や形容詞)の悪口度を上げていくには、単語の前に数字の7(チャッ)や9(ガウ)、「ラン」などの言葉を付け加えればいいんだと彼女たちに教えてもらったのですが、どんな場面でどのような単語に加えるとより効果的なのかはまた次回教えてもらうことになりました。
最後に、悪口度に違いはあるとしてもすべてのチョーハウが悪口や卑猥な言葉であることには変わりないので、使い方を間違えると人間関係に大いに支障が出るとのこと、むやみやたらに口走らないようにと妻から念を押されました。
そういえば、最近、職場で香港人の同僚たちが私にあまり話しかけなくなってきたのは、私がいつかどこかでサプガウを口走っていたせいなのかもしれません…
みなさんも数字の19には気をつけてください。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第39回「10ヶ月の娘がインフルエンザにかかった話」
感染源はママ
最初にインフルに感染したのはママ(妻)でした。しかし、お粗末なことに、最初の診察の際にインフル検査を怠ったためインフル対策用の薬をもらうのが1日遅れてしまいました。検査を怠った理由はその費用と待ち時間の長さ(1,000香港ドル+45分)。このちょっとしたお金と時間をケチったがためにあとで10倍返しで代償を負うことになるとは、この時点ではさすがに夢にも思いませんでした。
インフルエンザをなめたらアカン!
病院から戻ったインフルだと気づいていないけど実はインフル感染中のママは、抗生物質しか服用していなかったため翌日になっても熱が下がりませんでした。とにかく、娘にだけは感染させちゃいけないとママはベッドルームに軟禁状態にして完全隔離を図りました。この迅速な対策の甲斐があってか、娘も安心したかのようにすやすやと私の胸元で眠っていたのですが…ん?角度によっては、なんかグッタリしているような…と、顔を触ってみるとめちゃめちゃ熱いじゃありませんか!まさかと思い、熱を計ってみると39.8度。すぐに病院へ行くことになりました。
人生10ヶ月目にして初めての入院
案の定、インフルエンザAと診断された娘はその日から入院することに(なにしろ、家にはもう一人インフル感染者がいるので)。ちなみに香港の私立病院では、ベッドに空きがないと入院をさせてくれないので、入院希望の場合は病院に行く前に電話で「ベッド空いてる?」と病院スタッフに確認をしておきましょう。ベットに空きがない場合は、ベッドに空きがある病院が見つかるまで、香港中の病院に電話を掛け続けなければなりません。タミフルはスプーン、解熱剤はお尻からインフルと診断されるとタミフルという薬と、解熱剤を服用することになります。両者共に強力なだけあっておそらく味がおいしくないのでしょう、めずらしく娘は口に含むことを嫌がりました。また病院からは注射器(針のない版)が支給され、それを使って赤ちゃんの口に薬を入れてねとの指示だったのですが、これがまた娘の食欲を誘いません。注射器だと明らかにいつもの食事とは違うものを口に入れられている感が出てしまいます。そこで、私たちはいつも食事で使うスプーンを使ってタミフルを飲ませたところ、渋い顔はするものの、何とか受け入れてくれました。ただし解熱剤、特に高熱用の解熱剤についてはハンパない味のようでスプーンだろうと受け入れがたい様子だったので、ボラギノール式にお尻に挿入する錠剤を服用させました。この錠剤は液体解熱剤の代替として病院から処方してもらえます。

教訓:健康のためにはケチらない
その後、娘は入院3日目にようやく退院することができました。インフルに感染すると長くて1週間は熱が下がったり上がったりを繰り返すそうなので、通常の風邪よりも辛抱強くケアをしなければなりません。またこの3日間の入院生活の費用はベッド代、診察代、薬代なども含めて、なんと…なんと…15,000香港ドル(涙)。ママとあのときケチった1,000ドルが15倍返しになって返ってきたわけです(涙)。
幸い、娘は保険に加入していたため、結果的には入院費用の8,000香港ドルだけを負担するに収まりましたが、それでも8倍返し。ただ費やした時間だけは保険でもどうにもならず、あの45分が3日間(4320分)になったわけなので96倍返し。
みなさんも、39度の熱が出たらすぐに病院でインフル検査を受けるようにしてください。また赤ちゃんがいる場合は、赤ちゃんに対しても保険に加入しておくことをおススメします。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第38回「ヘルパーとの面談で聞いておくべき5つのこと」
香港の家庭では共働きが普通なので、それに伴いヘルパーを雇うことが一般的となっています。子育てや家事をしてくれる人が家にいると大変便利ですし助かります。しかし、喜ぶのはまだまだ早いです。
ヘルパーが突然いなくなった、子どもの食べ物に異物を混入したなど、ヘルパーをめぐる問題は日々絶えることがありません。
そこで、今日は香港でのヘルパー選びに失敗しないための、ヘルパーとの面接で聞いておくべき5つのことを紹介いたします。
①何歳の子どもの面倒を見たことがあるのか?
子どもの面倒を見たことがあるヘルパーは多いです。しかし、生まれたての赤ちゃんと2歳児では育て方が違います。ですから、何歳の子どもの面倒を見たことがあるかを確認しましょう。
②苦手なことは何か?
ヘルパーからすれば、一日でも早く雇われて給料を手に入れたいので、面接時に自分の能力を誇張して表現することがあります。彼女たちの言っていることが本当かどうかを見破ることは面接の段階では不可能なので、こちらからは彼女たちの苦手なことを聞くようにしましょう。苦手なこと、できないことを予め知っていれば、雇う側からしても選考の基準に大いに役に立ちます。また、何かと自信があるヘルパーよりも自信がなさげで謙虚な態度のヘルパーのほうが当たる場合が多いです。
③過去の雇い主との関係
ヘルパー歴の長いヘルパーはヘルパー職の酸いも甘いも良く知っています。過去の雇い主との関係を聞くことで、なぜ解雇されたのか、なぜ契約を更新しなかったのか、どのような待遇(食事や寝床や雇い主の態度など)だったかを知り、自分たちがこのヘルパーを雇った場合のイメージをすることができます。
④休みは平日でも大丈夫か?
日曜日のセントラルやモンコックに行ったことがある人は知っているかもしれませんが、駅とビルをつなぐ歩道橋には休日を満喫しているヘルパーたちの姿を見ることができます。つまり、日曜日に休みを指定されているヘルパーが多いんです。だからこそ、皆さんがヘルパーを雇う際には日曜日休みは極力避けましょう。その理由は、他のヘルパーから悪知恵を吹き込まれたり、逆に雇い主の噂を言いふらす可能性があるからです。休日を日曜日以外にすることで、自分のヘルパーが他のヘルパーに会う機会を減らすことができます。ヘルパーの休みをコントロールすることは雇い主自身の身を守ることにつながります。
⑤将来のプランは?
雇い主側からすると、できれば同じヘルパーに長くいてもらいたいと思うかとおもいます。小さな子どもがいる家庭ではなおさらヘルパーをコロコロ替えないほうがいいですし、替わるたびにエージェントへの紹介料金(約10,000ドル)も発生します。そこで、面接の際には将来の話もしておきましょう。ポイントはヘルパー本人が香港にどれくらいいるつもりなのか。特に若いヘルパーの場合、結婚や妊娠を機に突然「母国に帰る」と言い始めることがあるので必ず本人たちの将来プランも聞いておきましょう。
私の知り合いには現在雇っているヘルパーを見つけるまでに5人のヘルパーを試したという人もいます。実際に雇ってみるまではそのヘルパーの本当の姿は分かりませんが、面接の時点である程度の人選を行うことで、ヘルパー選びに失敗する可能性を少しでも回避したいところです。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第37回「香港での住まいの選び方」
香港生活の何が大変って、家賃が大変ですよね。給料は上がらないのに家賃は上がるので、いつまでも貯金が増えないなんてのは香港の庶民の間ではよく聞く話です。また、香港は通常2年毎に家賃が上がるので、それを機に引越しを考える人も多いです。私も香港に来て6年が経ちますが、これまでに5つの物件を渡り歩いてきました。
① まずはアプリで物件を探す
香港人の間でもよく使われているのが591房屋交易と28Hseというアプリです。Facebookを見る感覚でこれらのアプリを定期的に流し読みすることで、地区ごとの相場や新築物件の間取りなんかを把握することができます。
② 連絡はWhatsAppで
気になる物件があれば上記のアプリからエージェントに連絡が取れます。連絡の取り方はWhatsAppがおススメです。電話よりもコミュニケーションが取りやすいですし、物件の詳細写真を送ってもらうこともできますので何かと便利です。物件探しの前にはWhatsAppもインストールしておいてください。
③ 間取りは四角いものを

「客廳(リビングルーム)が長方形ではないので、家具の配置が難しい間取り」
間取りについてですが、私の経験から四角い間取りがおススメです。間取り図を見たときに、正方形や長方形を組み合わせたような形がベストです。そうでない場合、たとえ面積が広くても後で家具を置いたときにバランスが悪くなります。
④ 日当りよりも窓
香港ではエアコンの水滴や空気汚染の点から、外に洗濯物を干さない(方がいい)ので、南向きとかベランダがあるとかはあまり重要ではありません。ただ、窓はたくさんあった方がいいです。室内に洗濯物を干すとき、特に湿気の多いときなどは風通しが大事になります。
⑤ エージェントが女性だったら…
いざ、気に入った物件が見つかったら次は家賃の交渉です。ここで重要なのは担当のエージェントが女性かどうかです。確率で言うと女性エージェントの場合、強気な家賃交渉を大家としてもらえる可能性が高いです。例えば物件の家賃が16,000ドルのとき、「14,000ドルでいけるか」と聞くと男性エージェントなら「それはさすがに無理っすわ」と言うところ、女性エージェントは「ちょっと大家に交渉してみるわ」と言ってくれます。特に香港の場合は、女性は交渉上手なので、女性エージェントに当ったときは強気の交渉が期待できます。
⑥実用面積500sqftで家賃15,000ドルを目指せ
物件探しの際、それぞれの物件には建築面積と実用面積が記載されているので、必ず実用面積に注目するようにしましょう。私が物件を探す際の実用面積の目安は1人暮らしなら180sqft、2人で400qft、3人で500sqftです。これらの面積を満たした物件だと、足を踏み入れたときにちょっと広く感じるはずです。もちろん、家賃に上限がないのならいくらでも広い物件は見つかりますが、ポイントは借りる価値、その家賃を支払う価値がその家にあるかどうかです。私が思う価値のある物件は1sqft当り30ドルの物件です。これより高いのであればクラブハウスが付属している、建築年数が10年以下、交通や生活に便利などの条件が揃っている必要があります。そうでない場合、実用面積500sqftもない物件に15,000ドルを払う価値はないと思います。
みなさんも是非、実用面積500sqft、家賃15,000ドルの物件をアプリを使って探してみてください。そして、検索にヒットした物件を見ながら自分ならそこに住めるかどうかを妄想してみると、特に何もすることのない香港の週末の時間を少し楽しく過ごせるはずです。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第36回「妻とチャーチャンテンに行かない理由」
香港の文化を語る上で欠かせない存在が茶餐廳(チャーチャンテン)。私も一人で食事を取るときは基本的にチャーチャンテンを利用します。でも香港人の妻や娘と一緒のときは絶対にチャーチャンテンには行きません。なぜかって?その理由が皆さんにも理解できるように、今回はある昼時のチャーチャンテンでの出来事を紹介します。
1. そんなものないよ

「幻の一品 オーワーティントーストセット」
いつもどおり、誰からも歓迎されずに勝手にお店に入って勝手に席を見つけて「さあ何を食べようか」とメニューを見ていると、店内の壁に阿華田(オーワーティン)のトーストセットの宣伝ポスターが貼ってありました。香港に来て以来、これまで95%以上の確率でミルクティーを頼んでいた私ですが、最近健康に気を遣い始めてからは阿華田を飲むようになりました。そんなオーワーティン生活を始めた私にとって「阿華田多士餐(トーストセット)」は大変魅力的でなんだかものすごく食べてみたくなったので、早速ポスターを指差しながら「あれ、ちょうだいよ」と注文すると「うちにそんなものはないよ」と言われました。
・・・じゃあ、ポスター貼るなよ!
2. 7番チャーハン!
ランチの時間帯は常に満席状態で注文を取るおばちゃんたちも大忙し。誰がチャーハンを頼んだかなんて覚えられるはずがありません。じゃあ誰が何を頼んだかどうやって分かるのかって?お客に聞くんですね。
その日は「7番チャーハン頼んだの誰!?」とかなり大きい声でチャーハンの頼み主を探していました。ただ不思議なことに頼み主は現れず、チャーハンは厨房に戻されてしまいました。
3. ゴキブリがいますけど・・・
私がこの日頼んだ乾炒牛河(焼ききしめん)がなかなか来ないのでソワソワしていると、なんと前方左手の壁にゴキブリを発見!私の向かいに座っている男性2人組はその存在に気がつかずレモンティー片手にすごい楽しそうに話しています。
ゴキブリは、私の向かいの左側に座っている男性の後ろを壁を這いながらゆっくり進んでいます。そして、なんと、ついに私の向かいの右側の男性がそのゴキブリの存在に明らかに気がついたことに私は気がつきました。しかし驚くことに男性は一瞬話すのをやめただけで、何事もなかったかのようにまた話し始めました。さらに!驚いたことは私の乾炒牛河を持ってきたおじちゃんもゴキブリの存在に明らかに気がついたのですが、3秒ほどそのゴキブリの行方を観察しただけで何もなかったかのように厨房へと消えていきました。
4. 7番チャーハン!!

