世界最大級アートフェア「アート・バーゼル香港」湾仔

2022/04/26

「アート・バーゼル」をご存知だろうか。1970年にスイスの都市バーゼルでスタートした、世界最大級の現代アートフェアである。毎年香港、アメリカのマイアミビーチ、そしてバーゼルの3ヶ所のみで開催されており、世界中から美術商やバイヤー、コレクターたちが集結する。もちろんチケットを購入すれば、一般の人たちも参加可能(今年度一般公開は5月27~29日)。それほどアートに興味がないという方にも「一度は訪れたい」と言わしめる、通常の美術展にはない、バイタリティ溢れるイベントだ。コロナ禍も下火になってきており、せっかく香港にいるのだから、この機会に足を運んでみよう。
Art Basel 2021(with Copy right credit)

Art Basel in Hong Kong

Art Basel in Hong Kong

今年のアートバーゼル香港は、世界28の国と地域から選ばれた130軒の主要ギャラリー陣を迎え、例年通り香港コンベンション&エキシビションセンター(HKCEC)にて開催。昨年度の104軒から大幅に増加し、アジア太平洋地域における主要な国際アートフェアとしての地位を再び強固なものとしている。15軒の初参加に加え、75軒のギャラリーがサテライトブースへの参加を予定している。後者については国際的な渡航制限を受け考え出されたこのコンセプトが最初に採用された昨年の57軒から更に増加している。香港のアートコミュニティや世界レベルの美術機関、非営利団体や業界の牽引者らと再び提携し、魅力的な展示や特別プロジェクトなどのプログラムをオンラインと実会場の双方において提供。昨年度、初めて披露されたフェアのデジタルイニシアチブであるアートバーゼルライブは、オンラインで参加する世界中の観客に参加ギャラリーのプレゼンテーションを広く訴求した。パンデミックにまつわる課題と香港の渡航・検疫制限が継続する状況であるにもかかわらず、参加軒数は昨年度の104軒から顕著な増加を見せている。フェアには東京と福岡にスペースを持つ「みぞえ画廊」、高崎にスペースを所有する「リン・アートアソシエーション」など、初参加する日本のギャラリーも。

Art Basel in Hong Kong

Art Basel in Hong Kong

また今日の国際的な渡航制限を考慮し、共同サテライトブースを設置。香港への渡航が難しいギャラリーは2021年に初めて導入されたこのサテライトブースを通じ、アートバーゼルの提供する現地スタッフの支援の元、来港せずとも作品を展示する機会が与えられる。日本からは東京の「ユミコチバ・アソシエイツ」が参加の予定。
他にも実会場とデジタルプラットフォームを全面的に統合し、ハイブリッド形式を採用するアートバーゼル香港は、デジタルイニシアチブであるアートバーゼルライブを通じて、世界中の観客にオンラインでその活気と興奮を届ける。香港だけでなくバーゼルとマイアミでも成功を収めたアートバーゼルライブは、オンライン・ビューイングルームやバーチャルウォークスルー、ソーシャルメディア配信やアジアのアート界からの著名人を含む国際的に著名人たちによる対話、またパフォーマンスの領域に拡張されたレクチャーなどをライブストリーミングで発信。
ここで会場で行われる、目玉の二部門を紹介しよう。
一つ目は「ギャラリーズ部門」。同フェアメインの当部門では、世界の主要ギャラリー96軒が最高品質の絵画、彫刻、ドローイング、インスタレーション、写真、ビデオ、そしてデジタル作品を紹介。今年のギャラリーズ部門では再びアジアと世界各地の多様なアートシーン、その類稀な概観を舞台にあげ、歴史的作品と新進アーティストやギャラリーの双方を取り上げながら20世紀の先駆的実践と現在における最先端の立ち位置との間の予期せぬ新たな出会いを創出してゆく。

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Taka Ishii Gallery Ayaka Yamamoto, “Untitled #284, #307, Mzimba, Malawi”, 2019 © Ayaka Yamamoto. Courtesy of the artist and amanaTIGP

Almine Rech Gordon Cheung, 2018 © Art Basel

Almine Rech
Gordon Cheung, 2018
© Art Basel

Richard Koh Fine Art Svay Sareth-The Heart Healer, 2018 © Courtesy of the Artist and Richard Koh Fine Art

Richard Koh Fine Art
Svay Sareth-The Heart Healer, 2018
© Courtesy of the Artist and Richard Koh Fine Art

二つ目は「インサイト部門」。16軒のギャラリーが参加する本年のインサイト部門では、アジア並びに太平洋地域における近代美術の歴史が、地域の重要アーティストの作品を通したキュレーション展示によって例解される。香港から出展「エンプティ・ギャラリー」は、南シナ海と香港の境界線の同時代的映像と、歴史的なアヘン戦争の遺跡の画像を対比的に併置する香港人アーティスト「ジェームズ・T・ホン」の学際的デュアルチャネルフィルムが、アクセル・フェルフォート・ギャラリーからは今井祝雄の1960年代、1970年代から近年の作品に到るまで、その多岐にわたる実践が紹介される。

Nukaga Gallery Atsuko Tanaka, Untitled, 1974 © courtesy Nukaga Gallery

Nukaga Gallery
Atsuko Tanaka, Untitled, 1974
© courtesy Nukaga Gallery

Lucie Chang Fine Arts Tsang Cho-Choi, Chinese Ink on Indian Paper © courtesy Lucie Chang Fine Arts

Lucie Chang Fine Arts
Tsang Cho-Choi, Chinese Ink on Indian Paper
© courtesy Lucie Chang Fine Arts

Empty Gallery James T. Hong, Three Arguments about the Opium War, 2015 © Courtesy of the artist and Empty Gallery

Empty Gallery
James T. Hong, Three Arguments about
the Opium War, 2015
© Courtesy of the artist and Empty Gallery

 

一般チケットは、オンライン、電話、会場にて購入可能。前売・当日共にすぐに完売することが予想される。特に、当日チケットは長蛇の列に並ばなければならない可能性も高いため、あまりおすすめしない。ちなみに、以前はオンラインや電話で前売チケットを購入した場合も、会場での引き換えが必要であった。今年もその可能性があるため、極力待ち時間を減らすよう、開場前に引き換えをしておこう。
現代アートフェアとはいうものの、以前ピカソやアンリ・マチス、エゴン・シーレやシャガールなど、20世紀を代表する作品が展示されていることも。新進気鋭のアーティストだけでなく、アートに精通していなくてもわかるような超有名作家の作品まで幅広く展開されているのだ。しかも、美術館とは異なり販売会も兼ねているため、至近距離で作品を眺められる貴重な機会でもある。
総勢250近いギャラリーが集結し、2フロアに渡って作品を展開する。駆け足で見て回ったとしても、軽く2~3時間はかかるほどだ。会場にはカフェスペースも設けられているので、疲れたら休憩を挟みつつ、時間を忘れて鑑賞してみては。

チケットに関する詳細はこちら

アート・バーゼル香港
会場:香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター
住所:1 Harbour Rd., Wan Chai
期間:5月27~29日
ウェブ:www.artbasel.com/hong-kong
フェイスブック・インスタグラム:artbasel

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