香港在住の日本人主婦によるリレーエッセイ Vol.178
Vol.5
〝アートは楽しい〞を体現するボッティチェリ展 〜TST East street〜
前回のお散歩の続き。香港藝術館を通ると、ボッティチェリ展が開催していたので入ってみた。
ボッティチェリは「プリマヴェーラ」「ヴィーナスの誕生」で有名な画家。
絵画の説明文にtemperaという文字を見つけた。それはテンペラ法といって、なんと主に卵白に塗料を混ぜ、速乾性のある材料として使用される技法!1500年に油絵の具が普及するまでは貴重な技法だったのだ。保存性も高いため、テンペラ法を使用した歴史ある絵画が現存している。
当時は子供が生まれた際、記念品として円形の作品であるtondoが贈られていた。疫病が流行していた時代に、新たな命が無事に成長できるよう、お守りとして壁に飾られたのだ。その枠も大変豪華なもので、多額の費用が必要。人々はその立派なtondoを送るために必死で働いた。
展示会の中心には自由にデッサンができるようにキャンバス台が置かれていて、仕上がった絵はそのブースの壁に飾られていた。自分の絵が展示されるなんて嬉しい!他にもヴィーナスのパネルに服を身に着けてみる着せ替えコーナーや、自身が絵画になったように写真撮影が出来たりするブースが。美術館と聞くと、ちょっとお堅いような雰囲気があるが、そこには“アートは楽しい“を体現する、年齢問わず楽しめる空間づくりがあった。
私が小学生の頃のある日、授業の漢字テストが早く終わると、プリント裏の白紙部分にリンゴの絵を描いた(ちゃんとテストは見直したのか? 笑)。採点後返却された時、担任からその絵に対して“うまいね”と赤ペンでコ
メントが書かれていてびっくり! 注意するのではなく、褒めてくれた先生。小学生時代の記憶はほぼ薄れているけれど、この感動はずっと忘れない(テストの点数は全く覚えていない)。
家で描く絵は、特に課題があるわけでもなく、自由だったな~。そして期限もない。気分が乗らないと途中で止めたっていい。誕生日プレゼントでもらったアクリル絵の具を全色使用して描いた魚の絵が見たくなってきた。モデルは、当時お気に入りだったニジマスのぬいぐるみ(笑)実家に帰ったら見てみよう🐟
また、リラックスしながら絵を描いてみようかな~と感じた日でした。
Miwaのプロフィール
香港在住歴2年目。趣味は映画鑑賞・街を気ままに散歩すること。