「これが7番チャーハン!」
数分後、ゴキブリは姿を消しましたが、今度はさきほどの7番チャーハンを頼んだ男性が突如現れました。この男性は「チャーハンがまだ来ないんだけど」とちょっとイラッとした表情でしたが、この男性以上にイラッとしていた人物は「7番チャーハン誰!」と大声を出していたおばちゃんでした。
5. おつりいくら?
チャーチャンテンの会計は入口で行うので、こちらは日本の会計スタイルと似ています。ただ日本と違う点はレジのおばちゃんの集中力です。チャーチャンテンのおばちゃんの集中力はスマホに持っていかれているので、勘定の計算をよく間違えます。「これはいかん」とおばちゃんはおつりを間違えない方法を考えた末、「おつりいくら渡せばいい?」と逆に客に聞くという結論に至りました。
私はこういう人間臭さが漂うチャーチャンテンが好きなんですが、一方で妻や娘とはこういうお店に行かない(行けない)理由がみなさんも少しお分かりになったかと思います。
では、ランチの時間なので今日はこのへんで。
今日の私のランチは7番チャーハンです。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第35回「香港でオススメのヘアーサロン」
何にもしなくたって腹は減るし、髪の毛は伸びます。食べ物には人それぞれ好みがあるように散髪に関しても人それぞれ要求するものが異なります。
そこで、今回は香港の街中で見つけた、専門性に特化したヘアーサロンを紹介します。
1. ヘアーサロン「かたち」

やはりヘアーカットで大事なのはスタイルですよね。つまり「かたち」が大事です。ですので、このサロンは文字通りスタイル重視。ただ、一方で、形という漢字は「かた」とも読めます。形(かた)と言えば柔道ですね。最近では形の世界大会まで行われるようになり、その人気とともに形の競技人口も世界中で増えています。そんな背景から、もしこのサロンの読み方が「形(かたち)サロン」ではなくて「形(かた)サロン」ということになると、マスターは武道に精通しているのかもしれません。そうなると、マスターのお気に入りのヘアースタイルは五厘刈?角刈?…いずれにしてもこだわりのあるスタイルが期待できますので、スタイル重視の方にオススメのヘアーサロンです。
ちなみに、こちらのサロンは北角にあります。
2. ヘアーサロン「のみ」

香港でもヘアーサロンは至る所に見かけるようになりましたが、10年前のサロンと比べると各サロンのサービスのバリエーションは明らかに増えています。一昔前はカットかパーマくらいしかなかったのに、最近の洒落たサロンの料金表を見るとすごい複雑で、私のような昭和の人間にはちょっと何を言っているのかよく分からなくなることがあります。そんなナウくなってしまったヘアーサロンに嫌気がさした人にオススメなのが、ここ「のみ」です。看板を見ただけで「うちはカットのみだから!」という大将の男気が伝わってきます。お値段も50香港ドルというお手頃価格でここでも男気を感じます。ちなみに、こちらのサロンは土瓜灣にあります。
3. ヘアーサロン「極速ヘアカツト」

アジアの世界都市と言えば聞こえはいいですが、実際に香港で豊かに暮らすことは簡単ではありません。どこの業界、どこの会社に勤めていても競争が激しく残業や休日出勤なんてものもまだまだ多いです。一日三食の飯を食うために、飯もろくに食わずにがむしゃらに働くそんな私たちを尻目に、私たちの髪の毛は日々豊かに伸び続けます。まるでボディブローのように、少しずつ、じわりじわりと伸びながら私たちの視界や集中力の邪魔をしてきます。「そろそろ髪の毛切りたいけど、今週末は出張で忙しいからな…」そんな「髪の毛を切る時間なんてないよ」という人にオススメなのが、ここ極速ヘアカツトです。極速なんて言葉は辞書で調べたって出てきません。ですから、どれだけ速いのか検討もつきませんが、絶対に私たちの想像より速いはずです。香港ではよく「急ぐな、でも素早くやれ」というような表現が使われますが、極速は急いでやるよりもはるかに速そうというのがその文字から予想できます。また語尾がヘアカットではなくヘアカツトなのは、看板作成の際のマスターの文字入力も極速だったので小文字変換するのを失念したとの噂です。(嘘です)という冗談は顔だけにして、日々多忙で髪の毛を切る時間なんてろくに確保できない人には試す価値ありのサロンです。ちなみに、こちらのサロンはホンハム広場(紅磡廣場)の中にあります。
さあ、皆さんはどのサロンが気になりましたか?ちなみに私は家で妻に切ってもらっています。サロン「つま」です。
※注意:今回紹介したサロンは実際に存在しますが、それぞれのサロンに対する私の解説は私自身の想像によるもの(体験談でもお店の人に聞いたわけでもありません)であり、事実と異なる場合がありますので、予めご了承ください。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第34回「アジア最大級のペットショーを攻略する方法」
香港最大のペットの祭典

各ブースのデザインも凝っています
私の飼っている猫が最近やたらお行儀が良いなと思ったら、あの一年に一度のペットの祭典「香港ペットショー 2019」がワンチャイのコンベンションセンターで開催されていました。そこで、今回は香港でペットを飼うみなさんが香港ペットショーを攻略するためのコツを、私の経験談をもとにご紹介します。
ペットショーに集うのはペットではなく飼い主
私のような犬や猫の飼い主たちがこのショーに入場料30ドルを払ってでも駆けつける理由はただ一つ。各ブランドのブースで配布されるサンプルやギフトがほしいからです。もちろん、ペットショーならではの特別価格でペットフードやペット用品を購入することもできますが、基本的には…買いません(もちろん、買う人もいます)。香港の飼い主たちが引きずっているスーツケースを見れば、かれらのこのショーに対する並々ならぬ想いがひしひしと伝わってきます(ちなみに私はショッピングバッグで参戦というペットショー初心者です)。
目指すは行列!

ガチャガチャを使ったくじもありました
会場の中に足を踏み入れたら、まずは行列を探します。ディズニーランドの場合、開園とともに大人気のスプラッシュマウンテンに行くよりもカリブの海賊に先に行った方がすぐに乗れるからいいよねという行列を避けながら楽しむ方法がありますが、ペットショーでは常に行列を目指す必要があります。なぜならそこにサンプルがあるからです。「行列のないブース=サンプル・ギフト配布なし」ということを暗示していますので、そもそもそのブースには行く必要がないのです(もちろん、行く人もいます)。
知る前に並べ、並んでから知れ
行列を見つけたら、とりあえずまず、すぐ列に入ります。何の行列か分からなくていいんです。まず並びます。何で行列ができているのかは並んでから前の人に聞くか、近くのスタッフに聞くか、というか聞かなくてもそのうち分かります。大事なことは並ぶことなんです。
サンプルゲットのための最後の作業
行列に参加できれば9割方サンプルに手が届いていると言っていいでしょう。ただし、最後に必ず、やらなければいけないことがあります。それが“会員登録”と“いいね”です。サンプル配布の列に並び、自分の番が近づいてくるとブーススタッフがQRコード片手に近寄ってきます。そして「このQRコードから会員登録して、それからフェイスブックでLIKEしてくださいね」と言われます。この登録&いいね押し売り商法はほとんどのブースで採用されていて、今となっては避けては通れない作業となっています。
必要なのは財布よりポータブル充電器とフェイスブックアカウント
ペットショーでは誰でも必ずサンプルやギフトをゲットできます。ただし、1つ気をつけてほしいことは携帯がない人はサンプルがもらえないということです。携帯がない人はダメだといっても、幼稚園児だってスマホを持っている時代ですから、実際は携帯を持っていない人を見つけるほうが難しいですよね。でも、もしあなたの携帯のバッテリーが会員登録の最中に切れたらどうしますか…?もうあなたはどこのブースにいっても何ももらえなくなってしまいます。ですから、ペットショーに来る前に携帯の充電はしっかりしておきつつ、さらに持ち運びできる充電器があれば完璧です。あとフェイスブックアカウントも作成しておきましょう。

我が家の猫も獲得したサンプル商品の前で記念撮影
今年は出展ブランド数も多く、時間と体力の関係で全てのサンプルを獲得することはできませんでしたが、入場料以上の価値があったと自負しています。
来年もまた行きたいです(小学生の作文風)。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第33回「ゴホンといえば龍の角?」
みなさん、上水(ションシュイ)に行ったことがありますか?上水は羅湖駅の一つ手前の駅で、深圳(中国大陸)に限りなく近い香港の都市のひとつです。そもそも遠いので行く機会が少ないと思いますが、それでもEastRailLine (水色のライン)に乗ればホンハム駅から40分で着いてしまいます。行ったことがある人は知っているかもしれませんが、上水駅を一歩出ると、いや一歩も出なくてもスーツケースを持った中国大陸からやってきたと思われる人たち。
なぜ上水に人々は集まるのか?
ここにいる人たちの上水訪問の目的は化粧品、医薬品、サプリメントなどの健康商品の大人買いです。それを知っている香港の商売人たちはここぞとばかりに上水駅周辺に薬局やコスメショップを開きました。
龍豊薬房(ロンフォン)に入ってみた

この紫色の看板が目印
薬局だらけの街並みの中で、ひときわ目立つのが龍豊薬房という看板。龍豊は香港でも有数のドラッグストアチェーンで売り場の広さと商品の豊富さに定評があります。売上は600億円くらいあるそうです。そして、龍豊の最大の強みはなんといっても安い!安すぎて逆に買いたくなくなるくらい安いことがいつもフロアが大陸からのお客で埋まっている理由でもあります。
入口でショッピングバッグを取られた!
そんなに安いのか!ということで早速龍豊に入ろうとすると入口で龍豊の青いユニフォーム着たおじちゃんに止められます。おじちゃんいわくかばん系は持ち込み禁止だと言うことです。スーツケースはもちろんモンスターズインクのショッピングバッグも取り上げられました。でも安心してください。かばんを没収される前に駅のコインロッカーの鍵についているプラスチックみたいなものを手渡され、それを退出の際におじちゃんに返すことで自分のバッグを返還してくれるという仕組みです。お客にとっては店の中を大きなかばんを持たずに快適にショッピングできますし、、また店側からしても万引防止に繋がるのでとてもいい取り組みだと思います。ただ、預けた荷物が本当に無事なのかはちょっと心配にはなりますが。
商品に値札がない!

このマシンで商品の価格がわかる!最先端!
お店の中をしばらく歩いてみると、商品のどこにも値札がないことに気がつきます。買い物において商品の値段が分からないことほど不便で不快なことはありません。だからと言って商品一つ一つの値段を店員に聞くのも煩わしいです。「値段書いとけよ~」と心で嘆いていると、フロアの片隅に一つのマシンを見つけました。なんと、これは自動バーコード読み取り機だというのです。値段の気になる商品のバーコードをこのマシンにかざすとその値段がディスプレイに表示されるのです。なんとも画期的!
ニセモノ発見?

龍の角!?
龍豊では日本ブランドの商品も多く取り扱っているのですが、ときにはすご~い怪しい商品も見かけます。ニセモノというよりは人気ブランドを真似し て自分のブランドを作っちゃったという方が正しいかもしれません。ただ、あきらかに本家とは違っているので間違って買うことはないと思います。
上水には龍豊以外にもたくさんの薬局があり、中にはニセモノや類似品もありますが、日本ブランドの商品のほとんどは日本から並行輸入されている商品なので、いうなればマツモトキヨシで販売されているものと同じです。それでいて、ときにはマツキヨよりも安いものもあります。

日本の心丹?日本め心丹??日本救心丹???
自分で使ってもよし、お土産に買ってもよし、たまには上水に足を運んでみてはいかがでしょうか。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第32回「中西さんの薬局」
今回は香港で活躍する日本人のような名前の香港人を紹介します。
1. 俳優の俊彦さん
みなさんは、譚俊彦(ショウン・タム)をご存知ですか。
知っているという方はかなりの香港テレビドラマ通です。
ショウンは香港人ならみんな知っているくらい有名な俳優さんなんです。最近はテレビドラマでもよく主演を演じています。不器用だけどアツい男、頼れるアニキというような役がぴったりで、それでいて歌もうまい。歌手ではないんですが、テレビでは英語で歌とかも披露しています。
ちなみに日本語にも中国語にも俊彦(日:しゅんげん、中:junyan)という言葉があり、どちらの国でも「才能のすぐれた男子」という意味で使われているということを辞書で調べて生まれて初めて知りました。
だから日本にも香港にも俊彦という名前の人が多いんですね。
2. レストランを営む田中さん

田中茶餐廳(ティンジョン チャーチャンテン)は荃灣(チュンワン)にあるレストランです。このレストランは病院(荃灣アドベンティスト病院)に近くて、メニューが豊富、そして安くてうまいというのが売り(私が勝手に決めました)で、私の妻も大好きです。
日本人には親しみやすく覚えやすい名前なのでリピート間違いなし…だったのですが、なんとこの田中チャーチャンテンが名前を変更してしまったのです。新しい名前は甜心厨房(ティムサム チューフォン)。なんとも現代的な名前になったものです。ただ、メニューやスタッフなどは変わっていないので、きっと田中さんが娘さんにこう言われたのでしょう。
「パパ、田中チャーチャンテンとか今どきダサいって。もっとおしゃれな名前にするべきよ。たとえば・・・スイートハート、スイートハートキッチンなんかどう?甜心厨房よ!」
3. 中西さんの薬局

香港には周大福(貴金属チェーン店)にも負けないくらい中西さんの薬局をよく見かけます。まさに中西グループおそるべしと私はいつも思っていたのですが、よくよく見るとどの中西薬局も店の雰囲気やらロゴやらがバラバラで周大福のような統一さが見られません。これもきっと香港で根付くための中西グループの戦略なんだと、もっと中西薬局のことについて知るために妻に聞いてみたところ
「あれはChinese(中)とWestern(西)っていう意味よ」
と言われてハッとしました。中西薬局は中西さんが香港で一代で築きあげた薬局チェーンの最大手…ではなく、いわゆる中国漢方や医療薬品などを扱う普通の薬局でした。どおりで街中で見かけるわけですね。
最近はキラキラネームや外国人っぽい名前を子どもに名づけるのが流行っているようですが、私は俊彦のようにvery Japaneseな名前がやっぱり好きです。
ところで、中日辞典で「田中」で用例を調べたら下の例文を見つけました。
“田中なにがし(中文:田中某)”
「なにがし」なんて使ったことなかったですが・・・今日から積極的に使っていきたいと思います。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第31回「そんな人いるんですか!?」
ウソのような本当の話とはよく言ったもので、特に外国にはそのような話がゴロゴロあります。
「文化が違うから」と言えばそれまでですが、今回はそんな文化とか習慣とかそういった月並な言葉では説明及び理解不可能で、強いて言うなら自分たちの世界を創造しようとしている新時代のパイオニアというべく兵(つわもの:勇気のある強い人、その方面で腕を振るう人)たちを紹介します。
1. 公の場で用を足さないでください。

