徹底解剖!【カイタック・スポーツパーク】

2025/04/16

東京ドーム6個分の敷地面積をほこる「啓徳体育園(カイタック・スポーツパーク)」が、先日ついに全面開業を迎えた。香港最大の全天候型スタジアムでの観戦のほか、スポーツをテーマにしたエンターテインメントやショッピングなどが楽しめる巨大な複合エリア。そんな最新スポットが、香港のスポーツ文化とライフスタイルに新しい風を吹き込む──。

 

世界一危険な空港跡地に誕生

カイタック・スポーツパークが誕生したのは、かつてアジアの玄関口としての役割を果たしていた啓徳空港の跡地。飛行機がビルの間をかすめるように着陸する様子から「世界でもっとも危険な空港のひとつ」として名を轟かせ、降下する機内からビルの住人と目が合ったという都市伝説が残っているほどだ。
1998年に現在の香港国際空港が開港したことで役目を終えた啓徳空港エリアはその後、大規模な再開発がスタート。近年ではMTR啓徳駅と宋王台(ソンウォイトン)駅ができたことで、中心部からのアクセスも格段によくなった。

 

エンタメ!グルメ!ショッピング!

カイタック・スポーツパークは、メインとなる「カイタック・スタジアム」、室内競技用の「カイタック・アリーナ」、アミューズメント施設やショップ、飲食店が揃う「カイタック・モール」、スタジアム横に建設されたホテル「ドーセット・カイタック」などを有するほか、サイクリングロード、大小さまざまな公園や広場も設けられている。さらに周辺には「The twins」「AIRSIDE」といった近年誕生したばかりの大型ショッピング施設や、かつて魔の巣窟と呼ばれた九龍寨城跡地、行列店が軒を連ねるグルメエリアなどがあり、新旧が交差する文化とスポーツの発信地として注目を集めている。

 

世界最高クラスの全天候型競技場 カイタック・スタジアム

USFHK Rugby January 05メインとなるカイタック・スタジアムは、最大収容人数5万人を誇る世界最高クラスの競技場。天然芝のピッチや全天候型の開閉屋根、最新の空調システムなどを完備している。南スタンドはガラス張りとなっており、香港を象徴するビクトリアハーバーの景色が一望できるデザイン。また館内には、全長100メートルのカウンターを備えたアジア最大級のスポーツバー「The Champion」が営業しており、試合のインターバル中に立ち寄ることもできる。
先日開催されたばかりの7人制ラグビーの国際大会「香港セブンズ」を皮切りに、今年は中国最大のスポーツイベント「全国運動会」のメイン会場としても使われる予定だ。さらに7 月には「Hong Kong Football Festival」で、欧州の有名クラブチームによる親善試合が計画されている。26日はイタリアの名門クラブACミランとリバプールが対戦し、31日にはロンドンに拠点を持つアーセナル対トッテナム・ホットスパーが試合を行う。特に後者の一戦はイギリス国外で開催される史上初のノース・ロンドン・ダービーとして大きな注目を集めている。さらに今後はeスポーツの大会やオリンピック予選の誘致なども検討されている。
またスポーツ競技だけでなく大規模コンサート会場としても活用できるように設計されており、4月8~12日に行われたColdplayのワールドツアー以降も、世界中のアーティストによるライブが立て続けに予定されている。

 

 

スポーツがテーマの商業施設 カイタック・モール

1号館から3号館まであるカイタック・モールとその隣りに位置するヘルス&ウェルネスセンターは、スポーツをテーマにした商業エリア。インラインスケート専門店「CheckerFormula」や登山グッズ店「BIGPACK」、アシックス、デカトロン、サロモンといった世界各国のスポーツ用品店など、さまざまなスポーツ関連の店が並ぶ。 また体を動かせるエンタメ施設も充実。子ども向けの体操教室も開講する室内遊戯場「EpicLand」、ビリヤードやカラオケエリアが併設された40レーンのボーリング場「Top Bowl TenpinBowling」、24時間オープンのフィットネスジム「24/7FITNESS」などがあるが、なかでも注目されているのは、日本のジョイポリスが手がける「JOYPOLIS SPORTS」。5階建ての施設内には忍者をコンセプトにしたエリアや人気キャラクター・ソニックをテーマにしたエリアなどがあり、20以上のアトラクションが楽しめる。 モール内にはAEON STYLEやユニクロ、GU、任天堂正規店、JP Living Expressなど、日本製品を扱う販売店も多いので、家族でのお出かけにもぴったりだ。

