僕の香妻交際日記 第81回 香港で事故物件に住まないために

2023/02/08

P16 HK Wife_727家賃の予算は1万2千ドル
香港で生活する上で一番の課題は住まいである。私のようにボストンバッグ一つで香港にパッとやってきた人間が香港で家を買うのは夢の中の夢でも見られないような話なので、選択肢は賃貸となるのだが、結婚をすると最低でも2LDK、子どもができると願わくば3LDKが欲しいところだ。しかし2022年の香港人の平均年収が439,000ドル、月収換算で約3万6千ドルの収入で考えると、家賃を収入の3分の1に抑えようとしたとき家賃予算は1万2千ドルが目安になる。この予算で3LDKを探すのはなかなか難しく、2LDKでも理想の間取りを見つけるのは思いのほか難しい。

理想の間取りと広さ
日本では方形(四角形)の間取りが一般的だが、香港ではちょっといい値段、立地の物件でもリビングや部屋、キッチンの形が台形の間取りの物件が多い。間取りが台形だと家具の配置に苦労するので、理想としてはやはりそれぞれの部屋やスペースが四角形でまとめられているものになる。さらに家族(3~4人)で住もうとするなら最低でも実用面積で500sqftの広さが望ましい。

將軍澳か屯門か
太古、紅磡、九龍などは日本人にも人気の場所だが、これらの地域は通勤通学、買い物などが便利なので比較的家賃相場が高い。会社から家賃補助が出ている駐在員のような身でなければそう簡単に手を出せる場所ではない。自らの収入のみで家賃を捻出しなければならない私のような一般人の場合、先に述べた予算で家族で住めるような理想の間取りと広さの物件を検索すると、必然的に將軍澳や屯門などのオフィス街から電車で1時間ほどの距離の地域が主な選択肢となる。通勤や通学を考慮した上で最終的にどのあたりの物件を狙うかを決めよう。

物件検索アプリ
家賃予算、間取り、広さ、場所がある程度決められたら、早速物件探し。香港には28Hseなどの物件検索アプリがいくつかあるのでそれらを利用して、通勤中、勤務中、就寝前にひたすら物件を物色するのだ。それぞれのアプリで微妙に掲載物件が異なるのだが、とりあえずは一つのアプリで徹底的に理想の物件を探すことをおすすめする。S__11534342

事故物件を見つける
理想の物件が見つかったらアプリを通じてエージェントに連絡を取りいよいよ物件訪問が可能となる。ただ、もし気になるのであればエージェントに連絡を取る前にその物件が事故物件でないかを検索することも可能だ。私のような人間はその人の過去をあまり気にしないようにその物件で過去に何があったかなどは全然気にしないのだが、私の妻はそういうのを大変気にする人なので物件選びのto doリストの中に必ず事故物件検索という項目が含まれている。Googleで「凶宅」と検索すると香港の事故物件リストが出てくるので気になる方は是非ご覧いただきたい。

私の経験談
私は今年で香港に来て丸10年が経つが、この10年間で5回の引越を経験している。一つ目の住まいは重慶大厦(チョンキンマンション)のワンルーム。家賃は1ヶ月で4,000ドルだった。チョンキンを卒業した後も独身時代は一貫して尖沙咀、佐敦界隈を好んだ。その後結婚して旺角の250sqftに住み、子どもができて青衣の2LDKへと移った。娘が生まれてからはずっと「3部屋は欲しいわ」と妻に念仏のように言われ続け、私はまさに馬の耳に念仏の精神で頑なにその要望を聞いて聞かぬふりをしてきたが、昨年から妻の念仏が呪縛に変わり始めたところで、ついに5度目の引越を決意した。
新天地は荃灣。青衣よりもシティ感に溢れ、自然感には欠けるが駅、バス停が多く、市場やスーパーマーケット、デパートなどすべてが徒歩圏内にあり、子どものいる家庭にはより住みやすい場所だ。それにしても1人での引越は気楽なものだったが、妻や子どもとの引越となるとそれはもう一苦労どころではなく、引越前後の1週間は地獄絵図だった。
次の10年はここ荃灣で穏便に生活ができますように…2023年の初参りでは家族には内緒で神様にそうお願いした。


ルーシー龍ルーシー龍(りゅう)

東京都出身。香港歴10年。世の中のオヤジの威厳を取り戻すため愛娘に甘い妻と日々衝突を繰り返しながら子育てに奮闘中。

 

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