「公の場」と書いてありますが、この貼紙が貼られているのはオフィスビルのエレベーターホールのゴミ箱の上です。
つまり、この貼紙が伝えたいことは
「かつてこのオフィスビルのエレベーターホールのゴミ箱で用を足してしまった兵がいたので、みなさんはそういうことしないでください」
ということです。
道端のゴミ箱で用を足している人は街で遭遇したりインターネットの動画で見たりしたことがありますが、アジアの世界都市香港のオフィスビルのエレベーターホールで用を足している猛者にはさすがにまだ出くわしたことがありません。
どんな人(ビジネスマン?清掃員?警備員?)がいつ、どのような姿勢で用を足していたのか、見たくはないですが気になるところです。
2. ハンズフリー搾乳ブラ

WHO(世界保健機構)も生後6ヶ月までは母乳を積極的に与えるように推奨しています。
でも香港のママたちは忙しいですから、子どもが生まれようと産後2ヶ月くらいには職場に復帰することになります。そうするとだんだん母乳を与える機会も気力も削がれてしまいます。
母乳をあげたい、でも仕事もある、そんな忙しいママにおすすめなのが「ハンズフリー搾乳ブラ」です。
実際に私の妻も利用していましたが、ブラと搾乳機をセットしてスイッチオンするだけで本当に母乳を搾取することができます。しかも搾乳中はブラや機器に一切触る必要なし、まさにハンズフリーなんです。
ですから、搾乳しながら雑誌やスマホを見たり、パソコンをいじったりできるんですね。
そんな便利なブラなんですが、何より注目してほしいのがそのパッケージ。
女性の格好からして明らかにオフィスで作業しています。
自宅で搾乳しながらパソコンをいじるのは全然ありえますが、オフィスで搾乳しながら仕事するなんて完全に兵です。
母は強し!
3. 使い捨てパンツ

最近、中国では使い捨てパンツが流行っているようで、タオバオで「一次性内裤」と検索すると結構な数の商品がヒットします。どのブランドもだいたい言っていることは同じなんですが、その中にすごい兵を見つけました。
もはや何を伝えたいのか分かりません。
バラやサングラスでおしゃれする前に、もっとちゃんと整えるべき箇所があると思うのですが…
ただ、このモデル男性の立場からすると、こんな格好をさせられてちょっと気の毒ではあります。
でも、ここから這い上がって、将来、彼がカルヴァンクラインの下着の広告モデルになった際には、是非プロフェッショナル仕事の流儀で彼の特集を組んでほしいものです。
ここ香港だけでもまだ見ぬ兵たちがたくさんいます。かれらは、今はまだただの兵(変わり者?)ですが、かれらのような人間がいつか新しい時代を切り開く先駆者になるのだと、使い捨てパンツの彼を見ながらふと思うのでした。
室井:「飯を喰う時くらいタバコ止められないのか」
青島:「まとめてやんないと所轄ってのは時間なくって」
(踊る大捜査線THEMOVIE2より)
みんな忙しい時代なので、まとめてやらないとね。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第30回「気持ちは分かりますが」
世の中には自分が頑張れば変えられることと、どんなに頑張っても変えられないことがあります。
では、変わらないと分かっていてなぜ続けるのか?
そこにはもはや理由などありません、ただ強いて言えばそれがオレ流だからなんです。
1. 鳴らし続けるクラクション
ただでさえ香港の国土は小さいというのに、この人の数、そして車の数。
道路標識も日本に比べると不親切ですし、路地も多いです。
となれば道を間違えることだって、車が詰まってしまう通りだってあるんです。
だから、そういうことを踏まえた上でクラクションを使いこなしてほしいです。
「なにやってんの!」(スパロボブライトさん風に)
という、運転手の気持ちは分かりますが、前で詰まっちゃっている車の運転手もきっと早く状況を打破したい気持ちでいっぱいだと思いますし、後方からクラクションを鳴らし続けたところでその状況を打破できるわけでありません。
何より、通行人からするとあなたのクラクションの音が一番迷惑です。
2. 押し続ける閉ボタン
香港のビルは伝統的に縦に長い、つまり階数が多いので、エレベーターに乗り込む人の数も自然と増えます。
そうすると、閉まる瞬間にまた人が乗り込んでくるという状況がしょっちゅう起きます。
閉まりかけてまた開いて、が2回続くと、
「早く閉まれよ!」
という、気持ちになるのは分かります。
でも、きっとエレベーターのボタンは連打しても閉まるスピードは変わらないと思います。
エドモンド本田の百烈張り手とか、春麗の百烈脚とはわけが違うんですから。
3. みんな降りるので
バスや電車で自分の降車駅が近づくとすごい勢いでドア付近まで駆けつけて降りる準備をする人がいます。
それはまだいいんです、降り損なうと厄介ですから。
問題は、エレベーターでこの行為をする人です。
地下フロアがないビルの場合、Gフロアに向かって降りているエレベーターに乗っている人はみんなGフロアで降りるんです。
だから、降り損なうことはありません、みんなそこで降りますから。
にもかかわらず、ここでもすごい勢いでドア付近にポジションを取ろうとする人たちがたまにいます。
「早く降りたい」

「“一度だけ”押してください」
という、気持ちは分からなくはありませんが、みんな降りるのでそこで急いでもしょうがないでしょうに。
とりあえず、私の背中をそんなに押さないでください。
無理だと分かっていても頑張り続けることを美学と取るか、それとも体力の無駄遣いと取るかは人それぞれです。
しかし、香港人にとってエレベーターのボタンを連打することは、閉まる閉まらないの問題の前に、もはや習慣、つまりオレ流なのでしょう。
逆に言えば、閉ボタンを連打することで私たちも香港人に近づく(周囲の人にあいつは香港人に違いないと思わせる)ことができるわけです。
「叩き続けよ、そうすれば開かれる」(旧約聖書より)
叩いても開かないものもあります。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人の妻と香港と日本のハーフの娘と一緒に暮らす日本人。狭くて広い香港で何とか一花咲かせようと企みながら早6年。座右の銘は「生きろ」。
第29回「香港で子を産む 出産編」
香港で子どもを産む時に一番考えなければいけないことは「どこで産むか」です。
金銭面、安全面を考慮した上で病院選び、医師選びがしっかりできれば、あとは無事に健康な赤ちゃんが産まれてくるのをひたすら祈るのみです。
我が家の場合は妻の「政府病院は信用ならん!」という断固たる意見により荃灣にあるアドベンティスト病院(私立)に、妻と産まれてくる子の運命を委ねることにしました。
え、帝王切開じゃなかったの?
香港で出産することを決めると、友人やら同僚やらに必ず「CS」か「Normal」かを聞かれます。
CSとは帝王切開のことを指し、Normalは自然分娩のことを指します。
日本ではこういう話題はタブー扱いされますよね。帝王切開はダメみたいな空気が未だに流れているのは、日本の妊婦さんたちに大きなストレスを与えているとつくづく思います。
その点香港ではCS肯定派が多数を占めるので、自然分娩を希望したときには医師も含めて「ま、CSの方が間違いないけどね」とよく会話の最後に付け加えてきます。
香港でCSが推奨される主な理由は「より安全」「痛くない」「スケジュールしやすい」などが挙げられます。
いずれにしても、赤ちゃんとママの安全が第一ですので、出産方法については医師や家族と相談して決めましょう。
ホテルかゲストハウスか
アドベンティスト(私立病院)の場合、出産してから自然分娩で3泊4日、帝王切開だと4泊5日病院に滞在することになります。部屋は3人部屋~1人部屋まであり、それぞれ一泊600~1000ドルくらいです。ちなみに政府病院は8~12人部屋で一泊160ドルくらいらしいです。ホテルとゲストハウスみたいな格差がそこにはあります。
あるよ、お湯だけ
妻が妊娠しているとき、一度体調不良で政府病院に駆け込んだことがありました。政府病院の良いところはとにかく無料ということですが、サービスはやはりそれなりです。たとえば、紙コップとかティッシュとかマスクとか一切くれません。検尿の紙コップすら持参しなければなりません。ただ、お湯だけくれます。ですから、いざ出産という際には完璧な準備を自宅で揃えて臨まなければならないことを肝に命じておいてください。
一方の私立病院は滞在中に必要なタオルや歯ブラシ、スリッパ、シャンプーなどは提供してくれるので、自分の着替えなど最小限の持ち物で出産に臨めます。
看護師も人の子
政府病院の看護師たちはいわば戦士です。三國無双の関羽が敵に囲まれても一蹴できるように、政府病院の看護師たちも期待と不安に満ちた妊婦たちが次々と押し寄せて来ても厳しい視線と切れ味抜群の早口でことごとく一蹴します。感情を押し殺し、その場で必要な情報のみを伝えるプロ集団です。
「私たちと世間話?冗談は顔だけにしなさい」
と言われます。(言われません。)
一方、私立病院の看護師は笑顔もあり、「どうしました?」といつも気にかけてくれますが、妊婦さんの気持ちを本当に理解してくれている看護師は何人いるかと言うと片手で数えられる程度だというのも事実です。

「アドベンティスト病院ではプロによる記念写真撮影サービスが含まれています(高画質!)」
香港で出産する場合、病院から、医師、看護師、部屋まで全て自分で選ぶことができます。ただ、それなりのサービスを求めるとそれなりに費用もかかりますので、とにかく安く!と言うことであれば政府病院に駆け込むのが一番です。
いずれにしても、出産は人生における一大イベントですから、自分の満足のいくやり方を選ぶべきです。その過程で自分に合った場所、人々に会えれば素晴らしい出産になることでしょう。
「心の楽しみは良い薬である」
荃灣Adventist病院、よろしくお願いします。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第28回「香港で子を産む 診察編」
香港で子どもを産むことは、愛しさと切なさと心強さが入り混じったような涙が出てくるくらい険しくて、それでいて非常に感動的です。
そこで今回は香港で妊娠発覚から出産に至るまでに通るべきプロセスを紹介いたします。香港での出産を考えている方も端から考えていない方も適当に参考にしていただければ嬉しいです。
①無料か、それとも10万ドルか
妊娠が発覚したら、まずは病院選びです。香港での選択肢は政府病院と私立病院の2つです。それぞれの違いはなんと言っても出産までに掛かる費用。政府病院なら基本的に無料、私立病院なら10万香港ドル以上と覚えておくといいでしょう。とはいえ、この時点ではどちらの病院で出産するかを決める必要はなく、それぞれの病院に行って診察を受けることが可能です。
②政府病院の門を叩くと…
政府病院の場合、自宅がどの地区に属するかで行くべき病院が自動的に決まります。そして、いざワクワクドキドキしながら病院の産婦人科フロアに乗り込むと、そこはまるで休日の馬券売場のような人だかり。政府病院を選んだあなたは、この敵か味方か分からない人々とこれから10ヵ月一緒に闘うことになります。でも無料です。
③私立病院ではドクターを指名しよう
ホストクラブのように入口にドクターたちの顔写真が並んでいるわけではないので、友人やインターネット上での情報をもとにお気に入りのドクターをあらかじめ見つけて指名します。人気のあるドクターはそれなりの理由がありますから、一番人気のドクターを指名するのが無難です。せっかく高いお金を払うんだから信頼のできるドクターに診てもらいたいですよね。
④政府病院、絶対に負けられない戦い
政府病院の産婦人科は戦場です。看護師たちに笑顔はありません。毎日がワールドカップ最終予選大陸間プレーオフ並みの緊迫感が漂っています。ここでは妊婦さんたちは看護師たちの言うことをひたすら聞きます。聞き逃す、聞き間違える、または少し反論すると怒られます。厳しい戦いは始まったばかりです。また物品も医師の数も限られているのでとにかく待たなければなりません。でも無料です。
⑤毎回500ドル
私立病院では妊娠初期で月一回、後期になると月二回、その後毎週と出産が近づくにつれて診察回数が増えていきます。基本的に診察だけだと500ドルくらいで済みます。ただ、そこに薬代が加算されるので毎回600~700ドルといったところでしょう。さらに出産までの10ヶ月の間に赤ちゃんのDNA検査や4Dエコー検査などのオプション項目もあるので出産までに2万ドル~3万ドルの出費があると考えておくと良いです。
政府病院の診察費用無料というのは大変魅力的です。ただ、無料ですから施設も設備もそれなりで、医師も看護師もそれなりの対応です。さらに政府病院の医療ミスに関するニュースは毎年2回は流れます。そういった背景もあり、出産までの道のりは妊婦さんにとって精神的にも体力的にもタフなものだと思ったので、私は妻に私立病院での出産を勧めました。結果的にその決断が良かったのかどうかは分かりません。もしかしたら香港で子を産むこと自体、ベストな選択ではなかったのかもしれないと思うこともあります。
ただ、一つ言えることは、香港で産まれた私たちの子は今も健康にすくすくとここ香港で育っているということです。
「私たちは死んで地獄に堕ちるのではない。人はすべて地獄に生まれてくるのである。」
五木寛之「大河の一滴」、よろしくお願いします。