7 Ceeseven, CC BY-SA 4.0

Ceeseven, CC BY-SA 4.0

 

 

フレキシブルな構造の体育館 カイタック・アリーナ
LN9267, CC BY-SA 4.0

LN9267, CC BY-SA 4.0

バドミントンやバスケットボール、体操、テニスなどの世界トーナメントを開催するために設計されたカイタック・アリーナは、最大1万人の観客を収容可能。どの席からも視界を遮られることなくスポーツ観戦が楽しめるよう、柱のない構造が採用されている。また最大80%の座席を取り外せるためフレキシブルな会場設営が可能で、さまざまな用途に合わせて使用できる。

 

 

市民に無料開放される運動トラック カイタック・ユース・スポーツグラウンド
LN9267, CC BY-SA 4.0

LN9267, CC BY-SA 4.0

5千人の観客を収容可能なカイタック・ユース・スポーツグラウンドは、陸上競技や学校の運動会、地域のスポーツイベントなどに使用される予定。普段、運動トラックは無料で開放されており、世代を問わず多くの市民が集う交流の場となっている。今後も地域住民の健康促進や青少年のスポーツ育成に貢献することが期待される。

 

 

周辺エリアを満喫しよう!

ショッピング&エンタメ
SOGOも出店 – The twins

8 The twins
2024年11月に誕生したばかりの巨大ツインタワー「The Twins」では、地下1階から地上9階まで、日本発祥のデパート「崇光SOGO」が新たに営業を開始している。従来の店舗とは異なり、若年層をターゲットにしたこの旗艦店。ペットフレンドリーな啓徳エリアに合わせて、ペット同伴での入店も可能となっている。またSOGO以外にも映画館や娯楽施設、大型スーパーを含む700以上の店舗が出店している。

 

ショッピング&エンタメ
屋内サーフィンが楽しめる – AIRSIDE

9 AIRSIDE
啓徳駅直結の大型商業施設「AIRSIDE」には、屋内の人工サーフィン施設「Groundswell」が昨年オープン。初心者から上級者まで、さまざまなレベルの人が波乗りを楽しめるほか、プロの指導も受けることができる。また2~10歳向けに設計された室内遊戯場「Bouncetopia by Kiztopia」も家族連れに人気のスポット。雨の日でも目一杯体を動かして遊ばせることができる。

 

グルメ
エビのコロッケは必食! – 金寶泰國菜館

1991年に開業した同店は、タイレストランが軒を連ねる街として有名な九龍城の先駆け的存在で、長きに渡り人気を博している。オーナーはベトナム料理にも精通しており、伝統的なタイ料理のみならずベトナムフードをアレンジしたメニューなども提供。なかでもエビのすり身コロッケは、エビの身にさらにすり身を加えて揚げる、エビの旨み尽くしの逸品。

25 Nga Tsin Long Rd., Kowloon City

 

グルメ
受賞歴多数のハラルの名店 – 清真牛肉館

1950年から営業を続けるハラル料理店。ハラルフードとは食材に厳しいムスリムの戒律によって食べることが許された料理のことだが、味に定評のある同店には、イスラム教徒だけでなく多くの食通が押し寄せる。スパイスのいい香りとしっかり煮込まれた牛バラ肉がたまらないマレー系カレーや、名物の牛肉餅も絶品だ。

G/F., 33-35 Tak Ku Ling Rd., Kowloon City

 

グルメ
老舗の潮州伝統スイーツ店 – 合成甜品

九龍城エリアのローカルスイーツ店を語る上で、合成甜品は外せない。60年の歴史を誇るこの店では、中華ゆばや白キクラゲ、ハスの実、ハト麦など健康食材を使った伝統的な潮州デザートがいただける。日本ではなかなか出会うことのできない、ほんのりとした甘さ。タピオカの様なもちもちとした食感がクセになる潮州定番の清心丸は試してみる価値ありだ。
G/F., 9 Lung Kong Rd., Kowloon City

 

グルメ
香ばしいタイの串焼き – 金泰沙冰

タイ風の串焼き「サテー」は、サクっと食べられるファストフード。豚や牛、鶏、エビ、魚、タイソーセージなど、さまざまな具材が香ばしく焼き上げられている。行列のできるこの店の人気の理由は、秘伝のピリ辛ソース。小ぶりなサイズ感で、数本まとめてペロリと食べられてしまいそうだ。手ごろな価格と串焼きというスタイルで、九龍城の街を散策しながら手軽に楽しむことができる。

Shop A2, No. 21 Nga Tsin Wai Rd., Kowloon City

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