「政府病院ではとにかく待たされるので、朝一番で受付を済ませることをおススメします」
次回は、「香港で子を産む出産編」をお送りします。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第27回「ワールドカップを見てなくたって寝不足だよ」
私は小さい頃からテレビ大好きっ子でしたが、その性格はここ香港でも健在、19:30〜23:00までは平日ほぼ毎日テレビにかぶりつき状態です。
そんなにかぶりつく理由は生粋のテレビ好きだからということもありますが、何より香港のテレビ番組が面白いということに尽きます。
【1日の基本的な流れ(月~金)】
19:30〜20:00 番組名:東張西望
噂の東京マガジン(TBS)的なポジションの情報番組です。「へぇ〜」とついつい頷いてしまう明日役立つ香港の情報が満載です。
20:00〜20:30 番組名:愛・回家
渡る世間は鬼ばかり(TBS)的なポジションの長寿ドラマです。
ある一家の家庭や会社、友人、上司や恋人たちの間で起こる様々な出来事を面白おかしく描いています。香港の習慣や文化、トレンドを知るにはもってこいのホームドラマです。
20:30〜22:30 1時間ドラマ2本
香港では警察、歴史、オフィスをテーマにしたドラマが多いです。日本で言う相棒(テレビ朝日)、大河ドラマ(NHK)、HERO(フジテレビ)的なドラマが最近の流行のようです。
ただ、日本のドラマとは決定的に違う点が香港のドラマ事情にはあります。
【香港のドラマはココが違う】
1. 超大編
日本のドラマはたいてい10話前後(2〜3ヶ月)で完結しますが、なんと香港のドラマはその2〜3倍の量の24話〜30話のものが通常となっています。でも1ヶ月半以内で完結します。どうして長いのに早く完結するのか?それは平日毎日(週5話)放送するからです。毎日テレビにかぶりつくことになる原因がここにあります。
2. 助演男優賞俳優が第1話で死ぬ
「えっ、結構人気俳優なのに」って人が早めに殉職したり上司に裏切られて殺害されたりします。この容赦ないキャスティングがまた香港ドラマの本気度を感じさせます。
3. 子どもの指が・・・
死ぬのは有名俳優女優だけではありません。日本のドラマではまずありえない子どもの爆死シーンも平気でシナリオに組み込まれています。しかもマフィアに(子どもの)指が切られるという痛々しいシーンからの、とどめの爆発だったりするので驚きです。日本だったら最後の1秒くらいで絶対に助かるであろうシーンでも、香港のドラマでは本当に助からないので、よりリアリティを感じます。
私の周りの香港人からは「昔のドラマはもっと面白かった、今のドラマはパターンが一緒。日本のドラマのほうが100倍面白い」との辛口意見も聞きますし、もちろんドラマによって当たり外れもありますが、相対的に見て日本のドラマよりも当たりが多いと思うのは私だけでしょうか。
テレビを見ていると香港のことを良く知ることができ、それに次の日の会社での同僚との会話に参加でき、さらに広東語の勉強にもなるので、そこにドラマの面白さを含めれば一石四鳥です。
とはいえ、23時に一通りテレビを見終わるまで食器の片付けや掃除、風呂など後回しなものなので、どうしても寝るのが1時になるのが最近の悩みです。

アメリカの研究によると毎日3時間以上テレビを見ている人は認知症リスクがマジで高い‥マジで!?
「恋愛は、たまねぎと一緒なの。切り込めば切り込むほど涙が止まらなくなるわ。」
上の台詞を聞いて、興味深い!と思われた方は是非今夜からTVBを視聴することをオススメします。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒に TVBのドラマを見ること。
第26回「ジャッキー・・・ジャッキー・・・」
私は大学生の頃から(だけ)、ルーシーと呼ばれていましたが、同じハリウッドスターでも香港ではルーシーよりもジャッキーの方がよく知られています。ただ、私はジャッキーと違って、毎朝家を出る前には必ず妻(まだ寝ている)の元へ駆け寄って「行ってきます」と囁いてから家を出る優しさを妻に見せています。
そんな愛妻家の私の囁きに妻も夢半分ながら「キヲツケテ」「ガンバッテ」などと声を振り 絞って応えてくれます。このように私は妻の励ましに元気をもらいながら日々出勤しているわけなんですが、そんな妻の励ましに最近異変が生じ始めたのです。
どんな異変かというと、私の囁きに対してなんと「ジャッキー…ジャッキー…」と妻が返すようになったのです。ジャッキー!?
それも一度だけではなく、最近二度三度と「ジャッキー…ジャッキー…」コールをするようになったのです。
ルーシーならまだしもジャッキーコールが頻繁に行われると、ルーシー派の私としては 黙ってはいられません。そういうわけで、その後ジャッキーコールがある度に、夢半分の妻を起こしその真相を聞 いてみると、ようやくルーシーコールが起こるわけがない理由が分かりました。
1. ジャッキーの正体その一「ジャケッ…ジャケッ…」
今日は寒くなるという昨晩の天気予報が脳裏に強く刻み込まれていた妻の「ジャケットちゃんと着なさいよ」というただの忠告でした。
2. ジャッキーの正体その二
「ジョギン…ジョギン…」明日の朝からジョギングを始めるからという私の発言が強く脳裏に刻み込まれていた妻の「ジョギング行ったの?」というただの確認でした。
3. ジャッキーの正体その三
「ジャッキー…ジャッキー…」
今日は友人のジャッキーさんとランチに行ってくるという情報を私に伝え忘れていたため必ず伝えなきゃという想いが強く脳裏に刻み込まれていた妻の「ジャッキーさんとランチ 行ってくるよ」というただの報告でした。
ちょっとした聞き間違いから誤解が生じることはよくあります。
気の知れた仲の夫婦とは言え、どんな時でもしっかりとコミュニケーションを取ることがいつまでも夫婦円満でいるための秘訣なんだと私は思います。
「見なくたっていいんですよ、こんなの。ねっ?あなたのこと見ながらだってできるんだか ら。ほら、大三元。」
雀鬼(ジャンキ)桜井章一、よろしくお願いします。
ではでは。
ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒に TVBのドラマを見ること。
第25回「肉ばっかりでごめんなさい」
中学生の頃、柔道部の先輩たちと焼肉を食べに行ったとき、「お土産、お前のカバンに入れておいたからな」と言われてカバンの中を見てみると鉄板で焼かれた肉たちが、何かに包まれることなくそのままカバンの中に入っていました。
それでもあのときは「マジっすか、あざーす!」と言いながらその焼肉を食べていたんですから、当時の先輩も私も呑気なものです…
と、突然なんだと思われた方も多いかと思いますが、つまりそれくらい私は肉が好きだという話です。
そんな肉好きの私が選ぶ香港の肉料理を皆さんに紹介いたします。香港のレストランに入って何を食べようか迷った際には是非これらの肉料理を試してみてください。
1.口水雞(ハウシュイガイ)

宝石のような輝き(油による)、井上和香の唇のような皮と肉、そしてその見た目の愛おしさとは対照的な鋭い辛さ。白いご飯との相性抜群です。
ただし、食べ過ぎると決まってお腹が痛くなるので、1つの皿を家族や友人とシェアするようにしましょう。
2.水煮牛肉(シュイジュアオヨッ)
地獄の晩餐で出てきそうなワルダイナミックな見た目が食欲をそそります。結構辛いです。
見た目のワルさとは裏腹に肉は脂身がなくさっぱりしているので、私の妻も大好きです。
3.梅菜扣肉(ムイチョイカオヨッ)
甘辛いソースでじっくり煮込んだトロトロの扣肉(豚ばら肉)は噛む必要一切なし。口に入れればたちまちとろけます。
またその下に敷かれている梅菜(ムイチョイ)も見逃さないでください。扣肉の油っこさと、ソースの強い甘辛さをこの梅菜が全て清算してくれます。
4.叉燒飯(チャーシウファン)と焼鴨飯(シウンゴォファン)

香港では定番の肉のせご飯ですが、中でもこの2つは特に人気があります。叉燒飯を頼むときは「半肥瘦(ブンフェイサオ)」と付け加えると脂身と赤身の部分をバランスよくのせてくれます。
5.豬腩肉米線(ジュラムヨッマイシン)

米線と言えば香港ではラーメンよりも人気のある庶民の味の代表的な麺です。
米線の人気の秘訣はトッピングも味付けも自由という点です。とは言え、何をトッピングすればいいのか迷いますよね。そんな時は豬腩肉をトッピングしてください。甘辛いタレに相当な時間漬け込んだと思われる豚バラを薄切りにしたものが米線の上に乗っかって出てきます。特に南記、雲桂坊の豬腩肉はめっちゃうまいっす!
香港のレストランはメニューが多すぎて困るときがよくあります。
特に日本からお客さんや家族、友人が来たときなんかはパッパッと注文できたら何かカッコいいですよね。
皆さんも自分の鉄板メニューを探してみてください。
「肉って焼いても美味いな!」
冒頭の先輩も、今となっては二児の父。肉はちゃんと焼いてから食べているのかな…?
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョン キンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒に TVBのドラマを見ること。
第24回「香港の悲しみ」
日本での悲しみと香港での悲しみでは、同じ悲しみでも少し重みが異なります。日本にいれば、近くに家族や友人がいたり、自分なりの気分転換がいつでもできたりするので、悲しみも比較的早く忘れることができます。
一方香港の場合は悲しみが後を引くことが多いです。
その原因としては、頼れる友人や気分転換ができる場所が身近に少ないことが挙げられます。
前回、幸せとは身近にあるものと述べましたが、悲しみもいつも私たちのそばにいることを最近改めて痛感しました。
「チョキ出せたの!?悲」
1.AEONで買ったベッドシーツがすぐ隣の一田YATAで70ドルも安く売られていたとき
AEONですでに定額の半額になっていて、流石に隣の一田でもこれ以上は安くなっていないだろうと高を括ったあげく、まさかの結果となりました。70ドルと言えば普段のランチ二回分に当たるので、さすがに笑顔も引きつります。
2.ATMでお金を下ろしたのにバンクカードだけ抜き取ってお金を抜き取るのを忘れてしまったとき
その後も全然気がつかず、電車に乗ってから思い出すという始末。急いでHSBCに電話し、防犯カメラを確認してもらったところ、幸いにも下ろされた現金は誰にも抜き取られず、しばらくしたのちに自動的にATMの中に回収されたとのことでした。
お金を下ろすときはお金に集中しましょう。
3.ミニバスのバス停で先頭から17番目に並んでいる自分に気がついたとき
たいていのミニバスは16人乗りのため、17人目に並んでしまっている時点で、次の次のバスを待たなければいけないことになります。
ただし、もし次のミニバスが幸いにも最新モデルの場合は定員が19人になるのであなたも見事乗車できます。
4.オフィスで突然ケーキを渡されたとき
香港の企業で働いていると、時々、突然ケーキを同僚から差し出されます。ですが「あら、今日はあなた気前がいいこと」なんて呑気なことを言っている場合ではありません。このケーキには「今日がこの会社での最後の出勤日です」というお別れの意味があるのです。人によってチョコレートだったり他のお菓子だったりもしますが、いずれにしても日本には見られない、何ともウレカナしい習慣です。
5.妻に電話をしたら広東語で応答されたとき
普段は日本語で「モシモシ~?」と出る妻がいきなり「喂?」と広東語で電話に出た時には気をつけましょう。いや、気をつけてもすでに遅いです。この場合、妻のそばにいる誰かの何かが気に食わなかったか、私が何か過ちを犯したかのどちらかが考えられます。前者の場合は100%妻の意見に同意、相手が完全に悪いと同調し続けることで解決できますが、後者の場合は卒論並みのロジカルな説明を持って今後の課題、結論まで持っていかないと朝まで生テレビ状態になります。
日本人ですから、やはり日本の方が住みやすいのは間違いありません。
特に異国で悲しみを負えば負うほど母国での暮らしが恋しくなるものです。
それでも、小さな喜びを幸せと感じ、小さな悲しみをいとおかしと感じられる人は、香港での生活を楽しめると思います。
「悲しいとき~!手を出しているのにマットにお釣りを置かれたとき~!」
いつもここから(ワタナベエンターテイメント)、よろしくお願いします。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョン キンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒に TVBのドラマを見ること。
第23回 「全力香港人」
街中やニュースを見ていると、「幸せそうだな」という人を見つけるのが難しい世の中になってきたと認めざるを得ません。私が思うに、幸せとは、いつも私たちのすぐそばにあるべきなのです。特に香港のお金持ちたちにはいつも驚かされます。特別な場所、もの、こと、人ではなく、ごくごく当たり前の日常の中に喜びを感じること、感じられる人こそが本当の幸せを掴むことができるんだと思います。
そこで、今日は、香港の街中で見つけた「幸せそうな人たち」を紹介させてください。
良い子は真似できません
1.下午茶を2品頼むHKTのおじちゃん
HKTのおじさんたちは多忙です。香港中を駆け巡り、インターネット接続に困っている人々の元へ夜遅くまで駆けつけます。ただ、どんなに忙しくても、昼ご飯だけは誰にも譲りません。特に下午茶(アフタヌーンティー)の時間帯なら鉄板かた焼きそばと叉焼飯のダブル炭水化物に野菜スープ、ミルクティーくらいは平気で追加します。そして、その食いっぷりと至福に満ちた表情たるや、ぜひ永谷園のお茶漬けのCMに起用してほしいくらいです。
2.自分の洗濯物を公共の場所に綺麗に干すおばちゃん
香港式のアパートは基本的にベランダがありません。ですから洗濯物は家の中に干すか、窓の外にある物干しレールなるものに紛失覚悟(風が吹くと容易に洗濯物は飛ばされます)で干すか、通常これら2つの選択肢になります。しかし、香港のおばちゃんたちにはもう一つの選択肢が存在します。それが「青空洗濯」です。青空洗濯(勝手に名付けました)と言うのは、アパートの前の駐輪場や、バスケットコート、歩道の手すりといった公共の場所に洗濯物を干してしまうという荒技です。この荒技を不快に思う人も実際多くいますが、違法にはならないという完璧なグレーゾーンをおばちゃんたちは闊歩しています。その堂々たる干しっぷり、手すりの汚れに洗濯物が触れて逆に不潔なのではという不安よりも、青空の下、たくさんの太陽の光を浴びて乾かすことができることへの喜びを噛み締めたあの満足げな表情は、ボールドのCM制作担当にも是非一度視察に来てほしいくらいです。
3.日曜日にモンコックのジョリービーに集うフィリピン人たち
ここはマニラか?いや、マニラのジョリービーにだってこんなに人はいなかったはずです。ジョリービーと言えばフィリピンのフライドチキン界の雄としてフィリピン人たちから絶大な支持を得ています。そのジョリービーの日曜日のモンコック店のカオスっぷりと言ったら、まさにヘルパーたちのヘヴン(天国)と言った表現がふさわしいでしょう。かつて日本の体育の父、嘉納治五郎が「私たちには帰る場所がある」と柔道の総本山である講道館のことを表現していましたが、ぜひモンコックのジョリービーにもHere is where you will be back.というキャッチコピーでCMを作ってもらいたいものです。
香港に住む私のような日本人にとっては、これらの人たちに普段出くわすチャンスはそんなに多くないと思います。これらの人たちに共通していることは、目の前のことに全力で取り組んでいるということです。こういった街中のシーンに出くわすことで、食べ物へのリスペクト、自然への感謝、仲間たちとの絆、そして幸せとは何だ?という私たちが忘れかけていた大切なことに気がつくことができます。
「あの頃の僕らはきっと全力で少年だった、怯えてたら何も生まれない」
スキマスイッチ、よろしくお願いします。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第22回 「この人、ひょっとして凄いお金持ちなんじゃないの」と思わせられた瞬間ベスト5
先日、香港のJ2チャンネルでドクターXの最終回を見ました(たまたま)。そのワンシーンに西田敏行が米倉涼子の最後のオペの請求書を見て「35億円!?」と自分の目を疑っている場面がありました。
結果的には、その請求書は偽物だった(本当の請求額は5000万円)のですが、私も香港に来てから、この場面での西田敏行のようにめちゃめちゃ自分の目や耳を疑ったことが何度もあります。特に香港のお金持ちたちにはいつも驚かされます。
大人になったらどんな車に乗っているのでしょうか…
1.「最低でも毎月40万香港ドルは稼がないとね」
最近、三つ子が産まれ、合計4人の子供と4人のヘルパー、3000sqftオーバーの新居の家賃等を賄うため、毎月40万香港ドルないと家計が赤字になるらしいんです。何より稼げる当てがあるんだからすごいっす!
2.「家賃37万香港ドルのくせに家の中は問題だらけで困るわ」
サイバーポート(名前がすでにイカしてます)という場所にある一軒家(3階建)に住んでいます。ガレージだけで私の家の広さに肩を並べてきます。でも引っ越した当初は家の中の至る所が問題だらけだったそうです。修繕費も半端ないって!
3.「クリスマスツリーフロム カナダ」
毎年3m大のガチのモミの木をカナダから取り寄せているそうです。私もそんなクリスマスツリーに憧れますが、いりません。まず3メートルのモミの木はうちには入りませんから!残念。
4.「息子のBMWが動かなくなった」
子供の頃、アンパンマンの車のおもちゃに乗って家の前の道路で遊んでいた記憶がありますが、時代は変わりました。4歳の弟が所有する車はBMWにポルシェ。好きなキャラクターはバズライトイヤー。ちなみに隣のサウジアラビア人の友達は5歳にしてフェラーリを所有。時々、2人でドライブ(近くの公園)に行くそうです笑。
5.「無人島を買いたいと思ってます」
リパルスベイに住んでいるので、窓から無人島が見えるらしいんです。そして、その島を眺めながら、あの島にインフラを整えて新しい街を作ったら面白いだろうなと考えてしまうそうです。
昔、パチンコで一儲けしたマンション久保田やベンツ小林なんて人たちを見て、「ベンツかっこいいな」と思っていた自分がかわいく見えます。
ちなみに、ここで紹介した香港人たちに共通していることは心に余裕があることです。その余裕はきっとお金の余裕から来ている部分も多いと思いますが、多少の問題にはビクともしません。
きっと私なんかよりスケールの大きい、ヤバイ問題も多く抱えていることとは思うのですが、皆さんそういった問題に対しても「何とかできる」と考えています。そして、常に世の中のニュースをチェックしながら、新しいことに対して強い関心を持っています。まさに怠けることを知らないうさぎと言った感じですね。
一方で、私は亀は亀なりにと言いたいところですが、卯年に生まれた長男坊としては、やはりうさぎのまま燃え尽きたい。そこで、まずは今日から毎日ヤフーニュース(スポーツ欄)を見ながら自分の得意分野くらいは常に情報の更新をしていこうと思います。
「眠らないうさぎ」(集英社クリエイティブ)はアマゾンにて購入できます。
井上康生(全日本柔道男子ヘッドコーチ)、よろしくお願いします。
ではでは

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第21回「薬局の親父の口癖」
「大丈夫、俺も使ってるやつだからよ」
「これはお得だよ、今しかないんだから」
「何が違うって、こっちの方が良いんだよ」
これらのセリフ、一見すると危ないことでもやっているんじゃないかと思わせます。
でも、安心してください。
これら全てのセリフは薬局のおじちゃんによるトイレットペーパーについてのアドバイスです。
怪我や病気の症状を言うだけで、 おじちゃんはパッと商品を出してくれます。
私はトイレットペーパーやボックスティッシュなどの消耗品は自宅から徒歩10秒のところにあるローカル薬局でいつも買っているのですが、ここの薬局のおじちゃんがちょっと個性的なんです。例えるなら見た目はズートピアの主人公のキツネみたいで、性格は高田純次といった感じです。
そんなおじちゃんの江戸っ子顔負けのセールステクニックをここでご紹介します。
1.自らインフルエンサーとなる
顧客が商品を買うか買わないか、もしくは2つの商品でどちらにするかなど迷った仕草をすると「これはオススメだよ。俺も家で使ってるし。」とおじちゃん自らのお墨付きを与えてくれます。
2.「今だけ」をいつも使う
ティッシュ一箱無料、ハンドソープ一本無料などのプロモーションがあると必ず「大特価だよ、今しかないよ」と今だけ感を強調します。こちらの薬局に通い始めてから2年ほど経ちますが、これらのプロモーションは通い始めた頃から今も継続中です。
3.最後のクロージングは気迫だ
ボックスティッシュ1つとっても、ブランドが違ったり、同じブランドでもパッケージが違ったりと顧客としてはそれらの違いを比較、理解した上で会計に臨みたいものです。しかし、そんな細かいことをおじちゃんに聞こうものなら「何が違うって、こっちの方が良いんだよ!28ドルだよ!」と一蹴しつつ、会計しちゃいます。この気迫によって顧客はあんなに硬かった自分たちの財布の紐をなぜかほどいてしまうのです。私の妻も例外ではありません。
日本でもまだまだこのような「てやんでえ、べらぼうめ精神」のおじちゃんを見かけることがあります。こういった技はおじちゃんたちが自分の仕事に自信と誇りを持っているからこそできるんであって、そこらの若造が言葉だけ真似しても決して顧客の心を打つことはできないでしょう。今の若い人たちにはこの気迫が最も欠けている気がします。かく言う私も、おじちゃんの一つ一つの言葉に一瞬疑問を持つこともありますが、結局は「そうか、今しかないんだ」とその気迫に圧倒される自分がいつもそこにはいます。
“66の親父の口癖は「やるなら今しかねえ」”
長渕剛、よろしくお願いします。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第20回「普通じゃないのは私か? あなたか?」
友人とスポーツ鑑賞なんかをしていると「いやいや、そこは普通シュートでしょ!」というようなセリフを時折耳にします。またスポーツに限らず私たちの生活には「いやいや、そこは普通…」と言いたくなることが実は結構あります。香港は日本人にとって非常に住みやすい場所だと思いますが、それでもやはり激しくツッコミたくなる場面に日常的に出くわしますよね。そこで今回はその中でも日本と180度考え方が異なってしまっている香港の流儀を紹介いたします。
1.赤いContinueボタン
HSBCのATMで小切手を入金しようとすると、手続きを進めるうちに緑のReferenceボタンまたは赤のContinueボタンかを選択しなければならない画面に遭遇します。ここは挿入した小切手の小切手番号を参考(Reference)として入力しておくか否かという確認画面なのですが、多くのケースではcontinueを選択します。(私の場合)しかし、日本人の感覚では緑ボタンと言えば「先に進む」で、赤は「取消」という認識を無意識にしてしまうので、どうしてもこの画面で緑のReferenceを押したくなるのです。そして毎回「いや違う、俺は先に進みたいんだ」と思いとどまるわけです。(ついついReferenceを押しちゃうこともあります。)ですから赤いcontinueを見るたびに思うんです。「いやいや、そこは普通緑でしょ!」
次は茘景…じゃなくて青衣ですよ!
2.増えていくランプ
日本の電車の場合、車内の路線図電光掲示板のランプは駅を通過していくごとにその駅のランプが消えていきます。一方香港(東涌ライン)の場合はその駅を通過するごとに駅のランプが点灯していきます。日本の場合は「通過した駅はもう用済み」ということで、あまり目立たないようにランプが消えていくのか。かたや香港の場合は通過した駅は「通過したぞ!」という喜びを表現するためにランプを点灯させていくのか。それぞれの鉄道会社の意図は定かではありませんが、急いで香港の電車に乗った日本人にとっては迷惑な話です。
何度「乗り間違えた!・・・かも?」と思ったことか…
「いやいや、そこは普通ランプ消えていくでしょ!」
3.9割引!?
ショッピングモールに行けば至る所で目につく「○折」の表示。ちなみにご存知かと思いますが、9折は1割引の意味です。日本は割り引かれる方を強調しますが、香港では割り引かれて残った方に注目しています。まだ香港に来て間もない頃は「9割引き!?」と勘違いすることもよくあったものです。(逆に
怪しすぎて買おうとは思いませんでしたが)
「いやいや、そこは普通1折でしょ!」
勝手に香港に居座らさせてもらっている日本人のくせに香港のやり方に文句ばかり言っていますが、これらのことは香港人が日本に行ったときにも同じような違和感を感じるのではないでしょうか。
同じものを見ていても、それぞれの人でそのものの見ている部分や感じ方は異なります。「普通」という言葉もあくまで自分自身の基準であって、場所や時間、人が違えば昨日の普通は今日の普通じゃなくなることもあるわけです。
「普通普通って、普通がそんなに偉いのかよ!」
木更津キャッツアイ、よろしくお願いします。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第19回「異彩を放つ5つの広東語」
香港で映画を観ながらつくづく思うことは、読んで理解するなら英語字幕より広東語字幕の方が全然理解しやすいということです。英語はどっからどう読んでもアルファベットにしか見えず、何の話題についてかなのかが一目では分かりません。
一方広東語の場合は、パッと見ればそれだけで豚なのか鶏なのか、はたまた魚なのかが何となく分かります。ただ、このパッとだけでは日本人にはよく分からない、または誤解してしまう言葉も広東語にはたくさんあります。なんせ、日本語と違ってひらがなやカタカナがありませんから、全ての語を漢字で表現しなければなりませんからね。

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1.細菌人
見るからにして不潔感が漂ってきます。で、どんな人かと思えば、国民的ヒーローの永遠のライバル「バイキンマン」じゃありませんか!あまりに有名すぎて、その名前を聞いただけでは不潔感よりも愛着感が湧いてしまっていましたが、漢字名(広東語版)を見て改めて悪い奴だと気がつかされます。
2.雌激素
直読みすると「めすげきそ」。漢字の見た目と読みにかなりのインパクトを持っていますが、意味は女性ホルモンです。そう言われてみればそんな感じがします。
3.手袋
「てぶくろ」かと思いきや、かばんでした。広東語のてぶくろは「手套sau tou」です。KFCでプラスチック袋をもらおうとして「手袋sau dai」と言うとプラスチックバッグが出てくる(かもしれない)のでお間違えのないように。
4.西班牙
日本語ではまずありえない漢字の組み合わせですね。漢字からでは意味の検討すらつきません。ただ、スポーツニュースを観ているとよく出てくるのですが、これは広東語で「スペイン」の当て字になります。サッカーニュース(特にW杯やEURO杯)を観ているといろんな国名が出てくるので本当に広東語の勉強になります。(全然役に立ちません)
5.牛津
牛久(大仏で有名)という町が茨城県にありましたが、牛津は牛久よりも世界的に有名な大学があることで知られています。そう、オックスフォードです(牛津からオックスフォードは想像できないっす!)。oxは雄牛という意味なので言われてみれば…ですが。ちなみに同じく名門ケンブリッジ大学、こちらは劍橋大学。劍(剣)は日本語読み(ケン)、橋は英語(bridge)?というケインコスギ的な組み合わせ。
私たち人間も見た目が93%!なんて言われることがありますが、見た目だけでは分からない時だってあります。それと同じように広東語の漢字は日本人にとって見た目で120%!のときもあれば、全く見当違いの時もある…ということを言いたかっただけでした。
「僕がどんなに君のことを好きか君は知らない」
郷ひろみ、よろしくお願いします。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第18回「香港に生まれて、良かったー!」5つのこと
「親は選べん、子も選べん」とはよく言ったものですが、少し大きくなれば自分が生活していく場所くらいは自分で選ぶことができます。
ちなみに、なぜ私が香港を選んだかというと、昔からジャッキーチェンと春麗(CAPCOM『ストリートファイター』より)が好きだったので、
香港に来れば会えると思ったからです。
実際、香港に来てみるとジャッキーチェンどころか、ジャッキーチェンを好きな香港人すら見つからなく、春麗は実は中国本土の出身でした…しかし、落ち込むなかれ。
香港にはそんな私の妄想なんかよりもよっぽど実用的で日本にいた時よりも断然便利で夢があると思えることがたくさんあります。
30分5ドルで乗れます。 緑色の自転車が目印です
1.日本と時差が1時間ある
日本時間深夜1時キックオフが香港時間だと深夜12時キックオフなので、
何だか後半まで観られそうな気がします。(結局前半すら観ないで寝る)
2.交通機関が豊富
目の前に地下鉄の駅があり、右を見ればミニバスのバス停、左には二段バスのバス停、振り返ればタクシーが行き交い、どれも捕まらなければUBERが5分以内に迎えに来てくれます。最近はGobee.bikeという自転車シェアアプリもあって、気軽にサイクリングも楽しめます。
3.宅配サービスが充実
友人にプレゼントや渡したいものがあるときはSF expressで送ってしまえば、
友人宅へ行って直接渡す際の交通費よりも安く速く済みます。また、タクシーではちょっと運べないような大きさや量であればGOGO VANを利用すれば荷物+人間をどこへでも安く運んでくれます。
4.ドラマの続きが明日観られる
日本では「毎週水曜夜9時お見逃しなく」となるところが香港では「月曜~金曜夜9時お見逃しなく」が定番なので、平日夜に飲み会に参加している場合じゃありません。
5.お金持ちが多い
最近のニュースで、香港の億万長者は600人に1人で、千万長者(資産1000万米ドル以上を持つ)に至っては34人に1人と言っており、つまり学校のクラスに1人は大金持ちということになります。ということは、自分がその1人になるかもしれないし、自分がなれなくても友人がその1人である可能性が高いわけです。日本で年末ジャンボ宝くじを当てるよりも、香港で頑張って34人の友達を作った方が金持ち気分を味わえる可能性が高く、よっぽど現実的ではないでしょうか。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第17回 香港人が嫌いな6人の香港人
「文化が違うから…」なんてよく言いますが、同じ文化の下で生きてきた人間同士でも理解し合えないことはたくさんありますよね。
私の妻も香港人に対してよく腹を立てています。
ある少数派の香港人たちの行動によって
「香港はそういう文化なんだね」と言う誤解を生ませないためにも、
今回は香港人も嫌いな香港人たちを紹介させてください。

左の男の人は他の広告でもヘッドホンを首にかけています。
トレードマーク!
1.電車で奥まで詰めない香港人
この人たちは自分が降りるときに早く降りたいのと満員電車の奥深くから
「ムゴイ、ムゴイ(すみません、すみません)」と言いながら降りるのが嫌なんです、きっと。満員でもう乗れないと思って電車の中の方を見たら全然人がいなかったときほどこの人たちを恨むことはありません。
2.電車のドア付近で降りる人をブロックする香港人
この人たちがいるから奥まで詰めない人(1の人)が出てくるんです。
3.食器を片付けるのが早い香港人
「早く帰ってください」というレストラン側の意図が見え見えで、逆に長く居座りたくなります。特にまだ食べかけの皿を片付けようとしたときには、私の妻は激おこぷんぷん丸なり!・・・からのとばっちりを受ける私。本当、店員の皆さんには空気を読んでほしいところです。
4.口を抑えないで咳をする香港人
こういう人が多いから地下鉄でもわざわざ「咳やくしゃみの際は手で口を抑えるかマスクをしましょうね」なんて日本の小学校の廊下に貼ってあるような掲示を出さなきゃならないんです。
5.子を叱れない香港人
親が子を叱らないので、その子たちが親になったときも同じことが繰り返されます。
6.自宅のトイレの調子が悪いので呼んだのに、
うちに到着した時点ですでに手もティシャツも汚い香港人逆にトイレのことがもっと心配になります。
これらの人たちは決して香港を代表する人たちではないので、「香港人ってみんなこういう感じなんだ」と勘違いしないでほしいと妻は言います。
香港人だってこんな人たちのことを好んでいませんから!
その人の性格や行動というのは、国籍というよりも、その人のこれまでの育ってきた環境によるところが大きいと思います。
例えば、私はバスタオルやパジャマを一週間取り換えなくたって平気ですが、日本人みんながそういうわけじゃないですよね。とは言え、その国の文化を知るということは、「こんな人もいるんだ」という日々の気付きの積み重ねにより養われていくので、これからも香港の街角で人知れず人間観察を続けていきたいと思います。
「育ってきた環境が違うから、好き嫌いは否めない」
SMAP、よろしくお願いします。
(あ、もういないか)
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマン ションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見る こと。
第16回 気まずさを回避するために【オフィス編】
会社にいるそこまで接点がない、微妙な距離感の社員とエレベーターで2人きりになったらちょっと緊張しませんか?
日本人同士ならまだ日本語という共通の言語でたわいもない話もできますが、
香港人の同僚や上司が相手だとそうもいきません。
そこで今回は、香港企業に就職、転職しても安心、香港のオフィスでの気まずい状況を限りなく回避するための方法をお伝えいたします。
① 社時間より5分早くオフィスに着く
日本で働いていた時は1分でも出社時間に遅れれば何だか上司に怒られていた記憶があるのですが、香港は違います。「あれっ?みんな出社時間何時なの?」と思わせるくらいバラバラです。80%のスタッフが出社時間の9時を過ぎてから、9時から9時半の間にワサーと入って来ます。そんなわけで9時前にオフィスに行けば「エレベーターで二人きり」という私が最も苦手とする気まずい状況を自然と回避することができます。

そうかもしれない
② 社時間から15分経ってからオフィスを出る
私の同僚たちは出社時間にはルーズなんですが、退社時間には忠実です。18時になると次々とタイムカードを押してオフィスを後にします。その結果18時10分までで最初の退社ラッシュが終わるので私はだいたい18時15分にすーっとオフィスを出ます。帰り道がスムーズだと実に気持ちのいいものです。
③ 拶は笑顔で
香港企業に勤めると、やはり1日の発言量(特に雑談の量)が日系企業に勤めていた時よりも愕然と減少します。とりわけ私の同僚は女性ばかりなので余計に共通の話題がありません。この状況で終日無口のまま働いていると「この日本人愛想ないな~」と思われるので、その誤解だけは避けたい。そこで、挨拶だけはしっかりしておきましょう。朝と帰りの挨拶、この瞬間だけは笑顔で、すれ違う全てのスタッフ(守衛さん含)に。挨拶を怠る香港人も多い中で、やたら笑顔で挨拶する日本人は一目置かれるはずです。
④ れでもエレベーターで二人きりになったら…
こんな状況の打開策を妻に相談したところ、「携帯でもいじって忙しいフリでもしておきなさい。」と一蹴されました。
⑤ 人きりのエレベーター…からの帰り道まで重なってしまったら…
こんな状況の打開策を妻に相談したところ、「お先に(我行先 ンゴハンシン)と言ってさっさと歩いて帰ってきなさい」とまた一蹴されました。
⑥早く帰りたいけど、帰り道にふと前を歩いている人(たち)が同僚だと気づいてしまったら…
こんな状況の打開策を妻に相談したところ、「その時間はもう暗いんだから気がつかなかったフリをするか、ダッシュで彼らの横を駆け抜けて早く帰ってきなさい。」とまたまた一蹴されました。
最後に妻に「そんなこと気にしていないでしっかり働きなさい」と激励を受けました。
普段使っているバスタオルに何億個の細菌が付着しているかは気にしないくせに、こういうちょっとした人間関係作りが気になる私でした。
「その体は、そのためにあるんだっ!」
魚住純(陵南高校バスケ部主将)、よろしくお願いします。
ではでは。
追伸)たまに同僚と一緒に帰るとオフィスでは話さないことも話せて実はいいかも。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマン ションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見る こと。
第15回 香港の意味ない4つのこと【MTR編】
「やらないよりはマシだよね」と言う人もいるかもしれません。
でも、香港には「やっぱりやらなくてもいいんじゃない?」という出来事が日常に溢れています。
今回は特に駅や電車内で見られる意味のないものに疑問を呈するとともに、どうしたらもう少し意味のあるものに変えられるかを考えてみます。
①電車が急停止してから案内される「しっかりバーにつかまってください」の
車内アナウンス
そもそもアクシデントに対して自動音声で警告するのはどうでしょうか。
交通アクシデントを防ぐことはAIにもできるとは思いますが、
アクシデントが起きた後の瞬時の判断、対応はやはり人間の手で行われるべきです。
日本の都バスでは「左に曲がります」と運転手自らアナウンスしてくれます。
MTRもせめて急停止するときくらいは「しっかりつかまってください」(1秒あれば言えます)と一言車掌からアナウンスするべきです。

この手すりが満員電車の原因だ
②プラットホームのドアとドアの間に立っているSTOPの看板を持った
駅スタッフの多さ
二重扉をほぼ全ての駅で設置しているにもかかわらず、
さらにこれだけのスタッフを配置するとは二重扉を信用していないのか、
はたまたMTRを利用する香港市民を信用していないのか…。
百歩譲ってスタッフを置くのは良しとして、
もうちょっと人選をしっかりしてほしいものです。
特にラッシュアワー時の電車の乗り降りはガチンコです。
時には乗り降りのルールを守らない荒くれ香港人も出現します。
そんな戦場に明らかにガチンコではないスタッフが対応できるのでしょうか。
現場では特にパワーと威勢が求められています。
例えば、モンコックの街を歩けばタンクトップの
マッチョたちがチラシを持って暇そうにしているので、
MTRはせめてラッシュ時くらいはかれらにお金を
払ってプラットホームの秩序を守ることも検討してみるべきです。
③電車に乗ってすぐ設置してあるバー(手すり)
香港では見せかけの満員電車はよくあることです。
その原因は電車の「中の方」に詰めない香港人たちに理由がありますが、
実はそうさせてしまっているのは電車に乗ってすぐ目の前に
設置されている手すりなんです。
入口付近に設置するものですから、
みんなそこで立ち止止まって奥に詰めなくなるのです。
手すりの位置を変えたり、つり革を増やすことで自然と人々が
電車の中の方へ進む仕組みを作るべきです。
④英語に全く興味のない3歳の息子に「うちでは英語で教育しているのよ」と
周りに言いたいがために駅のホームで英語で一生懸命電車のルールを
教えている香港人の母
結局、英語に全く反応しない我が子に嫌気がさし、
決まって最後は広東語で教えています。
まずは広東語を使って知識と教養をつけてから第二言語を学ばせた方が健康的です、間違いなく。
「やってみなければ分からない」という考え方は私は好きです。ただ、やってみた上で継続的に効果測定を入れていくとより良いものができると思います。
「継続は力なり」
嘉納治五郎、よろしくお願いします。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマン ションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見る こと。
第14回 香港人妻と一緒に見てはいけない3つのもの
子どものころ、よく親や学校の先生に
「良い子は見てはいけません!」なんて言われましたが、大人にだって見てはいけないものがあります。
特にこれから挙げるものは見ない方がいいです、ましてや香港人の妻とは…

「愛されるよりも愛したいマジで」なんて言えませんマジで
①ゴキブリ
大きかろうが、小さかろうが関係ありません。
もはや黒くて動くものならゴキブリだろうがなかろうがそれすら関係ありません。
とにかくそんなようなものが目に入った瞬間に、
妻はまるでアスリートが膝の靭帯を切ってしまった時のような、
そんな声を出すのです。
そんなに叫ばなくてもいいのでは?…
うるさいというかこちらもすごいドキッとするんですね。
ですから、なるべく彼女の目に入らないように、
彼女のいないところで見つけた場合も静かに
始末し何もなかったかのように振る舞うのが賢明です。
②恋愛映画
「隣の家の芝生は青く見える」とはよく言ったものですが、
私の妻も例外ではありません。
ラブストーリーの映画やドラマで見た演出やセリフにもろ影響を受けます。
そして、私にもそれらの演出を期待します。
そもそも、日本人のモテ男像は不器用で
自己表現が苦手で自分勝手なんだけど実は仲間思いで
正義感が強いロンバケの瀬名みたいな男だと思うんです。
それが香港だと車のトランクにバラと風船を詰め込んで
彼女の会社の前でプロポーズするような男が素敵なんですね。
…Why HongKongpeople!
「妻の大好きなキムタクだったらここでどうする?」
これが私の行動基準になっているのですが、
現実の世界ではそううまくはいきません。
③日本のバラエティ番組
日本の笑いは独特で香港のそれとはツボがだいぶ異なります。
言うなれば、香港のバラエティ番組は、
高校生でもできることをタレントがカメラの前で一生懸命やっているだけなので、
やっていること自体は面白くありません。
一方、日本のバラエティ番組は高校生が考えそうなことをタレントが
一生懸命カメラの前でやっているので、内容はくだらないのですが笑えます。
日本の笑いにはその言葉、仕草の一つ一つに日本の文化に基づいた背景があり、
日本人はそれを知っているからこそ笑えるのです。
この感覚を妻に説明するのには時間がかかりますし、
ましてテレビを見ながらだと次から次へと笑いが
生まれるので説明が追いつかなくなり、
結果的に説明している私も説明されている妻もシラケます…
香港人女性は日本人よりも表現力が豊かで、喜怒哀楽がはっきりしています。
彼女の感情モードが喜と楽の時は本当に一緒にいて幸せですが、
怒と哀の時はリカバリーにiPhone並の時間と忍耐が必要です。
それでは今日の一曲。
「多的是你不知道的事」
(多くのことを君は知らない)
王力宏(ワンリーホー)、よろしくお願いします。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第13回 香港で食事を楽しむための5つのアドバイス
ちょっとそこのあなた!そのスプーン、本当に口に入れて大丈夫ですか?…なんてCMはありませんが、日本のレストランと異なり、香港のレストランでは受身でいると危険です。そこで、今日は香港で楽しく食事をするための5つのコツをご紹介します。
1.ティッシュを持参する
日本のレストランだとティッシュが置いてあるところも多いですが、香港のローカルレストランでは基本的に置いていません。レストランでは机や椅子、箸や食器、缶の飲み口など拭くところ満載です。もちろん拭かなくてもいいんです。でも、香港人が積極的に拭いているところを見ると、なんだか拭いた方がいい気がしてきます。
2.食器を確認
香港の場合、ローカルだろうが自称三つ星だろうが日式だろうが席についた際には必ず皿やスプーン、箸などをチェックしましょう。何をチェックするかと言うと、汚れです。見た目は問題がなくても、箸やレンゲ、お椀はティッシュでサッと拭いておいた方が間違いありません。変な汚れがついていればすぐに交換してもらいましょう。
3.水をもらっておく
ローカルレストランの場合、席に着いたらまず水をもらっておきましょう。飲むためではありません。スプーンや箸をつけておくためです。つまり、スプーンや箸をそのまま口に入れることに不安があるということですね。
4.飲み物のタイミング
ランチやディナーでドリンク付きセットメニューを頼む際はドリンクをいつ出してもらうか自分の希望を伝えておきましょう。日本だと店員から「食前か食後か」聞いてくれますが、香港では基本的に聞いてくれません。というか、基本的に速攻出てきてしまいます。冷たいコーラを頼んだときは速攻出してもらっても構わないのですが、食後のつもりでホットコーヒーを頼んで食前に出てきてしまうと気持ちもコーヒーも冷めてしまいます。
5.会計の内容
「マイダン!」をするときは、支払う前に必ずレシートの中身をチェックしましょう。何をチェックするかと言うと、過剰請求されていないかどうかです。特に途中で注文を取り消したり、追加したりした場合は必ずチェックしてください。香港のレストランでの過払い請求の払い戻しについてはさすがに◯ディーレ法律事務所も対応してくれないでしょう。かつての私(独身身時代)は何一つ気にせずに香港での食事を楽しんでいました。本当はいろいろ汚れていたことも、払い過ぎていたことも知らずに、ムゴイサイ!なんて笑顔で言いながら…その環境に慣れるということはある意味で強くなったとも言えますが、決して自由を得た訳ではありません。特に香港のレストランではサービス料10%を支払わなければいけませんので、気持ちよく食事をしたいですよね。
見えない罠だらけの香港生活で本当の自由を得るために、私も日々、妻から生きる術を学んでいるところです。
ではでは。

本当に効果があるかどうかはさておき、とりあえずつけておきましょう

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第12回 香港人とすぐに仲良くなれる3つのフレーズ
外国人と仲良くなる、または付き合うためにまず大事なことは受付突破です。
異性、特に男性が女性と話すときには彼女たちの心の扉の前に立ちはだかる受付を突破しなければその後の商談(デート)に臨むことはできません。
そこで、今日は日本人だからできる、香港人の心の受付突破をするための3つのフレーズを紹介します。

香港だと…何だかいけそうな気がするんですよね
1.「そういえば、ワッツアップ持ってる?」
ワッツアップといえば香港ではLINEよりもユーザー数が多いコミュニケー
ションアプリとして有名です。
初対面のときに必ずやっておきたいのが電話番号交換ですが、香港の場合
はワッツアップの話題を出すのが効果的です。
いきなり交換するのではなく「ワッツアップ持ってる?」と聞くことがポイントです。
なぜなら、ワッツアップを利用していない香港人などほぼいないからです。
ですから、絶対「持ってるよ」と言ってくれます。また、相手の電話番号を電話帳に登録することで自動的にアプリ内に相手の名前が追加されるのも特徴です。
ですから、結局、相手は電話番号を教えてくれるわけです。
2.「基本的にJALにしか乗らない」
ここ数年、香港からの日本訪問客は年間で100万人を超え日本ブームはまだまだ旬です。
そんな香港人観光客の多くはLCC便を利用して日本へ行くことが多いようです。
JALやANAを利用しない主な理由はチケットが高いから。
逆をとればJALやANAを利用するというのは1つのステータスになるわけです。
ただし、見栄を張って彼女や彼氏を連れて一一度JALを使って日本旅行をしてしまうと、JALのサービスが基準になってしまい、その後にLCC便を利用するのが難しくなるので気をつけましょう。
ちなみに、私は”Standard Chartered”のアジアンマイルを利用してJALチケットを取るようにしています。
3.「日本の実家はマンション」
日本では、エレベーターの付いているアパートは全てマンションと呼ぶことができます。しかし、香港や他の国ではマンションと言うと大邸宅を指すようです。
最近聞いた話ですが、私が初めて妻を日本の実家に連れて行ったとき、妻はかなり期待していたようです。
なぜなら、私の実家はマンションだと聞いていたからです。
とは言え、日本のマンションですから、クラブハウスもなければセキュリティガードもいません。当時のことを思い出しては「騙された!」と妻は今でもよく言います。
香港では仕事でも、プライベートでもワッツアップが便利なので、こちらをインストールしておくことをお勧めします。相手との連絡手段があればあとは遠慮なく連絡してみましょう。
香港人を知ることは、香港を知ることに繋がります。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第11回 香港人から学ぶ、長生きするための7つの習慣
香港が世界でもトップクラスの長寿国であることは
ご存知の方も多いと思います。
日本も負けじと劣りませんが、正確な平均寿命で比較すると
近年は香港人の方が長生きしていると分析されているようです。
では、香港人の生活の何がそんなに
長生きに貢献しているのかをまとめてみました。

円卓を囲むっていいですよね。
①蒸し料理をよく食べる
飲茶を筆頭に蒸したり茹でたりする料理を香港人はよく食べます。
日本人はサラダをよく食べますが、
香港人は茹でた野菜にオイスターソースなどをかけただけの
料理をほぼ毎日食べます。餃子も焼きより水餃子、蒸し餃子。
魚も丸ごと蒸したものをレストランの円卓ではよく見かけます。
②根性とか好きじゃない
香港人は健康のために運動はしますが、
日本のように精神が肉体を超えるまで追い込みません。
③信号やウインカーに頼らない
道路を渡る人たちは信号に頼らず自分の判断で横断します。
運転をする人たちはウインカーは出さず、徐行もせず、
自分の経験とテクニックを頼りに左折します。
お互いが「自分の身は自分で守る」気持ちが強いため、
交通事故発生件数が自然と減ります(私の勝手な推測)。
ただ、香港では私服警官がたまにいるので交通ルールは守りましょう。
④駅のホームから落ちない
中国羅湖行きの路線以外全ての路線で二重扉が設備されています。
故意にしろ故意じゃないにしろ、線路内に落ちる可能性はかなり低くなります。
⑤定年退職しない
アパートやビルの守衛さんを見ても分かるように
私の両親世代の人たちが香港ではバリバリ働いています。
「家にいてもやることないんだもん」と思えてしまう
香港人は幾つになっても強いです。
⑥残業しない
勤務時間が9時~18時の会社の場合、
だいたいみなさん17:55くらいから帰る準備をします。
有給だってしっかり取ります。
⑦孤独じゃない
香港と日本の一番の違いはこの点かもしれません。
土地が狭いので友人や家族と会うことも簡単です。
また休みの日に家族で飲茶(食事)をする伝統的な
習慣は家族の絆を深めてくれます。
みなさんは以上の7つの習慣のうちいくつ当てはまりましたか?
7つとも当てはまっちゃったあなたはもう立派な香港人…だと思います。
また、健康のために食事に気をつけたり運動したりするのも大切ですが、
何よりも香港人が大切にしているのは「楽しむこと」です。
そして、この「楽しむ」という習慣が
本当の長生きの秘訣なのかもしれません。
みなさんも是非香港ライフを楽しんでください。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第10回 香港人が友人の家を訪ねる理由
問題です。
香港人が友人の家に招待されると必ずしたくなることと言えば何でしょうか?
正解は、家の中の見学です。
香港で家を買うのは一般庶民にとって至難の技です
日本であれば、たとえ気の知れた友人の家に招待されたとしても、せいぜいリビングとキッチンとトイレくらいでしょうか、入れるのは。
決して入ってはならないという法律があるわけではありませんが、
日本ではむやみに部屋を覗かないことは常識となっています。
一方で、多くの香港人にとって、この「家の見学」習慣は当たり前のようで、
妻の友人からは「じゃあ、逆に聞くけど見学しないで何するの?
リビングで食事してソファに座って話すだけ?
それならレストランで食事した方がいいでしょ。」
と言われたものなので、私も妻もビックリしてしまいました。
(ちなみに私の妻も家の見学はしないしさせない派です)
ですが、香港の皆さん曰く、家の見学は決して家が小さいとか大きいとか、部屋が綺麗だとか汚いとかを批評するためのものではないんだとのこと。
その家の間取り、友人(その家の住人)がどこのブランドの家具をどのように
配置し、どこの会社に内装工事をお願いしたのかなどの情報を手に入れ、
今後の自分の家のコーディネートに役立てたい、ただそれだけらしいです。
なるほど、つまり家の勉強会ということですね!
…って納得はしづらいですが、とりあえず他人の家の見学をしたい理由は分かりました。
このような、日本人にはない香港人の行動や考えの根拠についてもう一歩踏み込んで考えてみると、それだけかれらの関心が「家」にあるということがうかがえます。
確かに普段の会話でも、こと家に関しては、香港人は比較的腹を割って話してくれます。
家賃のこと、間取りのこと、大家のこと、契約のこと、頭金やローンのことなど、ざっくばらんに打ち明けてくれます。
それに、香港人は全力で家を買います。
「家の頭金払ったばかりで結婚式挙げるお金がマジでない」
婚約者との初めての共同作業は家の購入です。
香港人は常に最新の家情報を知りたがります。
「俺は家を見学するのが好きなんだ」
休日返上して友人の物件探しに付き合ってくれます。
「元朗と屯門あげるから旺角ちょうだい」
香港人はモノポリーだって真剣です。
なんだか、だんだん香港人が渡辺篤史に見えてきましたね。
どんなに小さな声でも、きっといつも聞いてるから~♬
とはいえ、香港人に家のことを聞いてみると、
やたら話が盛り上がるので、
話のネタに困ったときは是非聞いてみてください。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第9回 妻と一緒に見たくないもの
今さら気がついたことが、
夫婦間で国籍が違うとジョークが通じないことが多々あるということです。
特に日本人のジョークは外国人には理解しがたいらしく、先日も日本の芸人厚切りジェイソンの「Why Japanese People?」ネタを妻に見てもらったのですが、日本では結構流行ったにも関わらずその面白さを理解するのが難しかったようです。
妻にジョークを言ったり、芸人のネタを見せたりして何が厄介かと言うと、スベるより何よりそのジョークの由来と使い方を説明しなければならないことです。
説明が終わると決まって「あ、そう」とか「なるほど」と納得されてしまいます。
納得されるのはスベるのより後味悪いです(汗)
日本人のジョークは比較的、勢いやサウンドで訴えるものが多いので、この感覚を外国人に伝えるのは至難の技です。
ですから、妻と一緒に日本のバラエティ番組を見ると
「どうしてみんな笑っているのか?」を説明するので精一杯で
笑いの本質まで伝えることはできません。
特に妻と一緒に漫才なんかは絶対見られません(私個人的には好きなんですが…)
一方で、妻が見ても楽しめる番組としては旅番組、料理番組が挙げられます。
普通の旅番組であれば日本のことを知るきっかけにもなりますし、いってQみたいな番組であれば出演者の行動やアクシデントで笑いも出ます。
あと妻が好きなのはマツコの番組です。
彼が出ている番組は身近なテーマに対して
マツコがツッコむスタイルのものが多いので、
私としては説明もしやすく妻にとっては分かりやすい内容となっています。
ちなみに、私が最近使う外国人にも通用するフレーズを紹介します。

笑いのセンスもそれぞれの文化で異なります
・100%の大丈夫、安心してを表現したいとき
「Apes…together…strong」(映画War for the planet of Apeより)
・待ち合わせ時間を決めたとき
「じゃあ、7時にTSTで…不見不散(バッキンバッサン)!」
この言葉は「僕と会うまでどっか行っちゃダメだよ」という意味を
表す広東語の四字熟語です。香港人相手にウケます。
これらのフレーズは多分日本人が言うから面白いのだと思います。
使用する場面や言い方、タイミングなどには個人差があるので、
いろいろ試してみながら自分のスタイルを見つけてください。
笑いは万国共通と言いますが、笑いのツボはその国の文化に基づいています。
私もTVBやPearl TVを見ながら、
香港人と世界の笑いのツボを研究していきます。
妻に「星…3つです!」と言わせるのが今の目標です。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第8回 相手が大統領だろうが社長だろうが…
日本語の難しいところは、何と言っても敬語の使い方です。
相手や状況によって尊敬語、謙譲語、丁寧語を使い分けなければなりません。
これは現在日本語を学習中の妻も苦戦している部分です。
中国語にも敬語は存在しますが、香港では社長だろうとお客様だろうと
「さようなら」は”bye bye!”ですから、それはそれで驚きですが。

それにしても、最近はニュースを見ていると日本でも香港でも
官僚たちの政治家とは思えない不注意な発言、行動が目立ちます。
もちろん私たち一般市民の生活の中でも、
他人のそして自分自身の不注意な発言、
行動を目の当たりにしたり後悔したりする瞬間は日々絶えません。
しかし、こういった小さな不愉快、
不注意の連続は日常生活ではもはや当たり前となっており、
科学が進歩しようと、政権が交代しようと変えられるものではありません。
そんな世界で私たちが楽しく人生を全うするために大事なことは
「ブレないこと、自分自身の信念を持つことだ!」…とどこかの本で読みました。
信念といえば、私の妻にはこんな信念があります。
「相手が大統領だろうが社長だろうが、リスペクトを知らない人は許さない」
屈強な身体をもつプロレスラーも昔はただの少年だったという言葉が
ありますが(ありましたっけ?)、どんなに地位が高くても、有名でも、
大富豪でも、元々はみんなただの少年だったり少女だったりしたわけです。
成長した後のステータスは人それぞれ違いますが、
社長だから挨拶をしなくていいとか、
アルバイトだから挨拶ができないとかそういうことはありません。
日本の場合、リスペクトという言葉よりは、
礼儀やマナーという言葉が使われる印象があります。
挨拶ができない人を日本では「礼儀がない」、
外国では「リスペクトがない」という感じです。
意味としてはリスペクトもマナーも共通する部分は多いと思いますし、
一方が欠けていればもう一方も伴わないような関係だと思います。
妻によく言われるのは、どんな小さな悩み事、
問題でも必ず家族に相談、打ち明けること・できないこと、
分からないことはあらかじめ相手にはっきりと伝えること
これらのことができないということは、
それは周りの人に対するリスペクトが足りないということになります。
感情や感謝、尊敬などの表現方法は人それぞれ異なりますが、
挨拶や笑顔などある程度全世界で共通している表現方法もあります。
「リスペクトしなさい」という言葉ばかりが
先行するのもよくありませんが、
改めてリスペクトや礼儀の言葉の
意味を考えさせられる妻の言葉でした。
妻はたまにいいことを言います。
ではでは。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第7回 他人の靴を履いてみる
日本人が外国人と態度や行動が異なる一つの理由として、
日本人には「ウチとソト」の考え方が根付いていることが大きいと言われています。
身近な例としては、日本では家に帰ってくると靴を脱ぎますが、
欧米諸国では習慣として靴を脱ぎません。
このように日本人にはウチとソトの空間を分別する意識が身についています。
さらに、この靴に関して、
崖の上や高いところに靴が置いてあるのを見かけると、
外国人はなんとも思わないのに

香港人はウチもソトも気にしない?
日本人は「自殺」を思い浮かべてしまうというのです。
「ウチ(=あの世)に帰る」という意味で靴を脱ぐようになったらしいのですが、
このことからも場所だけではなく精神的なウチとソトの分別もつけていることが分かります。
そんな日本人の中でも私は
「一度会った~ら友達で、毎日会っ~たら兄弟だ」で
おなじみの教育テレビ3チャンネルに影響を受けて育ってきた世代なので、
自分の中では国籍、性別、世代の隔てなくいろんな人と交流をしてきたつもりでしたが、
それでも香港人妻からするとまだ私にもウチ向きな一面が見られるようです。
妻が私に対してよく言うのは
「他人の靴に自分の足を入れながら考えてみなさい」と、これまた靴を例にした教訓です。
つまり相手の立場に立ちなさいということなのですが、
日本人は自己中心的な面が多いと妻は指摘します。
さて、ここで一つの疑問が出てきます。
「相手の立場に立つ」ということに関して、
日本は世界でも高い水準の思いやりを持っていると思いますし、
そう言われているのをよく耳にします。
つまり相手の靴に足を入れながら便利な商品を開発したり、
サービスを提供したりという能力にたけているのです。
でも妻からするとそれでも日本人は自己中だと…??
事実、妻も日本の商品やサービスが好きで、
香港人も見習うべき部分がたくさんあると言っています。
しかし、それらの高い水準での商品やサービスを生み出し、
そして提供するために「日本人は自分自身を犠牲にしすぎている」と
いうのが彼女の主張でした。
時に家族や自分の健康を顧みず、
会社の指令や顧客のために身体を張る姿がどうも理解できない、
というより受け入れがたいとのことなのです。
つまり妻の言う「他人の靴」と言うのは決してお客さんのことだけではなく、
家族や身近な人のことも考えなさいということだったというわけです。
妻はたまにいいこと言います。
何事もバランスが大事ですね。
では、私も自己中になりすぎないように
今日も早く家に帰ることとします。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第6回 これからもずっと胴長短足の日本人
日本の文化を表現するときに、
「事なかれ主義」という言葉が用いられることがあります。
この言葉は「いざこざがなく、平穏無事に済みさえすればよいとする
消極的な態度や考え方」という意味を指しますが、では実際のところどうなんでしょうか。
…ということで今回、私の妻(香港人)と私(日本人)で比較してみました。

トイレに行きたいけど…
例えば、レストランで態度の悪い店員がいたとき、妻の場合は、もはや食事のことは忘れてその場で店員本人または責任者にクレームをつけます。
私はというと、嫌な気持ちにはなりますがそんな店員のことは無視して食事に集中しようとします。
買い物するとき、私の妻は買う前にその商品に傷や汚れなどの欠陥がないかしっかり調べます。糸一本でもほころびがあれば、店員にどうにかするよう詰め寄ります。
そしてどんなに気に入ったものでも他に在庫がなければ…
買いません。一方、私も商品のチェックはしますが、相当な欠陥がないかぎり、糸一本くらいのほころびは無視して買ってしまいます。
オフィスではどうでしょう。
「ちょっとクーラー寒いな」と思ったときに、
私の妻は電源を消すことで温度調整しますが、
私は自分でカーディガンを持参するなどして着るもので温度調整します。
こうして見ると、私(日本人)は周りの人との接触を避けながら、
自分の意識や行動を変えることで問題解決? をしていることが分かります。
一方、私の妻(香港人)は先ず自己主張を周りの人に伝えてから、
自分の納得できるところまで結論を持っていきます。
妻に言わせてみれば「自分が我慢するなんてバカね。
客として社員としての権利を全うするべきよ。」とのことですが…
確かに言っていることは理解できます、ただそれを実践できるかどうかはまた
少しの勇気と相当な慣れが必要です。
かつて三島由紀夫がこのようなことを言っています。
「どんなに英語を流暢に話そうと、その土地に慣れようと、
ショーウィンドウに映る自分は胴長短足のまぎれもない日本人」
事なかれ主義は鎖国時代に外部との接触を遮断し、
自国の繁栄を目指した島国日本ならではの独特な考え方のようです。
外国の人から見たら「ここが変だよ日本人」と思われるかもしれませんが、
だからといって私たち日本人が香港人のように
繕う必要もありません。日本人は日本人らしく、
さあ、今日も「事なかれ~事なかれ~」と祈りな
がら会社に行くとします。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第5回 Mall姐ロス
皆さんはMall姐(ジェ)をご存知でしょうか。
Mall姐はつい先日まで香港で放送されていたテレビドラマの主人公です。
彼女はショッピングモールを運営する会社のマネージャーで、仕事に対して超ストイックな姿勢を貫きます。
仕事中に部下が勝手にトイレに行くことは許さないし、
夜中だろうが日曜日だろうが必要あればすぐに
部下を呼び出してミーティングを開きます(恐っ)

香港にはオフィスを舞台にしたドラマも多く、
こういったドラマを見ることで香港の文化を垣間見ることができます。
噂によると香港人はもはや香港のドラマなんて見ていないらしいですが、
日本人の私にとっては興味深い内容となっています。
そんな噂の一方で、私の妻もMall姐にはまり、
放送の終わった今は完全にMall姐ロス状態です…
日本人に比べると香港人の性格はシンプルで素直だと思います。
日本人よりももっと感動するし、もっと怒るし、感情表現が豊かです。
とりわけ香港人女性は男性よりもよりはっきりしている印象です。
例えばドラマ中のMall姐も「我を通すこと」に関しては天下一品ですし、
彼女の部下のCherryやAnnieもすごい怒るし泣きます。
「所詮ドラマだからね」と思う人も多いと思いますが、
何もこの香港人女性最強説はブラウン管(古っ!)の中だけの話ではありません。
私のこれまで出会ってきた香港人夫婦、
香港人女性と結婚した日本人男性の家庭を
今頭の中で思い出してみたんですが…
亭主関白の家庭は香港に極めて少なく、
ほとんどの家庭がかかあ天下です(もちろん我が家も)。
さらに、香港に来てから私自身4回の引越しを経験して気がついたことがあります。
香港の不動産に行ったときは必ず女性エージェントにお願いするべき!
ということです。
年齢は40~50歳がベストですね。
おっ、これはMall姐と同世代!
女性エージェントにお願いすると多少の無茶ぶりも解決してくれることがあります。
いわゆる交渉上手なんですが、
何より相手を押し切るパワーが千代大海(古っ!)並みです!
香港でいい物件を見つけて、
「でも、あと1000ドル、家賃下げてくれたらなぁ」と
思ったときは女性エージェントにお願いしてみることをお勧めしますよ。

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第4回 私がレストランを開いたら。
香港のレストランの店員って態度が悪いというか、ウマが合わないというか、なんかスムーズにコミュニケーション取れないときありますよね。
先日、母の日ということで、妻方の家族と一緒にステーキハウスへ行ったときのことです。
メインディッシュを終えて、デザートを注文したんですが、一向にデザートもコーヒーも出てこない…
ちょっとおかしいと思っていたところ、マネージャーらしき人がやってきて、
マネ:「そろそろデザートのほうはいかがですか?」
妻:「いや、さっき頼みましたけど。」
マネ:「そうですか? どのスタッフに頼みましたか?」
とこちらを信用していない様子。
妻:「あそこのメガネをかけた女性スタッフだけど…」
とマネージャーらしき人にそのスタッフを呼んできてもらいました。
そして、その女性スタッフも当然私たちのことを覚えていると思ったので、
妻:「さっきデザート頼みましたよね?」
と聞くと、女性スタッフ「モウア…(訳:されてませんけど何か?)」…

スプーンの置く場所ひとつでその店の品格が分かりますね
その後、香港のレストランのサービスの悪さについて
妻から私が説教を受けました。そして、妻が最後に放った一言。
「私が香港でレストラン開いたら、絶対五つ星取る自信あるわ」
特に最近はおもてなしの仕方を知らないスタッフが多いようです。
お茶やおしぼりの置き方、注文の取り方、料理の出し方など、レストランによって全然クオリティが違います。
もちろんレストランに限らず、洋服屋さんや電器屋さんなどどこのお店でも同じことが言えます。
こういったサービスやマナーの低下について、妻いわく、自分の仕事に誇りを持てていない香港人が多いのが原因とのこと。
特に香港人の優先事項はお金。
お金のために働いているだけで、その仕事が好きで働いているわけではありません。
そうすると、例えば何かミスを犯したとして、お客さんに謝っても時給50ドル、謝らなくても時給50ドルなら、ほとんどの香港人は後者を選んでいるのが現実なわけです。
一時低迷した日本マクドナルドの復活の一因として「スマイルゼロ円の復活」が取り上げられているのを見ましたが、香港にもこのスマイルゼロ円の文化を取り入れた方がいいかもしれませんね。
それにしても、レストランのあのサービス料10%ってどうにかならないかな~

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第3回 ジャッキーチェンみたいな笑顔
「本音と建前」という言葉は日本人の民族性を語るうえで欠かせません。
帰りたいけど帰らない。
おいしくないけどおいしい。
イライラするけど怒らない。
こういった経験は皆さんにも一度はあると思います。
そういう私も「本音と建前」をしっかりと守っています。
つらくても、面白くなくてもいつも笑顔を絶やしません。
そんなある日、ザ・日本人の私にザ・香港人の妻が予想外の一言を言ってきたの
です。
「あなた、そのジャッキーチェンみたいな笑顔やめなさいよ」
この「ジャッキーチェンみたいな笑顔」とは、ご察しの通り「顔がジャッキーに似てるね」ということではなく、
もちろん「すてきな笑顔だね」という誉め言葉でもなく、日本語で言うところの「気色悪い」ということなんだと思います(悲)
人前ではいつもいい顔して、裏でひどいことをしている、そんな腹黒い人間
(ジャッキーチェンがそういう人かどうかは分かりませんが)の笑顔のように妻には
見えたのでしょう。
妻はそんな私の笑顔を「ジャッキースマイル」と名付けました。
不思議なことに私がこのスマイルを出すと彼女はすぐに気づくんですね。
「あなた、何か隠してるでしょ?」
妻に聞いたところ、私のジャッキースマイルを嫌いな理由は2つ。
1つは夫婦としてお互いに正直になるべきということ。
もう1つはそんな笑顔で周りの人を幸せにはできないということです。
そう言われるとジャッキーファンの私としても手も足も出ません。
香港には今も昔も「本音と建前」という文化はないようです。
お互いに正直になるからこそストレスがたまらないというのも一理あると思います。
でも、このような文化がないから香港人がいつも幸せかというとそういうわけでも
ありません。
正直であることで絆を深められるときもあるし、衝突するときもあります。
そして、文化に良いも悪いもありません。
国を超えて受け入れられるものもあればそうでないものもあるというだけです。
ただ、私のジャッキースマイルは受け入れられなかったということ…
そんな私が今取り組んでいるのはチョウ・ユンファスマイル。
これはなぜか妻のツボにはまっています。
皆さんも是非お試しあれ。

笑顔のポイントは目じりにしわを寄せること

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマンションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第2回 まさかその手で…
皆さん、こんにちは!ルーシー龍です。
突然ですが、皆さんは奥さんや旦那さんや恋人に初めて怒られた時のこと覚 えていますか?
私は妻に初めて怒られたときのことをよく覚えています。
あれは、付き合い始めて間もない、夏の日のハーバーシティ、私が額の汗を手 で拭った時でした。
「あなた、まさかその手で私と手をつなぐつもり!?(怒)」
私も高校生まではポケットタオルを(母によって半強制的に)持ち歩いてました けど、大学生以降、社会人になってからはハンドタオルやハンカチを持ち歩くこと はまれになっていました。
ポケットティッシュなんかも駅前で配っているのをもらった時こそカバンに入って いるくらいで意識的に常備することはほとんどありませんでした。
そして、この「タオルやティッシュに対する意識の低さ」が妻にとっては気に食 わなかったようです。
汗をかいたらハンカチで拭く。ハンカチがなければティッシュでも構わない。
食事のときも必ず自前のティッシュを一枚手元にスタンバイしておく。
ウェットティッシュは外出先でトイレに行ったときに使うので必ず持ち歩くこと。 これが妻の流儀です。
そして今は我が家の流儀になっています。
妻は人の見た目や振る舞いにとても気を使います。
汗を手で拭いたり、もしくは拭かないで汗かきっぱなしだったりする見た目は みっともないし不潔だと言います。
逆にタオルやティッシュを即座にパッと差し出せる人は周りの人に好印象を与 えることもあるようです。
かつて「ハンカチ王子」なんて言葉がはやりましたが、彼もハンカチで額を一 拭きしただけで見ている人たちに爽やかな印象を与えました。
ということで、現在、私のすべてのカバンにはティッシュ、ウェットティッシュが常 時入っています。
これで汗をかこうが、ソースをこぼそうが、お腹が痛くなろうが周囲に爽やかな イメージを与えられることは言うまでもありません。

いずれにしても、どんな目的 であれ、ティッシュがあると便 利なので皆さんもカバンの中 にManningsのティッシュを1 個常備しておくことをオススメ します。
なんで、Manningsかって? 「安くてカワイイからよ」
by 妻

ルーシー龍(りゅう)
香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマン ションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。
第1回 香港人と結婚することとは…?
皆さん、はじめまして!
たった今、銀行からのローン勧誘電話にイラっときて「じゃ、100万ドル貸してよ」と言った途端に電話を切られたルーシー龍です。こちらのコーナーでは私と私の香港人妻との間で起こる日々の出来事を題材にしながら、普段見られない香港人の素顔に迫っていきます。

第一回の今回のテーマは「香港人と結婚することとは?」です。
香港生活において香港人妻から受ける恩恵は大きいです。
先日、携帯の契約プランを変えようと思って携帯ショップへ行ったのですが、「これ以上安いプランはない」とスタッフに言われてしまったんです。私はそんなはずがないことを知っていましたが、このアジアの壁ならぬ香港の壁を越えることは・・・できませんでした。そこで、妻に相談し、週末一緒にその携帯ショップに行きました。そうしたら、やっぱりもう一つ安いプランがありました。香港の壁を越えられるのは香港人だったか…。私のストレスが一つ解消された瞬間でした。

また別の日に、私の日本の友人のために香港のホテルを予約したのですが、当日行ってみると「予約がされていない」と言われたんです。予約番号を見せてもスタッフは「ない」の一点張り。その態度に私もさすがに怒りを覚えましたが、隣にいた妻はすでに爆発!(恐)
「あなたじゃ話にならないから責任者呼びなさい」
それからマネージャーが出てきてもう一度捜させると、ちゃんと予約されていました。その後はマネージャーに「スタッフの教育がなっていない」という妻からの説教。結局バルコニー付きの部屋に無料でグレードアップしてもらえました。さすがだ…。(驚)私のストレスがまた一つ解消された瞬間でした。
いかがでしょう。このように、香港人の味方が隣にいるだけで、香港生活で感じるストレスが一つずつ解消されていくんです。ですから「香港人と結婚することとは?」・・・それは「香港で自由を手に入れること」なんです。もちろん、このことは香港人の旦那や恋人や友人が隣にいても言えると思います。みなさんにも是非、香港人の相棒を見つけることをオススメします!

ところで、最後にもう一つ、皆さんに注目してほしいことがあります。それは携帯ショップ、ホテルのロビー
で妻の横にいた私です。「虎の威を借る狐」あの時の私はまさに狐でした…。(笑)が、そんな狐も、虎の
威を借り過ぎてはいけません。虎の牙が襲いかかるのは何も香港人だけとは限らないのです…。(汗)
つづく
ルーシー龍(りゅう)

香港人妻との結婚歴3年目の日本人。沢木耕太郎の「深夜特急」を読んでチョンキンマン
ションに憧れて香港にやって来る。趣味は早く家に帰って妻と一緒にTVBのドラマを見ること。


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